最凶の組のIS操縦士 ~家族の絆で空を行く~   作:木原@ウィング

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ちょっと真木組の資金稼ぎが色々と悩みましたが色々な極道系の作品で書いてあった方法なのでこれで良いのか不安ですが、その辺りは特に気にしないで読んでください。


密会の時の相手の顔は大体怪しい

「……そう、とても厄介な事になったわね」

 

 

雷光の怒りが爆発した日、某国に存在するホテルの一室。

そこでは金髪の女性が耳に携帯を当てて片手にカクテルを持ち、電話の相手と通話していた。

 

 

『あぁ、お前の所が送り込んだ斥候からの情報だと【鬼神】がIS学園に入り込んだ』

 

 

「それは私も先程報告を受けましたわ。予想外でしたが……」

 

 

『【鬼神】は何が有っても組から離れないと思っていたのだがな』

 

 

「それ程、織斑一夏と篠ノ之箒が狙われる事を恐れたのでしょう」

 

 

何かに思いを馳せるかの様に金髪の女性は片方の腕を愛おしそうに触りながらそう吐き捨てる。

電話の相手は雷光の事を忌々しく思っているのかとても刺々しい様子だ。

 

 

『それで? 【例の計画】は何時、実行に移すんだ?』

 

 

「そうですね……私達がIS学園に怪しまれること無く入り込めるのは、学年別トーナメントの来賓としてでしょう」

 

 

『成程、そこで『種』が芽吹くのだな?』

 

 

「えぇ、何て言ったってあの国は暗い事しかありませんので私達の身代わりになって貰いましょう」

 

 

2人の怪しい密会は夜がふけるまで続けられた。

 

 

 

ーーーーーーーーーー      ----------

 

 

「親父さん、どうするんですか?」

 

 

「何がだ?」

 

 

「いや、何がじゃないでしょ……」

 

 

セシリアからの宣戦布告を受けた日の昼、一夏達は食堂で各々の注文した品をつつきながら話をしている。

ちなみに、一夏は唐揚げ定食で箒はサバの味噌煮定食、マドカは蕎麦、雷光はきつね蕎麦を食していた。

 

 

「売り言葉に買い言葉で乗っちまった俺も俺だったけど……」

 

 

「所詮はまだ餓鬼だったって事だろ?」

 

 

「マドカの言う通りだ」

 

 

「箒にマドカ……お前ら何でそんな息ピッタリなの?」

 

 

「姉妹みたいに仲良いな、お前ら」

 

 

2人のあんまりな言い草に苦笑いする雷光と一夏。

しかし、マドカと箒は当然と言わんばかりにそっぽを向く。

 

 

「しかし……親父殿を侮辱した事に怒ってくれたのは、あ、ありがとう//」

 

 

(((か、可愛い)))

 

 

少しだけ顔を赤くしながら最後の方は物凄く小さい声で言われたが3人の耳にはしっかりと聞こえていた。

4人の特別な雰囲気に周りの生徒達は声をかけようとしては断念している様子を尻目にとある人物たちが突貫してくる。

 

 

「マ~ちゃん! 私達も一緒にご飯食べて良い?」

 

 

「む? 本音か。勿論だ、こっちに来ると良い」

 

 

「やった~! ほら、かんちゃんも!」

 

 

「お、お邪魔します」

 

 

本音の背後からおずおずと顔を出したのは水色の髪の眼鏡を掛けた、内気そうな少女で彼女の顔を見た瞬間、雷光とマドカは目を見開いた。

 

 

「お、お前……もしかして」

 

 

「君は……まさか」

 

 

「「簪か!?」」

 

 

「お久しぶりです。雷光さん、マドカ」

 

 

2人の反応が可笑しかったのかクスクスと笑いながら返事をする簪。

その反応が見たかったとでも言いたいのかゆるゆるな顔をした本音。

 

 

「雷光さん、彼女は?」

 

 

「あぁ、彼女は更識簪と言ってな。俺の組の仕事仲間兼幼馴染の娘だ」

 

 

「更識簪です。よろしくね」

 

 

「俺は織斑一夏。よろしく」

 

 

「私は篠ノ之箒だ、よろしく頼む」

 

 

互いの自己紹介を終えると本音と簪はトレーを机に置き雷光の横に座る。

ちなみに簪は讃岐うどんで本音はサンドイッチである。

 

 

「雷光さん、聞きましたよ。お母さんが色々としたみたいで」

 

 

「あぁ、都紀の奴に言いくるめられた。アイツの交渉術は相変わらずで安心したよ」

 

 

「お母さんらしいなぁ」

 

 

雷光は溜息をついていたが簪とマドカ、本音はその時の2人の会話が想像出来たのか可笑しそうに笑い合っていた。

そんな3人の様子を少しだけ羨ましそうに見る一夏と箒。

彼等は少なくともマドカよりは長い間、雷光にお世話になっている。そんな自分達が知らない雷光の姿を知っている3人に少なからず嫉妬してしまっているのである。

 

 

「親父さん、俺達を除け者にしないでくれ」

 

 

「あぁ、すまんすまん。簪とも久し振りに会ったからな。つい長話してしまったよ」

 

 

「何だ、一夏。焼きもちか?

