キングオブバンパイア出久   作:ダインパンチ

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どこかで見たことがある選手宣誓になってしまった


序曲 開幕体育祭

 

USJ事件の後最初の登校日。

あんなことがあったとは思えないほど、いつも通りの朝の時間。

「ケロ、そういえば今日はどの先生が来るのかしら?」

「あ~確かに。相澤先生あんなだもんね」

話していると教室の扉が開き、皆それぞれの席に着く。

入ってきた人物を見て、あるものは驚愕の、あるものは心配の声を上げる。

「相澤先生、無事だったんすね!」

「あれは無事なんかな~」

脳無に殴られた相澤先生の顔は包帯で見えないぐらいに巻かれていて、両腕もしかり。

まさしくミイラ男のような状態の相澤先生が口を開く。

「大丈夫だ。ばあさんの処置が大げさすぎるんだ。」

げんなりと話した後に、それにと続ける。

「戦いはまだ終わってない」

クラスメイト達は、戦慄する。

まさかまだ敵の残党がいるのではと。

だがそのあとに続いた言葉は、予想外の物だった。

「雄英体育祭が迫っている」

「「「学校ぽいの来た!!」」」

クラスが喚起に沸く。

その中、上鳴君が手を上げる

「あんなことがあったのに、やっても大丈夫なんすか?」

「だからこそだそうだ。警備を5倍に強化して、雄英の安全性を見せつけるそうだ。

それに、体育祭は最大のチャンス、敵ごときで中止していいものじゃない」

答えがけだるそうな声で聞こえる。

「そこは中止にしようぜ」

後ろの席の峯田君が声を上げる。

「えっ、峯田君雄英体育祭見たことないの?」

「あるに決まってんだろ!そういうことじゃなくてよ....」

二人で話していると、相澤先生が話を続ける。

「それに、ウチの体育祭は日本のビッグイベントの一つ、かつてはオリンピックがスポーツの祭典とされ、全国が熱狂化した。

今は知っての通り、スポーツは規模を縮小し、形骸化した。日本で今、かつてのオリンピックに変わるのが雄英体育祭だ。

そうやすやすと中止にしていいものではない」

「当然全国のプロヒーローも注目してますわ。スカウト目的で」

八百万さんの言葉に、上鳴君が続ける。

「卒業後は、プロ事務所に相棒入りがセオリーだもんな」

そこに響香もつなげる。

「そのまま独立しそびれて、万年相棒ってこともあるらしいけどね~。上鳴、あんたそうなりそう。バカだし」

そんな響香を見ていると、少し胸がモヤっとした。

なんだろうこの気持ち...

「まっそういうことだ。その気があるならしっかり準備しろ」

「「はい!」」

自分の気持ちに名前が付けられないまま、ホームルームが終わった。

 

 

昼休み。

各々が体育祭への闘志を燃やしている中、僕は乗り切れないでいた。

人間ではない僕が目立ってしまっていいのか。そもそも世間に仮面ライダーの正体が僕だとばれた時、僕の生活はどうなるのか。

家業のバイオリンに影響は出ないのか。様々な不安が頭によぎる。

「どうした緑谷君」

そんな僕を心配して、飯田君が声をかけてくれる。

「大丈夫、なんでもないよ」

すると、麗日さんの声で

「みんな頑張ろうね!」

と後ろから聞こえてきたが、いつもと様子が違う。

振り返ると、まったく麗かじゃない顔の麗日さんが拳を掲げていた。

気合の入り方が違うな....

そういえば、麗日さんに聞いてなかったな。

 

響香、飯田君、麗日さんとランチラッシュの飯処に向買う途中、意を決して聞いてみた。

「そういえば麗日さんは、どうしてヒーローに?」

そこで帰ってきた答えは、少し予想外の物だった。

お金のため

端的に言えばそれだった。

彼女いわく、彼女の実家は建設会社で、お金があまりなく最初こそ自分が手伝おうかと思っていたが、両親に夢をかなえてほしいと言われ、ヒーローになってたくさん稼いで両親を楽させてあげたいとのこと。

とっても立派な理由だが、本人は不純だと言っていた。

 

話をしていると、向こうからオールマイトが走ってきた。

「緑谷少年がーーーーーいた!」

オールマイトが僕に何の用だろう?

「緑谷少年、ちょっと....」

オールマイトは、お弁当包みを持ち、かわいらしい手つきで手招きする。

よくわからないがついて来いということだろう。

僕は、一緒に歩いていた者たちにいとこと声をかけその場から立ち去った。

 

 

その様子を、冷たい目をした紅白髪の少年がのぞいていた

 

 

オールマイトについていくと、仮眠室にたどり着いた。

「相澤君、つれてきたよ!」

仮眠室にいたのは、僕の担任だった。

「じゃ、私はこれで」

そういってオールマイトは立ち去った。

なぜオールマイトが、と思っていると、心を見透かしたかのように、

「俺はいまこんなだからな、怪我人はおとなしくしてろってな...まぁ、オールマイトも責任感じてるんだろ」

「それで僕に何か?」

オールマイトに会ってからの疑問をぶつけてみる。

「お前の個性の話だ」

個性?僕は無個性だが...

