最弱騎士の運命踏破   作:bear大総統

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本当は一話にまとめるつもりだったんですがふざけてたら長くなったので初投稿です


第34話

 パーティの翌日。

 紫苑から『許可を貰ってきた。飯でも食いがてら話そう』と誘われた一輝、珠雫、そして有栖院の三人。彼らは紫苑が指定してきた待ち合わせ場所である、ホテルのロビーへと向かっていた。

 

「近日中とは仰っていましたけど、本当に早かったですね……。昨日の今日ですよ?」

「だね。あのパーティが終わった後、真っ先に月影さん達に確認を取ったんだと思うよ」

 

 紫苑にはそういう誠実さがある、と二人より付き合いの長い一輝は言う。

 

「あたしとしては『同席者』の方が気になるわねぇ。誰なのかしら? 栞ちゃんだったら、彼ならそう言うでしょうし……」

 

 考えられるのは『暁学園』の誰かであろうか。とはいえ彼らを誘ったならば、彼の心労が増えるだけだと推測されるが。

 例外といえば一輝の知り合いでもある、元巨門学園の紫乃宮天音くらいのものだが、紫苑は彼を『マトモ』な人間として挙げていなかった。

 紫苑のことだから単純に忘れていただけという可能性も否めないが、一輝としてはそれがどうも引っかかってならない。

 

「まぁ、そこは行ってみたらわかるんじゃないかな。ほら、丁度あそこに百鬼くんもいる、し……」

 

 一輝の言葉が止まる。

 彼の視線につられ、珠雫と有栖院の視線もそちらへ向かう。

 

 百鬼紫苑の隣にいたのは、彼のルームメイトでもあり同じく『暁学園』に所属する月影栞。

 

 紫苑より頭2つ分ほど大きな背丈。その上背に見合う肉厚な筋肉を備えた、バンダナのよく似合う偉丈夫。

 

「なんや、百鬼。お前が言うとった『友人』って《無冠の剣王》らの事かいな」

 

 昨年度の《七星剣舞祭》の頂点に立った男。

 《七星剣王》諸星雄大だったのだから。

 

 

「諸星さん……!? どうしてここに……」

「どうしてもこうしても、ワイが今日百鬼に『一緒に飯食わん?』って誘ったからや」

「ふたりって確か、明日のトーナメントで当たるのよね? 気不味いとか思わなかったの?」

「あったらそもそも誘ってへんわなぁ」

「大阪で一番旨いお好み焼き食わせてくれるって言うから」

 

 なはは! と豪快に笑う諸星と、食欲に素直な紫苑。

 明日から始まる《七星剣舞祭》その第一回戦で戦う者同士が、同じ机を囲んで食事するというのはなんとも異様な風景だが……当人同士が納得しているのであれば構わないか。

 

「っていうか、お兄さんはどちら様? 出場選手の面と名前は頭ん中入ってるけど、おらんかったよな?」

「えぇ。元暁学園所属、今は破軍学園所属の有栖院凪よ。百鬼くんから誘ってもらったからご同伴に預かろうと思ったのだけど、構わなかったかしら?」

「勿論や。飯は大勢で食った方が旨いからな」

 

 にこやかに応え、握手を求める諸星。そこに有栖院が初対面の男性を誂う、鉄板ジョークを重ね場は一気に騒がしくなる。

 

 そんな賑やかな男達の裏で、女達は火花を散らしていた。

 

「……それで。貴方は何をしに来たんですか? 月影栞さん」

「ご挨拶ですね。まぁそれだけの事を行った自覚はありますけど。その辺りの事情は紫苑さんから伺ってください。こちらが他者に話しても許可できる範囲の情報は、全て渡してありますから」

「……私は、何をしに来た、と聞いているのですが」

「そうでした。……単に紫苑さんの送迎係ですよ。諸星さんが連れて行ってくださるお店が、ここから電車で十数分はかかる場所だそうで。物のついでですから、行きは皆さんも送っていこうかとしただけです」

「…………」

 

 紫苑が電車に対して酷いトラウマを有している事は、珠雫も承知している。故に彼の送迎係だという事は疑っていない。

 

 だが、『暁学園』が自分達に行ったことを考えれば、彼の送迎だけが目的であるとは到底信じられない。

 自分達が勝利するためには手段を選ばず、また何か企んでいるのではないか。そんな疑いが決して晴れないのだ。

 

 だが、それに対し追及する前に紫苑から声がかかる。

 

「栞、珠雫。そろそろ向かいたいんだが、構わないか」

「かしこまりました。……ほら、珠雫さん」

「…………えぇ」

 

