ガルパンバイク部のお話   作:日本を鳥戻す

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すっごく久々の投稿です。

今回は新キャラの登場です。
そして、時間軸も、少し先の話。



母校を訪ねるツーリング

土曜日にちょっと早起きして、朝ご飯を軽く食べてから、マンションの駐輪場からバイクを引っ張り出す。

250ccだからそれほど大きくはないけど、私の小柄な体だと、取り回しも一苦労だ。

でも、これを手に入れたおかげで、行動範囲がかなり広がった。

 

大学に入って、いくつかのサークルに顔を出したり、懇親会に参加したりしたけど、高校生の時のような面白味はあんまり感じなかった。

それで、なんとなく、本当に何も考えずに、教習所に通ったんだよね。そんなこんなで教習を受けたら、まあ、これが面白いのなんの。今まで自転車しか乗ったことなかったけど、右手を捻るだけで走り出すなんて、こりゃ楽だわ。

んで、教習はスムーズに進んで、卒検も一発合格だったけど、卒業したら乗るバイクがない。生活費を節約して、バイトして、ようやく買えたのが夏休みが終わってから。まあ、入学試験の成績が良くって奨学金が貰えたし、親戚が大家さんをやってるマンションの家賃がべらぼうに安かったのと、食事はほとんど自炊してるのもあって生活費もそんなにかからなかったから、結構早く資金を貯められたんだけどね。

 

ということで、これから初めてのツーリングに向かいます。

 

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常磐道を走って、途中のサービスエリアで少し休憩を挟んで、水戸大洗ICを出る。ここから先は勝手知ったる道。涸沼川の橋を渡ると、大洗町。

学園艦が寄港しているかどうかはあえて調べなかった。まあ、もし寄港してたら久々に寄ってもいいかな、とは思っていたけど。今年卒業したばかりなのに、母校を訪問するってのもなんだか恥ずかしいし。

でも、涸沼川の橋を渡ると、巨大な学園艦が見えた。ああ、今週末は寄港しているんだな、と。そんなことを考えながら走ると、すぐに大洗駅に着いた。

 

私がいたころは工事中だったけど、それも終わって駅前のロータリーが綺麗になってる。駅の隣にはなんだかおしゃれなカフェみたいな建物もできてるし。

学園艦が寄港する時はここに乗艦受付案内所のテントがあったんだけど、今は場所を移して反対側の広場に設置してた。学園艦に行くかどうかは考えていなかったけど、とりあえず乗艦許可証をもらおうと、バイクを停めてテントの方に歩いて行く。

あ、やっぱり、風紀委員の子達だ。みんなおかっぱ頭。土曜日なのにご苦労さん。

許可証発行申請書に記入して、受付に行って、身分証明書を見せる。もちろん、取ったばかりの免許証。私を知らないということは、1年生の子かな。そう思っていると、奥から出てきた子に声をかけられた。

 

「角谷先輩!」

 

えーと、みんなおかっぱ頭だから見分けがつかないけど、この子はゴモ代ちゃん。

 

「やあ、おひさ~。」

 

「どうも、ご無沙汰してます。卒業式以来ですね。髪形が変わってるから一瞬わかりませんでした。」

 

まあ、大学生にもなってツインテールってのもなんだか子供っぽいからね。それに、ツインテールだとヘルメット被れないし。

 

「〇〇さん、この方、去年の生徒会会長の角谷杏さんだよ。」

 

「ええっ!そうだったんですか?そうとは知らず、失礼しました。」

 

そう言って、恐縮しまくって頭を下げている。やばい、そんなに気を使わせちゃ、先輩として失格だ。

 

「まー、いーよー。週末なのに、ご苦労さんだねえ。そう言えば、パゾ美ちゃんは?」

 

他にも受付する人がいたので、脇にどいてゴモ代ちゃんに聞いてみた。

 

「今日は、午前中は風紀委員会の会合で、午後からは戦車道の訓練に出ていると思います。でも、びっくりしました。バイクで大洗まで来られたんですね。」

 

「うん、実は免許取って、バイクを買って初めてのツーリングなんだ。」

 

「園先輩がいたら、交通ルールを守るようにって言われそうですね。」

 

「あはは。そうだね。」

 

「学校には行かれるんですか?」

 

そう言われて、ちょっと考える。

 

「まあ、気が向いたらね。それに、OGが来るとなると、みんなも気を使っちゃうから。」

 

「でも、顔を出してくれたらみんな喜びますよ。」

 

「んじゃあ、午後にでも寄ってみようかな。それまでは、久々の大洗を堪能させてもらうよ。」

 

そんなことを話していると、別の子が乗艦許可証を持って来てくれた。

 

「じゃあねー。」

 

ゴモ代ちゃんと別れて、乗艦許可証をポケットにしまって、バイクに跨って走り出す。

 