 

 

なっ!? そ、そんなんじゃねぇよ!!

 

 

「おりむ~顔が赤いよ~?」

 

 

「の、のほほんさんまで!?」

 

 

一夏のあからさまな焼きもちに意地悪な笑みを浮かべ揶揄うマドカとそれに対してムキになってドツボに嵌る一夏。

その姿はまさしく兄妹の様に見えた。

箒は焼きもちを焼いているのがバレない様にそれとなく注意を促す。

 

 

「全く、みんな。食事を早く取らなければ午後の授業に響くぞ?」

 

 

「あっヤベェ!! 確か午後の一発目って千冬姉の授業だろ!?」

 

 

「それは不味いな。急いで食べてしまおう」

 

 

箒からの忠告を受けて1組の面々は急いで食事を再開する。

そんな中、1人だけ席を立つ雷光。

 

 

「あれ? 親父さん、もう良いんですか?」

 

 

「あぁ、喰い終わった。それと、俺は次の授業は野暮用で受けられん。千冬にそう伝えておいてくれ」

 

 

「分かりました、雷光さん」

 

 

「親父殿、私も……」

 

 

「いや、お前は教室で授業を受けておけ」

 

 

ついて行こうとしたマドカに釘を刺し、雷光は食い終わった食器を返却口に置きそのまま何処かへと歩いて行った。

 

 

「親父さん、何の用事なんだろうな?」

 

 

「さぁ、あの人の組に関することじゃないのか?」

 

 

「それだったら私も行きたかった」

 

 

「マ~ちゃんって本当に雷光さんが大好きだよねぇ」

 

 

「確かに……」

 

 

1組の先程の騒ぎの前から薄々察していたマドカの忠犬振りに脱力する一夏と箒。

本音に関してはそんなマドカが愛らしいのかにやけ顔が凄まじい事になっている。

 

 

「それはそうだ。あの人は私の全てだ

 

 

食事を終えてマドカは真剣な顔で全員に向き直る。

その様子は周りで聞き耳を傾けていた1組の生徒だけでなく千冬に似た生徒が入ったと風の噂で聞き、一目その姿を見ようと集まっていた他の組や上級生達などの他の生徒達も分かったのか、食堂にいる全員が食事の手を止めマドカの話に耳を傾ける。

 

 

いや違うな、訂正させてくれ。あの人とあの人の組は、私の全てだ

 

 

生まれてから一度も生きる目的も見つけられずに、人としてではなく、ただただ道具として扱われていた私に……

 

 

温かい手で包み込んでくれて、温かい言葉をかけてくれた

 

 

心を無くし、他人を信じられず、自分の強さしか信じられていなかった私に……

 

 

温かい心をくれた人……道具ではなく、人として、生きる道を教えてくれた人達ッ、だからッ

 

 

最後の方はそれまでの自分の過去を思い出していたのかうっすらと涙が浮かんでいたがその顔はとても凛々しく美しかった。

マドカのその顔を食堂にいた全員が見て、そんな同じような感想を抱いていた。

本音はそんなマドカが誇らしいのか抱き寄せて頭を優しく撫でている。

 

 

「うん、うん!! ま~ちゃんは人間だし、私の自慢の友達だからね」

 

 

「いや違う。それは違うぜ、のほほんさん」

 

 

一夏は本音のその発言に待ったを掛けた。

それを受けた本音は不思議そうに眉をひそめる。

 

 

「それを言うんだったら……『俺達の自慢の友達』だ」

 

 

「っふ、あぁその通りだな」

 

 

「うん……本音だけの友達じゃない、から」

 

 

「かんちゃん……おりむ~、しののん」

 

 

「ふふっ、お前ら全員。最高の友だよ」

 

 

目に貯まっていた涙を拭いマドカも全員に笑顔を向ける。

その笑顔を見て思わず顔を赤くして再び本音たちに弄られることになるのは必然だった……

ちなみに、この様子を見ていた全ての生徒は後に結成される「マドカを暖かく見守る親衛隊」と呼ばれる組織に入ったと言う……

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー        ----------

「こうしてお会いするのは初めてですね。学園長、轡木 十蔵」

 