 にこり、と微笑む栞に珠雫は内心で『この女狐が』と吐き捨てる。それも大方察せられているのだろうが。

 そんなものはどこ吹く風と栞は受け流し、自身の霊装である真っ白な装丁の巨大な本《愚者の写本(タブラ・ラサ)》顕現させる。

 そのページを手繰り、そして出現させるのは鍵に類似した白い短剣。それをパキリ、と砕く。

 

「《開門》。お好み焼き屋『一番星』へ」

 

 瞬間、目の前にあったのは木造二階建ての古民家。暖簾には『一番星』とでかでかと書かれており、中からは穏やかな喧騒が聞こえてきている。

 繁盛し、そして多くの客にも好かれる良い店だというのは、客商売に疎い紫苑達であっても理解できた。

 

「うぉ、マジで一瞬……これが栞ちゃんの能力か」

「厳密には異なりますね。これは私の《夢》の能力で再現した、ノーマン・グリード氏の《転移》の力ですから」

「ノーマン・グリードって……《翼の宰相》かいな! とんでもない力やで……栞ちゃん、なんで今まで無名やったん?」

「一般的な成人女性ですから」

「お前のような一般的な成人女性がいるか」

「それ一般人(いっぱんじん)やのうて逸般人(いっぱんじん)って言うんやで」

「やめてくださいよ。文面でないと一瞬わからないツッコミは。それと紫苑さんは後でお話しましょうね?」

「………………」

「あ〜あ、百鬼藪蛇った。ワイ知らんで〜」

「こほん……まぁ、冗談はこのあたりにしておいて。紫苑さん、こちらを」

 

 そう言い、栞は《愚者の写本》の一頁を切り取り、紫苑に渡す。それを彼が受け取れば、《愚者の写本》の断片は溶けいるように消えていった。

 

「込めてある能力は《夢》と《契約》です。うっかり使い忘れないでくださいよ?」

「あぁ。わかってる」

「では私はこれで失礼します。紫苑さんはお帰りの際はご連絡ください。お迎えに上がりますから」

「……毎回面倒掛けさせて悪い」

「いえいえ。好きでやってますから」

 

 微笑み、栞は再び《蒼天の扉》を発動させるとその姿は消え、残されたのは鳥の羽根にも似た白の魔力光のみだった。

 

「……本当に何もしてきませんでしたね」

「僕が言うのもなんだけど、珠雫はもう少し彼女のことを信じてあげたら?」

 

 はぁ、と大きな溜息を吐く珠雫に一輝は苦笑する。

 珠雫は彼女に対する棘を隠そうともせず、あわや霊装まで抜きかねない程だった。

 栞達が行った事が事であるので、一輝もあまり強くは責めないが、万一珠雫が実力行使に出たならば全力で止めにかかる所存である。

 

「それは無理な相談だろう」

 

 だが、珠雫への助け舟は思わぬところから入った。

 件の『暁学園』に現在所属する、百鬼紫苑である。

 

「自分達の学園を壊滅させられ、アイツの策略で兄が死地に送られたんだ。アイツの狙いを知らなければ、激昂して当然だろうよ。……むしろこの程度で済んでくれて驚いている」

「……百鬼さんがそれを言うんですか」

「その辺りの説明をしにきたんだ。……店の前で大人数で居座っているのも迷惑だろう。早く中に入らないか」

 

 腹も減ったしな、と紫苑が言えばぐるるぅ……という、獣の唸り声にも似た音がした。紫苑の腹の虫の音だと諸星が気付けば、ははっと破顔する。

 

「随分でかい腹の虫やなぁ。鬼でも飼っとるんかいな」

「ここに住むお前が『大阪で一番旨い』とまで言うんだ。期待して当然だろう。腹もちゃんと空かせてきた」

「嬉しいこと言ってくれるやないか。んじゃ期待に応えな漢が廃るってもんやな。色々積もる話があるんやろうけど、まずは腹拵えや! 中入るで」

 

 諸星が音頭を取り、やや立て付けの悪い扉を開けばふわりと香ばしいソースの匂いが鼻腔を擽った。

 

「わぁ……」

「良い香り。それにお客さんもいっぱい入ってるし、『大阪一美味しいお好み焼き屋』って言うのもわかる気がするわ」

 

 栞の《転移》で移動したこともあって夕食前の早い時間帯に訪れたのだが、テーブル席の大半が埋まってしまっている。あちこちで注文を取る声も上がっており、閑古鳥とは縁遠そうな店である。

 

「うーん、これはちょっと待たないといけないかな」

「どやろ。ちょっと確認してみるわ。……おーい、お袋!」

 

 諸星が店内によく通る声を発する。

 お袋──つまりは母親に対し、呼びかけた事でここは諸星の実家なのではないか、自分達は客引きに引っかかったのではないかと、諸星に対して物申したい気持ちが湧き上がってくるが、今更引き返して「別の店に行きます」というのも不義理というものだ。

 ひとまず空いている席がないかだけ確認してもらおうと待っていれば……

 