特に行き先は考えてなかったけど、やっぱりまずはあそこかな。

 

大洗駅を出て、ココスを横に見ながらゆるやかなカーブを走り、交差点を左折してすぐに左の上り坂へ。駐車場の隅にバイクを停めて、神社へと向かう。

やっぱり、まずは神様に挨拶しないとね。

手水場で身を清めて、門を入り、本殿で参拝。これからも大洗を、学園艦をお見守り下さい、とお願いする。

あ、道中安全をお願いするの忘れた。まあ、100円ぽっちでそんなにたくさんお願いするのも、贅沢か。

でも、社務所で「交通安全」のお守りを買うのは忘れなかった。

 

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磯前神社を出て、サンビーチ通りを走る。左手にはでっかい学園艦がいやでも目に入る。しかし、相変わらず大きいな。去年まではあそこにいたんだよな。そんなことを考えながら、町営駐車場にバイクを乗り入れて、バイク置き場に停める。

 

さて、もうすぐお昼だし、まずはどこかで腹ごしらえしよう。以前バイトしてた丸五水産で海鮮丼を食べるってのもいいけど、かなり後戻りすることになる。それに、やっぱり顔を出すのはちょっと恥ずかしい。

そんなことを考えながら、髭釜商店街をてくてくと歩く。卒業してからそれほどの時間は経っていないけど、お店がなくなっていたり、新しいお店ができていたりで、やっぱり時間は進んでいるんだなあ、と。でも、昔からやっているお店がまだ残っているのを見ると、嬉しくなるし、やっぱり食べたくなる。ということで、たかはしさんでみつだんごを食べて、甘太郎さんで大判焼きを食べて、鳥幸さんで唐揚げと焼き鳥を食べて、結局、丸五水産まで来てしまった。さすがに前を通って挨拶しないのもなんだから、大将に声をかける。

 

「おお、杏ちゃん、久しぶり!」

 

「どう?繁盛してる?」

 

「ああ、なんとかやってるよ。」

 

そんな会話を交わして、海鮮丼を食べようとしたけど、何人か待っていたので、あきらめて先へ進む。

すぐにウスヤ精肉店に着いたので、久しぶりに串カツでも食べようと思い、お店に入る。

 

「あら、角谷さん、久しぶりじゃない。」

 

おかみさんに声をかけられて、少し話す。

 

「串カツ1本ちょーだい。」

 

「はいよ、ゆっくりしていってね。隣の休憩所も新しくなったから。」

 

そう言われて隣のプレハブに入ると、中はとても綺麗で、何組か先客がいた。普通の町のお肉屋さんなのに、休憩所まで建てちゃうということは、それだけお客さんが多いんだな。

いただいたお茶と串カツで少しほっこりする。やっぱ、ここの串カツは最高だ。アリクイさんチームがハマるのもわかるような気がする。

 

と、まあ、商店街をぶらぶらしながらいろんなものを食べてると、結局、お昼ご飯を食べなくてもお腹一杯になっちゃった。

 

さて、これからどうしようか。学園艦に行って、学校に寄ってみようかな。確か、午後は戦車道の訓練があるってゴモ代ちゃんも言ってたし。

それに、私たちが乗っていたヘッツアーも見たいし。カメさんチームは全員卒業したから、今は別の子達が乗ってるのかな。それとも、チーム編成を変えて誰かが車長になってるのかな。うん、気になって来た。なんだか先輩風を吹かせるようだけど、ちょっとだけ顔を出してみよう。

さてと、ここから町営駐車場まで戻るのも一苦労だな。

 

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「西住殿、今日の訓練はどんなメニューにしますか?」

 

「そろそろ1年生の子達も慣れて来たから、今日は1年生と2年生でチームを組んで、3年生との模擬戦なんてどうかな。」

 

「全国大会では、ヘッツァーで大活躍してましたからね。砲手の子、砲撃時の集中力は茶道で養ったっておっしゃってましたし。」

 

「操縦手もなかなか見込みがある。あれなら固定砲塔でも狙った所にすぐに車体を向けられるな。」

 

「私達も来年は卒業だから、残った時間でどんどん鍛えないとね。」

 

昼食を済ませたあんこうチームが戦車倉庫に向かいながら話していると、後ろからパゾ美が走って来た。

 

「西住さん、大洗駅で入艦証発行業務に出てるゴモ代から連絡があったんだけど、角谷先輩が大洗に来てるらしいわよ。」

 

「え?角谷先輩がですか?」

 

「確か、東京の大学に進まれたと聞いていますが。」

 

「大学は夏休みが9月まであるから、水戸の実家に帰っておられたのでしょうか。」

 

「そうかもね。卒業式以来だから、久々に会いたいなあ。」

 

「もしかして、角谷先輩、大学デビューして彼氏とかできたのかな?それで、彼氏の友達から誰か可愛い子を紹介してくれって言われて探しに来たとか。イケメンの大学生を紹介されたら、どうしようー!」

