『M-デイ(X-MENでの事件)みたいなことが起こったら?』   作:蜜柑ブタ

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爆豪がやらかして、人間じゃなくなったバージョン。



また出久が酷い目に……。注意!!


IF 『爆豪がやらかして、人間じゃなくなるver』

 

 個性と呼ばれる異能が消えた日。通称、S-Dayと名付けられた大事件があった。

 総人口の8割が個性と呼ばれる異能を持っていた社会の死。

 赤い光が世界を包み込み、光が消えた後には、個性を持っていた人間達のほとんどすべてが無個性となった。

 個性を残した状態の人間は、全体の僅か数パーセント程度とされている。

 ヒーローもヴィランも、大人も子供も関係なく、個性は消えた。個性を残した人間もいた。

 無個性が主流となった世界は、やがて個性を持つ者達を恐れるようになった。

 それは、ヒーローとして活躍していた者達すらもヴィランと同一視され恐れられるようになった。無個性になったからこそ、個性がどれほど恐ろしい物なのか理解してしまったからだ。

 

 爆豪勝己という少年がいた。

 彼は、爆発の個性という、優れた完全攻撃型個性の持ち主だった。

 S-Day前、将来を有望視され、褒められ、持ち上げられるのは当たり前だった彼は、あっという間に増長した。

 彼は、S-Dayの真実を知る当事者であった。

 

 デク(※出久)。そう馬鹿にし、個性を持って生まれ直すよう、自殺教唆もした無個性の少年がいた。

 その彼には、同じく無個性の妹がいた。

 彼女だ。緑谷玲香。

 S-Dayを引き起こしたのは彼女だと知っていた。

 しかし、真実を語ることはできなかった。

 なぜなら、同じく当事者で、爆豪と違って個性を失った者が真実を世間に広めようとして精神異常者として捕縛され、そのまま精神病棟に連れて行かれた後、帰ってきたときには廃人も同然の状態になってしまったからだ。

 世界政府が、そして真実を知るヒーロー達が総力を挙げて、S-Dayの真実を隠蔽している。そのことに気づくのに時間はかからなかった。

 絶望した。失望した。オールマイトを始めとしたヒーローがS-Day前の世界を見殺しにした事実に。爆豪は、自らが世界改変のトリガーを引く後押しをした人間の一人であることを棚に上げて。

 爆発の個性という、使おうものならば周りを傷つけずにいられない攻撃型個性の持ち主である爆豪を取り巻く環境は、あっという間に最悪な物になった。

 今まで自分を持ち上げ、褒めていた者達が手のひらを返して彼を恐れるようになった。

 それに怒って思わず爆発を使いかけようものならば、あっという間に逃げられ、たった独りぼっちになる。他人でさえも、顔を知られてしまっているため爆豪だと気づかれればあからさまに離れていった。

 両親は、ビクビクするようになった。いつ爆発の個性を使われるか分からない爆豪のキレやすい性格を理解しているだけに。それを隠しているのだろうが、親子だから嫌でも分かってしまい、爆豪はある日家を飛び出した。

 ちくしょう、ちくしょうちくしょうっと、何度も悪態を吐き、土管や小石を蹴った。

 

 夕方の空が赤く染まる時間帯。

 赤い色が、どうしてもあのS-Dayの瞬間を思い出させてくる。

 

 爆豪が、ギリッと唇を噛んで佇んでいると。

 楽しそうな男女の声が聞こえた。聞き覚えのある声だった。

 振り返ると、空き地に沿った道を、緑谷の兄妹が歩いていた。楽しそうに雑談をしながら本当に…仲良さそうに…。

 二人は、いっさい爆豪に気づいた様子も無く、歩き去って行く。

 それが癪に障った。

 自分が苦しんでいるのに、なぜアイツらが暢気にしているのかと。

 そうなってしまえば、もう止められなかった。

 爆豪は後ろから、二人に走り寄り、爆発の力を纏った拳を振るった。

 それにいち早く気づいた出久が妹の玲香を突き飛ばし、爆発が出久を襲った。

 爆豪は、玲香の悲鳴を無視して、あらんばかりに叫んで爆発を出久に振るった。

 それは、赤い光が再び発生するまで続いた……。

 

 

 

 

 目の前が真っ赤に染まった爆豪がハッと我に返って目を開けると。

 そこは、いやに視線が低かった。

 しかもすべての物が大きく見え、爆豪は慌てて自分の手を見た時、悲鳴を上げようとして…上げられなかった。声を失っていた。

 

 

「出久ー、玲香ー! おはよう!」

「おはよう!」

 すると、そんな自分の横をズシンズシンと足音を立てて通り過ぎていく、人間の靴が見えた。

 見上げると、そこにはひとりの少年らしき男がいた。

 少年は、チラッと爆豪の方を見た。

 

 そして……、ニヤッと笑ってきた。

 

 爆豪は、何事か叫ぼうとしたが、ギチギチと音が鳴るだけでなにも声が出ない。

 やがて、あの少年は、出久と玲香の方へ走っていき、三人仲良く登校していった。

 

 世界が再び改変されたのだと、爆豪が理解するのにそう時間はかからなかったが。

 かつて自分の立ち位置であった幼馴染みの位置に、見知らぬ人間がいて。

 そして自分が人間ですらなくなったという事実を受け入れられたかどうかは、誰にも分からない。

 

 

 

 




人間じゃなくなった爆豪に向かって笑った人物が、何者なのかは不明ということで。
あと、爆豪がナニになったかは、ご想像にお任せします。


こう書くと……、出久妹の能力のトリガーは、出久にあるかもしれないなっと分かりました。そもそも最初の能力発動のきっかけも、出久の自殺でしたし。
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