エリカとも、昔のように仲良くなっています。
みほの子供時代や、西住流家元の普段の様子も書いてみました。
一部で人気のお色気シーンも入れました(笑)。
早朝の大洗駅。駅前のロータリーは工事中で、ところどころアスファルトが剥されて土がむき出しになっている。だが、送迎用の車が一時的に停められるスペースがあり、臨時のバス停もそこに設置されていた。
そのスペースにドイツ製の大型バイクが停まっており、その横には一人の若い女性。
その女性は、西住まほ。黒森峰女学園戦車道隊長を務めており、由緒ある西住流戦車道の後継者でもある。
そんな彼女ではあるが、今日はいつものタンクジャケットではなく、レザーパンツにブーツ、上も黒革のライダースという、バイク乗りの恰好をしている。
しばらくすると、きらめき通りからバスが入って来た。早朝だからか、降りてくる乗客は数人程度であったが、そこから一人の女の子が飛び跳ねるように降りて来て、まほに声をかけた。
「お姉ちゃん、お早う!」
まほの妹の西住みほ。こちらも大洗女子学園戦車道チームの隊長を務めており、訳あって黒森峰女学園から大洗女子学園に転校し、今はそこで学生生活を過ごしている。
「お早う、みほ。」
いつもは無表情なまほだが、妹に会うと自然と笑みがこぼれる。みほのほうは、目をキラキラさせながらまほの前に駆け寄ってくる。
「ごめん、待った?」
「いや、ほんの10分ほど前に着いたところだ。」
「お姉ちゃんとツーリングなんて、久しぶりだなあ。嬉しくて昨日はほとんど寝られなかったよ。」
「ああ、私もツーリングは久しぶりだ。今年は、夏の大会の後は、大学選抜との試合もあったしな。」
「あの時は、ありがとう。」
「いや、私だけではなく、みほの戦車道に共感した皆が来てくれたおかげだ。」
「うん。」
しばし、沈黙。
「ところで、今日はどこに行くんだ?」
「えっ?」
「いや、熊本だったら阿蘇山とか天草のほうは詳しいが、茨城はさすがに土地勘がないからな。どこかみほの行きたいところはあるのか?」
「うーん、私も、大洗の町以外はあんまり知らないから。」
「そうか。困ったなあ。」
「そうだ!ボコミュージアム!」
「それはどこにあるんだ?」
「港からバスで10分ぐらいのところだよ。」
「いや、それじゃツーリングにならないだろう。」
「えー。」
「ふふ。まあ、そんなこともあろうかと思って、心強い助っ人を呼んでおいた。」
少し離れていたところに停めてあったバイクから、銀髪の女性が近づいてきた。
「お早う、みほ。」
「エリカさん!」
黒森峰戦車道副隊長、逸見エリカ。
みほが黒森峰にいたころの友人で、紆余曲折があって一時は気まずい雰囲気になっていたが、大学選抜との試合の後は、昔のように気さくな仲に戻っていた。
「あなたがどこも行き先を考えていないことなんて、とっくにお見通しよ。」
「うう...」
「エリカだったら、ツーリングに適したルートと行き先を考えてくれると思ってな。」
「そういうこと。だから、昨夜のうちにネットで調べておいたわよ。」
エリカの趣味は、ネットサーフィンだ。
昨日の夕方、まほから電話をもらい、みほとツーリングに行くが一緒に行かないかと誘われた時には飛び上がって喜んだ。
そして、みほの行きたいところがあればそこに行くが、もし、エリカのほうでどこか良いところがあれば、調べておいてほしい、と頼まれたのだ。
「隊長、予想通りでしたね。」
「ああ、エリカがいてくれて助かった。ところで、どこかいい行き先はあるのか?」
「はい、いくつか調べておきましたが、大洗から日帰りとなると...」
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30分後には、まほと、まほのタンデムシートに乗ったみほと、その後ろをエリカが、北関東自動車道を2台のバイクで西へ向かって走っていた。
