『M-デイ(X-MENでの事件)みたいなことが起こったら?』   作:蜜柑ブタ

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原作未読なので、焦凍のキャラが迷子です!



よく泣いています。つまりキャラ崩壊しています。むしろ別人?


いやいや! 焦凍はそんな泣き虫キャラじゃない!って方は、読まないことをオススメします。



それでもOK!って方だけどうぞ。



※2020/04/12
サブタイトルを新世界から、改変世界に変えました。


IF 『改変世界での、とある子供の新たな人生』

 かつてヒーローが栄冠を収めていた時代があった。つい最近までの話だ。

 壊すのは簡単だ。だが作るのは難しい。物事とはそういうモノなのだろう。

 

 S-Day(エスデイ)と名付けられた、世界からほとんどの個性が失われた大事件。

 

 ヒーローもヴィランも関係なく、ほとんどの個性が消えた。それは当然だが、大人だけでは無く、子供達も同様であった。

 

 あるところに、まさにヒーローのサラブレッドと言えるほどの素晴らしい血筋と、個性を持っていた子供がいた。

 

 名を、轟焦凍。

 

 万年ランキング2位のヒーロー・エンデヴァーの実の息子である。

 

 父・エンデヴァーの炎の個性と、母親の氷の個性を合わせ持った、二つの能力をひとりで補い合えるまさにサラブレッドだった。さらには容姿端麗ときたものだ。

 

 しかし……、そんな彼であるが、生い立ちはとても恵まれたものではなかった。

 

 より強い個性を持つ子供を産むための配置である、個性婚という形で無理矢理に焦凍の母親となる女性を娶ったエンデヴァーは、焦凍を末っ子に、他にも子供をもうけた。だが彼の理想に叶ったのは、焦凍ただひとりだった。

 

 理想の子として生まれた焦凍は、個性が覚醒する年齢に達してから、ヒーローにされるべく、まさに虐待に等しい訓練を父親から受けた。

 

 母親は、そんな子供を心配し、慰め、心よりどころとして支えになった。

 

 だがそれは母親にとって大きな負担になっており、やがてヒビは大きくなり、ある日、割れた。

 

 焦凍の左側…つまりエンデヴァーの個性を宿した部位が憎いと、母親により、煮え湯を顔に掛けられてしまったのだ。そしてエンデヴァーは、そんな妻を精神病院に隔離した。

 

 この一件は、焦凍にとって大きな傷となり、父・エンデヴァーを深く憎み、そして彼から受け継いだ炎の個性を使わないと誓うほどになってしまった。

 

 何が何でも自身が持つ母親から受け継いだ氷の個性で父親を見返すと、推薦で行くことが決まっていた雄英校に行くはずだった。

 

 だが、進学前にして、その日は突然やってきた。

 

 

 S-Day。世界から、ほとんどの個性が消えた日。

 

 

 赤い光がすべてを飲み込み、消えたあとには、焦凍が宿していたはずの二つの個性が消えていた。

 

 それからのことを、焦凍はあまり覚えていない。

 

 

「……だいじょうぶ?」

 

 優しい響きを持つ少女の声で、焦凍は、目を覚ました。

 

 浮浪者のようにゴミ溜めに背中を預けて眠っていたらしい焦凍の前の前に、濃い緑の髪の毛に、そばかすの少女がこちらを心配そうに見ていた。

 

「怪我してるよ? こんなところで怪我して寝てたら…バイ菌が…。」

「ほっといてくれ…。」

 心配する少女に、焦凍はすげなく拒絶した。

「えっ?」

「失せろよ。」

「えっ…でも…。」

「ほっといてくれ! お前に何が分かる!」

 気がつけば焦凍は勢いで叫んでいた。

 自分の身の上話を。

「ハッ…、天下のエンデヴァーの息子が今やただの無個性だ。自分を自分たらしめる支柱が無くなった気分がどんなもんか……。」

「…分からないよ。」

「そりゃそうだよな。だって他人…。」

「だって私、無個性だもの。」

「……ハッ?」

「個性を見つける診断でね。お兄ちゃんと一緒に無個性なんだって言われたの。だから個性があった人が、急に個性が消えた気持ちは…分からないの。」

「……そうか。」

 少女の優しい声色に、徐々にカッとなっていた頭が落ち着いていく気がした。

「お父さんもお母さんもね、個性があったんだけど、急に無くなってびっくりしたって言ってた。でも無いならないで、慣れたから、どうってことないって言ってたよ。」

「そうか……。」

「こんなところでいたら…、親が心配しない?」

「俺…、親とは疎遠なんだ。兄貴達がいるけど、そっちも。」

「そっか…。」

 

