最凶の組のIS操縦士 ~家族の絆で空を行く~   作:木原@ウィング

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今回の話、滅茶苦茶スランプに陥って何度も書き直しました。

稀に見るレベルでスランプになって「こうれもう、駄目だな? 作品消そうかな」って諦めかけてました。


でも、こんな作品でも待っていてくれている人が居るかもしれないと思って何とか描き切って投稿しました。


こんな作品ですが楽しんでいただけたら嬉しいです。


取材を受けて彼は自分の決まりを宣言する

「では! 1年1組のクラス代表は織斑君に決定です!! あっ、1繋がりで縁起が良いですね!」

 

 

クラス代表決定戦の激闘から次の日、朝のHRで行われた発表に愕然とする一夏。

そんな一夏にお構いなしと言わんばかりにやんややんやと騒ぐクラスメイト達。

 

 

「あ、あの山田先生。質問良いですか?」

 

 

「はい、なんですか? 織斑君」

 

 

「確か俺は負けた筈なんですけど、何故に俺がクラス代表なんですか?」

 

 

「それは「私とマドカさんが辞退したからですわ!!」」

 

 

真耶が説明しようとした時、大きな声を上げてそれを遮ったのはセシリアだった。

遮られた真耶は涙目であうあうと情けなく呻いている。

 

 

「何で2人と辞退なんて……」

 

 

「簡単だ。私は自分の仕事柄、クラスの方までは忙しくて出来ない」

 

 

「私も今までの行動を思い返して相応しくないと思ったので辞退したのですわ」

 

 

そこで一呼吸置くと、セシリアはその場で教室の全生徒に向けて頭を下げた。

 

 

「この度は皆さまの母国、並びに皆様に対する数々の聞くに堪えない侮辱。大変、申し訳ございませんでした」

 

 

「セシリーはちゃんと反省したんでしょ? だったらそれで良いじゃん~」

 

 

「そうそう、本音の言う通り」

 

 

「これからよろしくね、セシリア!!」

 

 

本音の一言を皮切りに続々とセシリアに対して温かい言葉がかけられる。

セシリアは目元に涙が貯まり、零れそうになるがそれを拭って再びお辞儀して着席する。

 

 

「では、この後の授業だが各々着替えてグラウンドに集合だ」

 

 

「それじゃあ、行くぞ一夏」

 

 

「ちょ!? 待ってくれよ、親父さん」

 

 

千冬から本日の予定を告げられた雷光はさっさと着替えを持って足早に教室から出ていく。

その後を慌てて追いかける一夏とそれを見送るマドカと箒。セシリアも気になったのか顔を向けていた。

 

 

――――――――――        ----------

 

 

「では、これよりISを使った実践的な飛行訓練を行う。織斑、オルコット、マドカ、試しに飛んでみろ」

 

 

「え? あの……織斑先生? 真木さんは」

 

 

「……真木は現在、事情が有り専用機を使えない。良いから、さっさと展開しろ!!」

 

 

一夏からの質問に苛立つ様に言い放ちISをすぐに展開するように指示を出す千冬。

それを受けて慌ててISを展開する一夏とセシリア。マドカは最初の段階で既に展開を終わらせていた。

 

 

「展開したな? では、飛べ!!」

 

 

千冬のその一声でまずはマドカが飛び、それに続くようにセシリア、最後に一夏が飛び立つが千冬は不満なのかマイクに向かって苛立った様に口にする

 

 

『何をしている! スペック上だったらその三機の中で白式が一番だぞ!?』

 

 

「そんな事言ったってなぁ……ISを付けて空を飛ぶなんてまだ2回ぐらいしか無いのにどうやって飛べば良いんだよ」

 

 

「一夏さん、説明しても構いませんが反重力翼と流動波干渉の話になりますわよ?」

 

 

「難しく考えるな。こんな物は所詮イメージだ。ちなみに私はウルトラマンが空を飛ぶのをイメージしている」

 

 

「まさかの特撮!? マドカってそっちも行けるのか!?」

 

 

「簪から薦められて見てみたら面白くてな。お気に入りはウルトラセブンだ」

 

 

「何ですの? そのウルトラマンというのは?」

 

 

