友人がVtuberやってるって言いたい 作:未来へと繋ぐ楔の筆
デビュー前まではほとんど触らなかったパソコンを立ち上げ、いつも通りの配信ツールと様々な素材の入ったファイルを開いておく。3Dモデルを捉えるためのwebカメラとツール、マイク、ヘッドフォン、オーディオインターフェース等々。中学生の頃の私だったら触る事はおろか、知る事さえなかっただろう機材を整えて、一息ついた。
ゲームを起動して、既にセットにしてあるキャプチャウィンドウを可視化。自分のモデルとコメント欄を映すウィンドウも重ねて、おかしいところがないか一通りチェック。OK。
サイト側の配信準備をし、先に配信ツールを配信状態にして、自分がどう映っているかを確認。青髪の少女が……若干、しょぼくれた顔でそこにいた。
深呼吸。
ふう。はあ。
目を開ける。
するとそこには、いつも通りの……元気いっぱいの少女の姿が。
「……うん。大丈夫」
笑顔。怒った顔。悲しい顔。でも、軸にあるのは元気。そんな少女。
これが嘘だとは思わない。私から歪んだ部分を排除すれば、こうなれると思う。なれると信じている。だから、この私は特別で、普通で、真っ白な私なんだ。
サイト側の配信開始ボタンを、押した。
〇
「配信開始しましたー!」
どうやっているのかはよくわからないけど、開始直後に6人程の視聴者数。その後10、100、1000と増えていく。ゲーム実況だからか、とりあえずは3000人ちょっとで視聴者数の上昇は緩やかになった。
挨拶や「今日もかわいいね」とかなんとか言いながら入ってくるリスナーさん達。アイコンと名前と文字の川が、上へ上へと流れていく。配信ツール側にも*1コメントが流れていくけど、こっちにはアイコンが無いから出来るだけサイト側のものをキャプチャーしたものを見るようにしている。
配信画面にも、それを透過した枠が映っている。
「今日も
多人数戦闘型FPSゲーム……銃で敵チームを撃って、最後に残ったチームの勝利。昔、少しだけ触った事がある。やってみないか、と言われて、でも全然できなくて。ただ、オンラインで一緒にゲームが出来るのが楽しいから、というだけの理由でプレイしていた。それも、一週間ほどでやめちゃったけど。
それが、Vtuberになってから……がっつり一緒にやる人が出来て、その人があんまりにも熱心に私を上手くさせようとしてくれるものだから、段々と熱が入って……今じゃ、ソロ配信で野良に潜ってやるくらい、このゲームが好きになった。
このゲームだけじゃなくて、FPS、TPS*2と呼ばれる様々なゲームに手を出すようになったし、それで増えた友達や繋がりも結構ある。自社他社問わず、共通のゲームでコラボできるというのは何かと便利で、さらにそれが好きなゲームであるなら、雑談も弾む。
自分で言うのは思う所があるけれど、どうにも私はゲームが上手い……というか、コツを掴むのがとても速いらしく、リスナーさん達も見ていてストレスにならないから好き、と言ってくれている。出来るようになることが楽しくて、出来る事を増やすのが楽しい。
楽しむために、楽しく努力をする。それが出来るのは、みんなが褒めてくれるからだ。
「やっぱり面白いなぁ、このゲーム」
相手が人間だから、駆け引きが出来る。何をしてくるかの予想は出来ても確信は出来ないから、予想外が絶対に起きる。自分の理想に自分の操作が追いつかないからやきもきするし、一瞬でも理想に近づいた瞬間がとても気持ちいい。
敵を一人倒すだけで、リスナーさん達はとても褒めてくれる。上手い、とかナイス! とか。本当はコメント欄を見ている暇はない……はずなんだけど、最近はゲームに集中しながらコメント欄を読む、というのも出来るようになってきた。慣れてきた、って方が近いかも。
全力でやってれば、ミスをしても惜しい、とかgg*3とか、リスナーさん達はとても優しいコメントをくれる。でもやっぱり勝ちたいから、どんどん次をやる。少しずつ、上手くなる実感がある。褒められているともっと褒められたい! ってなるから、もっと頑張れるんだ。
だから、そのコメントが来た時──心臓が止まりそうになった。
──"なんか今日、元気ない?"
──"大丈夫?"
