道中の描写は、私自身が走ったことのあるルートだから結構リアルです。
梓は原付でねこにゃーは小型自動二輪なので速度差があるはずなのですが、そこは優しいねこにゃーだから、梓にペースを合わせて走ってくれると思います。
「お早うございます、猫田先輩!」
「お早う、梓さん。」
土曜日早朝、待ち合わせ場所の大洗駅前に少し早めに着いた梓。ねこにゃーのバイクがすぐそばに停まると、梓は挨拶した。
先日、サンビーチ通りで見かけたのと同じように長い金髪を後ろでまとめており、ヘルメットを被るために猫耳カチューシャもつけておらず、私服のせいもあってか、普段とは全く異なる雰囲気のねこにゃーを見て思わず声に出てしまった。
「やっぱり、私がこの間見たのは猫田先輩だったんですね。」
「えっ?」
「走ってたからあまり良く見えなかったけど、バイクもこれだったし、髪も今日みたいにまとめてましたから。」
「さすがにバイクで走る時は髪をまとめておかないと、大変なことになるから。」
「でも、カッコイイですよ。」
見た目を褒められる機会なんてほとんどなかったねこにゃーは、少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。
それを気取られないように、あわてて、ポーチからスマホを取り出しながら聞いた。
「で、今日はどこに行くの?」
「はい、栃木にバイク神社っていうのがあって、バイク乗りの聖地って言われているそうです。せっかくだから、そこにお参りに行こうかな、と。」
「なるほど、交通安全のお願いもしないとね。」
「ルートもそれほど難しくなさそうだし、那珂川に沿って走る道も気持ちよさそうですから。」
「じゃあ、念のためナビをセットしておくね。あ、あった。この安住神社ってところかな。」
「えっ?バイクにナビって付けられるんですか?」
「うん、スマホのナビアプリなんだけど、ハンドルにステーを付けてそこにセットするんだ。」
「でも、充電しないとすぐに電池なくなりますよね。」
「バイクのバッテリーからUSBで電源をとれるようにしているから大丈夫。」
「へー、そんなことできるんですね。」
「澤さんのバイクでもできるんじゃないかな。最近のバイクはシガーソケットがついていて、そこから電源取れるはずだよ。」
「シガーソケット?これのことかな?」
「あ、そうそう。ここにUSBアダプターを差し込めば、スマホの充電ケーブルが使えるから。」
「そっかー。帰ったら、注文しちゃおう。」
準備を済ませると、ルートを調べてきた梓が先導して、一路、安住神社を目指すことになった。
大洗町から51号線を走り、水戸市内で123号線に入ると、あとはひたすら北西に進む。市街地は交通量が多かったが、常磐道を超える辺りからは流れも良くなり、信号も少なくなってきたので、ストレスなく走ることができた。
朝方は少し雲が出ていたが、今はその雲もまばらになっており、時々太陽が顔を出している。北西に向かって走っているため、日の当たる背中がぽかぽかして心地よい。
梓は、ミラーでねこにゃーが来ているかを確認しながら走っているが、さすがにバイクに乗りなれているせいか、梓のすぐ左後ろを適度な距離をキープしながら走っているのが見えた。
今日のねこにゃーは、タイトなジーンズに黒のスウェードのショートブーツ、上はGジャンを着ていて、制服やパンツァージャケット姿しか見たことがない梓にとってはとても新鮮だった。また、その服装がアイボリーのバイクにとてもマッチしていた。梓は「猫田先輩って、インドアなゲームオタクみたいな感じかと思ってたけど、実は結構お洒落さんなのかな?」と思ってしまった。
遠くに見えていた那珂川が近づいてきて、川沿いの道を走るようになると、前方に「道の駅 桂」という案内が出てきた。大洗を出て1時間程度だったので、いったん道の駅で休憩することにした。
ウインカーを出して、道の駅に入ると、駐車場の奥の方にバイク置き場があったので、そこにバイクを停める。
「やっぱり、自然の中を走るのって、気持ちいいですね。」