 

「彼氏がいたら、夏休みに帰省なんてしないだろう。」

 

そんなことを話しながら歩いて戦車道倉庫に着くと、すでに他の履修生は集合していた。

 

「さあ、私達も着替えて準備しましょう。みなさん、お待ちですよ。」

 

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町営駐車場から港に向かって、学園艦の乗降口で乗艦証を見せて自動車用エレベーターに乗りこむ。乗艦受付の風紀委員の子達もやっぱりおかっぱ頭だった。

 

ものの5分ぐらいで甲板に上がって、そのまま走り出す。真っ直ぐ学園に向かっても良かったけど、久しぶりの学園艦だから少し見て回ろうか。

でも、やっぱり自分が住んでいたところを先に見ちゃうよね。私が住んでいた女子寮、よく買い物に来ていたスーパー、そして、決勝戦の前に小山や河嶋と一緒に豚カツを食べに来たレストランとか。

そして、懐かしの我が母校へ。卒業してまだ半年ぐらいしか経ってないけど、やっぱり懐かしさがこみ上げる。

駐輪場にバイクを停めて、受付で学校見学の申請をする。まあ、受付にいた風紀委員の子が2年生で、私の顔を知ってたからスムーズだったけど。

少し、中庭を見て回って、戦車倉庫へ。もう戦車道の訓練は始まってるかな。だとすると、今は戦車倉庫は空っぽのはず、なんだけど、人の気配がする。

入り口から顔だけ出して中を覗くと、オレンジ色のツナギを着た子が何人かいて、工具を手入れしたり、部品を持って来たりしている。その中に見覚えのある顔が。ああ、やっぱり、ツチヤちゃんだ。

 

「ツチヤちゃん、おひさ~。」

 

「あ、角谷先輩!」

 

ツチヤさんがびっくりしてこちらを振り向く。びっくりした時は目を見張るって言うけど、その文字通り、いつもは細目のツチヤちゃんが目を大きく開いてる。

 

「みんなは訓練に出てるの?」

 

「はい、今日は基礎訓練の後、模擬戦をやるって言ってました。」

 

確かに、今は戦車倉庫には1両も残ってない。

 

「じゃあ、ツチヤちゃんは?ポルシェティーガーには誰が乗ってるの?」

 

「自動車部の1年生と、指導役として山郷さんが乗ってます。私もたまに操縦手として乗りますけど、最近はあの子達に整備指導することが多くなってるんで。」

 

どうやら、ツチヤちゃん以外のオレンジ色のツナギを着た子は、戦車整備班らしい。

 

「ナカジマさん達が卒業して、自動車部は私1人になっちゃったんですが、4月に新入生の子達が自動車部に何人か入ったんです。あと、他の必修科目を受けてた子が今年から戦車道を始めたから、去年より人数は増えてますよ。」

 

「あの子達は、戦車に乗りたいわけじゃなくって、戦車を整備したいっていうことで、新しく整備班を立ち上げたんです。うさぎさんチームやアリクイさんチームの皆も手伝ってくれてるから、徹夜で修理するということはほとんどなくなりました。」

 

確かに、去年は訓練の後の整備や試合の後の撃破車輌の修理で、みんな徹夜ばっかりしてたからね。

 

「いやー、それは良かったね。」

 

「今日は模擬戦だから、多分みんなかなり動き回るし、撃破される車輌もあるかもしれませんから、整備班はそのための準備をしてるんです。」

 

ホワイトボードを見ると、今日の訓練メニューが書かれていた。どうやら、あと15分ぐらいで基礎訓練が終わって、その後に模擬戦をやるらしい。

 

「じゃあ、せっかく来たから、訓練を見学させてもらおうかな。悪いけど、双眼鏡貸してくれる?」

 

「はい、少々お待ちください。」

 

そう言って、ツチヤちゃんが壁にかけてある備品の双眼鏡を持って来てくれた。あと、無線機も。これがあれば、解放されている周波数でみんなの通信が聞こえるからね。

 

「じゃあ、監視塔に行って模擬戦を見て来るよ。じゃあねー。」

 

戦車倉庫を出て、監視塔に向かう。

 

監視塔って、結構高いんだよね。当然、エレベーターなんて付いてないから、階段をえっちらおっちらと登る。監視場所に着くころには、さすがに息があがってた。やっぱ年かな。

 

演習場のほうを見ると、戦車が射撃場から移動しているのが見えた。

無線機のスイッチを入れて、全車両向け通信用の周波数に合わせると、西住ちゃんの声が聞こえた。丁度、これからの模擬戦の説明をしているところ。

 