──"体調悪いんか"
一人、だけじゃない。結構な人数が……私を気遣っている。
何故? ちゃんと笑えてる。ちゃんと喜べてる。ちゃんと、真剣になれているのに。
「そんなことないと思う!」
──"体調辛いときは無理して配信しなくていいんだよ"
──"毎日やってるもんなぁ。一日くらい休んでも平気じゃね?"
「本当に大丈夫だよ? なんだろ、マイクの音質変わっちゃったのかな。この試合終わったらちょっと調整してみるね!」
取り繕う。取り繕う。必死で繋ぎ止める。おかしいことは無いはず。私は大丈夫なはず。大丈夫。大丈夫であるためにずっとずっと考えていたんだから。
あぁ、エイムがぶれる。動揺してる? なんで? 私は、だって、大丈、夫……。
「あー、もうすぐテストだから……」
──"いや早く寝ろよ"
──"もしかしてあの点数のままノー勉で臨むつもりですか……?"
──"赤点取ったら配信頻度下がるって言ってたけどノー勉マ?"
良かった。誤魔化せた。そう、緊張しているって事にすれば、それは間違ってない。テストが近いのは本当だし、それで緊張しているのも事実。だから、嘘じゃない。今の私は嘘じゃない。
嘘じゃないんだ。
──"あの問題集作ってくれた友達と勉強会でもしたら?"
「──……。べ、勉強はしてるケドナー」
勉強の話に必死でもっていく。元気がないのはそのせいだって。大丈夫だって。
──"あー、GG"
──"あと3チームか"
──"上手くなってるけど、ちょっとミス多めだね"
──"その武器好きなら引き撃ち意識すると良いよ"
──"よっぽどテストの話題で動揺したんやろなぁ"
「うー、テストの話題もうやめてー!」
そうだ。私の動揺はテストの話であって、体調が悪いのを無理している風であって、決して、決して。
決して。
「じゃあ次ね! 次の試合負けたら終わって勉強します!」
──"初動落ちフラグ"
──"普段なら終わってほしくないけど配信頻度下がるの嫌だからスナイプしてもいいですか?"
──"勉強しろスパチャ草"
〇
結局、コメント欄の予言者の言う通り初動落ちで、リスポーンの期待も間もなくチームが全滅し、宣言通り配信を終えることになった。ちゃんと勉強しろよ、とか。赤点だけは免れる事を祈ってる、とか。嬉しいような信用されていないような、複雑な気持ちを抱えたまま配信を閉じる。ツールから落として、サイト側を落とす。
そうした方が良いよ、と言ったのは……ああ。
「
声に出す。あだ名じゃなくて、名前を。
風音。自分の性格にあんまり合わない雰囲気だから、あだ名で呼んで欲しい、と。彼女は言っていた。どうだろう、と思う。確かに透き通る風のような雰囲気ではないし、歌もあんまり上手くないので音要素も薄い。
でも、いつもどこかで聞こえている風音のようで、私は好きだよ、と言った覚えがある。
ポエミーだね、と返された覚えもある。あの時は普通に脛を蹴ったっけ。
印刷された冊子とPDF、どちらもに起こされた問題集。冊子の方をパラパラとめくる。問題の方は先生から貰うものと遜色なく、冊子の後ろには解説がついている。堅苦しい言葉は使わないで、いつもの風音……というか青眼鏡の感じの文体で書かれたそれは、私には馴染み深く、覚えやすかった。
もう、書かれている事は大体覚えた。教科によっては「ここからここまで」という明確な範囲を教えてくれない先生もいるのに、この問題集には「ここまでしか出ないので安心して」という文字が添えられている。何が見えているのか、本当にわからない。
何を考えているのかも、全く……わからなくなってしまった。
少し前までは、わかっている、つもりではあったのに。つもりにすらなれなくなっちゃった。
「風音」
もう一度、声に出す。
初めての友達。私の友達が増えたきっかけ。私の出来る事が増えたきっかけ。私が、楽しい事を楽しいと思えるようになった、その入り口にいた女の子。暗い世界から明るい世界に引っ張り上げてくれて、明るい世界から賑やかな世界へ押し出してくれた──恩人。
──"今までごめんね"
「っ、あ……!」
まただ。まだだ。
気持ちの切り替えなんて出来るはずがない。引き摺っている。引き摺って、絡まって離れなくて、立ち上がることが出来ない程体が重い。
もし、嫌いだ、と言ってくれていたら。それでも私は自分の過ちに気付いて、泣くだけ泣いて──もしかしたら、謝っていたかもしれない。謝って、ごめんなさい、って言って、お願いだから、遠くに行かないでください、って……言えていたかもしれない。
でも、謝られたら、どうすればいい。どうすればいいの?