「エリカさん、バイクの免許、取ったんだ。」
「そうよ。1年の春休みに入ってすぐに。」
「エリカさん、すごくかっこいい。」
すぐ左側を走るエリカを見て、みほが言った。
エリカは、黒のジャンプスーツに黒いフルフェイスのヘルメット。バイクの色は赤で、まるで黒森峰のカラーのようだった。
「みほは免許はとらないのか?」
「うーん、私はちょっと。戦車の操縦も苦手だし。」
「確かに、あんただったら、自転車でも危なそうね。」
「そ、そんなことないよ!」
「確かに、みほは小学校に上がってもしばらくは駒付き自転車に乗っていたからな。」
「ホントですか!?普通は小学校に上がるころは自転車に乗れるようになりますが。」
「ああ、だから外に出る時はいつもⅡ号戦車だったんだ。」
「操縦していたのはお姉ちゃんだけどね。」
「自宅の庭でずっと自転車に乗る練習をしていたが、あの時は大変だったな。止まれなくて池に落ちたり、壁に激突して鼻血を出したり、いつの間にか演習場のほうに入ってしまって、大騒ぎになったり。」
「そ、そんなことも、あった、かな。」
「ああ、あの時、お母様は練習中の全車両向けに緊急通信を入れて、直ちに停止して、砲撃を中止するように命令してたな。後で門下生の人から、あの時の師範の声はそれまで聞いたことがないぐらい、焦っていたと聞いた。」
出発する前に、エリカが3人のヘルメットにインカムを付けてくれたので、走りながらでもこうして3人で会話ができる。
少々分が悪くなってきたので、みほは、話を逸らした。
「あ、確か、うさぎさんチームの澤さんが、原付免許を取りたいって言ってたよ。」
「M3リーの車長をやっている子ね。」
「うん、仲のいい聖グロのオレンジペコさんが免許を取ったのを聞いて、自分もバイクに乗りたくなったんだって。」
「確か、知波単の隊長もバイクに乗っていると聞いたが。」
「それと、知波単の福田さんがバイクの免許をとって、大洗に来てたらしいよ。澤ちゃん達がばったり会ったんだって。」
「九五式軽戦車の車長をやっている子ね。もしかすると、福田さんがバイクの免許を取ったのは、西さんの影響かもしれないわね。」
「それでね、澤さんが福田さんのバイクの写真をオレンジペコさんに送ったら、その後しばらくして免許を取ったって連絡が来たの。」
「確か、赤星も今、教習所に通っていると聞いたが。」
「ええ、隊長と私がバイクに乗っているのを見て、自分も一緒に走りたくなったそうです。」
「そうか。今度は赤星も誘ってツーリングに行くか。」
「でも、第1段階の見極めの時、一本橋で落ちたらしく、補講を受けなきゃって言ってました。」
「ああ、私も一本橋は苦労した。あれは、ニーグリップをきちんとして、橋に前輪が乗るまではきちんと加速しないと、乗り上げたショックでスピードが落ちてしまうからな。」
「私は急制動ですね。どうしてもブレーキをかけるタイミングが掴めなくて、白線を超えてしまうことが多かったです。」
まほとエリカが教習時の話をしていたので、みほはあまり会話に参加できなかった。
その雰囲気を察したエリカは、みほに話しかけようと思ってみほを見て、ヘルメットのイラストに気づいた。
「みほのヘルメット、とても可愛いわね。あなたの好きな、ボコ、だっけ?」
みほが被っているジェットヘルメットの横には、包帯を巻いたクマの絵が書かれていた。
「これ、この間ボコミュージアムに行ったときに買ったステッカーを貼ったんだよ。曲面だから難しかったけど、優花里さんに手伝ってもらって。あ、このボコはね、2期の第4話「ボコボコカーレース」で出てきたボコで、ボコと他の動物たちがレースしながらケンカするんだけど、相手の車にボコが激突したらオイルが漏れちゃって、そのオイルでボコの車がスピンして他の車を巻き込んで...」
「隊長、そろそろ出口です。」
