煽られるのは嫌いなので対人戦に特化したいと思います 作:グラキチ
それでは投稿します
「お、おぉ・・・!」
視界いっぱいに広がる異世界、これこそ非現実!新しい冒険ができると思うと心の底からワクワクしてくる
だがしかし、いつまでものんびりはしていられない
「このまま初期装備ってのも嘗められるな、早いとこ装備を整えないと」
対人戦はもう始まっている、初期装備の初心者なんて知られたら何時何処で襲われるかわからない
初期装備、初期ステータスというのはそれだけでターゲットにされかねないのだ
俺がやっていたゲームでも、わざわざ初期レベル近くで縛って、もっと先のステージで強力な武器を手にいれてPKをしてくる奴も沢山いた。所謂初心者狩りというやつだ
まぁ、この『NewWorld Online』で躍起になって襲ってくるプレイヤーは殆ど居ないことは知る由もないが
「とっとと人目のつかない所へ行って動作確認するか」
やや高めに調整したAGIのお陰で素早くその場を離れられる。その際に同じ初心者装備の大盾と短剣を装備した黒髪の女の子とすれ違った
「大盾に短剣か・・・あまり良い思い出はないな」
一見弱そうに見えるかもしれないが、実は相当な曲者である。少ない反動でガンガン詰めてくる上に、下手に此方が先に攻撃すると振りが最速レベルの短剣でジワジワ攻めてくるのだ
油断したら背後に回られて致命的な一撃を見舞われる、ガンケツという戦法もあった
あれの対策には苦労した
「将来厄介な相手になるかもしれないな」
別ベクトルで警戒したが、当の本人にPKという概念は全く無い
この男がおかしいだけである
「取り敢えずあっちに行こうっと」
人が寄り付かなさそうな深い森に向かって進むことに決めた。こういう所の敵は強めに設定されていることが多い、手っ取り早くレベルを上げるには丁度いい
などと考えていると早速敵が出てきた、角の生えたウサギ型のモンスターだ
獣系のモンスターは総じて素早いと経験が語る、まずは盾を構えて様子見をする事が最善だ
「よし来い!」
戦う意思を見せたからか、ウサギが飛びかかってくる
しかしやはりというべきか、そこまで強いという訳ではない。小盾ごときに攻撃を阻まれてダメージを負わせる事すら難儀しているようだ
「そんなにAIは賢くないのか」
飛びかかってきたタイミングに合わせてシールドバッシュを食らわせ、怯んだ所に直剣を一閃
呆気なくウサギは紫色のポリゴンと化してしまった
味気ないと思っていると不意に声をかけられた
「いやー貴方のお陰で助かりました!あのモンスターに追われていて困っていたんですよ」
人の良さそうな、やや老けたおじさんが茂みから出てきた
恐らくはNPCだろうと思いながらも一応受け答えしてみる
「たまたま通りかかっただけだ」
「それでもお礼を言わせて下さい、貴方には感謝してもしきれません。お礼と言ってはなんですが、これをどうぞ」
NPCからは回復ポーションを2つ貰った、どうやら救済イベントのようだ
ありがたく貰っておくことにしよう、序盤で回復に資金を割いていたらいつまで経っても装備を整えることができない
「それでは私はこれで」
一礼するとNPCは先程の町へ足を向けた、だがこの男の脳内ではこのような思惑があった
『NPCに攻撃したらどうなるのだろうか』
ダークファンタジーな世界のゲームでも友好的なNPCに危害を加えることはできた
一定以上のダメージを与えるか、数回攻撃したら敵対してきたのだ
敵対したNPCを誘導して遊んだことも多々ある
「・・・取り敢えず試しに殺ってみるか」
グラディオは背中を向けて歩いているNPCの背中に軽く斬りつけてみた
すると苦しむ素振りをしながら地面に倒れ込むではないか
当たり所にもよるだろうが、一撃で死んでしまうということは無いようだ
「な、なにをっっ!?」
騒がれる前に首を斬り落とし、NPCをポリゴンに変えた
消えた後には少しのゴールドと、ロケットペンダントが残っていた
「金は貰っておこう、ロケットは・・・妻子の写真が入っているだけで特に何の効果もないのか」
不要なロケットを破棄しながら、奪ったゴールドを所持金に加える
もっと先へ進んでみようと考えていた所に聞き慣れない電子音が響いた
ウィンドウには新しいスキルを取得したというメッセージが記されていた
『亡者の心』
幻惑や精神に関する攻撃・状況に対して耐性がつく
取得条件
非敵対NPCを殺害する
『剥奪者』
プレイヤーを倒した時に、相手の手持ちからレア度の高い物をドロップしやすくなる
取得条件
非敵対NPCからアイテム、又はゴールドを奪う
「お、それっぽくなってきたんじゃないか?」
何の悪びれもなくそんなことを言えるこの男は、既に亡者なのだろう