煽られるのは嫌いなので対人戦に特化したいと思います 作:グラキチ
それでは投稿します
深みの聖者、エルドリッチ
ファランの不死隊、深淵の監視者たち
そして、罪の都の孤独な王、巨人のヨーム
けれどね
きっと王たちは玉座を捨てるだろう
そして火の無き灰たちがやってくる
名も無く、薪にもなれなんだ、呪われた不死
けれど、だからこそ
灰は残り火を求めるのさね
「うーん・・・」
目が覚めたアマネは、ぼんやりとした思考を振り払う
体を起こしてみると、灰にまみれた、石でできた棺に自分は寝かされていたらしい
「ここどこ・・・?」
白けた空に、先程とは全く違う見慣れない景色
廃墟と化した神殿は無く、灰色の岩と墓石しかない
何故か左手に握りしめているのはボロ布で作られた粗末なタリスマン
「あっ!メッセージ!」
ここにきてようやくそのことを思い出すが、このエリアはメッセージのやり取りができないようにされているらしい
メッセージのアイコンが灰色になって押せなくなっている
仕方ないので先に進んでみても、崖っぷちを通らされるだけで特に敵という敵もいない
ただ下を覗き込んでみても、どこまでも白けた空が続いていた
更に先に進むと、石で出来た門がある
入口には霧がかかっており、中の様子を確認することができない
嫌な予感がする、戦闘になることを想定して先程手にいれた闇術の性能を確認する
今はこれを駆使してこの窮地を乗り切るしかない
大きく息を吸って、長く吐く
意を決して霧の中に飛び込む
広場のような場所に跪く巨漢の胸には、グラディオが持っていたような螺旋の剣が突き刺さっていた
「えっと・・・」
先の扉は閉じられている
後ろの門は霧で塞がれている
恐る恐る剣に手を掛けてみる
すると、それは火の粉となって消えていった
それと同時に動き出す巨漢、身の丈以上の斧槍を片手で軽々と持ち上げ、人の顔のような兜で此方を見ている
その名は
『灰の審判者 グンダ』
大きく武器を振りかぶったグンダはアマネの頭を真っ二つにする勢いで振り下ろした
アマネは横っ飛びで辛うじて避けるが、元々初期ステータスはINTに多めに振ってあるので、AGIは最低限移動に困らない程度にしか振っていない
そんな状態で近接戦を好む相手の攻撃を捌きながら燃費の悪い禁術を足を止めながら撃つなんて不可能だ。詠唱途中で殺されてしまう
アマネは集中する
一撃必殺で決めるしか低レベルの自分がボスを倒せる方法がないのだ
杖を握る手に力が籠る、痛いくらいに握りしめた杖に神経を集中させる
『追加詠唱』
MPを4分の1消費してINTを2倍、魔法の威力を1.5倍する
効果時間は1分
消費したMPの量に応じて効果時間アップ
これは禁術にも適応される
取得条件
魔法発動待機状態でダメージを受けずに1分間耐える
嬉しい誤算だ
これなら間違いなく届く
粗末なタリスマンを触媒とし、禁忌とされる奇跡を紡ぐ
『深みの加護』
深みは本来、静謐にして神聖であり
故におぞましいものたちの寝床となる
それを祀る者たちもまた同様であり
深い海の物語は、彼らに加護を与える
自身にバフをかけ、すかさず『追加詠唱』を発動させる
もう1度グンダの攻撃を避け、備えておいたMPポーションをがぶ飲みする
『全身全霊』を発動させ、満タンになったMPを全て消費させる
もう後戻りはできない
この一撃に全てをかける
「吹っ飛べぇぇぇ!『闇の飛沫』!!」
無数に別れた闇の玉は1つ1つが必殺の威力になってグンダに襲いかかる
当たったものはグンダの体を易々と貫通し、外れたものは大地を抉る程の威力を秘めていた
ミンチになったグンダはポリゴンとなって消えていった
バタリ
と紐の切れた操り人形のごとく頭からぶっ倒れたアマネは5分間だけ休むと心に誓った
スタンがかかるだけではなく、相当な倦怠感に襲われたのだ
「ちょっとだけ・・・」
疲れたので少し目を瞑る、その僅かな間に夢を見た気がした
遅れてきた英雄は、名も知られぬ戦士に敗れ、灰の審判者として螺旋剣の鞘になったという
いつか再び、はじまりの火が継がれるように
『火のない灰』
そこでアマネは目が覚めた、とっくに5分は過ぎていたようで体は嘘のように軽かった
先の扉は開いており、元来た道は何も見えないくらい真っ暗になっていた
進んでいくと、ボロボロになった祭司場に辿り着く
そこには誰もいなく、崩れ落ちた瓦礫に灰が降り積もっているだけである
しかし中央だけ無傷であり、不思議と自然に足を運んでしまう
不意に手を伸ばすと火の粉が舞い上がり、その場に篝火が出現した
その真横に宝箱が出現する
開けてみると、中身は装備品のようだ
ありがたくいただくとしよう
武器
日暮れの杖(破壊不可)
闇属性の威力を上げる
渇望の聖鈴(破壊不可)
闇属性の威力を上げる
防具
頭:渇望のティアラ(破壊不可)
INT+100 MP+50
胴:渇望のドレスアーマー(破壊不可)
INT+50
腕:渇望のグローブ(破壊不可)
MP+50
足:渇望のスカート(破壊不可)
AGI+25
アイテム
エスト瓶・エストの灰瓶×15
螺旋剣の破片
闇の奇手の指輪
深淵のような青色に濡れたドレスに似た防具が入っていた
指輪は被ダメを上げる変わりに闇攻撃力を上げるものらしい、折角なので着けておこう
しかし、両手に別々の触媒を装備できているのは何故なのか
スキルを確認してみると『火のない灰』というスキルを得ていた
『火のない灰』
『篝火(灰)』
篝火を設置できるようになる。篝火は体力の回復、ファストトラベル地点、リスポーン地点として設定できる。敵が近くにいる場合は使用できない。最大3つまで、移動可能
『探求者』
レアドロップ率をアップさせる
『暗い魂』
幻惑や精神に関する攻撃・状況を無効化する。闇属性の耐性が上がる
『ソウルの業』
両手の装備欄を2枠ずつ増やし、予めセットしておくことでストレージで変更することなく武器を変更することが可能になる
『不死の呪い』
デメリット:エスト瓶以外の回復アイテムが一切使用できなくなる。死亡する度に最大体力値が減少していく
特殊なアイテムで最大体力値を戻すことができる
「呪われちゃったぁぁ!」
どうやらグラディオのスキルの簡易版のようなものらしい
これが普通の反応である
「やだぁぁ!普通に戻りたいぃぃ!」
喚きながら書物の外、元の世界に放り出された
取り敢えずグラディオ達に迎えに来てもらおうとメッセージを開いた
今日はもう寝よう、イベント当日に頑張ろう、そう決めた
書かれていた書物の物語が、全て抜け落ちていることも知らずに