「今回は、1、2年生と3年生との模擬戦です。紅組はカメさんチームとレオポンさんチーム、ウサギさんチーム、アリクイさんチーム、カモさんチーム、白組はあんこうチームとカバさんチーム、アヒルさんチームとサメさんチームです。試合開始位置に着いたら、各チームで戦術を話し合ってください。その後、1430から試合を開始します。時間は30分、その間に相手車輌を行動不能にした数の多いほうが勝ちです。あ、訓練ですので、ペイント弾を使用して下さい。白旗は上がりませんので、ペイント弾が当たったら自己申告して下さい。くれぐれも怪我のないように。それでは、みなさんの健闘と幸運を祈ります。」

 

訓練の時、いつも聞いていた西住ちゃんの指示。相変わらず戦車に乗ってる時はハキハキしているなあ。

すると、また無線機から声が聞こえてきた。

 

「あ、あと、今日は卒業生の角谷先輩が見学に来てるかもしれません。昨年までの生徒会長で、カメさんチームでヘッツアーの車長兼砲手でした。みなさん、恥ずかしくないようにがんばりましょう!」

 

あちゃー、ばれてるじゃん。こっそり見学しようと思ってたのに。多分、ゴモヨちゃんが知らせたんだろうな。

まあ、仕方ない。模擬戦が終わったら、戦車倉庫に戻って挨拶ぐらいはしておこう。

 

双眼鏡で演習場のほうを見ると、手前の方に1、2年生チームの紅組、奥の森に近いほうに3年生チームの白組がそれぞれ向かい合うように陣形を組んでいた。

 

そうこうしているうちに、1430になったらしく、無線機から西住ちゃんの声が聞こえた。

 

「試合開始です!」

 

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結局、模擬戦は3年生チームが勝って終わった。

ペイント弾だから撃破されて動けない車輌はないけど、みんな塗料で真っ白。あれ、洗って落とすの大変なんだよな。

でもまあ、ヘッツァーが結構頑張ってくれていたのはなんだか嬉しい。

 

「では、戦車倉庫に戻ります。あんこうチームを先頭に、3年生チーム、その後ろに1年生、2年生チームで、縦列編成にて進んでください。」

 

無線機から西住ちゃんの声が聞こえる。そして、Ⅳ号を先頭に戦車の列がこっちに向かって来た。

Ⅳ号は、ペイント弾を受けていないらしく、どこも塗料で汚れてない。さすがだね。

 

んじゃあ、私もここから降りて、挨拶でもするか。

でも、みんなはこの後、ペイント弾の塗料を洗って落とさなきゃならないから、あんまり邪魔はしたくないけどね。

 

戦車倉庫に戻ると、もう戦車は倉庫の正面に停まっていて、ホースやバケツを持った体操着姿の生徒たちが塗料を落としにかかっていた。Ⅳ号には塗料は付いていなかったけど、同じように外に停まってた。軽く洗車するのかな。戦車を洗車って、自分で自分に座布団1枚あげたくなっちゃった。

 

「あ、角谷先輩!」

 

いち早く私を見つけたのは、武部ちゃん。その声を聞いて、西住ちゃん達も気付いたようだ。

 

「お久しぶりです。」

 

「やあ、お久しぶり。さっきの模擬戦、見せてもらったよ。」

 

「角谷先輩達が卒業して、人数が減ったらどうしようと思ってましたが、新入生や2年生が入ってくれました。」

 

「うん、ツチヤちゃんから聞いた。自動車部は戦車整備班も作ったんだってね。」

 

「はい。みなさん、ツチヤさんの指導の下でメキメキと腕を上げてます。」

 

「そっかー、うちの戦車道も安泰だね。」

 

戦車道を復活して2年目にして、なんとか軌道に乗りつつあるようだった。

 

「角谷先輩!」

 

後ろから声をかけられたので振り向くと、澤ちゃんだった。そっか、西住ちゃん達が卒業したら、今度はウサギさんチームやアヒルさんチームが戦車道を引っ張っていくんだな。

 

「やあ、ウサギさんチームも元気そうだね。」

 

「角谷先輩が来てるって聞いたから、がんばっちゃいました。でも、髪形が変わってるからなんだか雰囲気変わりましたね。」

 

「ああ、ツインテールだとヘルメット被れないからね。」

 

ん?この会話、さっきもしたような。

 

「え?ヘルメット?もしかして、角谷先輩、バイクに乗ってらっしゃるんですか?」

 

そうだ、澤ちゃん、聖グロのオレンジペコちゃんや知波単の福田ちゃんの影響でスクーターに乗ってたんだよな。

 

「そーそー。今日もここまでバイクで来たんだよ。」

 

「実は、私も自動二輪の免許を取ったんですよ。」

 

「え?確か去年はスクーターに乗ってたと思うけど、とうとう免許とったんだ。」

 

「はい。冬休みにバイトして、教習所に通ってとりました。それで、春休みにアルバイトして、バイクも買っちゃいました。少し足りなかったので親にお金借りちゃいましたが。」

