最凶の組のIS操縦士 ~家族の絆で空を行く~ 作:木原@ウィング
本当はこの描写は軽めにしたかったのにいつの間にかキャラ達が滅茶苦茶動き出していまして凄く長くなっていました。
もし不快に思われてしまったらそれは私の描写の技術不足です。大変申し訳ございません。
しかし、私の小説を嫌いになっても彼女は嫌いにならないでください。彼女は本当はとても良い子です。今後、この小説でも良い子になってくれるんです
ですので今だけはどうか不快に思われても耐えてください。
耐えられないと思われたら、もう本当に申し訳ございません。
「親父さん!!」
「雷光さん!!」
一時間目が終わり、休み時間に入った瞬間に一夏と箒は示し合わせた訳でもないのにほぼ同時に雷光の元に笑顔で駆け寄ってきた。
その様子に苦笑いしながらも答える雷光。
「久しぶりだな。一夏、箒」
「はい! 親父さんも元気そうで!!」
「あの……雷光さん。姉さんが迷惑かけていませんか?」
雷光の返事に満面の笑みで答える一夏と姉が何か迷惑をかけていないか心配する箒とそれぞれの違う反応に雷光は変わっていないなと内心で安心していた。
「箒、そんなに心配しなくても束の奴は良くやってくれているよ。逆に大人しくなって不安になってるくらいさ」
「そ、そうですか。……良かった」
最後の方は蚊の鳴く様に小さい声だったが一夏と雷光の耳にはしっかりと聞こえていた。一夏はそんな箒をニヤニヤとした顔で見つめ、雷光はうんうんと頷いている。
「あっ! それより親父さん!! あのバイト先、紹介してくれてありがとうございました!」
「あぁ、いや。あれは丁度手が空いていた場所が有ったから斡旋しただけでそれ以降は俺は関与してねぇよ」
「またまた~店長から聞きましたよ? なるべく面倒臭いお客が来ない時間帯にするようにしてくれってわざわざ店長にお願いしていたんでしょ?」
「……さぁ、そんな事は知らないね」
一夏のカミングアウトを受けてばつが悪そうに顔を背ける雷光。身内に対しては肝心なところで爪が甘い様子も変わっていないようで一夏は満面の笑みで、箒はクスクスと笑っている。
「あの……雷光さん。先程の」
「あぁ、そうだ! 親父さん! さっきの」
「「マドカって誰だ(ですか)!?」」
自分達が最後に会った時には居なかった千冬にそっくりな織斑マドカという存在を先程知り、その存在について詳しい話を聞こうとする一夏と箒。
雷光は顎に手を当てて、少し考える様な仕草をするとマドカに声をかける。
「マドカ、ちょっと来てくれ」
「はい、親父殿!」
クラスメイト達から遠巻きに見られていたマドカはすくっと立ち上がると雷光の横に近づく。
「一夏、箒、それにクラスメイト諸君。改めて紹介しよう」
雷光はマドカの頭に優しく手を置き撫でながら声を少しだけ上げて紹介する。
「彼女は織斑マドカ。織斑千冬の遠い親戚で私が保護した少女だ」
「彼女は家庭事情が複雑で最近まで人間不信だったのだ。出来ればみんな仲良くしてあげて欲しい」
そう言いながら頭を下げる雷光とその行動に驚愕の表情を浮かべるマドカ
「お、親父殿!? わ、私の為にそんな頭を下げるなど!」
「マドカの、家族の為だったらこんな俺の頭なんぞ幾らでも下げるさ」
マドカに向ける雷光の真剣な眼差しに一瞬だけ言葉を失うマドカだったがすぐに持ち直して反論する
「有難いですけど! そういうのは私自身でします! 貴方はそう簡単に頭を下げていい立場の人じゃないといい加減に自覚してください!!」
「いや、でもな……」
「でもも何もありません!!」
雷光の煮え切らない態度に腰に手を当ててプンスカと怒るマドカとその様子を見て苦笑する一夏と箒。そして漫才のようなやり取りに困惑するクラスメイト達。
何とか持ち直したのかマドカはクラスメイト達に向き直る
「あ~、まぁ、そんな訳で少しどころかかなり過保護な親と共に皆と過ごす織斑マドカだ。織斑先生やこっちの一夏とは遠い親戚に当たる。よろしくお願いいたします」
雷光に倣ったのか腰を45度曲げて頭を下げる綺麗なお辞儀を見せるマドカとそれに見惚れるクラスメイト達。
「こちらこそ、よろしく頼む。マドカ」
「おう! こっちこそよろしく」
箒はマドカに向けて手を向けて握手をし、一夏は何処か複雑そうな顔をしながらもマドカと挨拶を交わす。
そこにひょこひょこと1人の少女が近づいて来る。
雷光はそれを目ざとく発見し、マドカの肩をトントンと叩く