 

「えぇ、お噂はかねがね更識君から聞いているよ。真木 雷光さん」

 

 

一夏達の友情が深まっている時、雷光は十蔵学園長と対面していた。

その顔は真木組会長としての裏の世界の頂点としての顔で、十蔵学園長も魑魅魍魎が蠢くISの世界の教育機関トップとして対面していた。

 

 

「今、この場に来たと言う事は……とても重要な内容だと思うのですが」

 

 

「えぇ、そうですね」

 

 

雷光はそう言って用意してあった複数の書類を手渡しで十蔵に渡す。

十蔵も確かに受け取ったと頷きながらその書類に目を通し始める。

 

 

「以前連絡した通り、それが織斑一夏、並びに篠ノ之箒を狙う組織のリストだ」

 

 

「現状だけでもこれだけ存在しているのですね」

 

 

苦虫を噛み潰したように呻く十蔵と忌々しそうに頷く雷光。

 

 

「護衛として俺が一夏に、マドカを箒に当てるつもりではいるが……」

 

 

「何か気になる事でも?」

 

 

「……この学園に不審な人物が紛れ込んでいる可能性が有る」

 

 

まるで確信が有るかの様にそう宣言する雷光と心当たりが有るのか神妙に頷く十蔵。

十蔵のその反応に胃が良そうな反応を示す雷光。

 

 

「意外だな。驚かないんだな」

 

 

「ここは国家間の干渉は受けませんがだからと言って産業スパイなどが入り込まないとは言えませんからね」

 

 

「だが、その言い方からすると大方の目星は付いていると言った所か」

 

 

「えぇ……現状で怪しいのは米国、そして与する可能性が有るのはギリシャの代表候補生ですね」

 

 

「やはり米国か」

 

 

「おや、そちらも知っていたのですか?」

 

 

「最近、俺の組の島で薬物を売りさばいてる連中をとっ捕まえた」

 

 

「……確か、貴方の組では薬物などは」

 

 

「禁止どころか手を出したら粛清待ったなしだ」

 

 

「それを知らない外部の犯行……と言う訳ですか」

 

 

「あぁ、アジトを突き止めて構成員を全員取っ捕まえて調べあげたら全員が米国のスパイだったよ……」

 

 

「大方、貴方達の組のイメージダウンさせ結束を脆くしようとしたのでしょうね」

 

 

今時の極道にしてはとても珍しい体制に意外そうな顔をする十蔵とそんな反応をくっくっくと笑う雷光。

雷光としてはこんなやり取りはお約束の様な物で、彼は毎回このような反応を見るのが楽しみなのである。

 

 

「意外だろう? 今時の組織にしては」

 

 

「はい。しかし、薬物などに手を出していないとなるとどの様に資金を?」

 

 

「簡単だ。弱きを助け、強きを挫くのが侠客だ。俺の組は古くからの侠客で極道。少しのみかじめ料と飲食業、賭博やその他は土木建設なんかも有るし、後はそうだな……」

 

 

そこで雷光は溜める様にしてじらし、笑いながら言う。

 

 

仕事をしないで弱者達から金を毟り取り、天下りで甘い汁を貪り、他者の足を引っ張り、金を盗むだけの堕落した悪徳な政治家(やつら)から金を毟り取るのさ

 

 

「成程……そこは腐ってもと言った感じですか」

 

 

綺麗事だけじゃ世は渡れねぇ。だが、人の道を外れたらそれはもう終いだ

 

 

「人の道、ですか」

 

 

「笑いたきゃ笑え。こんな考えの奴が最凶の組と恐れられてる奴等の長だ」

 

 

「笑いませんよ。貴方の島での人達からの評判を聞けば、ね?」

 

 

「おいおい、まさかわざわざ行ったのか?」

 

 

「それは行きますよ……今後、仲良くする相手ですからね。情報収集は基本です」

 

 

十蔵は真木組の仕事先、地域住民などに休暇などの時に足を運び詳しい話を聞いていた。

すると、聞き込みをした全員が真木組が行う治安維持や仕事の斡旋などに感謝などを話しており雷光の信頼を裏付けていた。

 

 

「全く……貴方、良く喰えないとか悪戯好きって言われて無いか?」

 

 

「えぇ、織斑先生や更識君に似たような事を言われていますね」

 

 

「だろうな……」

 

