中野家の執事くん   作:K-Matsu

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想像以上に難航してしまったため一度構想を練り直し、再投稿です。




Episode1 Morning Routine

__夢を見ていた。

 

そこは小さなチャペルの中で、心配されていた天気はどこまでも青く澄み渡った青空が広がっていた。

 

そしてこの夢の中で、1組の新婚夫婦が誕生しようとしていた。

 

 

 

 

__さん。あなたは今__さんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。

 

汝、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、これを愛し敬い、慰め遣え共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

 

 

__はい。誓います。

 

 

__さん。あなたは今__さんを夫とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。

 

汝、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、これを愛し敬い、慰め遣え共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

 

 

__はい、誓います。

 

 

 

 

 

神父の前で今、永遠の愛を誓い合おうとする1組の男女が立っていた。

 

新郎は不思議な縁によって知り合った高校生の時からの友人。

 

表情は緊張していて固く、心なしか震えているように見える。

 

一般男性の平均からすると細めな体型で真っ白なタキシードに着せられる感は否めないが、今その務めを果たそうとしている。

 

新婦は新郎とはまた違った不思議な縁によって知り合った姉のようで妹のようで、そして恩人でもあって親友でもあって……それくらい濃い関係を過ごしてきた。

 

さらに新婦には4人の姉妹__揃いも揃ってほとんど同じ、所謂五つ子だ__がいるからさらに驚きだ。

 

そんな新婦は純白のウェディングドレスを纏っていたが、今新郎の手によってベールが解かれた。

 

ベールによって隠れていた新婦の耳元には彼女たちの母親の忘れ形見だと言われているピアスが暖かな日差しに照らされてキラリ、と存在感を示すように光っていた。

 

彼女たちの中でも強くあろうとし続ける姉妹たちの精神的支柱である誰かは綺麗だね、と小さく呟く。

 

姉妹たちや新婦たちと何度も喧嘩してきたけれども姉妹たちの誰よりも家族想いな誰かは目尻に光るものを小さく拭った。

 

常に内なる自分と戦い続け、姉妹たちの誰よりも芯が強い誰かは優しい眼差しで2人を見つめていた。

 

俺を含めた姉妹たちと新郎の縁を繋ぎ、お茶目で大食いの気質はあるが彼女たちの誰よりもしっかり者の誰かは小さい拍手で新郎新婦を讃えていた。

 

「では、誓いの口付けを」

 

神父に促され、新郎新婦は永遠の愛を誓い合う口付けを行いチャペル内は惜しみ無い拍手で埋め尽くされた。

 

__1組の夫婦の誕生の瞬間、祝福の鐘は高らかに響き渡っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不意に目を開けた。

 

そこに永遠の愛を誓い合う新郎新婦の姿も埋め尽くされた拍手の音はなく、閉め切られたカーテンから漏れる微かな光が差し込むだけだった。

 

現実のような夢だったな、と思いつつカーテンを開けて大きく伸びをする。

 

いつもよりは遅めの起床時間ではあるが、あくまでそれは自分の中では(・・・・・・)の話なので慌てること無く洗面所へ。

 

洗顔や髪型のセットと言った身仕度をパッと整え、一度自室へ戻り部屋の壁に掛けている学校指定のYシャツの上に自前で用意した紺色のベストに袖を通す。

 

今通っている高校は今話題のブラック校則とはほとんど無縁で、最低限の校則を守っていて派手さや奇抜さが目立っていなければお咎めはない。

 

着替え終えて学校へ行く支度を済ませてから、エレベーターを使って1つ上のフロアへ。

 

インターホンを押し、中から『開いてるわよー』と返事が聞こえてきたのを確認してから靴を脱いで中へ入る。

 

「おはよう。二乃」

 

「おはよう。早速だけども朝食を作るの手伝ってよ」

 

朝の挨拶をそこそこに台所では五つ子の料理番で次女の二乃がエプロンを身に付け、フライパンの上に生卵を落とし込んでいた。

 

「メニューは?」

 

「目玉焼き。ベーコンは私が焼くからサラダとスープ作ってくれない?」

 

「分かった」

 

あらかじめ用意してくれていた野菜をざく切りにしたり千切ったり、プチトマトやブロッコリーを適当なところへ置いていく。

 

鍋の中の水を沸かしている間にコンソメやスープの具を用意し、食べやすい大きさにカットしていく。

 

そうこうしているうちに沸騰し始めてきたので、具やコンソメを鍋の中に入れて味を整えていく。

 

スープが出来上がったのとほぼ同時に、二乃が作っていた目玉焼きとベーコンが焼き上がった。

 

お皿に盛り付けテーブルへ配膳していると、残りの4人の姉妹たちが降りてきた。

 

「おはよ~」

 

「ナナミ、おはよ」

 

「おっはようございま~すっ!」

 

「おはようございます」

 

一気に賑やかになりそれぞれが各々のタイミングで席に着き、それと同時に給仕を始める。

 

これが俺こと学生の身でありながら中野家の執事として働く水瀬 七海(みなせ ななみ)のモーニングルーティーンである。

 

 

 

 

 

 

それぞれのタイミングで朝食を食べ、食後のお茶を出してから使い終わった食器をサッと洗い終えてから給仕用のエプロンを外す。

 

「ところで今日は何時頃来るんだ?」

 

姉妹たちの転校先は奇遇にも俺が通っている高校。

 

何でも姉妹たちの父親と学校の理事長とは旧知の仲らしく、いろいろ折り合いをつけて転校してくる運びとなったらしい。

 

あくまで端的な事後報告として聞かされたからそれ以上の事は知らないんだけども。

 

「10時半頃で合ってますか?」

 

「合ってるよ」

 

「場所は?」

 

「職員室」

 

10時半というと……2限目が終わるころか。

 

「誰が学校案内するのか分からないけど校舎の中で会ったらよろしくな。じゃ、行ってきます」

 

「「「「「いってらっしゃーい」」」」」

 

姉妹たちに見送られ、学校へと向かった。

 

きっと先生たちの誰かが案内するでしょ。

 

授業中に案内するから小さく手をあげることくらいしか出来なさそうだな。

 

と、この時点では他人事のように思っていた。

 

そう。思っていた(・・・・・)のである。

 

 

 

 

 

 

いざ姉妹たちが学校関係者に連れられて見学する時間。

 

隣には学年主任の先生が立ち、目の前の姉妹たちを見据えながら挨拶をする。

 

「本日学校案内をさせていただきます旭高校生徒会副会長の水瀬です」

 

お辞儀をしながら思った。

 

……どうしてこうなんねん、と。

 

 




《注意》

この物語はオリジナルストーリーの追加や原作エピソードの省略が予定されております。

主人公はハイスペックのため、ご都合展開も予定されております。

それでもよければ今後ともよろしくおねがいします。

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