「雄英体育祭、ヒーロー科は基本的にサポートアイテムの使用は認められていない。己の個性と体術だけで戦う」

なるほど、そういうことか。

相澤先生はつまり、と続ける。

「現状お前は、仮面ライダーの力を使えない。」

現状ということは何かあるのだろう。

僕は黙って次の言葉を待つ。

「実力があるやつが、それを使えない、実に非合理的だ。そこで、だ。仮面ライダーの力をお前の個性にするのはどうだ」

「えっ、いいんですか?そんなことして」

驚いた。自由な先生だと思っていたが、ここまでとは。

「問題ない。この超人社会は人が生まれ持った特別な力を個性となずけ、管理している。その個性に明確な基準はない。

たとえ、個性ではない力だとしても、個性だと言い張ればいい話だ。それとも何か?いつまでもこの力は個性じゃない別の何かだとごまかし続けるのか?その方が非合理的だ」

目から鱗とはこのことだ。

はなから、個性として登録してしまえばよかったのだ。

 

こうして、僕は書類上、無個性じゃなくなった。

 

 

 

午後の授業も終わり、下校しようと荷物を整理していると、何やら廊下が騒がしい。

何事かとみれば、入り口付近に他クラスの生徒が集まっていた。

「敵情視察か。どうせ、敵の襲撃耐え抜いた連中を体育祭前に見ときたいんだろ。そんなことしても無駄だ!どけ!モブ」

かっちゃんの言葉に、集まった生徒からブーイングが起こる。

「敵情視察、ねぇ」

どこかから声が聞こえる。

見ると紫髪の、目の下にクマがある生徒だった。

「しってる?普通科ってヒーロー科落ちたやつが結構いるの。そんで、体育祭のリザルトによっちゃヒーロー替えの編入も検討してくれる。逆もまたしかり。ヒーロー科がそんなんじゃ失望しちゃうな。敵情視察...少なくとも俺は足元救われないようにせいぜい気をつけろって、宣戦布告しに来たつもり」

それだけ言って、彼は行ってしまった。

「おいおい、A組!えらく調子ついちゃってんな!」

なんだか熱そうな人も叫んでる。

「おい爆豪!どうしてくれんだよ!お前のせいでヘイト集まりまくりじゃねぇか!」

切島君がそう咎める。

「上に行けば関係ねぇ」

かっちゃんらしい言葉を残して、彼は行ってしまった。

 

 

 

時間が過ぎるのはあっという間で、ついに体育祭当日。

この日のために、僕と響香は名護さんに素手中心で鍛えてもらった。

できることはすべてやった。あとは本番で出し切るだけ。

「出久!こっからはライバルだよ!」

「うん!」

響香と僕は手を取り合い、そう宣言する。

 

選手控室、ここでは本番前の独特の空気が漂っていた。

「緑谷」

その空気の中、あまり話したことのないクラスメイト、轟君が話しかけてきた。

「何?轟君」

「客観的に見て、実力はお前の方が上かもしれねぇが、俺は負けねぇぞ」

いわゆる、ライバル宣言という奴だ。

その様子を見ていたクラスメイト達は盛り上がっていた。

 

プレゼントマイクのアナウンスがかかり、僕らは会場に向けて歩き出す。

『さあさあ、お待ちかね!雄英体育祭の開幕だ!まずは選手入場。今年はどんな生徒がいるのか!と言ってもあれだろお前ら!敵の襲撃を無傷で耐え抜いた、ヒーロー科!1年A組だろ!』

異様なまでに、興奮した観客たちのもとに、僕らは歩みを進める。

プレゼントマイクのアナウンスで、ほかのクラスの人たちも入場する。

「では、さっそく選手宣誓よ!」

ミッドナイトが鞭を鳴らすと、客席から野太い声が聞こえる。

「18禁ヒーローなのに高校にいていいのか?」

「いい!」ジュルリ

峯田君、いい加減にしないと消されるよ.....

