出したいなぁとか考えてたけど、
いつになるんだろうという絶望もあった。
出せるように頑張ります。
廃墟になったアパートに入り、階段を上がる
段を踏むたびに、足元から軋む音が聞こえる。
そのままある一室にまで歩いていく。
「ふむ、ここだな。じゃあ、開けるぞ」
ドアノブに手を掛けて、扉を開けると
クリスがいた。
弦十郎は、中に入り、クリスに買った袋を見せる。
俺はそのまま部屋の隅へいく。
「ほらよ。差し入れだ。」
「え?‥‥‥あ。」
「応援は、君と面識のあるサクラ君だけだ。
君の保護を命じられていたものは、俺一人だがな。」
「‥‥どうしてここが分かった?」
「何、慣れた仕事を淡々とこなした結果だ。」
「‥‥何が目的だ!」
「腹が減っているんじゃないかと思って持ってきたんだ。」
「そいつが何か仕掛けてくるかもしれないだろ?」
クリスが部屋の隅で、じっとしていたサクラを指差す。
俺は、クリスのもとに歩いていき、
警戒するクリスにスマホを渡した。
「はい、信用できないなら渡しておくよ。
俺は、外で待ってるから」
「って、出ていかなくていいんだよ。
あたしがこれ、持ってるだけで十分だ。
お前も何か話があってきたんだろうが!」
「ふっ、随分と仲がいいんだな」
「どこをどう見たらそう思うんだよ。
節穴か、てめぇ!」
弦十郎は、袋から食べ物を出し、食べる。
「何も盛っていないから安心しろ。」
クリスは、袋を乱暴に取り、食べ始める。
食べ物が無くなったのか、俺が持っている
袋に目を向ける。
「何持ってきたんだよ。お前は、」
「あ、いえ、とても些細なものでして
出すのはとても躊躇うもn」
「なんで、そんな気持ち悪い話し方してんだよ。
ほら、さっさとよこせ」
袋の中からアンパンを取り出し、
「この前のレストランで言ってた
美味しいって評判のところ。
一緒に行くことはないって言ってたから、
俺が持ってきた。」
近づいてクリスの手に乗せる。
包みからアンパンを取り出し、食べ始める。
「あむ‥‥‥うめぇ」
そのまま、夢中で食べていく。
「‥‥あ」
無くなったのを少し残念そうにしてるクリスに
俺は、残りのアンパンを渡す。
「どうぞ、君のために買ってきたものだからね。」
「そんなに食えねぇよ。‥‥お前も一緒に食え。」
「え?うん、分かったよ。」
黙々と食べている途中で俺は覚悟を決めて、
謝ることにした。
「‥‥‥この前はごめん。
気持ちを考えないで、あんな無責任なことを言って」
「‥‥‥あの後、お前に言われて、色々考えて、
自分の気持ちが、余計分かんなくなっちまった。
‥‥‥けど、お前が謝る事はねぇよ。」
「そう‥‥なの?」
「ああ、気にすんな。」
そこからお互いに無言になるが、
不思議と居心地の悪さは感じなかった。
二人でアンパンを食べ終えると弦十郎さんが、
話を始めた。
「お腹も膨れただろうから、話をするとしよう。
音楽家のご両親が紛争で巻き込まれて死亡したのが8年前、
そして残された娘が行方不明となったが、
国連軍により保護され、輸送されることになった。」
「‥‥‥よく調べてるじゃねぇか
そういうの反吐が出る。」
「当時の俺たちは、適合者を探していてな
そこで音楽界のサラブレッドに注目していてな
身元引き受け人として名乗りを上げた。
ところが帰国直後、少女は消息不明、俺たちは慌てたよ。
君を探すために相当数の捜査員が駆り出されたが、
‥‥‥多くのものが死亡もしくは行方不明という
最悪の結末を迎え、幕を閉じた。」
「‥‥‥何がしたい!おっさん!」
「俺がしたい事は、君を助け出す事だ。
引き受けた仕事を最後まで、やり通すことが、
大人とてしの務めだからだ。」
「大人の務めだと、
いつも何もしてくれない大人が偉そうに!」
「弦十郎さんは、そんな人じゃ」
「悪いけど、あんたが言っても信じられない!」
クリスは、そのまま詠唱をして、ギアを纏い
窓から出て行った。
クリスが、出て行ってから少しすると雨が降り始めた。