自販機で缶コーヒーを買って、川が見えるベンチに2人で腰を下ろしてここまでのルートの感想を話す。
「うん、ボクも普段は配達で鉾田の市街地を走ることが多いから、こんなに自然の多い中を走るのは初めてかな。街中だとストップ&ゴーとか右左に曲がることが多いけど、こんな道だと周りの景色を見る余裕もできるね。」
「ここから先は、県境の橋を超えるとさらに山の中に入っていくみたいです。」
「茂木のほうだね。ツインリンクもてぎっていうレース場があるみたいだよ。」
「そうなんですか。茨城に住んでますけど、そんなところがあるなんてこれまで知りませんでした。」
「茨城にはつくばサーキットもあるけど、茂木も結構有名なんだよ。モトGPとか、国際レースも開催されるそうだし。」
「猫田先輩って、レースとか好きなんですか?」
「いや、親戚に好きな人がいて、よく話を聞いてるから。でも、せっかくバイクに乗るようになったから、ちょっと興味あるなあ。」
「聖グロのローズヒップさんも、レース好きなんですって。あ、クルセイダーの車長をやっている人なんですけど、バイクにも乗ってるんですよ。」
「じゃあ、今度、みんなでバイクのレース観戦に来ようか。」
「ええ、是非。」
再びバイクに跨り、道の駅から走り出す。
那珂川大橋を渡りながら川を見ると、太陽が当たってキラキラと反射している川面に色とりどりのカヌーが浮かんでいた。
橋を渡り終えて、123号線を今度は那珂川の左岸沿いに走る。ところどころから見える那珂川には、先ほどと同じく川下りを楽しむカヌーがちらほらと見えた。
栃木県との県境の橋を渡ると山間を走る道となった。しばらく進んで、ついんりんくもてぎへの入り口のT字路を過ぎる。ここまでの道や所要時間はだいたいわかったので、レース観戦に来る時もバイクで来ようと梓は看板を見ながら思った。
山の中を走る道なので少し道幅が狭くなっていたが、信号もなく、アクセルを捻る手に力が入ってスピードが出そうになる。飛ばし過ぎると危ないということはわかっていたので、自制心を働かせながらのんびりと走る。
茂木の町を過ぎると、真岡鉄道の線路に沿って走る道となった。事前にルートを調べていた梓は、途中で曲がる国道と別れ、そのまま直進して県道に入る。ねこにゃーもナビをちらっと見て、道を間違っていないことを確認した。
県道を右折し、少し北上してしばらく走ると安住神社の案内が出てきたので、それに従って走ると、まもなく目印の大きな赤い鳥居のある安住神社に到着した。
鳥居の向かいにある駐車場にバイクを停めて、ヘルメットを脱いでグローブを外し、お互いに「お疲れ様でした。」とここまでの走りを労った。
鳥居をくぐって境内に入り、作法どおりに参拝を済ませると、お守りや絵馬を売っている社務所に足を向ける。やはりバイク神社と言われているせいか、バイクをモチーフにした交通安全のお守りがたくさん売っていた。梓は、スクーターの形をしたものを、ねこにゃーは、自分が乗っているバイクに近いデザインのバイクが描かれているお守りを買った。
社務所の横の壁には、交通安全祈願のお祓いを受けているバイクの写真が多数貼ってある。いろんなバイクを2人で興味深く見ていると、ふと1枚の写真に目が留まった。
「これって、確かアンツィオの。」
「うん、そうだね。あの人もバイクに乗ってるんだ。」
ねこにゃーもその写真を見て、気づいたようだった。
「いつも戦車に乗る時の恰好しか見ていないから、こういう恰好しているとわからないね。」
「猫田先輩も、髪をまとめてたりしていると雰囲気が全然違いますね。あと、今日は眼鏡じゃないし。」
「うん、学校では眼鏡だけど、バイクに乗るときはコンタクトにしてるんだ。」
お参りも済ませ、お守りも買ったので、自販機でお茶を買ってベンチに座りながら、ふと、梓は、前から聞きたかったことを聞いてみようと思った。
「猫田先輩は、どうして戦車道を始めようと思われたんですか?」
「えっ?」