このままだとみほのボコ話がいつまでたっても終わらないと思ったエリカは、丁度、目的地近くの出口を示す案内板が出たのを幸いに、インカムからまほに伝えた。
間もなくインターチェンジの出口が見えて来たので、ウインカーを出し、ランプに入って速度を緩めながら料金所を通過した。
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休日だからか、日光駅前は観光客が多く、道路も混んでいた。
ストップ&ゴーを繰り返すのは少々ストレスになるものだが、3人はインカムでの会話を続けていたので、さほど苦にならなかった。
「いつ見ても黒森峰の学園艦は大きいね。」
「ああ、太平洋を航行中に機関系にトラブルがあったらしく、近くで入れる港が大洗港しかなかったそうだ。」
「丁度、大洗の学園艦も停泊してたから、一度離岸して黒森峰の学園艦に場所を譲ったって聞いたよ。」
「船舶科の友人に聞いたら、1週間ほど停泊してエンジンを総点検するそうです。」
「じゃあ、練習試合とかできるかな。」
「いや、黒森峰は先週、継続高校との練習試合だったんだが、その際に損傷した戦車の修理にしばらく時間がかかるそうだ。」
「まさか、私のティーガーⅡの砲塔がやられるとは思いませんでした。」
「あのミカ達が乗っているBT-42は、本当に油断ならないな。」
「小島のヤークトパンターも、KV-1に履帯をやられたって、ものすごく怒ってましたよ。」
「確か、全国大会の決勝戦でも、小島さんの戦車、履帯をやられてたんじゃなかったっけ?」
「ああ、修理した直後にヘッツァーにやられたそうだ。」
「あ、生徒会のカメさんチームだね。」
「あのヘッツァーにひっかき回された時は、どうしようかと思ったわ。」
「大学選抜との試合では、ひっくり返ったCV-33をカタパルトのようにしてジャンプして、カールを撃破したんだったな。」
「カメさんチーム、生徒会の人たちがすごく上手だから。」
「でも、小島とは会わせないほうがいいわよ。すっごく恨んでたから。」
「ふふ。」
他愛のない話を3人でするのは久しぶりだった。そして、こんな時間を過ごせることが、まほにとってはすごく嬉しかった。
「そう言えば、今日はどんなところに行くの、エリカさん。」
「日光東照宮よ。世界遺産にもなっているし、見どころがたくさんあるみたいなの。」
「確か、江戸幕府を開いた徳川家康が祀られているんじゃなかったかな。」
「ええ、そうです。江戸から見て鬼門にあたる方角で、江戸を守るために建立されたそうです。」
昨夜、エリカは、ネットで調べて、まほから頼まれたツーリング計画をいくつか考えていた。
その中で、日光東照宮であれば、世界遺産ということもあるし、バイクを停めて近くを散策するのにも丁度良いと思ったのだった。
それに、少し足を伸ばせば、これも有名な「華厳の滝」もある。
渋滞は駅前だけで、東照宮の駐車場にはすんなりと入れた。
バイクを降りて、3人で東照宮への道を歩き、土産物屋街を過ぎると、砂利の敷かれた参道になった。
しばらく進むと、五重の塔が見えて来た。それほど大きいものではないが、造りが美しく、しばらく見とれていると、エリカが
「そろそろ行きましょう。係の人が案内しながらいろいろと説明してくれるみたいです。」
と言うので、受付で拝観料を払い、中に入った。
神厩舎では「見ざる、言わざる、聞かざる」で有名な三猿の彫刻を見たり、御本社で「将軍着座の間」を見学したりした。20人ぐらいでまとまって移動しながら、ところどころで係りの人が説明してくれるので、そのたびに「へー」「なるほど」「確かにね」などと口にしながら進む。
奥宮への入り口にある、左甚五郎作と言われている「眠り猫」を見た時は、
「麻子さんみたい。」
「確か、Ⅳ号の操縦手だったわね。」
「うん、麻子さんは猫がすごく好きなんだよ。」