「あんた、何しに戻ってきたん? 大会終わるまではホテルやっちゅー話ししとったやろ? やからパンツの枚数は確認せぇとあれほど……」

「勝手に決めつけんなや! そもそもなんでよりによってパンツにした!?」

「んなん決まっとるやろ、アンタが小学校の時──」

「あぁおもんないわ! そもそもこの漫才じみたやつがいらんねん! いい加減本題入らせてくれや……」

 

 このようなやり取りが始まる始末。

 客達が笑い声をあげていることから、こういったものは日常茶飯事なのだろう。飾らない、大阪の下町らしい雰囲気だ。

 

「で、実際何しに戻ってきたん?」

「そのホテルで知り合った東京の人ら案内してきたんよ。折角大阪来たんやから、大阪でいっちゃん旨いお好み焼き食って欲しいやんか。でも……今日えらい混んでんな。席空いとる?」

「あぁ、そういう事。確か……丁度テーブル席がひとつ空いとるから、そこ座ってもらおか。──小梅。お客様を席までご案内したって」

 

 店内に指示を出す、諸星の母親。

 その声に反応し、小走りで紫苑達の方へ駆け寄ってくるのは、和服の上からエプロンを羽織ったおかっぱ頭の少女。

 店員というには若すぎる。中学生ほどだろうか。

 

「あら、可愛い子ね。もしかして妹さん?」

「あぁ。妹の小梅や。ワイと違って伐刀者やないけどな」

 

 小梅と呼ばれた少女は、紫苑達に向けて頭を下げる。客商売をやっているだけあって、礼儀正しい子だ。

 頭を上げ、その視線が紫苑のところで止まる。

 

 そしてその丸い瞳を大きく見開くと、無言のまま困惑と驚きの表情を作った。

 

「……どうした」

「あぁ、すまんすまん。ワイの明日の対戦相手が来たもんやから、びっくりしたみたいや」

「なるほど」

 

 確かに明日、確かなレギュレーションと安全が保証された環境下ではあれど、刃を交える者同士が同じ机囲んで食事をするのはおかしなものだろう。

 

 しかしそこは商売人の娘。すぐさま営業スマイルに切り替わると、和服の深い袖からスケッチブックを取り出し、

 

『いらっしゃいませ♪』

 

 と丸っこい可愛らしい字を紫苑達に見せてきた。

 これには一輝や紫苑も困惑する。後ろのふたりも戸惑いを隠しきれなかった。

 筆談で対応してくる店員などそうそう見かけない。

 

 そんな反応を諸星も予測していたのか。素早く補足を入れてくる。

 

「あぁ、気にせんでえぇよ。ちょっと口が利かれんだけやから」

「あぁ、だから筆談なんですか……」

「そういうこっちゃ。別に身体悪ぅしとるわけやないよ。精神的なもんらしいわ」

 

 気遣うような一輝の言葉に、大したことじゃないと笑う諸星。

 小梅自身も、スケッチブックに筆を走らせ『あたしはお淑やかやねん』と記せば、兄妹の微笑ましいやり取りだ。

 

「でも今日ほんま混んでんな。……しかもよう見る顔ばっか」

『お兄ちゃんがこっちに顔見せないからって、晩ごはんがてら様子見れないかって集まってきたみたい』

「ワイが撒いた種かいな……すまん、みんな。案内するだけして悪いけど、仕事手伝ってくるわ。あれじゃお袋ひとりじゃ手が回らん」

「だろうな。……俺達の事は後でいいから、親御さんを優先してくれ。その間にこちらの用も済ませておく」

 

 紫苑がそういえば、すまん、助かるわと諸星は小さく頭を下げ、一輝達に視線をやる。

 

「注文は小梅に言ったってくれればえぇ。あと今日は百鬼がお前らに奢る言うてるから」

「……そうなの?」

「『暁』が迷惑をかけた詫びだ。遠慮なく食え」

 

 金ならある、と本人は言うが一輝達からすれば申し訳なさが勝つ。

 

「元が吐くとはいえ、俺は破軍学園2年でお前達は1年。後輩は黙って先輩の言う事を聞いておけ」

「僕とは同い年だけどね……」

 

 とはいえ、紫苑の頑固さは自分と良い勝負だということは彼らも承知している。ならばここはご馳走になっておこうと、話がまとまった。

 

 諸星が小梅に「後は頼む」と言えば彼女は頷き、紫苑達を席まで案内してくれる。

 席に着けば各々が適当に注文を済ませ、それをスケッチブックに書いた小梅を見送れば、さて……と紫苑が切り出した。

 

「質問は受け付ける。が、その前にお前達に、約束してもらう事がある」

「約束、ですか?」

「そうだ。『これから百鬼紫苑が話す内容を、他者に伝達しない』こと。これを誓ってもらわなければ始まらん。それが約束できないなら……」

「…………できないなら?」

「お好み焼き食って帰るだけになる」

 