「いえ、あの、失礼かもしれませんが、アリクイさんチームのみなさんって、インドアでネトゲ好きな人たちだし、あまり戦車道をやるってイメージができなかったから。」
「あはは。そうだね。」
「全国大会で優勝したのに廃校ってなって、仮校舎にいた時も、みなさんトレーニングに励んでましたし。それも、まだ大学選抜との試合が決まる前から。あの時、みんなはどうしようかと悩んでいたのに、アリクイさんチームだけが、来るべき日に備えて鍛えていたんだなあって。これって、凄いことです。」
「実はね、戦車道が復活するってなった時から、戦車道をやろうと思ってたんだよ。」
「もともと、ぴよたんやももがーとは、ネトゲの戦車ゲームで知り合ったんだ。まさか同じ学校にいるとは思いもしなかったけどね。」
「チャットで学校が戦車道を復活したって言ったら、2人とも自分たちの学校も復活したって言ったから、そこでみんな大洗女子学園にいることがわかって。」
「ネット上でつながっている人たちが同じ学校の生徒だなんて、すごい偶然ですね。」
「うん、これは何かの運命かもしれないってみんな思って。それで、じゃあ、3人でリアルの戦車道をやろうってことになったんだ。」
「ゲームで戦車の操縦とか知識はそこそこついてたけど、まさか実際に戦車を動かすのがあんなに難しいとは思わなかったけどね。」
「しかも、いきなり決勝戦からの出場でしたし。」
「始まってすぐに撃破されて、すぐにゲームオーバーになっちゃったけどね。」
「でも、後から聞いたら、あんこうチームをティーガーⅡの砲撃から守ったことになったって言ってました。」
「ほんと、あれは偶然とは言え、役に立ててよかったな、と思っちゃった。」
「でも、あの時、ももがーがすごく落ち込んでね。秋山さんが、三式はすごく操縦しにくいって言ってたけど、ギアを入れることさえもできないってのがよほどショックだったみたい。」
「それで、3人ともこれじゃだめだってことで、少しずつトレーニングを始めたんだ。」
「エキシビションではカモさんチームと組んで相手戦車を撃破してましたね。」
「ももがーも戦車の操縦に慣れたみたいだったし。」
「ボクにとっては、ネットの世界からリアルの世界に出たことで、アリクイさんチームや他のチームの人たちと知り合えたことが一番嬉しかったな。」
そう言って、ねこにゃーは梓のほうを見てにっこりと笑った。
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せっかく宇都宮の近くに来たのだから、餃子を食べようということで、2人は宇都宮市街へと向かった。
宇都宮駅近辺には餃子が食べられるお店がたくさんあるが、今回は、1か所で複数の有名店の餃子が食べられるところを梓が事前に見つけておいたので、そこへと向かう。
お店に着くと、フードコート形式になっていて、若干混んではいたものの、空いているテーブル席を見つけることができた。席に荷物を置いて、出店している餃子のお店で餃子を買って来る。お互い、同じ店で買わないようにうまく調整したので、テーブルにはいろんなお店の焼き餃子、水餃子が隙間なく並んでいた。
「女子高生がお昼ご飯に餃子ばっかり、てのもどうなのかな。」
「でも、ここらへんでは普通みたいですよ。」
見渡すと、部活帰りらしき女子高生達が、大きなテーブルを囲んで各自が買って来た餃子を分け合いながら食べていた。
「この後は女子高生らしく、お洒落なカフェでケーキと紅茶にしましょう。そのお店も見つけてあるんですよ。」
「それは楽しみだね。」
2人も、買って来た餃子を分け合いながら、こっちの焼き餃子は羽根がパリパリして美味しいとか、水餃子のもっちり感がたまらない、などと話し、気が付けば6皿分の餃子を食べ尽くしていた。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか。まだ席が空くのを待っている人もいるようですし。」
「そうだね。みんな、ぱっと食べて行くような感じだから、あんまり長居するのもね。」
