キノと旅   作:黒猫黒

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人を殺すことが出来るという事
法律が必要無いという事
許されるかどうかは…


人を殺すことが出来る国

舗装されてい無い道を二人連なりモトラドで走行中、キノさんのモトラドのエルメスが話し出した。

 

「キノ、次の国はまだ?」

 

「もう少しだよ、エルメス」

 

「もう少しってまる二日の事?」

 

「前の国ではそう言うみたいだね」

 

「へ~」

 

僕は二人の話を聞きながら、人のもう少しの当てになら無さを痛感してないた。

前の国では確かに、この道をもう少し行った所に次の国が有ると言っていた。

 

「あっ」

 

キノが小さく声を漏らした。

 

「馬だね」

 

「誰か居るみたいだな」

 

視線の先を見ると、草原に寝転ぶ男と、荷物満載の馬が休憩していた。

 

「止まるよエルメス、シオン」

 

「はい、キノさん」

 

キノさんと僕が近くにモトラドを止めると、男が話し出した。

 

「この先にある国では、人を殺しても良い国何だ!」

 

「はい?」

 

エルメスと男が会話を続けている、何でもレーゲルと言う凶悪犯がこの先の国に居るとの事。

 

男は何を思ったのか、自分の荷物を半分キノさんに持てと言っている。キッパリと断り理由を説明すると、男は悪態を吐いていた。

 

キノさんはまだ話している男を放って置いて、エルメスに乗り込んで居る。僕は初めから降りてさえ居ない。

僕が振り返ると、キノさんを睨んでいた男がニヤリと笑っていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

目の前の光景にうんざりした気持ちと、多少の胸焼けを催しながら、幸せそうな顔のキノさんに話しかける。

 

「キノさん。その食べ物は、体に悪いんじゃないでしょうか?」

 

頬っぺたにクリームを付けたまま、キノさんが顔を上げる。

 

「大丈夫だよ、美味しいからね」

 

「美味しいから大丈夫って…」

 

「僕の心配ばっかりして無いで、ほら一緒に食べよう」

 

「えっ!これを?」

 

クレープが十数枚ほども重なったケーキの上に、さらに生クリームがこれでもかと敷き詰められている。

これは見ているだけでも胸焼けがするのに、一緒に食べようと言うのか…いや、それよりもキノさんが食べている物を頂くわけにはいかない。

 

「僕が貰うわけには…」

 

「それ以上言うと怒るよ」

 

「…はい、キノさん」

 

「本当はキノって、呼んで欲しいんだけどなぁ」

 

「それは出来ないですよ。キノさんは僕の飼い主、ご主人様ですから」

 

「本当に怒るからね」

 

「ごめんなさい」

 

「もぅっ」

 

僕の名前は、リベラシオン通称シオン。

キノさんに付けて貰った、色々と有ったけれどその話はまた今度。

取り敢えずキノさんに拾われて。シオンと言う名前を貰い、一緒に旅をさせてもらっている。

 

そんな事よりも今は、この目の前の食べ物との格闘が先決だ。

僕はキノさんが差し出すクレープを、一思いに頬張った。思った通り、口の中いっぱいに甘さが広がる。

これを食べきる気で居るのだから、やっぱりキノさんは女の子なんだと改めて認識しなおした。

 

全てを食べきった所で住民に話しかけられた。何でも旅の話を聞きたいらしく、先ほどのクレープを奢ってくれるらしい。

流石のキノさんでも厳しいらしく、次の日に約束通り奢って貰っていた。

何でも趣味の集まりらしく、皆穏やかに過ごしていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

「何ボーッとしてるのシオン?大丈夫?」

 

「大丈夫ですよ、それにしても平和な国ですね。

人々は親切で穏やかな人ばかり、聞いていた話と違いますね」

 

「そうだね、皆親切だ。

それで目の前の問題から、逃げられたつもりかな?」

 

たらりと頬に汗が伝う、エルメスを見ても完全に静寂を保っている。

目の前の問題とはズバリ部屋には、ベッドが1つしか無い事である。

 

「やっぱり僕が床で寝ます、キノさんがベッドを使って下さい」

 

「そんな事僕が許すと思う?」

 

「…ですよね。でもキノさんは女の子なんですから、ベッドに寝るのだけは譲れませんよ」

 