「セシリア貴様! ウルトラマンを知らないのか!? 貴様、人生の半分は損をしているぞ!!」

 

 

「そ、そこまでですの!?」

 

 

「後で私の持っているBlu-rayBOXを貸してやるから見てみろ! 人生観が変わるぞ」

 

 

『くだらない事を話していないで集中しろ馬鹿者共!!』

 

 

一夏の苦言から始まったアドバイスはいつの間にかマドカによる特撮を熱く薦める場にジョブチェンジしておりそれを見かねた千冬からの怒声を受けて三人は気を取り直して空中で停止する。

 

 

「うわぁ……千冬姉の怒った顔がこんなに離れてるのにくっきり見えるぞ」

 

 

「ちなみに、これでも機能制限がかかっているんでしてよ」

 

 

「えっ!? これでも!?」

 

 

「当然だ、本来のISは宇宙空間での稼動を想定した物。何万キロと離れた星の光で自分の位置を把握する為にこの程度の距離は見えて当たり前だ」

 

 

「ほえ~、本当に凄い発明だな。ISって」

 

 

「織斑、オルコット、マドカ、順番に急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から10cmだ」

 

 

「では、まずは私から行きますわ」

 

 

「では次は私だ」

 

 

「お、俺が最後かよ」

 

 

セシリア、マドカ、一夏の順番に千冬から指示された内容を実行するために並び直す。

最後になった一夏は緊張しているがマドカとセシリアはそれを見越して自分達が先になっていた。

 

 

「良いか一夏。まずは私達が手本を見せる。お前は落ち着いてやれば出来るからしっかり見ていろ」

 

 

「あ、あぁ。分かったよ」

 

 

「では、お先に失礼します」

 

 

その言葉の後、セシリアは凄まじい速度で地面に向けて加速しドンドンと小さくなっていく姿を一夏は真剣に見つめていた。

 

 

「10cmジャスト……流石だな」

 

 

「お褒めに預かり光栄です」

 

 

「では次はマドカだ。やれ」

 

 

「了解した」

 

 

マドカは少しだけ笑い、セシリアと同じように加速し地面ギリギリでブースターを逆噴射させて着地する。

 

 

「同じく10cmジャスト……手を抜くなと言いたいところだが織斑の為か」

 

 

「手本を見せなければ出来る物も出来ないからな」

 

 

「今回は多めに見よう。では最後に織斑、やれ!」

 

 

「お、おう!!」

 

 

セシリアとマドカのお手本を思い出しながら一夏は白式のスラスターを全力で吹かす

その瞬間、試合の時と同じくらいの凄まじいスピードで地面に向かってグングンと進む。

 

 

「……ここで!」

 

 

ある程度すすんだ瞬間、一夏はスラスターの逆噴射を想像してシステムに指示を出すが、何故かスラスターは更に加速してしまい一夏は地面に物凄いスピードで突撃し、土埃を巻き上げてとても大きなクレーターを作ってしまった。

 

 

「誰が地面に突撃しろと言った?」

 

 

「い、いや違うんだよ!  頭でスラスターに逆噴射をしろって考えてたのに何かスピードが上がっちゃったんだって」

 

 

「初歩的なミスだな。試合の時の感覚と見た感じにしようとした結果だな」

 

 

「今後の課題だ。取りあえず授業後に織斑はこの穴を埋めておけ」

 

 

「俺一人で!?」

 

 

「当然だ、それともなにか? お前の尻拭いに他の生徒の手を煩わせる気か?」

 

 

「いえ……謹んで一人でやらせて頂きます」

 

 

千冬に睨みつけられ、肩を落として頷く一夏。

雷光はその二人の様子に溜息を吐きながらも苦笑いだった。

 

 

「次は武装の展開だ。織斑、雪片弐型を出してみろ」

 

 

「わ、分かった」

 

 

一夏は頭の中で雪片弐型を思い浮かべると右手に一瞬で出現する。

その速度を見て千冬は感心するように息を吐くがすぐにいつもの様に指摘する。

 

 

「速度も速いな。その調子で精進しろ」

 

 

「はい!」

 

 

「では次はオルコット。お前の番だ」

 

 

「はいっ!」

 

 

セシリアは右手を前方に水平に伸ばしスターライトmarkⅢを呼び出す。

その姿は洗礼されており歴戦の戦士のそれだった。

 