 緊迫した空気、それが一気に弛緩するが紫苑は至って真面目だった。一輝もそれを理解しているため、空気を引き締め直す。

 

「ちなみに何故か、聞いてもいいかい?」

「そうしなければ、これから使う魔術を発動できないからだ。……その伐刀絶技の効果として、俺がお前達にその技の内容を説明し、発動の合意を取らなければならないという物がある。結構長くなるが、必要な行程だから聞いてほしい。質問は終了後に受け付ける」

「わ、わかった」

 

 紫苑曰く、これから発動する伐刀絶技は月影栞の物であり、名を《夢の断片(フラグメンツ)》という。その効果は『《夢》の能力と貯蔵内の任意の能力ひとつを事前に指定し、他者に割譲する』という物である。

 

 任意の能力(以下『自由枠』と呼称)は因果干渉系能力《契約》。これにより今回の使用者である百鬼紫苑(以下『甲』と呼称)と、対象者である一輝、珠雫、有栖院の三名(以下『乙』と呼称)の合意がなければ《夢の断片》を『乙』に対して使用できない。

『甲』に対しては月影栞より《夢の断片》を受け取ったことで《契約》に対し合意したと見做し、効果が発動する。

 

 《夢の断片》に込められた《夢》の効果の詳細は『第三者の意識に働きかけ、甲と乙から意識が逸れるようにする』『甲と乙の会話内容を、第三者が聞いた際に違和感の与えないものへ変換する』の合計二つであり、この能力によって甲乙、そしてその周囲の人々に対し危害は加えられない。

 

 また『甲』は『乙』からの問いに対し、一切の虚偽を含んだ内容を述べてはならない。

 質問に対し『甲』が適切に回答できない、あるいは回答する権限を持ちえない場合は、上記の旨を『乙』に対し述べなければならず、黙秘権は認められない。

 これは『乙』が『一番星』入店から退店まで持続する。

 

『甲』が上記の《契約》に違反した場合、即座に《無欠なる宣誓》と同様の罰則を負い、『乙』は《夢の断片》が効力を発揮している際に見聞きした事実を、如何なる手段においても他者に伝達しようとした場合、三度の警告が行われ、四度目の違反時には『甲』と同様の罰則を負う。

 

『甲』は『乙』に対し、《契約》の内容を詳細に且つ一切の虚偽なく伝達する義務を負う。

 

「……以上だ。何か質問は?」

「随分ややこしい言い方するのねぇ……貴方だってガッツリカンニングペーパー見てたじゃないの」

「こんなもの覚えきれるわけないだろうが。だが言わないと『乙』に対し、《契約》の内容を詳細に且つ一切の虚偽なく伝達する義務を負う。というものに引っかかるんだ」

 

 長い上に言い方も難解。

 まさしく《契約》書だと紫苑は辟易とする。

 

 そこで考え込んでいた珠雫が「つまりは……」と口を開いた。

 

「百鬼さんは私達の質問に対して、正直に答えなければならない。しかし事前に許可を貰った範囲から外れるもの、そもそもわからない質問に対しては『答えられない』『わからない』と答えればいい。……罰則についてがわかりませんね。《無欠なる宣誓》と同様の罰則と言われても、私はこの《無欠なる宣誓》を知りませんから」

 

 あと黙秘権が認められないというのは、こういった《契約》については珍しい気がします、と彼女は締め括る。

 

「それは俺の逃げ道を防ぐためだな。黙秘ができるなら、全部黙っていれば良い話になってしまう。それで……《無欠なる宣誓》についてだったな。

 端的に言えば……」

 

「《契約》に違反した者の心臓を刺し貫き、殺害する伐刀絶技だ」

「「「…………ッ!」」」

 

 その無類の効果に三人は戦慄する。

 それは双方の合意が必要という、重すぎる前提条件はあれど生殺与奪の権を相手に握られるという事と同義なのだから。

 

 しかし、いやだからこそ有栖院は違和感を覚えた。

 

「待って、紫苑。その《契約》……本当に一切嘘がないなら、貴方に不利すぎない?」

 

 そう。《夢の断片》に込められた《契約》内容。

 その大半が紫苑自身を縛るものであり、一輝達に対して課された制限とは『ここで話す内容は他言無用』くらいのもの。

 

 おまけに《契約》違反の罰則──《無欠なる宣誓》も有栖院達は三度警告を行ってくれるそうだが、紫苑にはそんなものはない。《契約》違反とは即ち死を意味する。

 

 あまりに理不尽かつ不平等な《契約》だ。

 

 だがそう言われても、当の紫苑はけろりとしている。

 

