剣努重来 〜非才剣士の成り上がり〜   作:嘯風弄月

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とりあえず投稿。第一話なのでテンプレ要素70%増し(当社比)でお送りします。1話は剣が出てこないよ!


平凡な少年

 鳥が囀る気持ちの良い朝。それは田舎の、辺境にある小さな農村での出来事であった。

 

 「アルド!アルドったら!」

 

 「んごぉ…」

 

 「アルド!いい加減起きなさい!」

 

 「ごふっ…!!」

 

 容赦なく下される拳、アルドと呼ばれた少年はその衝撃でベッドから落ち、頭にコブを作りながらゆっくりと立ち上がった。

 

 「いってぇな母ちゃん!何すんだよ!」

 

 「それはこっちのセリフよ!何度起こしても寝てるんだから!さっさと着替えてお父さんの手伝いに行きなさい!」

 

 「うぇ… 俺寝起きだしまだ飯食べてないよ…」

 

 「何言ってるのよ!これだけ起こしても起きないアンタが悪い!ほら、早く!」

 

 「ちぇ、母ちゃんのケチ… 鬼…悪魔…ドワーフ並の筋力…」

 

 「…そう、今日一日ご飯は要らな「行ってきまーすッ!!」

 

 その言葉を聞いた途端、アルドは目にも止まらぬ速さで着替え家を出て行った。

 

 「あの子は本当に…はぁ、お昼は特別に大盛りにしてあげようかしらね… 今日は大事な収穫の日だってのに、甘やかせすぎたかしら…」

 

 アルドの母は自分1人だけになってしまった家でそう呟くのであった。

 

 

 

 

ーーーーー

ーーー

 

 

 

 息を切らしながら畑に到着したアルド。1人の男性がアルドに気づいた。

 

「はぁ…はぁ…ほんとおっかねぇ…」

 

「よぉ、アルド!そんなに息切らしてどうした、母ちゃん怒らせたか?」

 

 「なんでわかるんだよ、父ちゃん…」

 

 「はは!そりゃ俺だからな!そら、さっさとお前も手伝え。井戸から水汲んで来い、皆喉が渇いてきたんだ」

 

 「へいへい…わかったよ。皆人使いが荒いんだから…」

 

 ぶつぶつと独り言を言いながら畑から少し離れた井戸まで歩くアルド。畑からはこの場所は見えない。アルドはある閃きを思いつく。

 

 「少しくらい休んでから行くかぁ…バレねぇだろ」

 

 そう思い地面に座り込むアルド、しかし背後から聞こえた声に休むことが出来なくなってしまった。

 

 「へぇ〜またサボるの?」

 

 「今度はレナかよ…めんどくせぇ」

 

 声を掛けてきたのはアルドの幼馴染の少女、レナであった。

 

 「ちょっと!朝からこんな可愛い子に会えるのよ!もっと元気出しなさいよ!」

 

 「へいへい、可愛い可愛い」

 

 「何よー!その反応は!」

 

 そっけない反応をするアルド、しかし彼女が可愛いということはしっかりと認めていたのであった。

 

 「ま、確かにお前は可愛いよ」

 

 「うぇっ!?そ、そんな可愛いなんて…」

 

 (もっとも、毎日お小言言われたら嫌になるけどな…)

 

 「そ、それよりも!」

 

 「何だよ…」

 

 「早く行かなくていいの?私と話してるから結構時間経ったよ」

 

 「やっべ!おい、何で話しかけてきたんだよ!せっかく休めると思ったのに!」

 

 「何よその言い方!」

 

 「うっせ!おら!レナも手伝え!」

 

 並々と水の入った桶を手渡すアルド、それは少女が1人で持つには少々重かった。

 

 「ちょ!?信じらない!こんな重い物持たすなんて!」

 

 「へっ!邪魔したんだからこんぐらい手伝えよ!先行ってるぜー!」

 

 「あ〜!こら!待ちなさい!待ってってば!」

 

 そう言いそそくさと1人畑に向かうアルドであった。

 

 

 

 

ーーーーー

ーーー

 

 

 

 

 「それで?レナちゃんに重い物持たせてお前1人でこっちに来たと」

 

 「うぐっ…」

 

 「女の子には優しくしろとあれ程言っただろう!」

 

 (ぐぐっ… レナー助けてくれよー…)

 

 そう思いアイコンタクトを取るアルド、だがレナはそっぽ向いてしまう。庇われないことが確定したアルドはガックリと項垂れた。

 

 

 「はぁ…幾つになってもそういうところは変わらんな… 今日は収穫のめでたい日だ、特別にお説教は終わりにしてやる。」

 

 「本当!」

 

 「ただし!しっかりとレナちゃんに謝罪すること、それと夜の祭りは2人で行動しなさい」

 

 「うげぇ… 1人がいいぞ」

 

 「ダメだ!謝罪をしない、一緒に行動をしない、どちらかをしたら祭りには参加させない!」

 

 「うぐぐっ… わかったよ」

 

 「よろしい。ほら、早く謝りなさい」

 

 「…悪かったよ、ごめん」

 

 「しょーがないから特別に許したげる!今日はお祭りの日だからね!」

 

 「あい…」

 

 「ふっ…この歳で尻に敷かれているのか。レナちゃんはしっかりしているからな、うちのバカ息子も安心して任せられる」

 

 

 

 

 

 何気ない日常の一コマ。毎年のように行ってきたこの仕事。他の農村が飢饉や干ばつで苦しむ中、この村は他の農村と違い不作になるようなことはなかった。村としては運の良いことだろう。村を存続させる為には間違いなく重要である。

 

 

 

 

 しかし、他の村からしたらこの村はどうだろうか?少ない村民、警備と呼べる人員はおらず、木で作られたちょっとした柵が建っているだけ。

 

 

 

 そして問題は他の農村だけではない。職を失った者や食うに困った者、それらの人間が団結し弱者から全てを巻き上げる事を決めた盗賊だ。

 

 

 

 

 毎年のように行ってきた、毎年何事も問題なく行われてきた。だから今年も大丈夫だと、そう思いこんでしまい惨劇が産まれた。

 

 

 

 

 

 唸りを上げる炎、橙色の灯はその惨劇を鮮明に照らす。血を流し無残に絶命した村の人々。生きているのは村の子ども、そして2振りの剣を携えた男だけであった。

 

 

 

 

 「まもりたかった… 大切な人を、レナを、家族を。助けたかった…ガキの俺じゃ、何も出来ないなんて分かってる…分かってるけど、すげぇ悔しいんだ…」

 

 

 「すまなかったな、変わりにお前を安全な村に送ろう」

 

 

  「剣王サマ、村には連れて行かないで欲しいんです。俺を、貴方の弟子にしてください」

 

 

 

 

 

 惨劇の夜は始まりの夜であった。剣王と呼ばれた無敗の男と、一切才能の無い非才な村の子どもの出会いの。

 

 

 

 




 剣は次回です。許してつかぁさい。
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