お皿とトレイを返却口に戻して、バイクを停めた駐輪場のほうへと向かったが、途中にあった餃子店には、長い行列がまだ続いていた。
再びバイクに跨り、またも梓が先導する形で走る。街中から少し離れたところにあるお店には20分ほどで着いた。
市外だからか、駐車場も広く、隅の方にバイクを停めてお店の中に入る。どうやら、1階はケーキ屋さんになっていて、カフェは階段を上がった2階にあるようだった。
階段を上がろうとすると、そのすぐそばにレース仕様のバイクが飾られているのに気付いた。
「ここって、パティスリーの方がバイク好きらしいんです。でも、ライダースカフェだとケーキ屋さんとはちょっと違うから、こんなふうにさりげなくバイクを飾ってるんだそうです。」
「やっぱり、ツインリンクもてぎがあるからかな。」
「そうかもしれませんね。」
2階に上がると、特にバイクらしさを感じる装飾はなく、ウッディーな雰囲気のカフェスペースになっていた。
案内された窓際のテーブルに座り、メニューを見ると、さすがにケーキ屋を併設しているため、普通のカフェよりもケーキメニューが豊富に揃っている。
迷いに迷った挙句、梓はチーズケーキにクランベリーやブルーベリーがたっぷりと飾られたケーキを、ねこにゃーはモンブランっぽいがチョコでコーティングされたケーキを、それぞれ紅茶とセットで頼んだ。紅茶も何種類かあったが、知っているものと言えば聖グロの生徒の名前ぐらいだったので、梓はアッサムティーを、ねこにゃーはダージリンをそれぞれ頼んだ。
「聖グロと言えば、最初の練習試合を思い出します。」
「ももがーから聞いたよ。M3をピンク色に塗ってたんだって。」
「ええ、戦車を可愛くしようと思って。でも、待ち伏せしているところに聖グロの戦車が攻めてきて、ウサギさんチームはみんな戦車を置いて逃げちゃったんです。」
「まあ、砲撃を受けると普通はビビるよね。」
「でも、その後、たった1輌になっても立ち向かっていくあんこうチームの人たち、すごく恰好良かったんです。それを見て、私たちも頑張らなきゃって。」
「決勝戦では、黒森峰のエレファントとヤークトティーガーを撃破したんだったね。」
「ヤークトティーガーは、相討ちだったんですが。エレファントは、紗希ちゃんが映画で見たのをマネして相手を路地に誘い込んだんです。」
「狭いところだと重戦車の砲塔は回転できないからね。あれはうまい作戦だったね。」
「それで、後ろから砲撃したんですがすごく固くって。その時、紗希が後方の薬莢排出口を指差したんです。あ、そこが弱点だなってわかって。」
「まさか、相手もM3にやられるとは思わなかっただろうね。」
「ヤークトティーガーは、まともに当たっても撃破できないから、川に落とそうって、地図を見た優季ちゃんが。」
「そう言えば、ネットではウサギさんチームのこと、「大洗の首狩りウサギ」って言われているみたい。」
「ええっ!?そんなふうに言われてるんですか?」
「うん。」
「エキシビションではプラウダのノンナさんのIS-2にすぐにやられちゃいましたけど。」
「大学選抜との試合では、観覧車を使って相手側チームを混乱させたんだったね。」
紅茶とケーキが運ばれてきたのでいったん話を区切り、紅茶の香りを楽しんだ後、ケーキを味わった。
「餃子をたくさん食べた後だけど、やっぱり甘物は別腹だよねー。」
「冷泉先輩もケーキ、大好物らしいですよ。」
「ケーキが嫌いな女子高生はいないんじゃないかな。」
「聖グロは、戦車道の訓練の後、お茶会があるそうですよ。ペコちゃんが話してくれました。サンドイッチやプチケーキがお茶菓子として出るそうです。」
「いいなあ、大洗も訓練の後はお茶会してほしいなあ。」
「出てくるのは会長の干し芋になるんじゃないですか。」
「あはは、そうかもしれないね。」
紅茶とケーキを楽しみながら、尽きることのない話を続けているうちに、気が付けば日が少し傾きかけていた。
「じゃあ、そろそろ行こうか。あんまり遅くなってもいけないし。」
「そうですね。帰りは少し遠回りになりますが、山道で暗くなると危ないので、幹線道路で帰りましょう。」