「そうでもないさ。そも今回の《契約》で俺がやらなきゃいけないことは『嘘をつくな』『ちゃんと説明しろ』の二つだけ。これさえ守っておけば、罰則は発生しない。簡単なことだ」

 

 俺は本当のことを言うより、嘘を付くほうが不得手だと言えば、彼らは揃って頷く。

 

 腹芸や謀、嘘や知略といった事は栞のような『魔女』の本懐。紫苑はどこまでいこうがただ目の前の敵を斬り伏せる『剣士』でしかない。

 

 そんな彼に対し「自分の苦手なことはしなくて良い」と言ったなら、その苦手なことを行った代償がどれほど重かろうと見掛け倒しに過ぎないのだ。

 

 そもこの《契約》は紫苑を縛るものであって、一輝達を縛るものでは断じてない。故に不平等であって当然だと紫苑は語る。

 

「……他に質問はないか? なければ先程述べた《契約》の内容について『合意』するか否か、決めてくれ」

「僕は合意するよ」

「同じく」

「あたしも」

「わかった。──《夢の断片》起動」

 

 紫苑が頷けば、彼の手元に本の一頁が現れる。

 ホテル内で栞が紫苑に対して渡した、《愚者の写本》その断片。それを握り潰せば頁の断片は宙を舞い、溶け、紫苑の周囲を覆うような膜として展開される。

 

「……これで、良いんですか?」

「あぁ。《夢の断片》は無事に効果を発揮した。……まずは簡単な質問で確かめてみろ。お前達がはっきりと嘘か否かを見分けられる物がいい」

「じゃあ僕から良いかな。……先程から出ている《契約》の能力。栞さんが《夢》の能力者であるなら、原典(オリジナル)の能力者は一体誰なのか。百鬼くんは知っている?」

「あぁ。一輝はよく知っているだろうが。──《比翼》のエーデルワイスだよ」

 

 一輝は紫苑の言う通り、彼女のことをよく知っていた。

 彼の口から飛び出したのは、現在の『世界最強の剣士』にて『世界最悪の犯罪者』の名。

 そして『暁学園』襲撃の際、剣を交えた女の名だ。

 

「一輝と珠雫とは会ったと聞いていたが。あぁ、でも実際に戦ったのは一輝だけだったと言っていたような……」

「…………。その通りだよ。というか面識があるみたいな言い方だね」

「実際あるからな。アップルパイを作ってくれた」

「あ、アップルパイ……?」

 

『世界最強の剣士』とアップルパイ。

 なんて温度差の違う単語だろう。不似合いにも程があるが、紫苑の言葉は止まらない。

 

「なんでもカルヴァドスという、林檎のブランデーを使っているらしくてな。そのお陰で林檎だけでは到底引き出せない重厚な甘さが成立する。けれど決して甘ったるいわけではない。

 俺はアップルパイを食べたのは、エーデルワイスが作ってくれたものが初めてだったんだが……他のアップルパイと彼女の物が同じ食べ物だとは信じられない。それほど絶対的な差があった……」

 

 本当に美味だったのだろう。

 普段口数が多くない紫苑が、これほどまでに饒舌になるくらいだ。

 

 彼と栞がまだ破軍にいた頃、一輝が彼らと談笑していた際普段の食事について話題になった事がある。

 その際、栞は紫苑の事を『いっぱい食べてくれますし、素直に褒めてくれます。だからといって全てに対して肯定するわけでもないから、食事の作り甲斐があります』と評していたが……なるほど、確かに彼は食事に関しては並々ならぬ拘りがあるようだ。

 あるいは栞と接するうちに拘りが芽生えたのか。

 

 それはともかくとして。

 

「……とても信じられませんが。だからこそ嘘ではなさそうですね」

「そうね。あまりに詳細な内容だもの。ここに嘘でも入れ混ぜようものなら、どこかで必ず矛盾が生じるわ」

「とはいえ、絶対的な証拠ではない気がするな。嘘は駄目だが創作は問題ないと見なされているかもしれない。

 ……あぁ、そうだ。珠雫。お前の兄貴がエーデルワイスに言ったことでも教えてやろうか? それなら一輝も知っていることだろうし、《契約》が正常に働いていると確信できるだろう」

「え、あ、はい……お願いします……?」

 

 とことん公平に、公正にやりたいのだろう。

 見方によっては自分の首を絞めるような紫苑の物言いに、珠雫は呆気に取られながらも頷く。

 一輝は「どんなこと言ったっけ……?」と首を傾げていたが、

 

「『ずっと心配ばかりさせてきた。兄らしいことなんて一度だってしてあげられた事なんてなかった。なのにあの子は僕のことを兄と慕い、愛してくれた』」

「ぶっっ!!?」

 

 顔が熟れたリンゴのように真っ赤に染まった。

 言った。確かに言った。だがそれをその妹の前で暴露されるなんて事は聞いていない──!!