 

「以前見た癖は直っているようだな?」

 

 

「はい、厳しい指導を受けて治せましたわ」

 

 

「それで良い。戦いの場であのような姿をさらせば一瞬で勝負をつけられるからな。最後にマドカ」

 

 

「これで良いか?」

 

 

マドカは千冬に名前を呼ばれた瞬間には既に浅打と捩花の両方を左右の手に展開を終えていた。

その速度に一夏を始めとしたクラスメイト達はざわつく。

 

 

「……まだ展開しろとは言って居ないんだが?」

 

 

「今回の授業は速度を見せる物だと思っていたんだが?」

 

 

「私が指示してからにしろ……何時まで騒いでいる! 熟練者だったら普通の速度だ! お前達もこれくらいの速度を目指せ!!」

 

 

マドカの発言に頭が痛いのか手で頭を抑え注意を促し、今だに騒ぐ生徒達は千冬の一喝を受けて直ぐに静まった。

静まり返るのと同時に授業終了のチャイムが鳴り響く

 

 

「時間だな……これで今日の授業を終了する。織斑、お前はさっき言った通りにその穴を埋めておけ」

 

 

「はい……」

 

 

「では、解散!!」

 

 

「「「「「「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」」」」」

 

 

千冬の号令を受けて生徒達は頭を下げて挨拶を終え、そのまま喋りながら校舎に帰って行った。

一夏はその面々の背中を見つめながら溜息をついて倉庫にあるスコップを手に穴を埋める作業を始める。

 

 

「あぁ~失敗した。初っ端から幸先悪いなぁ」

 

 

「何言ってんだ。失敗したからこそ今度からは同じ轍は踏まないだろ?」

 

 

「そうだけどさぁ、親父さん。あの穴を埋めるって……って、親父さん!?」

 

 

「何驚いてんだよ? あんな穴を埋める作業を1人でやらせる訳ねぇだろ?」

 

 

「全くですわ。私達、そんなに白状に見えます?」

 

 

「一夏め、幼馴染を放って戻る訳が無いだろうに……」

 

 

「その鈍感さだけは真似できんな」

 

 

「箒にセシリア、マドカまで……」

 

 

いつの間にか雷光の横にはセシリア、箒、マドカの3人も集まっておりその全員が一夏を手伝う気満々と言った様子でスコップを掴んでいた。

そのまま全員で一夏の開けた穴を埋め始めるが暫くして箒は少し遠慮気味に口を開く。

 

 

「あぁ~えっと、一夏? 勘違いをして欲しくないから言って置くが別にクラスメイトの奴等が白状という訳じゃ無いんだぞ?」

 

 

「分かってるよ。皆だって忙しいんだろ?」 

 

 

「あぁ、彼女たちは彼女達で色々と準備が有るからな」

 

 

「準備? 一体何の?」

 

 

「それは……」

 

 

「ストップですわ、箒さん。そしてお父様。それはまだシークレットです」

 

 

「おっと、すまんな」

 

 

一夏が首を傾げてした質問に思わず答えようとした雷光をセシリアが止めて申し訳なさそうに頭を下げる。

その二人の様子に箒は呆れたように首を振り、マドカは呆れたように手を頭に当てて溜息を吐く。

 

 

「気にするな。それよりも今はこの大穴を埋める事に集中しろ。このままだと日が暮れる」

 

 

「あ、あぁ! 分かった!!」

 

 

「久しぶりに本気でやるか。すぐに終わるぞ」

 

 

「親父さん、もういい歳なんだからあんまりやり過ぎないでくれよ?」

 

 

「おいおい、俺はまだまだ若いぞ?」

 

 

「この間やり過ぎて筋肉痛になっていたのは何処の誰ですか?」

 

「うぐぅ! マドカ、何故それを……」

 

 

「カイさんから聞きました」

 

 

「っく、カイめ。マドカに何で話してるんだよ……」

 

 

腕をまくって胸を張りながら言った雷光に対してジト目で抗議するマドカ。

もう恒例となった尻に敷かれる様子をセシリア達は笑いながら穴を埋め続け、1時間程で穴を完全に埋め終わっていた。

 

 