「マドカ……お前にお客さんだ」
「? 私に?」
「マ~ちゃん、私ともよろしく~!」
ダボダボの袖で手をブンブンと振り、マドカと握手をしている一夏の背後でピョンピョンと飛びながら自己主張する1人の少女。
彼女を見て、マドカは嬉しそうにその子の手を取る。
「本音じゃないか! お前もやはり来ていたんだな!」
「うん! マ~ちゃんがIS学園に来るなんて聞いてなかったからびっくりしたよ~」
本音とマドカは長年の親友のように嬉しそうに手を握りながら笑い合う。
2人のその様子を微笑みながら眺める雷光と本音の事を良く知らない一夏と箒は首を傾げる。
「あの親父さん、彼女は?」
「あぁ、本音か? 彼女は俺の所の仕事で繋がりのある家の使用人で、マドカに初めて出来た友達なんだ」
「へぇ、初めての友達がIS学園に……何か、凄い偶然だな」
「『全ての運命に偶然などない』」
「? 親父さん、何ですかそれ?」
「俺の友人が以前口にしていた言葉さ」
「すべての運命に偶然などない、ですか」
「そう、全ては偶然の様に見えて必然的な事だとアイツは言っていた」
「アイツと言うのは……」
箒が詳しい話を聞こうとした丁度のその時に、授業開始を知らせる鐘の音が響いた。
それを聞くと雷光は手をパンパンと叩いて生徒達に着席を促す。
「ほらほら、みんな。そろそろ席につかないと織斑先生に怒られるよ?」
今の一言が効いたのか、立っていた面々はすぐに自分の席について授業の準備を終わらせていた。
本音もマドカに対して名残惜しそうに視線を向けるとそのまま自分の席に戻っていった。
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「――と、この様にISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられる決まりが存在して――」
(ほほぅ、何とも分かりやすい。教え方が的確なのは凄いな、彼女)
真耶の丁寧なIS解説の授業を受けて、雷光は彼女に対する認識を再評価していた。
その時、雷光はふと気になって一夏の方を見ると少しだけ難しそうな顔をしていたが何とかついて行こうとノートに必死に書き写していた。
(一夏も別に問題は無さそうだな)
「ここまでで分からないところは有りますか? 雷光さん、織斑君」
一旦そこで説明を区切り、分からない所が有るかどうかの確認をする真耶。
一夏と雷光は瞬時にアイコンタクトを交わして口を開く
「私は今の所は、問題ありません」
「俺の方も、今の所はなんとか大丈夫です」
「そうですか! でも分からない所が出たりしたら遠慮なく言ってくださいね? 私は先生なので!」
真耶はそう言って胸を張り、授業の続きを始める。
千冬は一夏のその様子を少し意外そうに見つめていた。
キーンコーンカーンコーン
「あっ、終わりですね。それじゃあ続きは次の授業でします」
鐘の音を聞き、授業を終わらせた真耶は千冬と共に教室から退出していった。
2人を見送ると箒と一夏は雷光の元に一直線に向かってきた。
「一夏、お前はちゃんと専門書を読んでいたんだな?」
思い出したようにそう言う箒と同じく感心した様に頷く雷光。
そんな2人の態度に照れる様に頭を手で掻く一夏。
「勿論だぜ。だってさ、前もって親父さんにも言われてたし千冬姉にも迷惑かけたくなくてさ」
「念の為にって思って忠告の連絡をしておいて良かったよ」
「あはは、お手数をお掛けしました……」
「成程、そういう事だったのか」
雷光の気遣いとその結果を目の当たりにして頷く箒と一夏。
そんな三人に近づく一人の金髪少女
「ちょっとよろしくて?」
「ん?」
「む?」
「何かな?」
一夏、箒、雷光は三者三様の反応をしたが返事をされた相手の少女はその返答の仕方が不服だったのか顔に不快極まると書かれている様に見えた。
「まぁ! 何ですの、その返事の仕方は! このわたくしが声をかけているのですよ? もっと飛び上がる様に喜ぶなどは出来ないのですか?」
「はぁ? 何を言って居るのだ、貴様は」
「ごめん、俺は君が誰だか知らないからさ……」
そのあんまりな態度に思わず不快そうに口を尖らす箒と面倒臭い相手が来たと頭を掻きながら謝る一夏。
雷光は今だに口を開かず、様子を見ている。
「わたくしを知らない!? このIS学園の入試を首席で突破したわたくし「セシリア・オルコット」ッ!?」