「玲香。れいかー。」

 

 そこへ少年の声が聞こえた。

「お兄ちゃん。」

「どうしたんだ? あっ、怪我してるの!? 大変だ!」

「ほっといてくれよ…。」

「そんなことできない! 病院行こう! お金は僕が払うから!」

「えっ、あっ、ちょっ!」

 少女によく似た少年に無理矢理立たされ、両腕を二人に掴まれた状態で引っ張られてそのまま近くの病院に連れて行かれた。

 病院の先生に診せたところ、バイ菌が入って、危うく手足が壊死するところだったのだそうだ。

「処置が間に合って良かった~。」

「………あとで診療代…。」

「あっ、いいよ別に。僕が勝手にしたことだし。気にしないでいいよ。」

「いや、そういうわけには…、せめて…名前と住所教えてくれよ。そしたら金返すから…。俺の名前は…、轟焦凍だ。」

「うーん、仕方ないなぁ。僕は、緑谷出久。」

「私は、緑谷玲香。で、住所は……。」

 そうしてお互いに自己紹介して、明日お金を返すということになり、その日は別れた。

 

 

 翌日。

 焦凍は、お金を持って、昨日聞いた住所の家に来た。そしてチャイムを鳴らすと、いかにも優しそうな、ふくよかな女性が出てきた。

「いらっしゃい。あなたが轟君ね?」

「あ、はい…。」

「あがって、あがって。二人が待ってるから。」

「お…お邪魔します。」

 控えめに言って、靴を脱ぎ家に上がった。

 市販のお菓子と淹れたてのお茶の匂いがした。長らく嗅いでいない匂いのような気がした。

 途端、焦凍の腹の虫が鳴った。盛大に。

 居間で待っていた出久と玲香、そして後ろにいた二人の母である引子は、キョトーンとした。焦凍は、カーッと顔を赤くした。

「お腹すいてるの? 朝ご飯は?」

「……食べてない。」

「あら~、それはいけないわよ? もうすぐお昼ご飯だし、早めにお昼ごはんして、一緒に食べましょう?」

「えっ…、いや、そういうわけには…。」

「いっぺんに作れるように丼物でいいかしら?」

「あ、あの…。」

「親子丼がいい!」

「同じく!」

 慌てる焦凍を無視してトントンと話は進み、お昼をご馳走になることになってしまった。

 なぜこうなる…?っと落ち込む焦凍だったが、やがて食卓に置かれた親子丼を見て、ゴクリッと唾を飲んだ。

 最近、まともに食事を摂った記憶の無い焦凍の脳や胃に、香りがドストライクに響く。

「いただきまーす。」

 出久と玲香が両手を合せて丼を食べ始めた。焦凍も慌てて両手を合せていただきますと言い、丼を一口…。

 そこからは、勢いに任せてかっ込んだ。

「う……、うぅ…。」

「轟君?」

 気がつけば、焦凍はボロボロと泣きながら久しぶりの温かい、手作りのご飯をかっ込んでいた。

 丼が空になってからも、ヒッグ、エグ…っと嗚咽をあげ、恥もなにもなく涙と鼻水を垂らして泣いていた。

「だいじょうぶだよ。」

 そんな焦凍の耳に染み渡るように、優しい玲香の声が響く。

「いっぱい泣いて、いいんだよ。」

 玲香は、そう言って優しく微笑む。

 その微笑みを見て、焦凍は、母親のことをなぜか思い出した。

 その後、泣くだけ泣いた焦凍は、ボンボンに目元を腫れさせて、冷やした方が良いと氷枕をもらった。

「いっそ泊まっていけばいいわよ。」

 そんな焦凍を心配した引子がそんな提案を出したため、焦凍は慌ててそれはさすがに…っと言いかけたが、引子が夫が単身赴任中だからだいじょうぶっと言って聞かなかった。

 そしてなし崩れにお泊まりが決定。

 着替えなどないので、風呂を上がった時には、家においてある、引子の夫の服を拝借して着せられた。

 その夜、引子に黙ってくすねてきたジュースとお菓子を摘まみながら、他愛も無い話で盛り上がったり、枕投げ大会なんてやったりと、焦凍はどれくらいか分からないレベルで久しぶりに年相応のことをした。