 

――――――――――        ―---------

 

「「「「「「「「「「せ~のっ! 織斑君!! 1組代表決定、おめでとう!!」」」」」」」」」」

 

 

「じゅ、準備ってこれの事だったんだ……」

 

 

部屋で穴埋めの疲れを癒していた一夏は本音に呼ばれ、同じ部屋に居た箒に引っ張られるがままに食堂へとやってくるとそこにはデカデカと「織斑一夏 クラス代表決定 おめでとう!!」と書かれており、そこには先程分かれた雷光やマドカ、そして他クラスの生徒達もいた。

 

 

「いや~これで今年のクラス対抗戦も話題が尽きないよねぇ! 同じクラスに男子がいてよかった!」

 

 

「うんうん、2人もクラスに男性が居るんだよ? しかも片方はイケメンでもう片方はダンディなおじ様だし!!」

 

 

「っく、羨ましい! 私達のクラスにも男性がいて欲しい」

 

 

「あはは、みんな元気だな……」

 

 

「人気者じゃないか、一夏」

 

 

「本当にそう見えるか? どっちかっていうと面白がられているだけだろコレ。てか、マドカはニヤニヤ笑ってんなよ。てか親父さんはいつの間にか何食ってんの!?」

 

 

「いや、腹が減ったからさ。お前も食うか?」

 

 

箒が少しだけ不機嫌そうに言うと一夏は頭を抱えながら反論し、遠くから自分を見てニヤニヤと笑っていたマドカに対して口を尖らせる。

そんな生徒達の様子を見て、笑みを浮かべる雷光は食堂のおばちゃんに注文して蕎麦を啜っていた。

 

 

「はいは~い新聞部で~す!! 話題の新入生、織斑一夏君と織斑マドカさん、そして激闘を繰り広げたセシリア・オルコットさんと未だに謎が多い真木雷光さんに特別インタビューをしに来ましたー!」

 

 

とそこでハイテンションな様子で食堂に入って来た女生徒を見て本音は心当たりが有ったのか手を振りながらその女生徒に声をかける。

 

 

「まゆまゆだ~どうしたの?」

 

 

「やぁやぁ、本音ちゃん。今日は新聞部としてだからまた後でね?」

 

 

「あの、どちら様ですか?」

 

 

「あぁ、ごめんなさい。私、こう言う物です」

 

 

女生徒は胸ポケットから3枚の名刺を取り出すと一夏とマドカ、そして雷光に一枚ずつ手渡ししていく。

雷光はその仕草が社会人と同じようにしっかりとした物に感心していた。

 

 

「IS学園新聞部の薫子かおるこです。早速ですが取材してもよろしいでしょうか?」

 

 

「アポイント無しで突然だな」

 

 

「そこに関しては大変申し訳ございません」

 

 

マドカからの鋭いツッコミを受けた薫子は即座に頭を下げて謝罪する。

その薫子の行動に逆に面食らったマドカが少し慌てて頭を上げる様に言って場はの空気が持ち直る。

 

 

「気を取り直して……まずは一組の代表になった織斑一夏君!」

 

 

「は、はい!?」

 

 

「クラス代表になった意気込みをどうぞ!!」

 

 

「えっと……みんなの期待に答えられる様に精進します」

 

 

「おぉ~思っていたよりも良い返事だね! これだったらこのまま乗っけても大丈夫そう……」

 

 

一夏の発言をボイスレコーダーに録音し、確認を終えると今度はメモ帳を手にセシリアに向き直る。

 

 

「では今度はクラス代表決定戦で織斑君と激闘を繰り広げたセシリア・オルコットさん!」

 

 

「私もですか?」

 

 

「はい! 入学前よりも格段に強くなっていた様子でしたし、あの戦い方は誰に教わったのか気になっている子達が結構いるみたいなので」

 

 

「そうですわね……強くなったのは肩肘を張らない様にしたからで、戦い方はお父様……雷光さんに鍛えて貰ったからですわ」

 

 

「お父様?」

 

 

「はい、お父様ですわ」

 

 

セシリアの突然のお父様発言にキョトンとなる薫子とクラスメイト達だったがマドカと雷光、一夏と箒の4人の反応は違っていた。

一夏と箒とマドカは「あ~あ、言っちゃった」と言った風に苦笑いを、雷光は手で目を覆って天に向かって顔を上げた。

 

