『M-デイ(X-MENでの事件)みたいなことが起こったら?』 作:蜜柑ブタ
それでもOK!って方だけど、どうぞ。
ただ、若すぎる年齢の彼には、突然の個性社会が死んだことに耐えられるか?っという疑問と、感想欄での感想から書いてみようって思ったので書いてみました。
いやいや、爆豪はもっと強いんだ!って思われる方は、読まないことを強く!オススメします!!
あと、これはあくまでもM-デイみたいなことが起こったら~の、さらにIFなので、実際に爆豪が個性を残した状態になったかはご想像にお任せしますって感じです。
あくまでもこれは、爆豪が、個性を残した状態でいた場合という筆者の想像ですので。
ある日、赤い光が、世界を包み込み、個性を消し去った。
それは、S-Day(エスデイ)(※S=スーパーナチュラルパワー)と名付けられ、突然の個性社会の死として歴史に刻まれた。
しかし、すべての個性の持ち主が無個性になったわけではなかった。
ごく一部だけ……、世界政府が調べ上げた段階で確認できただけで、全人口の数パーセント以下だけが元々あった個性を保有していた。
その中には、S-Day前に、ヒーローやヴィランと区分されていた者達もいた。もちろん総数から考えれば一般人がほとんどであったが。
ヴィラン組織は実質壊滅。そしてヒーローもまた実質消滅。もはや両勢力は、S-Dayにより消滅寸前となっていた。
そしてまた、かつて8割が個性を持っていた一般人達が無個性となり、そういった人間達が占める社会がその両者の存在を存続させる無意味さを感じ始め、かつてヒーローを育成する名門校であった、雄英校が閉校となるのに時間はかからなかった。
そしてただの無個性となったことで痛感する、個性の恐ろしさ……。
その恐怖心はかつてヒーローとして彼らを守ってきた功績すら無視され、僅かに残った個性を有するヒーロー達もヴィランと同等に恐れられる対象になっていった。
そうなるとくすぶるのは…、ヒーローとヴィランを含めた、僅かに残った個性を消されず残した者達だ。
ある者は、人の目を恐れて身を隠し、ある者は向けられる恐怖心すら受け入れて変わり果てた世界を静観し、ある者は犯罪に走った。
迫害の対象となった個性の持ち主達は、それぞれ様々な思いを抱えて生きる。いや、生きなければならなかった。
それは皮肉にも、かつて個性主義とも言える社会で無個性が迫害されていたように……、まるで立場が逆転したように。
S-Day以降、ひとりの少年が追われていた。
名を、爆豪勝己。
自らの身体から分泌する汗が爆発の力となる完全攻撃型の個性の持ち主だった。
彼は、不幸にも…S-Dayを経て個性を残したままになった。
最初こそ彼は、自分は幸運だったと喜んだ。
しかし、周りはすべて無個性となった。
それまで彼を讃え、褒めていた取り巻きや大人達の目が、急速に恐怖のそれに変わるのにそう時間はかからなかった。
若すぎる年齢である彼はそれが気に入らず、S-Day前のように、いつも通りの感じで爆発の個性を使って癇癪を起こした。起こしてしまった。
そこからは、もう目も当てられない転落となった。
それまで自分を褒め称え、そして持ち上げていた者達がすべて手のひらを返し、彼を犯罪者として追い立てた。
逃げるために爆発を使えば使うほど、これまで聞いたこともなかった恐怖から上がる悲鳴を聞き、爆豪は耳を塞いでただただ逃げ惑った。
なぜこんな世界になってしまったんだという疑問は尽きない。
逃げ込んだ廃屋で疲れ果てた身体を休めていると……、ふと思い出す。
あの赤い光を発したのは誰だったのかを。
濃い緑色の髪の毛。そしてそばかす。
かっちゃんっといつも自分を呼んでいた無個性の幼馴染みの少年の双子の…妹。
そうだ…、あの時、その無個性の少年が自殺したあとの葬儀の時に、異変が起こったのだ。
少女は叫んだではないかと、個性なんて消えてしまえと。そして世界が真っ赤に染まったんだっと。
思い出した爆豪の心に凄まじい怒りと共に、希望への道筋だという希望がわき上がる。
もう一度、あの少女に力を使わせれば元の世界に戻せるはずだ!