「うっ…。」

 気がつけばまた泣けてきた。もう泣きつくすほど泣いたはずなのに。

「ま、まだ傷、痛い?」

「違う…。なんか分かんないけど…涙が…。」

「…ねえ轟君。」

「なんだよ?」

「これっきりじゃなくって、これからも仲良くできないかなぁ?」

「はあ?」

「えっと…つまり……その…。」

「ハッキリ言えばいいじゃん。友達になろうって。」

「ともだち…。」

「僕もなりたいなー。玲香だけずるいぞー。」

「もちろんお兄ちゃんも。ねえ、…ダメ?」

「……。」

 そうコテッと首を傾げて聞かれた途端、ドバッと焦凍の目から涙があふれた。

「ええーーー!? どうしたの!?」

「えっ、えっ?」

「……そ、そんなこと…言われたの……ひ、久しぶりってか……もう忘れた…。」

 乱暴に腕で涙を拭いながら焦凍は言った。

「……あの…。」

「は、はい!」

 おもわず、背筋を伸ばす玲香。

「おでがらも、お願いじまず……おどもだちに…なって、ぐだざい…。」

「うん! うん! お友達だよ、私達! ね、お兄ちゃん!」

「もちろんだよ! よろしくね、轟君!」

 二人は、泣いてる焦凍を慰めようと頑張っていると、引子が来て、もう寝なさいと怒られたり、焦凍が泣いてて何したの!?っとびっくりされたりしててんやわんやとなった。

 

 

 その翌日。

 焦凍は、朝、引子と出久と玲香に、泊めてもらったことを感謝し、頭を下げて帰った。

 

 帰る途中、空を何気なく見上げた。

 

 雲がちらついている青空が広がっている。

 

 ふと……焦凍は考えた。

 

 個性が世界から消えても、この青空は、空はなにも変わらないのだと。今でこそ混乱しているが、いずれ無個性が当たり前となり、自分もいつか個性があったことを忘れていくんだろうなぁ…っと。

 

 父も…、今、この空を見上げているのだろうかと、ふと考えた。

 

 どんなに、憎んでも、恨んでも…、エンデヴァーが父親である事実と、自分のこれまでの人生は変えられない。父と母から受け継いだ炎と氷を失った今、自分は空っぽになってしまったと考えていた。けれど……。今、自分はこうやって生きていて、空を眺めている。

 

 不意に脳裏に、友達となった出久と玲香の笑顔が過ぎり、温かい物が胸の中に染み渡るような気がした。

 

「……少しずつでいいんだ。新しい世界で、視野を広げていけば良い。」

 

 そう自分に言い聞かせ、焦凍は前を向いて歩き出した。

 

 

 

 




エンデヴァーとの会話とかも書こうと思いましたが、そこまで書く技量が無かった……。

たぶん、エンデヴァーが個性を失ったことを知って、色々すったもんだあって、エンデヴァーは離婚協議になり、子供を虐待した余罪も含めて警察にお世話になるかも。
その後、お互いに頭を冷やしたり考える時間が出来て、なんだかんだで少しずつ和解していくかな?
でもエンデヴァーは、もう家族として再生できないと考えて、子供達の養育費だけ納めて独り身になることを選ぶかもしれない。

エンデヴァーを通じて、焦凍はS-Dayの真相を知るでしょうが、爆豪と違って、出久と玲香との友情を選んで、そして自分自身も無個性になったことで色々と悟り、改変世界で生きることを選ぶかな。焦凍自身がある意味個性に振り回された人生をこれまで送ってきただけに。


こんな感じになりました。たぶん、これで本当にヒロアカネタは最後になると思う。思いたい。
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