 

「あ、愛称! 愛称だよね! 雷光さんって面倒見が良いってたっちゃんが言ってたし!」

 

 

「愛称? まぁ、そうですわね」

 

 

「というか、たっちゃんって……」

 

 

「更識楯無だな?」

 

 

「誰だそれ?」

 

 

この場で初めて聞いた人物名に思わず首を傾げる一夏とそんな一夏に対して溜息を吐く箒。

彼女は一夏の肩に手を当てると優しく声をかける。

 

 

「一夏……入学式で先生が言って居ただろう? 生徒会長の名前だ」

 

 

「そうそう、この学園の生徒会長ね。彼女は私の友達なんだ」

 

 

「ほぉ? あの楯無の友達か」

 

 

「あれ? マドカさんはたっちゃんの事を知ってるの?」

 

 

マドカの口ぶりから薫子は楯無の事を知っている事が何となく気になって質問をしてみることにした。

 

 

「知っているも何も彼女とは知り合い……いや、友達だな。簪ともそうだし」

 

 

「そうそう~マ~ちゃんはかんちゃんともお嬢様との友達なんだ~」

 

 

「そうだったんだ! これは良い情報が手に入った!!」

 

 

思わぬ収穫だと薫子は満面の笑みでメモ帳に書き、そこで一度深呼吸して再びマドカに向き直る。

 

 

「さて……それじゃあマドカさん。貴方にも質問するけど良い?」

 

 

「構わない、それで? 何を聞きたいんだ?」

 

 

「えっと、風の噂でマドカさんは極道の一員らしいって聞いたんだけど本当?」

 

 

「あぁ、間違いない。私は真木組の一員だ」

 

 

「真木組って言うと……真木さんの?」

 

 

「そうだ。あそこで刺身を食ってる親父殿は会長だ」

 

 

マドカが指を刺した先には嬉しそうに注文した刺身を食べている雷光の姿が有り、その目の前には積み上げられた幾つもの皿が置いてあった。

その塔の様に積み上げられた皿の数に思わず顔が引きつる薫子。

 

 

「す、凄い食べるんですね。真木さんって……」

 

 

「あれは珍しいぞ。普段はもっと少ない」

 

 

「え? じゃあ何で……」

 

 

「大方、日本政府に対する怒りとかストレスが有るからああやって一杯食べてそれを発散しているんだろう」

 

 

「成程、真木さんのストレス発散は食すことと……メモメモ」

 

 

「で? ほかに質問は有るのか?」

 

 

「あっ、後は普段の学校生活とか趣味についてかな?」

 

 

「学校生活について? そうだな」

 

 

マドカは顎に手を当ててしばらく考える仕草をして、頷き口を開く。

そこには少しだけ微笑みが乗っていた。

 

 

「楽しいよ。今までの人生の中で一番と言える程に、な」

 

 

「ほぉほぉ! それで、趣味の方は何か有る?」

 

 

「趣味は……特撮鑑賞だな。これは簪に教えて貰ったんだが特撮はとても面白いな」

 

 

「特撮が好きなんだ? 一番好きな特撮は何?」

 

 

「勿論! ウルトラマンだ!!」

 

 

今まで見た事が無いほどに目をキラキラと輝かせて力強くそう宣言するマドカは普段の大人びた感じではなく年相応の子供の様でとても可愛らしかった。

 

 

「そっか、うん! 良い記事が書けそう!!」

 

 

「それは良かったよ。ほら、親父殿。いつまでも食べていないでこっちで質問を受けてくれ」

 

 

「ん? 俺も?」

 

 

最後の一切れを完食し口を拭いていた雷光はマドカからのご指名を受けて少し意外そうに自身を指さすと薫子もうんうんと頷く。

 

 

「はい、残るは真木さんだけになったのでお願いします」

 

 

「俺なんかに質問ある?」

 

 

「有りまくりですよ!」

 

 

「そうか……じゃあ少し待っていてくれ」

 

 

雷光は食器を片づけて、食堂のおばちゃんに感謝を告げると薫子の対面に有る椅子に座り真っすぐ相手の顔を見つめる。

 