 

「おー、いいねえ。私も夏休みにバイトして買ったんだ。」

 

「後で角谷先輩のバイク、見せて下さいね。」

 

「いーよー。」

 

そう言って、澤ちゃんはM3のほうに戻って行った。

 

「澤さん達、後輩が入って来たからか、すごく頑張ってます。1年生の子達の指導もしてくれてますし。」

 

西住ちゃんがウサギさんチームを見ながら教えてくれた。

 

「そうだね。来年は彼女たちが大洗の戦車道を率いて行くんだもんね。」

 

とんでもない理由で戦車道を復活させたけど、もう廃校の心配はなさそうだから、このままみんなが楽しく戦車道を続けてくれたらいいな。

 

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Ⅳ号は被弾してなかったので、秋山ちゃんや五十鈴ちゃんは他の戦車の塗料を洗い流すのを手伝ってる。私がここにいたら西住ちゃんが作業できなくなるから、そろそろ退散しようかな。

 

「じゃあ、私はそろそろ行くよ。久しぶりにみんなに会えてよかった。模擬戦も見られたし。」

 

「え?もう帰っちゃうんですか?」

 

アリクイさんチームの三式中戦車の洗車を手伝っていた武部ちゃんがこっちに戻って来て、帰ろうとしていた私に聞いた。

 

「せっかく来ていただいたんだから、もう少しゆっくりとされてはいかがでしょうか。」

 

五十鈴ちゃんもそう言ってるけど、みんなの邪魔になるからね。

 

「そうだ、角谷先輩、晩御飯一緒にどうですか?」

 

「いいね、みぽりんの家で角谷先輩とごはん会やろう!」

 

そう言えば、あんこうチームはたまに西住ちゃんの部屋に集まって、みんなで料理してご飯食べてたな。

 

「じゃあ、お言葉に甘えてごはん会に参加しようかな。どうせ今日は水戸の実家に戻るだけだし。」

 

「よーし、私が腕によりをかけて、美味しいご飯つくりますね。」

 

「ちょっと待った、武部ちゃん、私の趣味が料理というのを忘れてない?」

 

「そ、そうだった。でも、来ていただいたのに料理を作ってもらうなんて。」

 

「いーよ、私が作りたいんだから。」

 

「おお、武部殿と角谷先輩の、料理道対決ですね!」

 

「では、生徒会の仕事が終わったら、西住さんの家に集合しましょうか。」

 

「あ、あの、そのごはん会、私も参加させてもらえませんか?」

 

気が付けば、澤ちゃんがいて、さっきの話を聞いてたみたい。

 

「そっか、後で澤ちゃんにバイクを見せる約束してたね。」

 

「じゃあ、みぽりんと澤さんは料理の材料を買っておいてくれるかな。私達も生徒会の仕事が終わったらすぐに向かうから。あ、何を買うかは後でメールしておくね。」

 

「うん、いいよ。」

 

洗車も終わったみたいなので、そのまま解散となった。あとは、ツチヤちゃん達が整備をするみたい。

じゃあ、私は駐輪所で澤ちゃんを待つとするか。

 

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駐輪場で干し芋(さっき、丸五水産で買った)を齧りながら待ってたら、澤ちゃんとやまごーちゃんがやって来た。

 

「すみません、遅くなっちゃいました。」

 

「いいよー。」

 

「これが角谷先輩のバイクなんですね。カッコイイです。」

 

なぜかやまごーちゃんが目をキラキラさせながら見ている。

 

「うさぎさんチームの他の子達はどったの?」

 

「あやは優季と買い物に行くそうです。桂里奈は録画し忘れたアニメを見るって帰りました。紗希は、気付いたらいなくなってました。」

 

「みんな自由だねー。」

 

「角谷先輩のバイク、250ccなんですね。」

 

「そーそー。400ccだと車検が必要だし、重いし、あと、高いからね。知り合いの中古バイク屋さんでたまたまいいのがあったから、これにしたんだ。」

 

「車体も軽いし、取り回しもしやすいですからね。」

 

「あっちに置いてるのが澤ちゃんのバイクかな?」

 

「ええ、角谷先輩と同じく、250ccのスポーツタイプです。」

 

駐輪場にバイクを停める時、近くに同じようなバイクがあって、去年はバイクで通学している子や教職員はいなかったから珍しいなあと思ってたけど、まさか澤ちゃんだったとはね。

 

「梓が乗ってたスクーターは、私が譲ってもらったんです。」

 

「あゆみ、私がスクーターでいろんな所に行ってるのを見て、自分も乗りたいって免許取ったんですよ。」

 

「バイクに乗ったら行動範囲が広がるからね。」

 

そんな風に話してたら、西住ちゃんがやって来た。そっか、武部ちゃんが食材を買って帰るように言ってたな。

 

「お待たせしました。」

 