「英国の代表候補生にして467機しか存在しないISの専用機【ブルー・ティアーズ】の操縦者にして英国の貴族令嬢。そんな君が私達に一体何の用かな?」
自己主張を始めようとしていたオルコットを名前を呼ぶことで止め、そのまま彼女に対しての詳しい説明を口にした雷光に一夏と箒は目を丸くし、そこまでの事を知られていたのに気を良くしたのか機嫌を持ち直すセシリア。
「あら? そちらの男性は弁えているようですわね」
「これから共に学ぶ者だ。名前や国を調べるのは《大人》として当然の礼儀さ」
「ふふん、良いでしょう。貴方は良く分かっていらっしゃいますわ」
「……で、一体何しに来たんですか?」
その怒りが湧く言い草にグッと堪える様に我慢して話を聞く一夏。
セシリアも本題を思い出したのか一夏に向き合い目的を話す。
「えぇ、ISを動かした男性がどの様な人物なのか見極めようと思ったのですが……1人は何も知らない子供でもう1人は礼儀『だけ』は弁えている男性だと分かりました」
「……俺の事は別にどう思われたって構わねぇけどな、お前は親父さんを馬鹿にしに来たのか?」
「一夏、相手がどんなに失礼で嫌だと思っても相手の内面を詳しく知るまでは決して態度には出すなと以前教えたよな?」
「そうだけど……でも」
「まぁ、お前のその真っすぐな感じは俺は好きだし分からなくもねぇが我慢してこそ漢だぞ」
「……分かったよ」
2人のやり取りに置いてきぼりを食らったセシリアは先程の機嫌がまたしても下がったのか不愉快そうに眉をひそめる。
「わたくしを無視して……先程の評価を覆させていただきますわね。貴方もどうやら礼儀がなっていないようですわ」
「すまないね、貴族と聞いていたから君を大人として礼儀を通そうと思ったのだが先程の言動から君はどうやらまだ子供だったようだからね」
「私を馬鹿にしていますの!?」
雷光の言い分に怒り心頭と言った具合に顔を真っ赤にし詰め寄ろうとするセシリア。
一夏もセシリアのその行動を止めようとしたが動く前に全てが決着していた。
「自惚れるなよ……英国かぶれ」
「ひっ!?」
先程まで本音とその友人達との会話をしていた筈のマドカが鬼の形相で一瞬でセシリアの喉元に手を突きつけ、睨みつけていた。
その動きは剣道全国大会優勝者である箒ですら目でギリギリ追えた程の速さだった。
「貴様如きが、親父殿の相手など100年速いッ!!」
「マドカ、止めなさい。相手はまだ子供だ」
「しかし親父殿!!」
「良いから、心配をかけた。すまないな」
そう言ってマドカの頭を撫でて止める様に促す雷光と渋々とそれに従うマドカ。
2人の様子は他のクラスメイト達にはそのシーンだけを見れば親子だと満場一致で言えたがその前の行動のせいで全員の心の中で一つの言葉が浮かび上がった
((((((((((親子って言うよりは、忠犬と飼い主?)))))))))))
「し、信じられませんわ! 何て野蛮何でしょう!? 極東の島国と言うのはここまで未開の地なのですか!?」
「いや、今の原因はどっちかって言うとオルコットさんじゃ」
「うむ……」
「むぐぅ!!」
マドカの行動と態度に信じられないとばかりにブツブツ言うセシリアだったが前後の行動が原因だと一夏と箒の両名から突っ込まれると自覚していたのか口をつぐむ。
「ほら、もう次の授業が始まるよ? 席に戻りなさい」
「はい」
「親父さん、また後で」
「雷光さん、また後程」
「っく! 後でまた来ますわ!! 絶対に逃げないでくださいね!!」
(逃げるも何も何処にも行かないんだがなぁ)
捨て台詞を吐きながら席に戻っていくセシリアに対して元気だなぁと思いながら次の授業の準備を始める雷光。しかし、その顔は先程よりは穏やかではなく、少しほんの少しだけ怒りが有る様に見えた。
授業開始の予鈴が鳴り、真耶ではなく千冬が教卓に上がり手に持った出席簿から一つの書類を取り出した。
「授業を開始する前に決めなければいけない事がある。再来週に開始されるクラス対抗戦に出場するクラス代表を決める」
千冬のその連絡を受け、一気にざわつき始める教室。
「クラス代表とはその名前の通り、このクラスの代表にしてクラス委員長といえる存在だな。クラス代表は対抗戦以外にも生徒会の会議への出席やクラス内での議長なども行って貰うになるとても重要な役職だ。これは自薦推薦は問わない。一度決まってしまったら一年間は変更が出来ない。それを心に諸君達で決めてくれ」