「ここで性別を出して来るのは狡いなぁ、でもそう言う紳士的な所も好きだけどね」

 

「なっなにを…!」

 

僕が驚いている隙に、腕を捕るとベッドの中に引きずり込まれた。

 

「キノさん!」

 

「大丈夫だよ。ほら、パースエイダーはちゃんと持っているからね」

 

「そうじゃなくて、シングルベッドに二人は問題が有りますよ」

 

「大丈夫、大丈夫。ほら、こうやって抱き付いて眠れば、案外と広い物でしょう?」

 

そう言って抱き着いてくる、キノさん。

流石に眠る時は薄着なのか、女の子特有の柔らかさが伝わってくる。

 

僕の腕の中にすっぽりと収まる小柄な体型、丁度キノさんの髪の毛が、僕の鼻に当たってくすぐったくも良い匂いがする。

 

キノさんはキノさんで。僕の体に抱き付いて深呼吸でもしているのか、ハスハスと音が聞こえて来る程だ。

 

そして何よりも僕を困惑させるのが、キノさんがきつく抱き締めて居るせいで、僕の腹部に当たる二つの慎ましやかな膨らみである。

キノさんは気にしていないのか、グイグイ抱き締めて来るし。

僕の手にはキノさんの臀部、つまりお尻が当たりそうになっている。

 

「キノさん、胸が当たって居ます。お願いですから離して…!」

 

「もぅっ意気地無しだなぁ。こういう時は暗黙の了解で、手を出しても良いんだよ?ほら」

 

そう言うとキノさんは、ワイシャツの裾をチラッと捲り真っ白なおなかを見せてくる。

 

「止めてください、僕がそう言う事が苦手なのは知っているでしょう?!」

 

顔を真っ赤にしつつも、裾を捲り上げる手を押さえて元に戻すと、拗ねたようなキノさんの声が聞こえてきた。

 

「シオンが悪いんだよ?」

 

「僕がですか?」

 

「僕がいくら誘惑しても、全然靡いてくれないし。

ここまでして漸く照れてくれる程度じゃないか、僕だって好きな人には、何時も意識して欲しいんだよ?」

 

そう言うキノさんの頬は少し赤く見るし、耳も少し赤くなっていた。

キノさんに此処まで言わせたからには、男の僕が何とかするしかない。

 

「キノさん…お休みなさい」

 

勢いに任せておでこにキスをして、寝返りを打つ。

背後からはポカンとした気配とクスクスと、嬉しそうな笑い声が聞こえてきた。

その日は朝まで背中に二つの柔らかい物と、首筋に度々キスをされて、眠れなかったのは言うまでも無いだろう。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

寝不足のまま次の日を迎えると、上機嫌のキノさんが前を歩いている

 

「てめぇ!見付けたぞ!」

 

その時後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

キノさんに目で合図されたので、キノさんの隣に並びエンジンを切る。

 

「そこの荷物全部置いてけよ」

 

「何のためにですか?遠慮します」

 

「断ったら今ここで殺すぞ!」

 

あれほど居た住民達が皆屋内に避難する。

 

「お断りします」

 

「交渉決裂だなぁ」

 

キノさんと一緒にエルメスの影に隠れる。

キノさんに覆い被さり弾を防ぐ。こんな事しなくてもエルメスのお陰で大丈夫だろうが、万が一があっては大変だ。

 

パースエイダーを構えていた男が発砲しようとした瞬間に、男の腕から矢が生えていた。いや、貫通していた。

回りを見ると住民が次々に屋内から出て来ており、皆手に武器を持っていた。

 

男が何かしようとする度に、男の怪我が増えていく。

 

「駄目なんだ。いけないことなんだ、だから止めたんだよ」

 

「だからっ何がだよ!」

 

男は大怪我を負いながらも叫び返事をする。

 

「質問に答えよう。此処ではこの国ではね、人を殺すと言う事が許されてい無いんだよ」

 

「そうそう」

 

「そうだとも」

 

「禁止されていないと言う事は、許されていると言う事では無いんだよ」

 

「ふざけんな!てめぇ何様のつもりだ!」

 

「様と言う程では無いよ。ただの一市民レーゲルと言う名の老人さ」

 

「…!あんたが!」

 

皆が去った後、男の遺体が其処には残っていた。




当ててんのよ状態
リベラシオン=解放
ヒロインはキノのみの予定
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