「あの操縦技術は、黒森峰にもなかなかいないぐらい練度が高いな。」
「でも、普段はいつも眠そうにしていて、朝もなかなか起きられないんだって。」
「だから、この眠り猫がその子っていうこと?」
「じゃあ、今度、大洗と練習試合する時は、開始時間を午前6時にすれば有利になるな。」
およそ1時間程度でひとまわりしたので、門を出て、バイクを停めているところに向かおうとしたが、エリカが「こっちです」と言うので、駐車場とは反対の方向に進むと、前方から美味しそうな匂いがしてきた。
そのお店には「日光カステラ」とあり、販売だけではなく、その場でお茶と一緒に食べられる休憩所もあるようだった。
お昼までにはまだ少し時間があるが、朝早く出て来たので空腹感を感じていたこともあり、迷うことなくカステラを食べることにした。
注文してほどなく、カステラが2切れ乗ったお皿と緑茶が運ばれてきた。
「うん、甘くて美味しいな。」
「これでなんとかお昼までは我慢できそうね。」
「そうだ、お母様と菊代さんに送ってあげよう。」
「えっ?」
「お母様は、ああ見えて結構甘いものがすきなんだ。」
「意外ですね。お酒は強いとお聞きしていますが。」
「いつも執務室で書類仕事をしているが、休憩の時は庭に面した縁側で、菊代さんとお茶を飲みながら甘いものを食べているのをよく見かける。」
「そうなんだ。」
「そう言えば、みほが先日帰って来た時に持って来た大洗の干し芋、あれも美味しそうに食べていたぞ。」
「本当に!」
「ああ、おかげで、私は1つしか食べられなかったが。」
「じゃあ、今度、お母さんに送ってあげるね。あの干し芋、会長、あ、ヘッツァーの砲手をしている生徒会長なんだけど、会長がいつも食べている干し芋なんだって。」
「ああ、きっと喜ぶぞ。」
会計を済ませ、店舗でカステラを買い、熊本の実家に送ってもらうように手配した。
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駐車場に戻り、次の目的地である華厳の滝へと向かう。
途中には「いろは坂」があり、上り専用と下り専用で別れていて、合計48の急カーブがある。その坂を、まほとエリカの運転するバイクはふらつくことなく、綺麗なライン取りで走り抜けて行く。
突き当りの道を右に曲がると華厳の滝という看板が出ていたが、エリカはここを左折するようにインカムから指示を出した。すると、すぐに湖が見えて、エリカが「中禅寺湖よ」と教えてくれた。
少し進んだところに駐車場があったので、そこにバイクを停める。
「ここからでも華厳の滝は歩いてすぐだから。」
「エリカさん、すごく良く調べてるね。さっきのカステラ屋さんも美味しかった。」
「当然でしょ。折角のツーリングなんだから。索敵は基本でしょ。」
「エリカ、ここには敵はいないぞ。」
そんなことを話しながら、歩いて10分ほどで華厳の滝の入り口に着いた。ここからエレベータで降りて、観瀑台へと向かう。
「ひゃあー。」
「水しぶきがすごいな。ここまで飛んできている。」
「中禅寺湖の水が流れて来てるんですよ。」
ひとしきり見た後でエレベーターに戻り、エレベータに乗って地上に戻る間、みほのお腹が鳴った。
「あんた、よっぽどお腹空いてるのね。」
「え、エリカさん、ひどいよ。」
「エリカ、昼食の場所も調べているのか。」
「はい、もちろん。さっきバイクを停めた駐車場のすぐ近くです。中禅寺湖を眺めながら、湯葉料理なんていかがかと。」
「湯葉料理って、食べたことないけど、美味しそう。」
「湯葉って豆乳を加熱した時にできる薄皮なんだけど、日光の湯葉は厚みが違うんですって。ちなみに、普通は「湯葉」って書くけど、日光の湯葉は波のような形をしているから「湯波」って書くそうよ。」
「それは楽しみだな。」
ほどなく目当てのお店に到着し、中に入る。お昼時を少し過ぎていたからか、すぐにテーブルに案内された。
