どうも。本編で名前を1回しか呼んでもらえなかったガンダム01ことウイングガンダムです。
物語前半の主役機です。
主役機です!!
しかも名前を呼んでくれたのがあろうことか敵側のトップの片割れなんですよ。僕の
始まりはオペレーション・メテオと呼ばれる作戦で地球に降下した時の話。
宇宙から見た青い地球の眺めに感動しながらもくそ熱い大気圏を抜けて大空から見た地球の大地にはワクワクしましたね。
そこで追ってきて攻撃してくるOZのMSを必殺の武器であるバスターライフルでエアリーズ二機共々一撃で撃墜してやりましたよ。内心、鬱陶しかったんでざまあみろ! と思いましたね。
それで残ったリーオーを沈めて本来の任務をする筈だったのに敵パイロットの腕が良かったのかバスターライフルを避けて組み付いてきたんですよ。そのまま海中にドボンです。
っていうかあの野郎。組み付かれてるのに抵抗すらしやがらねぇ!? パワーが違うんだから引き剥がせよっ!!
しかも僕を棄てて自分だけ陸に上がりやがった。ついでに自爆装置まで起動させて。
幸い、自爆装置は偶々やって来た僕と良く似たMSが解除してくれましたけど。
そこで地上に引き上げてもらえる筈だったのに待っていたのは僕の持ち主さん。
あろうことか彼は僕を引き上げてくれていたデスサイズ君もろとも魚雷でぶっ壊そうとしてきやがった!?
せめて取り返す努力をしてくれよ! どんだけ僕が嫌いなの!? どんだけ壊したいの!?
しかも魚雷が当たる直前に見た満足そうな顔がなおのこと腹立つわ!!
それから少ししてデスサイズ君の持ち主が使っている工場に運ばれて修理してもらえる事になりました。
ところがうちの持ち主さんはそこの人達の好意を断って自分で直すと言ってきます。予備パーツも無いのにどうやって? と疑問に思っていたら、皆が寝静まったのを見計らって修理したばかりのデスサイズ君からパーツを盗み出しやがったよ!?
ちょっ!? やめたげて!! デスサイズ君、すっごい恨めしそうな目でこっち見てるから!! あ、首もげた。
そこからしばらくは本来の任務を淡々とこなす日々。
途中でただの女の子をシールドで殺そうとしたり、誤認でターゲットとは別の人を殺しちゃったりしたけど取りあえずは黙々と任務を遂行してました。
でもとある任務で白い機体。プロトタイプリーオーことトールギス君との一騎討ち。
ライバルとの闘いは血が騒ぎましたね。
最新鋭機性能を見せてやんよ! と思わず内心で叫びましたよ。
ところが、コロニーが人質に取られたことで戦闘中止。
僕の製作者であるドクターJがモニターに映って、降伏はするがガンダムは渡せん! とか言ってくるの。どゆこと?
僕を操縦していた彼が、任務了解と言ってハッチを開けて外に出ました。
おい。ちょっと待て。まさか!?
そして彼は躊躇うことなく自爆スイッチ押しやがったんです。
いってぇええええっ!?
何してんの!? 体を内側から爆破させるって滅茶苦茶イテェッ!?
いつかやると思ってたけどホントにやりやがったっ!?
そこからトールギス君のパイロットに運ばれて修理してもらいました。
いやー。皆さん良い仕事してくれます。
重要部品は破壊されてる筈なのにトールギス君の予備パーツを分けてくれて丁重に直してくれたんですよ。
そこからまた海中に沈められましたけどね!
そして僕のパイロットとトールギス君のパイロットが決闘をするようです。
修理してもらった恩は有れど、騎士道精神に則り、ここは全力で────って、思ってたらヘビーアームズ君に乗り込んで行きやがった!?
え? なんで? 僕の方が乗り慣れてますよね!?
おい、トールギス君。嘲笑するのやめてくれますぅ!
決闘自体は横槍が入って中止。
トールギス君を殿にヘビーアームズ君と脱出しました。
そしたらあんの野郎! また海中に棄てていきやがった!!
いや分かるよ。
地上用の僕だと宇宙に上がっても邪魔になるものね! だからって躊躇いもなく海に棄てんなよ、いい加減にしねぇと次乗ったときに操縦させねぇぞコラァ!!
そこからまた色々あって彼と一緒にルクセンブルクで大量のMDビルゴを相手に戦った訳ですよ。
でもやっぱり数の差は簡単には覆らず、もうダメだと思いましたね。
まぁ実際に、ルクセンブルクでまた乗り捨てられましたがね!
棄てられた僕をOZの人達が回収してくれてからは平和でしたよ。
皆さん丁重に修理してくれて。僕の事を素晴らしいMSだって褒めてくれたり。装甲を新品同様に磨いてくれたり。
宇宙用のブースターまで取り付けてくれたんです。
あれ? 僕もしかして本来の主より敵側に居る時の方が扱い良くね?
そんな、穏やかな日々に知らない女の人がいきなり乗り込んで来て宇宙に向けて発進。
宇宙に行くと青いトールギス君を庇って巨大なビーム砲を喰らって下半身が吹き飛びました。
でもこの時初めてトレーズさんが僕の名前を呼んでくれたんです。
主ですら呼んでくれなかったウイングガンダムという名前を!
それだけで何故か報われたような気がしました。
僕は壊れちゃったけど、名前を呼んでくれた閣下を守れて満足です。
今はこの美しい地球を眺めながら穏やかな気持ちで宇宙を漂っています。
そして僕は考えることをやめた。