「うん、了解。」
会計を済ませて、準備してバイクで走り出す。4号線は交通の流れが速いので、鬼怒川を渡って403号線を南に向かって走り、途中の県道でショートカットして50号線に入って東へと進路を向けた。
1時間ほど走ったところで、途中のコンビニで軽く休憩したが、途中、渋滞に巻き込まれたため、大洗に着くころにはすっかり日が暮れていた。
そのまま学園艦の昇降エレベーターに乗り、出口のところでいったんバイクを停めた。
「お疲れ様でした。今日は本当にありがとうございました。」
「うん、ボクも楽しかった。また、バイクでツーリングに行きたいね。今度はボクが行き先を考えておくから。」
「はい、楽しみにしてます!」
「じゃあ、気を付けて。」
お休みの挨拶をしてから、お互いの寮に向けてバイクを走らせた。
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その日の夜のSNSチャットにて。
ももがー「1ゲットなり!」
ぴよたん「先輩を差し置いて1ゲットとは!」
ねこにゃー「帰って来たよー。」
ぴよたん「乙加齢。」
ももがー「お疲れナリ。」
ねこにゃー「いやー、久々に長時間、外の空気を吸い込んだにゃ。」
ぴよたん「どこに行ったぴよ?」
ねこにゃー「栃木県のバイク神社に行ってお参りして、宇都宮で餃子食べて、その後でケーキを食べたにゃ。」
ももがー「おしゃれなんだかおっさんなんだか女子高生なんだか。」
ねこにゃー「正真正銘の女子高生でございまする。」
ぴよたん「澤さんとちゃんと話はできたぴよ?」
ねこにゃー「うん、一杯、いろんな話ができて良かったにゃ。」
ももがー「写真は撮ったナリか?」
ねこにゃー「うん、こんな感じ。」
ぴよたん「えっ?これがねこにゃー?」
ももがー「どこの〇ーテルなりか?」
ねこにゃー「ふっふっふ。女は服で化けるのです。」
ぴよたん「それだと化け猫になるっちゃ。」
ももがー「怖いもも!」
ぴよたん「パステルカラーのスクーターに乗ってる澤ちゃんも可愛らしいぴよ♡」
ももがー「ぴよたんがスクーターに乗ると、買い物に行くおばちゃん...」
ぴよたん「明日の放課後、ちょっと体育館の裏に来てくれるかな。」
ねこにゃー「コミュ障のボクだけど、可愛い後輩と遊びに行くってことの楽しさが分かったような気がする。」
ももがー「じゃあ、私と遊びに行くのも楽しいモモ!」
ぴよたん「可愛くない」
ねこにゃー「可愛くない」
ももがー「(:ω;)ブワッ」
ぴよたん「でも、私たちもネットの世界だけじゃなく、リアルの世界で他のメンバーともっと仲良くなったほうがいいかもね。」
ねこにゃー「とおっしゃるその訳は?」
ぴよたん「私は今年で卒業だけど、ねこにゃーとももがーはまだ来年もあるから。」
ももがー「来年は後輩も入って来るかもしれないナリね。」
ねこにゃー「可愛い後輩たちに先輩って言われるのもいいにゃ。」
ももがー「先輩♡」
ぴよたん「可愛くない」
ねこにゃー「可愛くない」
ももがー「(:ω;)ブワッ」
ぴよたん「つまり、三式は今はアリクイさんチーム3人で動かしてるけど、来年は私が抜けたところに誰かが入るっちゃ。」
ねこにゃー「そうだった。これまでは3人の世界だったけど、来年はそこに新しい仲間が入るんだにゃ。」
ももがー「ネトゲ好きな人だったらいいナリね。」
ぴよたん「でも、いつまでもネットの世界だけじゃなく、リアルの世界でも仲間を増やす必要があるだっちゃ。」
ねこにゃー「そうだね。ボクも最初は怖かったけど、実際に一歩踏み出してみると楽しいってことがわかったし。」
ももがー「私たちも次のステージに移る時期が来たもも。」
ぴよたん「そう、そうやって大人になっていくんだっちゃ。」
ねこにゃー「おお、さすが、一番大人に近いぴよたんが言うと重みがあるにゃ。」
ぴよたん「じゃあ、今日は重戦車でいくっちゃ。くらえ!」
ももがー「ああっ、私の盾車が一瞬で溶けたナリ...」