可笑しそうに笑う十蔵と疲れた様に呆れる雷光と先程とは逆の構図になったが仕切り直すかのように雷光は真剣な表情に戻る。

 

 

「それで? 米国の代表候補生に注意を向けるか?」

 

 

「いえ、それだとバレるの可能性が有ります。現状は私が見張るので貴方は織斑君の護衛にだけ集中してください」

 

 

「了解した」

 

 

「それと……先程の様な事はなるべくしないようにしてもらえませんか?」

 

 

少し口を尖らせて注意する十蔵と何となく言いたいことが分かる雷光は苦笑いしながら首を横に振る。

 

 

「すまんが……身内を馬鹿にされるとどうしても抑えられなくてな。まだまだ俺も未熟だよ」

 

 

「その想いは確かに大事ですが……突然の殺気には生徒達が怯えてしまいます」

 

 

「申し訳ない。今後はなるべく抑えられるようにするさ」

 

 

「えぇ、お願いしますね。本当に」

 

 

それだけ言うと2人はお辞儀をし、雷光は退室する。

しばらく、十蔵は雷光たちによって起こる様々な出来事を予想し、面白すに笑みを浮かべるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーー      ----------

 

「では……双方、準備はよろしいでしょうか?」

 

 

「あぁ、何時でも大丈夫だ」

 

 

「私も大丈夫です」

 

 

雷光と十蔵の会合が終わった放課後、一夏と箒、そして雷光とマドカは剣道場にいた。

現在は一夏と箒が防具をして向かい合っており真ん中に剣道部の部長が審判として立っている。

マドカと雷光はそれぞれ壁を背に2人の構えを見つめていた。

 

 

「親父殿……どちらが勝つと思いますか?」

 

 

「他のギャラリーは箒が勝つと思っているだろう。何て言ったってアイツは全国大会優勝者だ」

 

 

「他のギャラリーは、ですか。つまり親父殿は……」

 

 

「俺は一夏だと思うね」

 

 

「では私は箒が勝つと予想します」

 

 

「おっ、だったら賭けでもするか? 負けた方が今日の夕飯のデザートを奢るって奴」

 

 

「親父殿……年を考えてください。子供じゃ無いんですから」

 

 

「良いじゃねぇかよ、組の若い奴らは何時もやってるじゃねぇか」

 

 

「そうですが……はぁ、まぁ良いでしょう」

 

 

雷光の面白い事を考え付いたと言わんばかりの笑顔に飽きれるマドカだったが結局はその申し出を受け入れる辺りマドカも興味はあったようだ。

 

 

「それでは……はじめ!!」

 

 

「ハァ!!」

 

 

審判の号令と同時に一夏が箒に向かって踏み込み竹刀を振り下ろすが箒もそれを読んでいたのか慌てることなく竹刀で受け止めるがその力強さに少し体が硬直する

 

 

「この重さ……鍛錬は怠っていなかったようだな」

 

 

「当然だ! いつまでも親父さんにおんぶにだっこじゃ申し訳ねぇしな!!」

 

 

「それは同感、だっ!!」

 

 

一夏の竹刀を押し返し、そのまま返す刀で一夏の胴体目がけて横なぎに振る箒。

それを一歩後ろに下がることで回避し仕切り直しと言う様に再び構え直す。

 

 

「ったく、相変わらず攻めにくいな」

 

 

「そちらこそ……以前より重く速くなっているな」

 

 

(だけど、前に戦った時よりも隙が無い……流石は剣道全国大会優勝者って所か)

 

 

(一夏、力の使い方が前よりも洗礼されている。雷光さんに教わったのか?)

 

 

「箒、次の一手で決着をつける。お前の本気を俺に見せてくれ」

 

 

「一夏……あぁ! 私も全力を出してお前を打ち倒そう!」

 

 

2人は互いに頷き、それぞれが自分の奥の手を出す為の構えを取る。

一夏は目を瞑り、竹刀を両手で持ち天高く掲げ。箒は竹刀を腰に当てかがみ、居合の構えをする。

 

 

「我流……」

 

 

「篠ノ之流、奥義……」

 

 

大神快(だいしんかい)!!」

 

 

桜花(おうか)!!」

 

 

パァン!!と空気が割れる様な音が鳴り響き、その勢いにギャラリーの面々が息を飲んだ。

あまりの攻防に付いて行けなかったが今の音で決着が着いたと分かったのか、どちらが勝ったのかざわざわと騒ぎ出し審判に視線を送る。

その視線を一身に受けた審判は、暫く考えると声を上げた。

 

 

「この勝負、引き分けとする!!」

 

 

「「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」」」」」」

 