メニューもあったが、3人は迷うことなく「日光湯葉御膳」を注文した。お茶を飲みながら他愛もない話をしていると、間もなく3つの日光湯葉御膳が運ばれてきた。
湯葉と岩魚の塩焼き、豆腐と根野菜にあんかけ出汁をかけたもの、豚汁と、ご飯に伽羅蕗の漬物が添えられている。
食後のデザートとして、胡麻豆腐があった。
「「「いただきます。」」」
やはり最初はみんな湯葉に箸を伸ばす。最初は何も付けずに口に入れて味わう。
「「「美味しい!」」」
そこからは、お腹が空いていたこともあり、ひたすら箸を動かして、瞬く間に平らげてしまった。
岩魚の塩焼きも、頭と骨と尻尾しか残っていない。
「ほんと、美味しかったねー。」
「ああ、あの湯葉は何も付けなくても美味しかったな。」
「喜んでいただけて、探した甲斐がありました。」
「エリカさん、ありがとう。」
「さて、エリカ、この後はどうするんだ?」
今日の予定は全てエリカに任せたとばかりに、まほが聞いてくる。
時間は午後1時半。帰るには少し早く、どこかもう1か所寄るぐらいの余裕はありそうだ。
「そうね、温泉なんてどうでしょう?」
「温泉!いいねー。」
「帰る前にひとっ風呂あびるのもいいな。」
「お姉ちゃん、なんだかおじさんみたいだよ。」
「そ、そうか。」
「じゃあ、ここからちょっと距離がありますので、そろそろ出ましょうか。」
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駐車場に戻り、準備してから出発する時にまほが
「じゃあ、今度はエリカが先導してくれ。」
と、エリカに声をかける。
「承知しました。では、温泉に向かって、パンツァー・フォー!」
「「パンツァー・フォー!」」
来た道を戻る形で、いろは坂の下り専用道路のたくさんの急カーブを的確にライン取りしながら走る。東武日光駅前を過ぎて、今市で左折して121号線を北上すると、案内標識には、この先に鬼怒川温泉とある。
15分ほど走って脇道に入り、しばらく行くと「鬼怒川公園岩風呂」に到着した。
「あ、タオル持って来てない...」
「私もさすがにタオルまでは用意して来なかったな。」
「ご心配なく。3人分のタオルを用意して来ました。バスタオルはありませんので、これで体も拭くことになりますが。」
「ああ、十分だ。」
「エリカさん、さすがだね!」
受付を済ませ、脱衣場に入ると、まだ時間が早いからか、それほど混んではいなかった。
「あんた、まだそんなパンツ履いてるの?」
みほのパンツを見てエリカが言った。みほのパンツは、お尻にボコの絵がかかれていた。
「えっ!このボコパンツはね、ボコ1期の時のまだ包帯が少な目だったころのイラストが使われていて、レアなんだよ。それに、オンラインで販売されたけどすぐに売り切れになるぐらい人気があったんだよ。私はすぐに買ったから良かったけど、愛里寿ちゃんは買えなかったって...」
「いやいや、そうじゃないでしょ。それに、パンツ一丁の姿ででそんなことを説明されても...」
みほはその言葉で我に返り、顔を真っ赤にしていた。
「もう、エリカさんのエッチ!」
「いや、女同士なんだから関係無いでしょ。」
洗い場で体を洗ってから、3人は露天風呂へと向かった。
「はあー、温まるねー。」
「日ごろの疲れも取れるな。」
普段は寮のシャワーで済ませることが多く、広々とした湯船につかることがあまりないからか、手足を伸ばしてゆったりとお湯に浸かるのはとても気持ちが良かった。
「あ、大洗女子学園のすぐそばには大きなお風呂屋さんがあって、たまに戦車道の訓練が終わった後にみんなで入るよ。」
「そうなの。いいわねえ。」
「裸の付き合いってのもいいかもしれんな。」
「この間のエキシビションの後は、みんなで大洗の「潮騒の湯」に入ったんだよ。聖グロのダージリンさん達、お風呂の中で紅茶飲んでた。」