こうしてまた、風音に責任を押し付けようとしている自分も嫌だ。答えを教えてくる彼女が嫌で逃げた癖に、答えを誰かに求めようとしている自分に心底溜息が出る。
なんてちぐはぐ。なんて、不安定。
何故。何故。答えが出せない問いが、ふつふつと湧き上がる。どうして謝ったの? だって悪いのは、どう見たって、誰が見たって。何故彼女は私を見捨てない? こんな恩知らずを。こんな裏切り者を。なんで、私は。
私はまだ──彼女に助けてもらえると思ってるの?
胸を掻き毟りたくなるような、関節という関節が疎になっていくような、苦しくて悔しくて怖くて恐ろしい感覚が全身を満たしていく。手が、腕が震える。怖い。痛い。胸が痛い。喉が痛い。失ったものがどれほどの──自らがいらないと断じたものが、どれほど美しく、尊い価値を持っていたのか、ようやくわかった。
それが──私のVtuberとしての"殻"に、罅を入れてしまうほどに。
ああ──どうしよう。
〇
その時、無意識にずっと握っていた携帯が着信音を唄った。
恐る恐る表示名を見てみると──新舞風音の文字が。
なんて、タイミングだ。
配信を終えてすぐではないから、配信を見ていたわけじゃないんだろう。私が自問自答をして、彼女に助けを求めたその直後に、彼女からの着信。先見の明とか、簡単な推理とか、そういうものでは片づけられない程の──"絶好"。
通話ボタンを、押す。
『やぁ』
そんな、「いつも通りの」声が携帯のスピーカー越しに聞こえた。
やぁ、って。私達は今まで喧嘩……じゃないにしても微妙な空気になって、蟠りがあって、言い出せない空気とどうしようも出来ない焦りがあって……とにかく絶対にいつも通りなんかではないのに。
やぁ、って……。
本当に。
「何?」
『そろそろリンリンが苦しくて悔しくて怖くて恐ろしくて、泣き出してしまう頃合いかと思って』
「……」
『だからね、リンリン。
風音の声は震えていない。彼女の言葉にはほとんど感情が出ないし、抑揚を出すのもあんまり上手じゃない。なのに表情は百面相だから彼女も「ちぐはぐ」だ。だけど、通話だとそれが見えないからちょっとだけ怖い。どんな顔をしているのかわかるから、あくまでちょっとだけ。
『諦めよう』
「……え?」
『わかったよ。私は、リンリンの理想にはなれない。私は、リンリンに求めるものを変えられない。同時にリンリンは私の理想にはなれないし、リンリンは私に求めるものを変えられない。だから、諦めよう』
淡々と。
淡々と、マネージャーさんがしてくる業務報告のようなトーンで、恐ろしい話をする。
諦めよう、って。何。え?
「い、嫌……」
『折れたくないから、互いが互いの一番になるのは無理だから』
「待って……ねえ、待って」
『諦めよう』
友人である事を。一緒にいる事を、もう。
「待って! お願い、もう我儘言わないから!」
『それじゃダメなんだよ、リンリン。だって私は、我儘を言うリンリンを見ていたい。好きなのは我儘を言わないリンリンだけど、君がこれから、広い世界へ羽ばたいていくのを……カッコよくてかわいくて、みんなに愛されてみんなを愛して、どこまでも輝いていくリンリンを見ていたい。もう君に、こうなってほしいとか、こうするといいよ、なんて事は言わない。だから君が諦めない事も構わない』
だけど、私はもう諦めるよ。
『リンリンと友人になれて、本当に幸せだった。楽しかったよ。だから、楽しかった思い出を記憶にしたい。苦しい気持ちやつらい我慢で上塗りしたくないんだ。この先私達は、ずっとぶつかり続けるだろう。だって互いが互いに求めるものが矛盾している。無理なんだ。私達が共存するのは、絶対に』
「嫌だって言ってるじゃん! なんでそんな……私は、私はまだ」
『楽しい記憶にピリオドを打つよ。こうやって喧嘩別れする事が、リンリンとの楽しい思い出の最後にする。友人としての私はここで身を引くよ。あとは一視聴者として、君の姿を楽しませてもらう』
「じゃあ辞める!! Vtuber、辞める。風音に言われてなったけど、風音が何にも言わないなら、私が自分の意思で辞めても」
『ああ、いいよ。好きにしてくれ。私はいつまでも君のファンで、だけど友人じゃなくなるんだ。それだけ。私はこうするけど、君は自由だ。続けるも辞めるも。私はもう、何も言わないよ』