そう信じて、人目を避けながら緑谷出久の家の近くまでやっとの思いでたどり着いた。
チャイムを鳴らしたが、誰も出ない。
元々気の短い彼は、爆発の個性で扉を爆破させようとした。もう自分には後先がないがために。
「誰?」
すると、聞き覚えのある少女の声が聞こえた。
見ると、そこには、緑谷出久と共にいる、S-Dayの元凶である出久の妹がいた。
二人は、見知らぬ人を見たようにキョトーンとしている。
「デクゥウウウウウウウウ!!」
それはかつて無個性の出久を下に見てきた時の彼の呼称。出久という字からそう呼んでいた。
出久の妹は、爆豪の殺気に怯えた。すると出久が危険を察して庇う。
「元の世界に戻しやがれ!!」
「な、なんのこと?」
「とぼけんなこのクソナードがああああああああああ!!」
出久の妹はただただ怯えていた。
それを見てついに堪忍袋の緒が切れた爆豪は、爆発の個性を発動させていた。
そして、爆発が出久を襲い、出久が倒れた。
「いやーーーー! お兄ちゃん!!」
その爆発音と妹の悲鳴でたちまち人が集まり、指名手配状態だった爆豪だとバレると、あっという間に警官隊が駆けつけてしまった。
「元に戻せ! 元の世界に戻しやがれ!! くそがあああああああ!!」
爆豪は狂ったように爆発を起こして周りを威嚇し、誰も近寄らさなかった。
そんな手の付けられない爆豪の背後に現れた巨漢が、彼の首筋を手刀で殴った。
「お……オールマイト?」
意識が遠のく中、爆豪が見たのは、あの笑顔では無く悲痛に顔を歪めたオールマイトの顔だった。
その後、爆豪が目を覚ましたのは、牢屋の中だった。
元々は、個性を持つヴィランを収容するための特注の檻であるため、爆発の個性程度ではまったく破壊できない。
個性を封じられた状態で尋問を受けた爆豪は、出久の妹こそがS-Dayの元凶であることを必死に訴え、元の世界に戻さないといけないと叫んだ。
しかし…、警察からはため息をつかれ、出久の妹は無個性だと語った。
そんなはずはない! 調べろと叫ぶが、その後持ってこられた資料からは、どう調べても出久の妹が無個性であるという証拠しか出てこなかった。
そんなはずは……っと、叫び続けていた爆豪は徐々に弱っていった。警察側は、爆豪が神経衰弱で妄想に駆られたと判断し、精神病院への収容も念頭に置き始めた。
そんな時、オールマイトが爆豪を訪ねた。
爆豪は、弱々しくブツブツと独り言のように当時起こったことを語った。
「やはりそうなのか…。」
爆豪は、そのオールマイトの言葉を聞いて目を見開き彼を見た。
「現代医学や科学では…、彼女の個性は発見することはできんのだろう。だから彼女は無個性なのだ。」
「じゃ、じゃあ…!」
「だがね。世界のすべてそのものを改変するほどの個性だ。もしかしたら1回きりしか使えないのかも知れないのだよ。現に、彼女はすべてを忘れて、そして無個性として存在している。もし君が彼女を痛めつけて死に追いやったとて、元の世界には戻らないだろう。」
「どーしろってんだよ! どうしたら……、元の世界に戻せんだよ…!?」
「おそらくは、もう二度と元の世界には戻らない。私はそう思うのだ。」
「……帰りてぇよぉ……。」
「少年…。」
「元に戻してくれよぉ……。もう、二度といじめないから…、あの頃に帰りてぇ……。なんでもするから…、お願いだ…お願いだぁ!! 帰してくれよぉおおおお!!」
懐かしくなってしまったあの日々…、かつての幼馴染みの少年とその双子の少女と仲良く遊んでいた日々が今更になって恋しい。
どうして個性なんてものが自分に残されてしまったんだろう……。無個性が当たり前となった世界で、爆豪は独りぼっちになった気分だった。
個性を失って無個性として新たに人生を始めていれば…、いや、そもそも個性なんてものを持たなければ、あるいは…?
その日をもって、爆豪勝己の心は崩壊した。
なお、出久は、死んでません。大怪我ですが、命に別状はありませんので。だいじょうぶです。
2020/04/11
オールマイトの話は書かないって書いてましたが、ありゃ嘘になりました。