 

「ちょっと!! 百鬼くん!?」

「『そして今日、初めて妹が自分の願いのために僕を頼ってくれた。命を賭けるには十分すぎる理由だ。

 ──僕の最弱を以て、貴女の最強を食い止める』……だそうだ。良かったな。兄貴にそこまで想われて」

「僕は何も良くないよッ!!?」

 

 一輝は反射的に紫苑の胸ぐらに掴みかかる。普段温厚な一輝らしくない、粗暴な行動。それを紫苑は窘める。

 

「おい、やめろ一輝。《夢の断片》は会話の内容は誤魔化せても、動作は誤魔化せないんだ。それに行儀が悪い」

「じゃあ僕の羞恥心はどうでもいいっていうのかなぁ!?!?」

「一回言ったことだろうが。二度も三度もそう変わらん」

「変わるんだよ! 聞いてる人が! なんで当の本人の前で暴露されなきゃいけないんだよ!!」

「エーデルワイスは見事だったと褒めてたし、俺も立派な兄貴だと思ったぞ?」

「そういう問題じゃないんだよなぁ……!?」

「一輝ったら可哀想ねぇ」

「アリスは笑わないでほしいんだけど!」

「仕方がないじゃない。傍から見ていたら面白いんだもの」

 

 紫苑の言う通り人の目があるので辛うじて堪えているが、もし周囲を気にしないで良いのなら、有栖院は転げ回って笑っていただろう。

 なにせ普段凛々しく、頼りになる友人がここまで振り回されている姿なんて稀なのだから。

 

「……だが、珠雫がやけに静かだな。どうした?」

「確かにそうね。おーい、珠雫〜?」

 

 紫苑は真正面の一輝に掴まれているせいで、身動きが取れない。故に有栖院が珠雫を確認すれば……目を見開いたまま微動だにしていない。

 

「あぁ……嬉しさがキャパオーバーしちゃって意識が飛んでるわ」

「そんな事があるのか……人体の神秘だな……」

 

 

 

「お見苦しいところをお見せしました……」

 

 珠雫の心の要領のキャパシティオーバーによる意識喪失からしばらく。再び意識を取り戻した珠雫は紫苑に頭を下げていた。

 一輝は羞恥で縮こまり、紫苑に対して恨めしげな視線をやっていたが。

 

「…………覚えてなよ、百鬼くん……」

「悪かった。もうやらん」

 

 こんな姿の一輝を見るなど、酷く珍しいものだから紫苑も苦笑していたが、流石にやりすぎだったと反省している。……これ以上の事もなくはないのだが、それを言うといよいよ反撃が恐ろしい。

 

「他にもあっただろうに、なんでよりによって『ソレ』を言うのさ……」

「ひとつは先に言った通り《契約》が正常に働いているかのテスト。あとは……」

「あとは?」

「ただでさえ妹を心配させてばかりなのに、一輝はヴァーミリオンと交際してからずっとアイツを優先してばかりだったから。少しくらい妹に構ってやれ、良い想いさせてやれ、というのがひとつ」

「どっちかといえばそっちが主じゃない!?」

 

 しかし図星ではあるようで、一輝はそれ以上何も言えなくなってしまう。

 確かに恋人が出来てから──正確に言えば恋人関係を公に出来るようになってから、ステラを優先させていた。それをさも当然と思ってしまっていた一輝には多少の反省が必要であろう。

 

「そうです。もっと言ってやってください、百鬼さん」

「それは確かにそうねぇ。……でも意外だったわ。貴方がそんな事を言うなんて」

「そうか? ……俺は『弟』で珠雫は『妹』だろう。上の性別がどうあれ、兄姉(あね)にあまり構って貰えなくて寂しいと思うのは、ある程度共通するものだと思うがな」

 

 無論、姉が唯一無二の存在を見つけたのなら、それを好ましく思うし、祝福もしよう。だからといってそれを寂しいと思うのは、自分達の自由だと。

 血の繋がりは無くとも、それに見合うだけの絆で結ばれた『姉弟』の下として、紫苑は『妹』の気持ちをなんとなく理解できる。

 

 無論、性別や各個人の思想によって、ある程度は異なって来るのだろうけど。

 

「たまには『妹』を省みてやれよ。兄貴だろう」

 

 ──紫苑の『姉』である瀧華薫は、十年以上意識不明状態で病院のベッドの上。そんな彼だからこそ、『姉に構って貰えなくて寂しい』という言葉は格段に重くなる。

 省みてほしくても、自分と接してほしくても、それが現在は叶わない紫苑から見て、一輝の妹への接し方には物申したかったのだろう。

 

 そんな彼だからこそ、その言葉は一輝の深いところに突き刺さって。

 

「うん。……肝に銘じるよ」

 