 

「では、質問です。なぜIS学園に来ようと決めたんですか?」

 

 

「日本政府に五月蠅い位に頼まれたってのも有るが最終的な決め手は一夏だ。アイツは子供の頃から面倒を見てて心配だったからってのも理由だな」

 

 

「織斑君とも交流が有ったんですか?」

 

 

「初めは束と千冬の奴等とちょっとした事で知り合ってそれから今までずっと交流がある」

 

 

「あぁ、だからと言って()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って言えるぞ」

 

 

「では、どの様な関係ですか?」

 

 

念の為にと言った感じにやんわりとそう口にする雷光と一言一句を聞き逃さない様にとメモを取っていた薫子は一旦、メモを取るのを止めて真剣な様子で雷光に質問する。

その質問を受けて雷光は少し考えると笑みを浮かべて答える。

 

 

「アイツはどっちかっていうと……そうだな、()()()()()()()()()()()()()()()()かな」

 

 

「家族ですか?」

 

 

「あぁ、アイツが小さい時からずっと面倒見てたからある意味で親みたいなもんだと俺は勝手に思ってるよ」

 

 

「……なんか、良いですね。そう言える関係は」

 

 

「そうか? まぁ、君みたいな誠実そうな子が言うんだったらそうなんだろう」

 

 

「ありがとうございます// で、では最後にこの記事を読む人達に何か一言をお願いします!」

 

 

「一言か……」

 

 

雷光はそこで一度、姿勢を正して真剣な顔になって薫子に向き直る。

 

 

「知っての通り、俺は極道だ。危ない奴だと思ったら近づかない事を薦める。」

 

 

「だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それは約束する」

 

 

「そして、もし俺の身内に何か危険が迫れば俺は全身全霊をかけてその脅威を打ち砕く。それを知っていてくれ」

 

 

「まぁ、何が良いたかって言うと……取り上えず俺の所の奴に手を出したら許さねぇから

 

 

少しだけ、ほんの少しだけ気迫が漏れその場の全員に重圧が降り注いだがそれも一瞬だけですぐに消え失せた。

薫子はそこに王の姿を確かに見た。彼女は深々と頭を下げて感謝の意を告げる。

 

 

「本日はありがとうございました。大変有意義な時間でした」

 

 

「俺もだよ……あぁ、それと」

 

 

それだけ言うと雷光は薫子の耳元で小声で囁くと彼女は目を見開いて驚く。

薫子の反応を見て、楽しそうに笑う雷光はそのまま一夏と箒、マドカとセシリアを呼ぶ

 

 

「どうしたんだ、親父さん?」

 

 

「お父様、何か有りましたか?」

 

 

「また酒が飲みたくなったんですか? 飲み過ぎは駄目だと何度も言った筈ですが……」

 

 

「そもそもIS学園でお酒が飲めるのか?」

 

 

「最後だから、写真を撮って貰おう。記事に必要だからな」

 

 

「え? あっ、はい! 良いですか?」

 

 

少しボーっとしていた薫子は雷光のその言葉で我に返ってその場の面々に頭を下げてお願いする。

それを受けてその場の全員が了承して写真を撮影した。

余談だが、その写真は一瞬にして察知した1組の全員が映り込んでいて大変賑やかな写真に変貌を遂げていたそうな

 

 

 

 

 

――――――――――          ―--------

 

「ふぅん? ここがIS学園かぁ」

 

 

一夏達が代表就任祝いパーティーを行っているのと同時刻、IS学園の入り口には一つのスポーツバックを持った小柄の少女の姿が有った。

その活発そうな少女は手に持った紙を片手に事務室に向けて歩き出す。

 

 

「待って居なさいよ、一夏……!!」

 

 

彼女の到来がIS学園に新たな風が吹くことになる……




いや、本当にすいません。

なんでこんな感じになったんだろう……

あっ、マドカがウルトラマン大好きなのは簪の影響です。
良いですよね、ウルトラマン。俺も大好きです

今日から最新作、ウルトラマンZが始まりましたね。そっちも楽しみです。


さて、次回から新たなる人物(みんな知ってる中華娘)の存在が今後この作品をどう動かしてくれるのかとても楽しみですね……

では、また次回!!

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