「静かにしなさい!!では、ヒーロー科1年A組、緑谷出久!」

「は、はい!」

選手宣誓は、毎年ヒーロー科の入試一位が行う。

断ろうとしたけど無理だった。

無難にやるのも何か違う気がする。

「宣誓!我々選手一同は、一位を目指して正々堂々と戦うことを誓います。もちろん僕も、一位を狙います。なので、皆かかってこい!!」

いっちゃった~やばい、顔が熱い。

「上等だー!」

「やってやるよ!」

「こっちこそかかってこい!」

選手たちが沸いてくれた。

とりあえずは成功というところか。

「じゃあ、さっそく第一種目よ!多くの人が毎年ここで涙を呑むわ。第一種目は....これ!」

ミッドナイトの振る鞭が、モニターに向くと、文字が表示された。

「障害物競走よ。ルールは単純、コースを守れば何でもあり!わかったら位置に着きまくりなさい!」

障害物競走か、大変なことになりそうだ。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

「退屈だ!何か面白いものはないのか」

ガタイのいい男が、そう呟きながら街中を闊歩していた。

「ん?なんだこれは」

テレビのモニターが男の目に入る。

テレビの中では、たくさんの高校生が集まって何かをしているのが映っていた。

「きみ、雄英体育祭を知らないのかい?今や、かつてのオリンピックと並ぶ、国民のビッグイベントだぞ」

テレビを見ていたサラリーマンが、男に声をかける。

「雄英体育祭?面白そうだな」

男はニタァと笑うと、雄英高校に向かって歩き始めた。

 

「新しいタイムプレイの始まりだ!」

 

雄英体育祭に新たな脅威が迫っていた。

 

 

『リスナーども!位置に着いたか?

それじゃあ行くぜ!よ~い、スタァァァト!』

 

プレゼントマイクのやけにテンションの高い合図とともに一斉にスタートする。

が、入り口が狭く、詰まってしまう。

すると、ひんやりとした空気が、足をかすめる。

どうやら轟君が凍らせたようだ。

急いで人混みをかき分け、開けた場所へ躍り出る。

前を見ると、轟君やかっちゃんはもちろん、クラスメイト達が走っていた。

こうしちゃいられない。

「キバット!」

「キバって行くぜ!ガブっ」

「変身!」

走りながら変身を済ませ、急いで先頭に食らいつく。

 

 

◆◆◆◆

 

「あれは!仮面ライダー!?」

実況席で、プレゼントマイクが叫ぶ。

「お前、この学校の教師やってて何で知らねぇんだよ。仮面ライダーの正体は、さっき選手宣誓やってた緑谷出久だ」

解説の相澤があきれたように宣言する。

 

客席での反応は様々だ。

「あの気弱そうなのが!」

「てか高校生だったのか!?」

「プレゼントマイクもしっかりしろよ」

 

◆◆◆◆

 

走り続ける選手たちに第一の障害が立ちはだかる

『第一関門はこれ!ロボインフェルノ!!倒すもよし、避けてもよしの障害物だ!』

そこには、入試の時の0ポイント敵がうじゃうじゃいた

どう処理しようかと考えていると、仮想敵たちが凍り付いた。

轟君だな、と直感的に感じた。

「今だ!下をくぐれ!」

なんて言っている生徒がいるがこれは.....

「今くぐるとあぶねぇぞ。不安定な体制の時に凍らしたからな」

轟君がそう言い放つと、彼の言葉道理仮想敵たちが崩れ、道がふさがれた。

見た感じ、切島君が潰されてるが、個性的に大丈夫だろう。

凍り付いた残骸を飛び越えながら考える。

 

しばらく走ると第二関門が見えてきた。

『第二関門はこれ!ザ・フォール。落ちたら奈落の綱渡りだ!』

見ると、大きな穴に何本か柱のように穴の底から伸びた足場からロープが伸びていて、こっち側の足場とつながっている。

なるほどこれは、飛び越えた方が早いな。

実際、かっちゃんは爆破の勢いで飛んでいた。

仮面ライダーの跳躍力があれば、足場から足場ぐらいなら余裕だ。

飛び石の要領で、足場から足場え飛び移っていく

 

気づけば僕は、かっちゃんと轟君に続いて僕は3位になっていた。

『さあさあ、第一種目もいよいよ佳境、一番最初に戻ってくるのは、いったい誰なんだぁ!

そんなチャレンジャーたちを最後に待ち受ける最後の関門は....怒りのアフガン!地雷原だ!よく見りゃどこにあるかわかる仕様だ。

地雷って言っても音と爆風だけだがそれで大迫力!!爆発してら失禁不可避だぜ!』

『人によるだろ』

 

前を見ると、二人はかなり前にいた。

この差を一気に埋める方法....地雷原....

ここの地雷は、音と風だけ.....それなら

一か八か、この方法にかけるしかない!

 

地雷を思いっきり踏み抜き、前に飛び出す。

すると、爆風でいつもより速度が出た。

これなら...いける

『おっと~緑谷、本来避けるはずの地雷をわざわざ踏んで加速している!

そしていま、トップに躍り出た!』

マイク先生の実況に熱が入る。

気づけば、前にいた二人を抜かすどころか、目の前にはゴールが迫っていた。

「てめぇぇぇぇ」

「チッ」

後ろから、幼馴染の怒鳴り声と轟君の悔しそうな舌打ちが聞こえたが、気にせず進む。

 

『そして今!ついに一位が決定!!緑谷出久!宣言通り一位をもぎ取ったぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

ゴールすると大歓声が僕を包む。

少し緊張するけど、癖になりそうだ。

続々と、ほかの人もゴールする

 

こうして、雄英体育祭第一種目が幕を閉じたのだ

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