 一輝は確かに頷いた。

 

「ねぇ、紫苑」

「どうした」

 

 流れる空気が真面目な物になるのであれば、ここにいる皆にとって歓迎すべき物だろう。しかし真面目を通り越して沈痛なものになり、それをなんとか払拭せんと今度は有栖院が言った。

 

「あたしはてっきり、貴女は薫さんの事を異性として好ましく思っているのだと考えていたのだけど……そういうわけではないの?」

「…………なんだ、藪から棒に。そもそもお前達は、俺に『暁』の事を聞きに来たんじゃなかったのか」

「それはそうなんだけどね? ほら、一輝ばかりが恥ずかしい思いするのも不憫じゃない? ここは互いに恥ずかしい想いをして水に流しましょうって事でどうかしら?

 ……ちょうど諸星さんもこっちに来ることだし、ちょっと休憩しましょうよ」

「……それは確かに」

 

 まだ本題は始まってすらないのだが、話すまでの行程が非常に長かったのは事実。ここは腹を満たしながら話した方が良いだろう。加えて紫苑は考える。

 ……それにここで手打ちにしておけば、後で何をやらされるかわからないことを強制される事はなくなるだろうと。

 

「ほい、豚玉3に海鮮ミックスおまちどお。……なんかえらい騒がしかったけど、どんな話しとったん?」

「紫苑のコ・イ・バ・ナ♪」

「え、なにそれめっちゃ気になる!」

「諸星……お前……」

「知らんかったんか? 大阪人は皆下世話な話が好きや」

「物凄い勢いで大阪府に住む人全員を敵に回しましたけど。……というか仕事は良いんですか?」

「コイバナ一個聞くくらい見逃してくれるわ。そもそもお袋は客案内しといて、放置しとく方が礼を欠いとる言うし」

 

 ちらり、と珠雫が諸星の母親の方へ視線をやれば、大体の話は《夢の断片》の改変の対象にはなっていなかったようで、聞こえていたのだろう。頷いて、鉄板に視線を戻した。

 これが息子に対する信頼なのだろうな、と自分の父親を思い浮かべ、その親としての出来の差に溜め息を吐いた。

 

「で? で?」

「距離が近い。……それで。薫姉を異性として好いているか、だったか?」

 

 紫苑は己の中の感情と向き合う。

 このようなくだらない話ではあるが、一応これにも《夢の断片》は働いている。故に嘘は吐けず、誤魔化すような事は出来ない。

 

 ……それに、これまでの紫苑ならば『そんなもの知らん』と一蹴していただろうが、この3ヶ月と少し栞と共に剣以外の様々な事を学んできた。

 自分の気持ちについて改めて考えてみても良いかも知れないと、そう思えた。

 

 紫苑は自分の注文した豚玉に箸を伸ばしながら、口を開いた。

 

「……別にそんなことはない、気がする」

「へぇ……」

「大切に思ってはいる。初恋と呼べるものは、きっと薫姉だったのだろう。……だが一輝やヴァーミリオンのそれと、今の俺が薫姉に向ける感情が同じものかと聞かれたら……きっと、違う」

 

 紫苑にとって瀧華薫という人物は、かけがえのない人物だ。しかし彼は一輝やステラのように、彼女に並び立ちたいとは思えない。

 彼女を尊敬していて、こうありたいと思う憧憬を胸に抱いている。彼女の剣を世界で一番のものにしたいと思うからこそ、自分は彼女をずっと()()()()()()()のだと。

 

「血の繋がりはなくとも、俺は彼女の『弟』で彼女は俺の『姉』だ。『姉』と結ばれたいとは、俺は思わない」

 

 ちらり、と紫苑の視線は珠雫の方へと向かう。

 それに彼女は苦笑し、頷いた。

『俺はお前の想いを否定する気は毛頭ない』と、兄に対して恋慕の感情をも抱く自分に対して言いたかったのだろう。それに珠雫もまたわかっている、と首肯したのだ。

 

 兄と妹。姉と弟。想いの形に違いはあれど、その想いの重さは何も変わらないと互いに理解しているが故。

 

「ずっと見上げていたい、かぁ。弟にそれだけ想われたら姉貴も嬉しいやろ。お前もそうちゃうか? 黒鉄」

「……ですね。まぁ僕は心配をかけてばっかりなんですが」

「その辺りはよく知っている。まぁそう落ち込むな。心配のかけ具合で言ったら、俺の姉もそう変わらん」

「反応し辛いなぁ……それは……」

 

 瀧華薫は電車の脱線事故に巻き込まれ、十数年意識不明の状態が続いている。そんな彼女と同列に扱われることは、色んな意味で申し訳なくなる。

 

「じゃあ惚れてる女とかおらんの?」

「この話、まだ続くのか……?」

「えぇやん、減るもんやなし。具体的にこの子やって名前挙げなくても構わんから」

「そうは言われてもな……」

 