「行ってしまったか」
「そうですね。」
「俺も君も伝えたい事は伝えたんだ。
あとはそれを行動で示すのみだ!」
「はい!」
二人は笑顔でうなずき、部屋から出て
いつ迎えを呼んでいたの、待っていた車に乗り、
本部に帰って来ていた。
本部の自販機に買いに来ていると
響、未来、翼がいた自販機のベンチに座って、
話をしていた。
響ちゃんは、未来さんから黙っていた事を
こっぴどく怒られたらしいというのを
聞いてから、逃げ回っていた。
「よし、回れみg」
「サクラさん、お話があるので
こちらにきませんか?」
未来さんに、声をかけられた。
「い、いえ、少し忙しいので」
「大丈夫です。さっきここに通った弦十郎さんが
サクラ君は、このあと予定がないぞって
言ってましたから時間はありますよね?」
響ちゃんが、近づいてきて耳打ちする
「もう、観念した方がいいかなぁなんて、
あの状態の未来は怖いですよ。」
「響?何を話してるのかな?」
「何も話してません!」
響ちゃんは、未来さんの後ろへ下がる。
助けを求めるように翼さんを見ると
「観念するといい」
苦笑いで言われてしまった。
俺はそのまま未来さんのところへ行き、
土下座をして謝った。
「本当に申し訳ありませんでした。」
「何が申し訳なかったんですか?」
「えぇと、響ちゃんと一緒に戦ってた事でしょうか?」
「違います。」
「じゃ‥‥じゃあ、秘密を隠してた事でしょうか?」
「違います。」
「響ちゃんを戦うのを止めなかった事でしょうか?」
「それは少し、ありますけど、
違います。」
(少しはあるんだ。)
「えぇと、流星群の時に戦いを変わってあげれなかった事?」
「事情は、聞いてるのでその日の事は恨みはしますが、
違います。」
「恨むんだ」
「何か言いましたか?」
「すみません、何も言ってないです。
‥‥あの、もうわからないので教えてください。」
未来さんは、少し怒った声で話しかけて来た。
「そもそも、怒ってません。
だから、顔をあげてください。
私は、お礼が言いたいんです。」
「え?お礼?」
地面から顔をあげて、立ち上がり未来ちゃんの顔を見る。
「はい、響や翼さん、二課の人たちから聞いてます。
響を守ってくださり、ありがとうございます。」
未来さんが、頭を下げる。
「私じゃあ、響を助けられなかった。
そして、サクラさんは前に約束してくれたこと
を守ってくれてました。」
「俺は、出来ることをしただけだよ」
「はい、だからこれからも友達として
響を助けてあげて欲しいんです。」
「うん、任せて!」
「はい、それはそれとして、
逃げ回っていたことに関しては許してませんよ?」
「あれ?怒ってないって?」
「思い出したら、降って湧いて来ちゃいました。」
笑顔で未来さんが答える
サクラは黙って正座をした。
未来のお話が始まった。
それを見ていた翼と響は、
「何というか小日向はたくましいな。」
「はい、未来のああいうところに助けられてます。」
それから未来さんの話が終わり、談話していると
警報が鳴る。
「ノイズ!サクラ、立花、戦場へ向かうぞ!」
「はい!」
「分かった!」
俺はポケットに手を入れて、
スマホを取り出そうとすると空を切る。
「‥‥‥あれ?」
立ち止まったサクラに異変を感じたのか翼と響が聞く。
「サクラ、どうした!」
「サクラさん、どうしたんですか?」
「スマホがない⁉︎」
「な⁉︎すまないが、探している時間はない。
立花、先にいくぞ!」
「サクラさん、後で一緒に探すので待っててください!」
二人が走っていく。
未来さんから冷たい目線を感じる。
「‥‥‥一緒に探しますね。」
「‥‥‥ありがとうございます。」
その後、本部内を探したが見つからず、
ノイズを倒した二人が手伝ってくれたが
それでも見つからなかった。
「サクラさん、こっちも見つからないですね」
「流石にここまで探しても見つからないなら
別のところに落とした可能性があるわね。」
「サクラさんは、いつから無くしたんですか?