「確か、大洗知波単連合と、聖グロプラウダ連合での試合だったわね。」
「うん、知波単の人たちがサウナで我慢大会してたり、カチューシャさんは熱がってたり、ローズヒップさんが泳ぎ回ってたり。」
「大洗と練習試合する目的がまたひとつできたな。」
「えっ!?試合の後のお風呂も目的なの?」
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お風呂から上がって冷たいお茶を飲みながら少し休んでから外に出ると、空には夕焼けが広がっていた。頬をなでるそよ風も少し火照った体に心地良い。
「じゃあ、そろそろ帰りましょうか。」
「ここからだと大洗まではどのくらいかかるんだ?」
「そうですね。距離だと130kmぐらいだから、2時間ってところですね。」
「みほ、大洗駅から学園艦行きのバスの時間は大丈夫か?」
「うん、だいたい電車に接続するように出てるから、結構遅くまで走ってるよ。」
「まあ、あまり遅くなるといけないから、さっさと帰るとするか。」
帰りは今市ICから日光宇都宮道路に乗り、東北道を経由して北関東道に入る。
途中のパーキングエリアで小休止をとって、エリカが言った通り、2時間程度で大洗駅に到着した。
「お姉ちゃん、エリカさん、今日は本当にありがとう!とっても楽しかったよ!」
「ああ、私も楽しかった。それにエリカ、今日の計画は完璧だったな。私からも礼を言う。」
「いえ、楽しんでいただけて何よりです。」
別れを惜しんでいると、丁度、水戸からの電車が大洗に着いて改札から人が出てきた。すると、
「おーい、みぽりーん!」
「西住殿ー!」
「あ、沙織さんに優花里さん!」
「あら、そちらはまほさんと逸見さんですね。」
「ツーリングから帰って来たところか。」
「華さんと麻子さんも!」
「ああ、みんな、いつもみほがお世話になっている。」
「あんこうチームね。今日はみほをお借りしてたわ。」
「みほさんも、お姉さんと逸見さんと昔みたいに遊んでいただけたのであれば何よりです。」
「まほ殿も逸見殿も、バイク姿がとても格好良いであります!」
「バイクに乗る女性って、なんだか素敵!私もバイクに乗ろうかな。でも、ツーリング先でイケメンに声かけられたらどうしよう!」
「どうせだったら乗せてもらうほうがいいぞ。後ろから合法的に抱きつけるからな。」
「えー!やだもー!」
「あのう、そろそろバスの時間なのですが。」
「じゃあ、お姉ちゃん、逸見さん、帰るね。」
「ああ、私たちはバイクで学園艦に戻る。」
「黒森峰の学園艦は1週間ほど停泊するらしいから、機会を見つけて大洗女子学園にお邪魔したいわね。」
「おおっ、黒森峰のみなさんと交流会なんて、夢のようですぅ!」
「じゃあ、また連絡するね。」
バスに乗った
あんこうチームを、まほとエリカは手を振って見送った。
「さて、私たちも帰るとするか。」
「そうですね。」
2人はヘルメットを被り、エンジンをかけて大洗港のほうに向かった。
途中でみほ達が乗ったバスを追い越す時、窓から5人が手を振るのが見えた。
大洗で自分の戦車道を見つけたみほと、それを支えた仲間達。
やはり、みほは、大洗に来て正解だったな、とまほとエリカは思いながら、黒森峰の学園艦のほうにバイクを向けてアクセルを捻った。
ガルパンキャラの中で、バイクが似合うのはエリカだと思うんです。
なので、黒のジャンプスーツを着てもらいました。
黒森峰の学園艦が大洗に停泊しているのは、設定上のご都合主義です(笑)。
日光東照宮は見どころもたくさんあってお奨めです。
日光からだと、朝霧高原なんかもいいツーリングルートですが、やはり温泉は外せないので、そちらにしました。
あと、こちらのお話を先に書いていたのですが、前回のオレンジペコのお話に繋げるために、途中であちらを急いで仕上げました。
今回も、次に繋がる伏線を張ってます。