「んじゃあ、買い物に行こうか。」

 

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買い物は澤ちゃんとバイクで少し遠くのスーパーに行って、西住ちゃんは先に帰って、お米を研いで料理の準備をしてもらうことにした。

澤ちゃんに武部ちゃんから送られた材料のメールを見せてもらう。ふむふむ、あれを作るってことね。だったら、私はサイドメニューを作ってあげよう。

澤ちゃんとバイクの話をしながら食材売り場を回って、材料を買い物カゴに入れて行く。私が持つカゴには、サイドメニュー用の食材を入れる。

 

「角谷先輩がキャンプで作ってくれたバーベキュー、すごく美味しかったです。」

 

「あの時は、うさぎさんチームが食材を燃やしちゃって、河嶋が水をかけちゃったからね。」

 

「す、すみませんでした。」

 

「でも、材料は無駄にしたくなかったし、少しメニューを変えれば食べられるからね。応用力の勝利、かな。」

 

レジで会計する時、食材の分は私が私が出してあげた。お小遣いが少し厳しくなっちゃうけど、可愛い後輩のためだ。

 

買い出しを終えて、西住ちゃんの家に向かう。寮の駐輪場にバイクを停めて、西住ちゃんの部屋に行くと、丁度炊飯器のスイッチを入れようとしたところだった。

 

「やあ、お邪魔します。」

 

「いらっしゃい。一応、ご飯は用意しておきました。」

 

「ご苦労ご苦労。じゃあ、後は私が下ごしらえしておくから。」

 

「え、そんな、私がやります。」

 

「まあまあ、遠慮せずに。私がやりたいんだから。じゃあ、台所借りるよ。」

 

手を洗って、野菜を刻んでいく。西住ちゃんと澤ちゃんは、何か訓練メニューの話をしている。刻んだ野菜を軽く下茹でして、その間にお肉に下味をつけておく。ここまで下準備しておけば、あとは武部ちゃんがやってくれるでしょ。

 

ひととおりの下ごしらえが終わると、次は私が作るサイドメニュー。まあ、そこまで手間がかかるものでもないし、こんなの15分もあればできちゃうよね。だったら、余った食材でもう一品。西住ちゃんに断って冷蔵庫の中をみたら、あちゃー、マヨネーズが少なかった。後から来る武部ちゃん達に買って来てもらおう。

 

てな感じで、西住ちゃんの家に来て30分もかからないうちにほぼ準備はできた。

 

「お疲れ様でした。あ、お茶、入れますね。」

 

お、気が利くね。ソファに座らせてもらって、西住ちゃんの入れてくれたお茶を飲む。

テーブルの上は、さっきまで2人が話していた訓練メニューの資料が散らばってる。澤ちゃんも副隊長として、後進の育成を考えてるんだね。感心感心。

 

「今年は戦車道履修者、結構増えたんだってね。」

 

「はい、角谷先輩達が卒業してかなり減ったからどうなるかと思いましたが、去年の全国大会優勝や大学選抜との試合のおかげで、1年生だけじゃなく、2年生の履修希望者もいたんですよ。」

 

戦車道を復活させる時に調べたら、在校生には戦車道経験者はいなかったはずだから、2年生から戦車道を始めるってことか。

 

「私のクラスの子なんですが、1年生で茶道を履修してたんですけど、もっとアクティブな事がしたいって、2年生から戦車道を始めたんです。」

 

「あはは、なんか、五十鈴ちゃんみたいだね。」

 

「さすがに茶道の家元ではありませんが、砲手をやらせてみたら、すごい集中力で、五十鈴先輩並みの射撃力でした。」

 

その後も、スズキちゃんの妹が自動車部に入って、やっぱり戦車の整備をやってるとか、中学で砲丸投げをやっていた子が装填手になったとか、アリクイさんチームとネトゲ仲間だった子が新入生で入って来たからぴよちゃんの抜けたところに入ったとか、今のチーム編成について教えてもらった。

 

「角谷先輩、大学では戦車道やってないんですよね。」

 

「ん、まあ、高校で戦車道はやり切った感があるし、私の経験じゃあ大学の戦車道では通用しないからね。一度、見学に行ったけど、すんごかったよ。一応、部員の人に声はかけられたけど、丁寧にお断りしちゃった。」

 

「それに、卒業する前にも話したけど、私は将来、文科省の学園艦教育局に入りたいんだ。そのためには、大学できっちり勉強しておかないといけないからね。」

 

「だから、クラブやサークル活動にはあんまり時間を割けないってのもあるしね。まあ、バイクを手に入れたから、気分転換はバイクで走ることぐらいかな。」

 

そう、二度と後輩たちをあんな目に遭わせないように、私は学園艦教育局に入る。自分が戦車道をやるより、後輩たちがのびのびと戦車道をやれるような環境を作るのが、私の夢だ。

 