冷えていく。
足先から、腰に、お腹に、胸に、肩に。
冷たいものが昇っていく。蝕まれていく。ダメだ。
あぁ、ダメだ。ダメ。嫌。嫌だ。嫌だ! 私は今までの関係を変えたかった──けど、一緒にいる事は当たり前だった。そこだけは変わらないで、私が一番になりたかった。だけど、そこが、そこが無くなるのなら、彼女が友達じゃなくなるのなら。
何にも、残らないじゃないか。
「わ──私は、与えられるだけなのが、嫌なの。風音はずっと私のために、色々して……してくれてて! だけど、私だって、私からだって」
『そうだね。ずっと、一方通行だった。この間の事で痛感したよ。与えられるだけとは、こんなにも寂しかったのか、って。こんなにも悲しかったのか、って。ずっとずっと、君にこれを強いてきた。本当にごめん』
「そんな──」
『だから、終わろう? 諦めて──楽になろう。一番とか、上とか下とか。止めよう。友達じゃなくなれば、そんなもの、考えなくていいから』
──……ああ! もう!
「わか、ってない……わかってないじゃん! 全然!!」
『リンリン……』
「それが嫌だって……一方的に"自由"を与えて、もう終わりにしよう、とか! 勝手な事言って、結局何も変わってない! 何にも……わかってないじゃん。私の事」
『──……」
勝手に自己完結して、勝手に折り合いをつけて、勝手に「諦めよう」とか言って。
もうやめるよ、と言った癖に、すぐやっている。何も変わっていない。何もわかってない。だから、私は──。
『そうだね。私は、リンリンの事……何もわかってないんだろうね』
あ、と。
渇いた声が出た。
違う。そんな、違う。なんで今私、風音を責めて……。違う。そうじゃなくて、これを……私を変えなきゃいけないのに。私が変わらなきゃ、風音は離れてしまうのに。
なんで、また……私が被害者みたいな事を。
『ごめん。それと、ありがとう。三年とちょっとかな。君の友人であれた事が、何よりも誇らしいよ』
声が出ない。私はまた、取り返しのつかない事をやったんだ、という思いだけが体を抜けていく。
友達がたくさん増えて、親友を失う。それは。それは。それはそれはそれはそれは。
「……ライブ」
『うん?』
「ライブ。見に来て」
『うん、行くよ。友人としてじゃなく、ファンとしてね』
「じゃあ、色んな歌を教えて欲しい」
考えるな。無い頭で考えたって、良い言葉は選べない。自分がどこまでも馬鹿だって自覚しないと、余計なことを口走らないで、このつながりを絶対に切らないようにして、どうか。どうにか。
「勉強も教えて」
『……』
「問題集全然わからなかった。これじゃ赤点取っちゃう。だから、勉強教えてください」
『……』
「ゲームもアニメも、もっと教えて欲しい。リスナーさん達の話題にまだついていけない事がある。映画とか小説とか、面白いものを教えてください。配信で話せるような、ほど、深くまで」
頬を何かが伝う。目が熱い。滲む。
奥歯が震える。心臓の音がうるさい。
「私が、羽ばたくために。大成するために。有名になるために。誰からも愛されるために」
『……リンリン』
「貴女が必要です。……そばにいて欲しい。苦い思いをして、つらい我慢をして、たくさん喧嘩をして、絶対に叶わない理想を押し付け合って……一緒にいたい。一緒にいて。どこかへ、行かないで」
嫌だよ。私は。
私は。
「私は──絶対に、諦めない。風音にも諦めさせない。たとえ私達が、将来別々の道を進んでも……違う人を好きになっても、私達が友達である事は絶対に諦めたくない」
Vtuberは止めない。友達も止めない。私は風音の世界の中心に居続けるし、彼女を決して逃がさない。
「絶対に、逃がさないから」
『……強くなったね』
「もう一回、首輪を付けに行くから。でも今度は私も付けるよ」
『せめてチョーカーって言ってくれないかなぁ』
「首輪だよ。鎖でつながれた首輪。お互いの鎖を握って、ケンカしよう」
『物騒な……』
私が風音とともにいる事は、確定事項だ。
だって。
「私のVtuberとしての名前、知ってる?」
『そりゃ勿論』
「言ってみて」
私の名前は。
『
「ううん。
『?』
〇
「赤点──回避、しましたぁ!」
──"おめでとー"
──"マジで回避できる辺り問題集やばくね?"