 

「賭けは無効だな」

 

 

「その様ですね……」

 

 

2人の健闘を称える様に雷光とマドカは拍手を送り、それに釣られるように剣道部の面々やギャラリーの生徒達も惜しみない拍手を送った。

 

 

「参ったな……今度こそ勝てたと思ったんだけどな」

 

 

「それは私も同じさ……あそこでもっと速く踏み込んでいれば勝てたかも知れないのに。……全く、私もまだまだ精進が足りないな」

 

 

決着がつき、地面に座り込んでいた箒に向けて手を指し伸べ立ち上がらせる一夏。

その手を取っていい試合が出来たと満足そうに今回の試合の反省点を口にする箒。

 

「よしっ! それじゃあ一夏。お前、今度はマドカとやってみろ」

 

 

「え!? マドカと?」

 

 

「おう! コイツは強いぞ。何て言ったって剣を持たせれば組一番の腕だ」

 

 

「何を言うかと思えば……剣の腕の組一番など親父殿だろうに」

 

 

「まぁ、俺は入れないとすればって事だよ。って訳でやってみろよ」

 

 

「それは有難い……何事も経験を積まないと意味がないからな」

 

 

一夏はそう言うと再び防具を付け、構えを取る。

マドカもすぐに防具を付けお互いにお辞儀をして準備をする

 

 

「それでは……はじめ!!」

 

 

パァン!!

 

 

開始の合図と同時に一夏の竹刀がマドカの竹刀に叩きつけられた

しかし、マドカは一歩も動く事無く受け止め逆に押し始めていた。

その光景に先程まで一夏と戦い力量を良く分かっている箒ですら目を見開いて驚愕した

 

 

「一夏のあの重い一撃を受けて微動だにしない、だと!?」

 

 

「一夏の剣は重さはあるがマドカは体の重心を全て一つの場所に集中させてそれを上回る力で受け止めたんだよ。体の余分な力を可能な限り削ぎ落してその分を自分の望む場所に分けた」

 

 

「だから、一歩も動かずに受け止められた、と言う事ですか?」

 

 

「そうだ。まぁ、そのコツを教えたのは俺だがまさかあそこまで出来るとは思わなかったよ」

 

 

子供の成長って言うのは随分と速い物だよなぁと感傷深く思う雷光を他所に今度はマドカが攻勢に打って出ていた。

マドカの剣は箒の剣よりも少し速く一夏も追いつくことで精いっぱいだった。

 

 

「どうした、段々と遅くなっているぞ! もっと打ち込んで来い!!」

 

 

「っく! んな事を言ったって!!」

 

 

「貰った!!」

 

 

「っしま!!」

 

 

バシン!!と一夏の一瞬の隙を付き、マドカの一撃が一夏の面に突き刺さった。

 

 

「そこまで! 勝者! 織斑マドカ!!」

 

 

審判の宣言を受け、再びギャラリーと剣道部の面々からの拍手が鳴り響く。

防具を取り一息ついたマドカは頭を抑えながら地面に座り込む一夏に手を差し伸べる。

 

 

「お疲れ様。まぁまぁ、悪くは無い腕だったぞ」

 

 

「圧倒されてたけどな……やっぱり、親父さんの言った通り強いなぁ」

 

 

「当然だ。私はまだ負ける訳には行かないさ」

 

 

「次は俺が勝つからな」

 

 

「ふふっ、あぁ。期待しているぞ、一夏」

 

 

再戦の約束をして笑い合う一夏とマドカ。

そんな2人を放棄も羨まし気に見つめ、雷光も今後が楽しみだと言わんばかりに笑っている。

 

 

「さて、それじゃあ今度は俺が相手になってやる。ほら、箒。それに一夏とマドカも、ドンドン撃ち込んで来い!!」

 

 

「親父さんが相手かよ!! 結構今、疲れてて厳しいんだけど……」

 

 

「雷光さん……相手にとって不足なし! いざ!!」

 

 

「今日こそ、親父殿から一本取ってみせましょう!!」

 

 

「2人がこれだし……仕方がねぇ、やるか!!」

 

 

「さぁ、来い!!」

 

 

「それでは双方!! 準備はよろしいですね!?」

 

 

「「「「いざ、尋常に!!」」」」

 

 

「「「「勝負!!」」」」

 

 

 

まさかの3対1という変則的な試合になったがギャラリー達や一夏達は時間も忘れ、この試合に熱中していた。

寮の門限時間ギリギリまでこの熱戦は続き、片付けなどで遅れた一夏達は寮監の千冬にこっぴどく叱られたという……

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