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生徒会の仕事を終えた五十鈴ちゃん達が到着すると、武部ちゃんの指示のもとでみんなでごはんを作った。

 

西住ちゃんは、さっきまで広げていた資料を片づけてる。

澤ちゃんは、布巾でテーブルを拭いている。

五十鈴ちゃんは、ほとんど料理をしないから、お皿やお箸を準備している。

秋山ちゃんは、おい、キャンプじゃないんだから、飯盒はいらないだろ。

冷泉ちゃんは、ありゃ、ソファーに寝っころがってるぞ。

 

「ちょっと、麻子、少しは手伝いなさいよ!あ、角谷先輩、下ごしらえ、ありがとうございます。おかげですごくスムーズにできました!」

 

野菜は下茹でしておいたから、煮込む時間が短縮できるよね。

武部ちゃんの作業が終わったので、場所を交代してサイドメニューを作ることにした。とは言っても、さっき準備を終えてたので、買って来てもらったマヨネーズを入れて、ぐるぐる混ぜて、はい、できあがり。

それと、もう一品。これは出来上がるのに時間がかかるけど、デザートだからみんなが食べてる間に作ろう。

 

そんなこんなで、あっと言う間に料理が出来上がった。

 

「「「いただきま~す!」」」

 

食卓の上には、クリームシチューとご飯、あと、私が作ったお芋サラダ。いつも干し芋食べてるから干し芋好きって思われているけど、私が好きなのはサツマイモ全般なんだよね。

 

「ポテトサラダはよく作るんだけど、ジャガイモをサツマイモに変えるだけでまた違った料理になるね。やっぱ、茨城県民ならサツマイモを使わないとね。」

 

しかし、クリームシチューだったらパンのほうが合いそうだけど、なぜご飯なんだろう?

 

「あ、それは、パンだと五十鈴殿が物足りないと思いまして。」

 

「帰り道のパン屋さん、夕方だと売切れてたり、少なかったりするからね。」

 

「私も、ご飯のほうがたくさん食べられるので助かります。」

 

「しかし、ご飯を5合炊いて、その半分は五十鈴さんが食べてるんじゃないか。」

 

「この後、デザートもあるから、楽しみにしてねー。」

 

「甘いものは別腹ですので、大丈夫ですわ。」

 

丁度、さっきオーブンに入れたのが焼けてきたようで、いい匂いがしてきた。

 

「ん、なんだ?すごく甘い匂いがするぞ。」

 

「ちょっと、麻子、デザートはご飯が終わってからにしてよ。」

 

食事を終えて(結局、5合炊いたご飯は五十鈴ちゃんが半分近く食べたせいできれいに無くなった)、とりあえずお皿を片づけて、西住ちゃんが紅茶を入れてくれている間にデザートの登場。

 

「おおーっ!」

 

「すごい!スイートポテトだ!」

 

冷泉ちゃん、デザートが好きって聞いてたから、一生懸命作ったよ。

武部ちゃんも、将来の彼氏に作ってあげてね。

 

「サツマイモは、デザートにもなるんだよー。作り方も簡単。材料を捏ねて、形を整えて、表面に卵黄を塗ってオーブントースターで焼くだけだからね。」

 

紅茶を飲みながら、今年の全国大会の話をいろいろと聞いた。

初戦ではヴァイキング水産高校と戦い、お互いの健闘を称えて海産物を贈りあったとか(こちらはやはりあんこうを送ったらしい)、2回戦ではペパロニ隊長率いるアンツィオと当ったけど、今年はこちらがマカロニ作戦で相手を出し抜いたとか。

 

「でも、準決勝での聖グロ戦は厳しかったです。」

 

「最初の練習試合とエキシビション以来、私たちが唯一勝ててなかった相手だったからね。」

 

「ダージリンさんやアッサムさんは卒業したけど、ペコちゃんが隊長になって、ローズヒップさんの遊撃部隊をうまく使ってましたね。」

 

「クルセイダーに、こちらは序盤で3両もやられちゃいました。」

 

「アヒルさんチームは、ルクリリさんのマチルダに撃破されちゃったね。」

 

「でも、澤さんがあんこうチームを援護して、最後はフラッグ車のチャーチルを倒せました。」

 

「あれは、Ⅳ号に照準を合わせようとしていたチャーチルを、ウサギさんチームのM3が威嚇射撃して気をそらせてくれたから。」

 

「いえ、西住隊長が相手の戦術の裏をかいて相手を分断させたのが良かったと思います。」

 

「いやー、準決勝戦は見に行けなかったけど、そんなに激戦だったんだね。」

 

大学の試験期間に全国大会が重なってたから応援には行けなかったんだよな。でも、決勝戦は、運よく試験の中休みだったから、河嶋と小山と一緒に見に行ったんだよね。

 