 諸星の言葉に改めて紫苑は考え込む。

 好いた惚れたの関係になった者など、紫苑の人生においていない。

 それに興味を示し、仮に自分にそのような相手ができてしまえば、弱い自分は際限なく寄り掛かってしまうだろうと信じていたから。

 

 誰の前でも『最強』であらねばならないと、そう信じ切ってしまっていたから。

 

「じゃあ髪色とか。好きな色とかないん?」

「黒髪」

「うわ食いつきエグ……」

「……それ、お姉様の影響ですか?」

「だろうな」

 

 珠雫が見たことがある《華姫》瀧華薫は、日本人特有の、しかしそれとは一線を画す美しさの濡れ羽色の長髪を持つ女性だった。

 そんな彼女と長年を過ごしてきた紫苑だ。無意識的に憧れの姉と同じものを持つ女性を求めていても、なんら不思議ではない。

 

「性格とかはどうなの?」

「……月並みかもしれんが、優しいと嬉しい。包容力がある、と言えばいいのか。……これも俺の根が弟気質だからなんだろうな」

「なるほどなるほど。……ずばり、胸の大きさは?」

「アリス、ハッ倒すわよ」

「本当にずばりだったね」

「女がいる場所でそれを聞くか……?」

 

 珠雫、一輝、紫苑は三者三様に有栖院を責めるが、当の本人は「大事な話よぉ」と笑い、

 

「男なんて口では綺麗事言ったって、結局のところ女の胸が好きなのよ。大きいが好きか、小さいが好きかの好みの差はあれどね。それなら最初からはっきりさせて、交際した後のすれ違いをなくしたほうが、余計な諍いが減って互いに楽じゃない?」

「そういうアンタはどうなんや?」

「あたしはほら、心は乙女だもの」

「オカマって便利やなぁ……あ、ちなみにワイはでかいのが好きやで? でかいもんって男心を擽るよなぁ」

「……別に貴方には聞いてないんですけど」

「そう辛辣な眼ぇ向けんといてくれや、珠雫ちゃん。こんな気不味い話の先陣きるのは先輩の務めやろ。で、黒鉄兄は絶対に巨乳好きやろし」

「そこで僕に来るんですか!?」

 

 紫苑に向かうだろう矛先が、急に自分の元に来たことに驚愕する一輝。しかし、そこは生真面目な一輝のこと、自身の中にある答えをちゃんと口にする。

 

「………………………まぁ、そうですね……」

「お兄様……」

「いや、あの。ごめん珠雫。ただ百鬼くんは絶対に嘘が吐けないのに、僕が誤魔化すのは違う……とおもっ、て……」

 

 妹の眼がこれまで見たことがないほど冷たいものになる。それに関しては一輝は再び小さくなることしかできず、言葉すら最後は形にならなかった。

 

「それで? 貴方はどうなの? 諸星さんも一輝も言ってくれたけれど」

「…………」

 

 考え込む。

 異性の胸の大きさなど、これまでの人生において気にしたことがなかった紫苑だ。それが急に、それについて語れと言われても困惑が勝つ。

 しかし答えなければこの話が終わることはないのだろう。

 

 では、と紫苑は身近な女性を例に考えてみる。

 

 紫苑にとって縁深い女性と言えば、姉である瀧華薫。自分を引き取ってくれた西京寧音。そして3ヶ月間寝食を共にしてきた月影栞くらいのもの。

 そんな彼女らの胸の大きさを比較する。大変失礼な真似をしているというのは重々承知の上だが、紫苑は早急にこの話を終わらせたかった。

 

「……前提として、俺は女の胸の大きさを然程気にしたことがないんだが」

「えぇ」

「…………強いて言うなら、大きい方いい……ということになる、のだと思う」

「……本当に男って」

 

 唯一、心身ともに女性である珠雫は男達の赤裸々な性癖トークに辟易としていた。が、同時に思い至る事もある。

 ここまでの紫苑の答えを総合すると『黒髪で、包容力があり、胸の大きな女性』が好みということになる。

 

 ──紫苑の身近にいて、その特徴に当て嵌まる女性なんて一人しかいない。

 

(栞さんのことでは?)

(月影さんのこと言ってるよね)

(紫苑が言ってるの、栞ちゃんのことよね〜)

(これ、栞ちゃんのことちゃう?)

 

 四人はそれに自然と気がついており。知らぬは本人ばかりとなったのだった。




Q.今回の話ってなんなんですか?
A.落第騎士の男達ってどいつもこいつも大人びていて、男子高校生感が出ない。なら俺が出してやると思った。

閑話で紫苑の修行エピは必要ですか(本編中でこんな事やった、というのは触れる予定)

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  • はよ本編仕上げろ
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