──"DLしたけどその辺の参考書よりわかりやすかった"
──"この間の総合点五教科で246点だったね"
「なんでそんなことを覚えてるの!?」
──"英語16点"
──"英語16点"
「英語は苦手なの!」
──"点数って公開できるやつ?"
──"総合点だけでも教えてくれー"
──"いや、五教科だけじゃないだろ? 問題集五教科以上あったし"
──"高校のテストって選択科目とかあるよね"
「ふっふっふー! 聞いて驚けぇ! なんと! 五教科で363点……!!!」
──"うせやん"
──"100点以上アップやば"
──"それでも低いとか言っちゃいけない?"
──"問題集作った友人Aちゃんis何者"
「しかも! 全教科50点以下無し……!」
──"マ?"
──"えらい"
「しかもしかも!! 現代社会……100点!!」
──"天才じゃん"
──"前々から天才だとは思っていたが……"
──"あれ、じゃあ他の四教科で263点……あっ"
──"60点以上取れば落第は逃れるのでセーフ"
「はーはっはっは! どやぁぁああ」
──"問題集やってそこまで実力あがるなら普段勉強してないだけ説"
──"Aちゃんに感謝しろ"
──"配信頻度ダウンの危機を救ってくれたAちゃんありがとう!"
──"ちなみにAちゃん何点だったか聞いた?"
「……」
──"おい誰だ今聞いたの地雷だったっぽいぞ"
──"目に見えてしょんぼりした顔になってて草。トラッキングすげえ"
──"かわいそうはかわいい"
──"24"
「……満点だった」
──"やばすぎで草"
──"NYMUちゃん用の問題集作っておいて自分満点とか天才か?"
──"でもなんでしょんぼりしてるん?"
──"いーなー。俺も友達の女の子に勉強教えてもらって100点以上アップしてーなー"
──"まずは友達を作れ"
──"あっ"
「この前は勝てた教科があったのに……」
──"でも現代社会100点だったんでしょ?"
──"社会だけ並んだ"
──"天才に抗おうとするのは流石の負けず嫌い"
──"ゲームなら勝てるだろうし! 多少はね?"
「げーむもかてない……」
──"化け物か??"
──"頭良くてゲームできるとか、Vtuberになった方がいいんじゃ"
──"Vtuberは頭が良かった……?"
──"友人AちゃんV化計画"
──"A子ちゃんはなんかやってないの?"
「多分今頃近所の大学生のお姉さんをナンパしてる」
──"えっっっっ"
──"キマシ"
──"頭良くてゲーム上手くてナンパ師で……?"
──"馬鹿と天才は紙一重っていうよね"
「私が馬鹿だって言いたいのかー!!」
──"?"
──"?"
──"?"
──"なんで?"
「……あれ、紙一重って何?」
──"ごめんね……"
──"ごめんね……"
──"本当に赤点回避したんか?ww"
──"NYMUちゃんは異世界生まれだから日本語と英語できなくても仕方ないよ"
「ばかにされているきがする」
──"してないしてない"
──"してないポヨ"
──"してる"
──"ごめんね……"
「……もういいでーす。配信終わっちゃうから」
──"拗ねた"
──"拗ねたー"
──"終わらないで"
──"さっき告知あるっていってないっけ"
「おおお! そうだった! ナイスコメント! そうそう、告知があってさ。ふっふっふ、聞いて驚けサンショの木!!」
──"ざわ……ざわ……"
「なんと! 八月二十二日!! 私の所属するDIVA Li VIVAで、ライブがあります! それに出ます!!」
──"マ?"
──"ちっか"
──"行きます"
──"デビューしたばっかなのにすげーな"
「詳細は公式トイッターを見てね! それじゃ、お疲れさま!」
──"たーばさ"
──"乙"
──"おゆ"
──"お疲れさまー"
〇
嫌いではなく、嫌だ。