「けど、今年の決勝戦の黒森峰は本当に強かったです。お姉ちゃんが卒業した後、エリカさんが隊長になって戦術を大幅に変えたとは聞いてましたが。」

 

「去年の無限軌道杯でも、プラウダ戦は逸見さんの機転で窮地を脱したと聞きました。」

 

「エレファントやヤークトティーガーなどの重戦車に頼ることなく、パンターやⅢ号の機動力を駆使した戦術にはてこずりました。」

 

「ヘッツァーはどうだったの?」

 

「中盤で、ヤークトパンターに履帯を切られて動けなくなったところをⅣ号70に撃破されました。」

 

「小島さん、恨みを晴らしたって言ってたよ。」

 

「あちゃー、私たちが買った恨みがそっちに行っちゃったか。」

 

他の学校は世代交代して隊長が変わったけど、強豪校はやっぱり強いんだね。まあ、大洗も西住ちゃん達が卒業しても、澤ちゃん達がいるから安心だ。

 

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楽しい話は尽きないけど、そろそろおいとましないと。一応、実家には顔を出すとは行ってるし、あんまり遅くなると親も心配するからね。

 

「んじゃあ、私はそろそろ帰るよ。あ、水戸の実家にだけどね。」

 

「角谷先輩、今日はわざわざお越しいただいてありがとうございました。戦車道チームの皆さんにも良い刺激になったと思いますわ。」

 

「五十鈴ちゃんも、生徒会長のお仕事、頑張ってくれてありがとね。」

 

「私達も、この大洗学園艦を守って、日々精進しております!」

 

「秋山ちゃん、副会長はいろいろ大変だろうけど、みんなをサポートしてあげてね。」

 

「角谷先輩、大学でイケメンの男の子がいたら、紹介してくださいね!」

 

「いや、武部ちゃんも来年は女子大生になるんだから、それからじっくりと探せばいいんじゃない。」

 

「私も及ばずながら、生徒会と戦車道チームを手助けしている。まあ、風紀委員には目をつけられているが、そど子が卒業してからはあまりうるさく言われなくなったがな。」

 

「まあ、冷泉ちゃんなら卒業も進学も大丈夫でしょ。」

 

「西住先輩達が卒業しても、私達が戦車道を引っ張っていきます。来年の試合も是非見に来て下さいね。」

 

「もっちろん、その時はOGとなった西住ちゃん達と一緒に見に行くよ。」

 

ひとりひとりとお別れして、ブーツを履いて玄関を出る。

 

「あ、じゃあ、私も帰りますので、角谷先輩を見送って来ます。」

 

そっか、澤ちゃんもバイクだったね。

 

駐輪場で準備して、ヘルメットを被る。

 

「んじゃ、行こっか。」

 

エンジンをかけて、走り出す。とは言っても、昇降口にはすぐに着いた。

エレベーターが降りるまで、15分ほどあるみたい。

 

「角谷先輩、また遊びに来て下さいね。」

 

澤ちゃんが横に並んで、ヘルメットのシールドを上げて声をかけて来た。

 

「でも、先輩があんまりしょっちゅう来たら後輩たちがやりにくいから、ほどほどにしとくよ。」

 

「そんなことないですよ。むしろ、後輩たちに気合を入れに来て下さい。」

 

「まあ、西住ちゃん達が卒業しても、ウサギさんチームがいるから大丈夫だよ。」

 

そんなふうに話してたら、そろそろエレベーターが降りる時間が近づいてきた。

 

「じゃあ、行くわ。見送り、ありがとね。」

 

「今度は一緒にツーリングに行きましょう。」

 

「ツーリング、いいねえ。じゃあ、学園艦が寄港する時は連絡ちょーだい。」

 

「了解です!」

 

ギアを入れて、車両用エレベーターに乗りこむ。地上階に着くと、周りの車が動き出すのを待って、走り出す。

 

卒業してからまだ1年も経ってないけど、懐かしかったな。でも、やっぱり今日来てみたら、なんだか他人の家にお邪魔するような感じがした。大洗女子学園の戦車道も、新しいメンバーが入って、私がいた頃とは少し雰囲気が変わったみたい。

まあ、私達がいた時の雰囲気は私達のものだし、今の雰囲気はあの子達のものだからね。違うのも当然か。いや、どんどん変わって行ってほしい。それが、去年、私達が守った学園艦だから。

 




今の3年生が卒業したらどうなるんだろう、と思って、1年後の様子を想像しながら書いてみました。
実を言うと、ところどころで、他の二次小説やSS、二次創作同人誌の要素をほんの少しだけ拝借しています。

杏がバイクに乗るって、想像してなかったでしょ。筆者も想像していませんでした。

実は、今年初めにこのお話を思いついてから、別のお話もアイデアが浮かんで、さらに別のお話も思いついたので、3作を並行して書いてました。ただ、前後関係があるので、まずはこれを先に書き上げました。
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