私は転生した。なにも特別なことがあった訳じゃない。
ただ家で心臓発作を起こして死んだのだ。享年28才とかなりの若さであったが私は元々心臓に疾患があったのだ。別に珍しくもなんともない。親族が少し気がかりだが、転生したという現実があまりにも重すぎる。今生の家族とはまあ上手くやれているが、少々複雑だ。
「どうした廉太郎、そんなに考え込んで。明日からのイギリスでの生活が不安か?」
「いや、そういうわけじゃないよ」
私は今9才で明日からはイギリスで暮らすことになっている。父の仕事の都合だ。英語は前世から得意で今生でも勉強は怠っていないから、その点は問題ない。
「そうか?学校でいじめられたらすぐにいうんだぞ?」
「大丈夫だよ、父さん」
イギリスに来た。そして今は学校に転校初日だ。イギリスでは9月から学年が変わるので丁度そのタイミングで転校することになった。
「Nice to meet you. This is Renntaro Kitahara.」
とまあ当たり障りのない自己紹介の後、いくつかの質問に答えた。ちなみに私の名前は北原 廉太郎と書く。そのあとは普通に授業を受け、休み時間になった。しかし、話しかけてくる子どもはおらずボッチになってしまった。まあ急に日本人が来たら話しかけようとは思わないだろう。そこで席が隣になった少年に少し話しかけてみることにした。
「こんにちは、隣同士よろしくね」
「えっ、あ、うん」
おや、この子はどうやら女の子のようだ。ボサボサの髪と分厚いメガネ、それと男物の服ーしかもよく見るとサイズのあっていないーでわからなかった。
「さっきもいったけど私は廉太郎、レンって呼んでよ」
「あ、うん。僕はハリエット・ポッター、ハリーって呼んで」
…え?いやいや少し驚いたが別に珍しくもない名前だ、単に似ているだけだろう。
「ハリー!なにやってんだ、早く来い!」
「…わかったよ、ダドリー」
「 」
え?マジで?
「ダドリー?」
「ん?なんだお前、だれだ?」
「私は廉太郎、レンと呼んでくれ。先ほどこのレディと友達になったものだよ」
「はあ?こいつの友達?しかもレディ?!」
「えっ!?」
「おや、私は友達になったつもりでいたが…違っていたかね?」
「えっ、いや、ううんちょっとびっくりしただけ」
…とっさに言ってしまったがどうやら正解だったようだ、ハリーは嬉しそうに何度も頷いている。
「こんなチンチクリンと友達、しかもレディって!お前頭おかしいんじゃねえの?」
「おや、私からすればハリーは立派なレディーだが?それよりも女性を乱暴に呼びつけて、初対面に名乗りもせずにいる君の態度の方こそどうなのかね?お里が知れるというものだよ」
「何だと?!俺はダドリー・ダーズリー、そこまで言うなら教えてやるよ!こいつは孤児なんだよ!」
…確定した。何てこった。私はどうやらハリー・ポッターの世界に転生したようだ。
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主人公の転校時期を修正しました