響ならいつも部屋に忘れていくことが多いですが、」
「ひどいよ〜。未来〜、何で言っちゃうんだよぉ」
俺は考える。今日スマホを手放す事はなかったはず
俺が考えていると弦十郎さんが通りかかる。
「君たちまだ帰ってなかったのか?」
「あ、弦十郎さん
すみません!スマホを無くしちゃいました!」
俺は、思いっきり頭を下げる。
「ん?サクラ君、スマホならば、クリス君に
信用してもらうために渡していたではないか」
「え?‥‥‥あっ」
「サクラさん、クリスちゃんと会ってたんですか⁉︎」
「うん、会うことがあったからね。」
「それよりも、渡したままなのか?」
「ど‥‥‥どうしよう⁉︎」
「次にあった時にクリスに聞いたらいいじゃないな?」
「って、未来、クリスちゃんと知り合いなの⁉︎」
「私も会うことがあったからって、響近いよ」
「あ〜とりあえずだ、
サクラは次にあった時に雪音クリスに
返してもらうように頼むといい。」
「そうします。」
解散になり帰ろうと入り口に向かっていると、
翼がサクラを追いかけて来た。
「ごめんなさい、色々あって忘れてたけど、
これをサクラに渡し損ねてたわ。」
翼が、チケットを見せてくる。
「見に来てくれると嬉しいけど、どうかな?」
「うん、もちろん行くよ。」
チケットを受け取った。
「その、心を込めて歌うわね。」
「それを聞くと余計楽しみになるよ。」
(ノイズくるけど、どうしよう)
それから数日
翼さんのコンサートが始まるまで、
後少しという時に、ノイズが現れたと連絡があり、
響にお姫様抱っこされながら、一緒に現場に来ていた。
「翼さんのコンサートに間に合うようにしないとね!」
「はい、そしてクリスちゃんからスマホも返してもらうように
お願いすることですね!」
「そうだね。ちゃっちゃと終わらせよう。」
「って、響ちゃんあれ!」
倒れていたクリスにノイズが迫っていた。
「たぁああああああああ!」
ノイズを蹴り飛ばし、灰にする。
「な⁉︎‥‥‥おまえら!」
「クリスちゃん、一緒に戦おう!」
響がサクラを下ろし、拳を構える。
サクラは、クリスの方を見て、手を取り起こしあげる。
「雪音さん、俺が渡したスマホ返してくれると嬉しいな。」
「え、ああ、ほらよ。」
「ありがとう」
スマホを受け取ったと同時に通知が入る。
『雪音クリス』を変身と再現の対象に追加しました。
そのまま、スマホにモバイルバッテリーを挿し込む。
「二人共サポートに回るからよろしく!」
「はい、背中は任せます!」
「チッ、前は任せたからな!」
俺は断片再現で、イチイバルと天羽々斬を再現する。
響ちゃんが前へ行き、ノイズを倒していく。
俺は、動き回り、ノイズを撹乱
イチイバルで撃ち、天羽々斬で一気に接近して倒していく。
響ちゃんと俺の死角から迫るノイズを雪音さんが、倒していく。
「これで、貸し借りはなしだ!」
「うん!」
「二人共、でかいのがくるぞ!」
いつぞやの芋虫型が現れ、大量のノイズを生み出す。
響が腕のアームドギアを伸ばしていく。
その隙を狙うノイズの大群をサクラとクリスが倒していく。
「うおりゃあああああ!」
限界まで伸ばされたギアを地面に叩きつけると
衝撃が芋虫型まで一気に行き消滅させる。
残ったノイズを倒し終える
「やった、やったよ!クリスちゃん!
って、あれ?」
「どうやら、また何処かに行っちゃったみたいだね。」
「はい、でも、一緒に戦えたので、
少しだけ気持ちが伝わったってことですよね?」
「うん、きっと伝わってるよ。」
「それだと、嬉しいです。
‥‥あ、翼さんのコンサート間に合いますか⁉︎」
時計を確認すると
「今走っていけば、ギリギリ間に合うよ!」
「行きましょう!」
コンサート会場に入り、翼さんの歌が
始まったところだった。
「はぁ‥‥はぁ‥‥間に合いましたね。」
「ゼェ‥‥ゴホッ、ゴホッ、そうだね。」
二人で慌てて買ったペンライトを振るう。
「あの時のことを思い出しますね。」
「そうだね。あの時は別々で見てたけど、凄かったね。」
「今もあの時と負けないぐらいすごいです!」
「ああ!テンションが上がってくるよ!」
歌が終わり、翼さんの想いを語り出した。
「ありがとう、みんな!
今日は思いっきり歌を唄えて、気持ちよかった。
‥‥‥こんなにも思いは、久しぶり、
改めて確認できたの。私は歌が好きだったんだって!
聞いてくれるみんなの前で唄うのが、大好きなんだ!」
翼が会場を見渡す
「みんな知っているかも知れないけど、海外で唄わないかと
オファーが来ているの。
私は言葉が通じなくても、私の歌がだれかの助けになるのなら、
世界中の人たちに歌を聞いてもらいたい
だからみんな、私のわがままを許してほしい」
会場からは、みんなの温かい応援が翼さんに届けられる。
「‥‥‥ありがとう、みんな」
涙を流しながら、感謝の言葉を伝えた。
誤字•脱字有れば、よろしくお願いします。