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「今日の訓練は終了です。」
「各自、後片付けを済ませて速やかに下校するように!」
「「「お疲れ様でしたー。」」」
西住みほの号令で放課後の訓練が終わり、戦車道履修生達は戦車倉庫に戻した戦車から残弾薬等を保管庫に戻して、更衣室へと向かった。
訓練弾とは言え、戦車に砲弾を入れたままにしておくのは危険なので、毎回、残弾薬はいったん降ろして、戦車倉庫の奥にある保管庫に戻すことになっている。
「では、レオポンさんチームの皆さんと、アリクイさんチームの皆さん、宜しくお願いします。」
「了解!」
「燃えるねえ。」
「まかせるにゃ!」
「がんばるモモ!」
以前はレオポンさんチームだけが居残って戦車を整備していたが、最近はアリクイさんチームも整備を手伝うことが多くなっていた。
「アリクイさんチームに手伝ってもらうと、ほんと助かるよ。」
ナカジマが嬉しそうに言った。
「あの、私もお手伝いします。」
「あ、澤さんも。じゃあ、お願いしちゃおうかな。」
「そうそう、昨日もらったお土産、ありがとう。」
「餃子煎餅なんてあるんだね。醤油味と餃子の大蒜の味が微妙にマッチして、すごく美味しかった。」
「安住神社の交通安全お守りは、自動車部の備品のスクーターにつけたよ。」
「じゃあ、スズキとホシノは各戦車の状態チェックして。ツチヤは澤さんと一緒に必要な工具の準備をお願い。」
「私たちは何をすればいいぴよか?」
「そうだね。チェックしてから割り振るけど、まずは八九式の転輪をオーバーホールしようか。河西さんが、少しひっかかる感じがするって言ってたから。」
「アヒルさん達は「根性でなんとかなります」って言ってたけど、壊れてからだと余計に面倒だからね。」
「じゃあ、まずは八九式からやっつけるにゃ。」
そう言って、ナカジマとアリクイさんチームが八九式に向かおうとしたところ、戦車倉庫の入り口に人影が見えた。
「あのー、私たちも何かお手伝いできることありますかー?」
ウサギさんチームの宇津木優季が、いつものようにのんびりした口調で聞いてきた。
「私たちにもお手伝いさせて下さい!」
「わからないところがあれば、ネットで聞けばわかるし。」
「いつも自動車部のみなさんばかりに居残ってもらってるから。それと、紗希も手伝いたいって言ってます。」
同じウサギさんチームの阪口桂利奈、大野あや、山郷あゆみと、丸山紗希も。
「ホント!?助かるなあ。じゃあ、M3の整備をお願いしようかな。ももがーさん、グリスと刷毛を持って来てくれる?」
「了解ナリ。」
ももがーが持って来たグリスを各自が小さな容器に移し替えて、砲塔やハッチ等の可動部のグリスアップに取り掛かった。
「あれ?ももがーさんって、いつもは桃の眼帯してませんでしたっけ?」
桂利奈がももがーを見て、眼帯を外しているのに気づいた。
「整備の時の精密作業だと手元をちゃんと見るために外すナリね。」
「猫田先輩って、髪を後ろでまとめたらなんか雰囲気変わりますね。」
山郷あゆみも、ねこにゃーを見て言った。
「そ、そうかな。」
「週末、梓とツーリングに行ったって聞きましたよ。写真見せてもらったけど、猫田先輩、すごく格好良いですね。」
普段はあまり話す機会の無い一年生たちと話す2人を見て、ぴよたんは
「リアルでみんなと仲良くなる機会ができて良かったっちゃ。」
と、満足そうに微笑んだ。
今回はバイクそのものよりは、ねこにゃー達アリクイさんチームが他のメンバーと仲良くなっていく姿を主に書きました。
ぴよたんは、地味で目立たないけど、アリクイさんチームの中の最上級生ということでねこにゃーとももがーを暖かく見守るポジションがいいかな、と。
1話を書いている間に次のお話のネタが思い浮かんで、並行して書くので、ちょっと時間がかかってます。
次回は、バイクとツーリングを中心としたお話になる予定です。1泊ツーリングなので、2話構成になるかも。
温泉に行くので、お色気♡シーンもあるよ。