千冬のその発言で教室中が更に騒がしくざわつく、そして一人の生徒が勢い良く手を上げる
「はい! 織斑君が良いと思います!!」
「IS学園始まって以来初めての男性操縦者ですし!!」
「他のクラスには絶対に無い、このクラスだけのアイデンティティだよね!!」
「うんうん! みんなの注目の的、間違いなしだよ!!」
「えぇ!? 俺ぇ!?」
「五月蠅いぞ織斑。他には居ないのか? 居ないのだったらクラス代表は織斑になるが……」
「お、俺はそんなのやらない【バシィン!!】へぶぅ!?」
「自薦他薦は問わないと言った筈だぞ。推薦で選ばれたのだ、覚悟を決めろ織斑」
「い、いや、だけど―――」
「お待ちください! その様な選出は納得が出来ませんわ!!」
千冬がこれで決定させようとしたその時、甲高い声を上げ、机を思い切り叩きながら立ち上がったのは先程一夏達に突っかかったセシリアだった。
「大体、このクラスの代表を珍しいなどと言うくだらない理由で男如きにするなど良い恥さらしです!!! わたくしに! セシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえと言うのですか!?」
「セシリア・オルコット嬢。少し冷静になりなさい。織斑先生は自薦他薦は問わないと言っていただろう? 君は選ばれなかったのだから自薦という事で良いのではないか?」
「貴方は黙っていてくださいまし!」
ヒートアップしてきたセシリアを宥めようと雷光が優しく注意するが、その態度が気に入らないと更に食って掛かるセシリア。
そんな二人の様子を見ていた一夏と箒とマドカの3人はチラッと雷光の方を見ると、その顔は笑顔では有ったが普段とは何か違うと直感で理解できてしまった。
しかし、そんな雷光の様子に気が付かないセシリアはそのまま続ける。
「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは最早必然の事! それなのにただ物珍しさなどというくだらない物の為に極東の猿にされるなどお話しになりません! わたくしはISの技術の修練の為にわざわざこんな島国に来たのであって、サーカスに入団するために来たのではありません!!」
最早暴走列車と言わんばかりの言動に千冬達は頭が痛くなってきた様で溜息が出ていた。
そして言うまでもなく、IS学園が存在しているのは日本でありそこには日本人が入学している。
彼女達、日本人の生徒はセシリアの物言いに不愉快極まると言った感じで睨みつけているがまだ言い足りないのかセシリアは止まらない。
「大体、文化としても今だに亢進的なこの国で暮らすこと自体、わたくしには耐えがたい苦痛ーーー」
「英国だって大差ないだろ……世界一不味い料理で何年連続の覇者だよ?」
「馬鹿者が……」
「なっ!? あ、貴方! 今、わたくしの祖国を侮辱しましたわね!?」
「先に侮辱して来たのはそっちだろうが!!」
「そこまでにしろ、この馬鹿者共」
一触即発の空気を切り裂いたのはイラついた表情を浮かべたマドカだった。
その顔と雰囲気から千冬と同じオーラを感じ、2人は一気に口を閉じた。
「ここはIS学園だ。幼稚園じゃないんだよ、くだらない事で一々争うのだったら他所でやれ」
「あ、貴方ね! 言う事にかいて幼稚園ですって!?」
「何だ、自覚していなかったのか? お前の先程の言動などお前の立場から考えれば絶対に言えないからそれも理解できない幼稚園児だと思っていたよ」
「何を言って居ますの?」
マドカの言い分に何が言いたいのか理解できていないセシリアは睨みつけながらマドカに問いただす。
しかし、先程よりは少しだけ弱弱しいのはマドカの先程の行為を思い出した恐怖も有るのだろう。
「セシリア・オルコット。貴様は日本人を……この日本国を侮辱する差別発言を連発していた事に気が付いていないのか? 仮にも【国家代表】を目指す【国家代表候補生】の人間がしていい発言などでは無かったぞ? そして……ISを作った人間の祖国はこの国だ! まさか、そんな初歩的な事も理解できていないなどと戯言を言いはしないだろうな?」
「ッ!?」
自分のいままでの言動の問題点をマドカに的確に指摘されたセシリアはようやく気が付いたのか顔面を蒼ざめさせて周りを見渡す。
そこには日本出身の人物達からの鋭い視線が有り、いかに自分が愚かな発言をしてクラスの半数も敵に回したのか嫌と言うほど理解し、顔を俯かせる。
「貴様のその発言は日本と英国で戦争を引き起こす引き金になりうるのだぞ! それを理解しろ!!」
「お、おい、マドカ。もうそれ以上は……」
「……ですわ」
「なに?」
「決闘ですわ!!」
セシリアは先程までの蒼ざめた表情ではなく再び怒りに染まった形相でマドカと一夏に向けて宣言する。
マドカは「何を言って居るんだ、コイツ」といった表情で一夏は「え? この状態でそれ言うの?」と言った表情でそれぞれその宣言を受ける。
「なぜ私がそんな意味のない事をしなければならん。お断りだ」
「逃げるんですの!?」
「逃げるんじゃない、受ける気が無いと言っているんだ。貴様の勝負を受けて、私に何か得が有るのか?」
「ふん! 貴方、先程までの大見得を切っておいて負けるのが怖いんじゃないんですか?」
「なぜそんな思考に至るのか理解に苦しむな」
「お、お~い? 二人とも、一回クールダウンしようぜ?」
「ここで逃げるなど所詮、貴方はその程度の存在だったという事ですわ! 一体どの様に育ったらその様な存在になれるのやら興味が湧きますわね。何が仁義! 所詮はマフィアかぶれ!! まぁ、しかし貴方如きを育てた人ですから禄でもない人物なのでーーー」
その瞬間、この教室にいた全員は死んだ
否、この教室だけではなく
セシリアだけではない、一夏も箒も千冬も真耶も本音もマドカも全ての生徒、職員が息を止めた
その中でただ1人、ゆっくりと立ち上がりセシリアを見つめる。
しかし、その視線は冷たいなどという生易しい物ではなく、ただ真っ黒で何も映しては居なかった。
まるでブラックホールの様な深淵の深くに存在するような物だった。
「そこまでにしておけ、小娘。俺とて何度も無礼を働かれて許せる程慈悲深くは無いぞ?」
そこには……王がいた。地獄の王、閻魔などという曖昧な存在などではなくそれこそが地獄。
彼から放たれる気は最早
「貴様、この国に喧嘩を売るだけでは飽き足らずマドカに何とほざきやがった? あ”ぁ”!?」
「ひっ! わ、わた、わたくしは……」
「俺はな、自分が何と言われても別段気にしないんだが……身内を馬鹿にされたり、仁義を侮辱されたり、身内に手を出されたりするのは最も嫌うんだよ!! お前は今! 俺の組と家族を侮辱しやがったんだ!! マフィアみたいな金さえ払えば何でもする外道共と極道を同一にしやがった!!」
そこには最早、先程までの優しかった雷光の存在は無く有るのは【日本最凶の極道 真木組 会長】としての真木雷光が在った。
「貴様の先程の戯言、俺も付き合ってやる」
「お、親父殿……」
「マドカを侮辱した事、そして我が誇るである仁義と我が家族である組を侮辱した事を後悔させてやろう」
「あ、あぁぁぁぁ」
セシリアは最早目の前の存在の恐ろしさに両手で自身を抱きしめて震えるしか出来なかった。
その様子を見て、興が削がれたと言わんばかりに王気を収め静かに席に着く雷光。
それによって他の生徒達、そして千冬達教師もようやく息を吸い込めるようになった。
「お、親父さん……」
「一夏、放課後に剣道場に来い。鍛えてやる」
「は、はい!!」
「みんな、済まなかった。私としたことが我を忘れてしまった」
全員の呼吸が落ち着いたのを見計らって雷光は頭を下げる
その様子を戸惑ったように見る生徒達の気配を察したのか千冬が手を叩き注意を向けさせる
「まぁ、色々と有ったが一週間後にクラス代表を決める為にアリーナで決闘をしてもらう。メンバーは織斑、オルコット、マドカ、そして真木だ。異論は無いな?」
千冬の宣言に教室の面々は沈黙を持って肯定の意を示す。
それを見届けると千冬は気を取り直す様に力強く宣言する
「では、授業を開始する!!」
いやもう、本当に申し訳ないです。
セシリアがここまで言う予定は本当は無かったんですよ。
軽めのジャブと、適当に組と仁義を侮辱して雷光にブチ切れさせる予定だったのに本気の口撃と本気の侮辱でブチ切れどころかマジ切れさせちゃいました
まぁこんな感じに真木雷光は自分の仁義や家族、組などを侮辱されると烈火のごとく怒ります。しかし、良く覚えておいてください。
彼は何もしなければただの世話好きなお父さんです。後彼は身内に物凄く甘いです。
つまり、今後彼女達に危険が迫ったらどうなるか……
その辺りも期待してお待ちください。