大変だなぁと感じるこの頃
マリアさんが、持ってきたペットボトルを受け取る。
「これしかないけど、どうぞ」
「ありがとうございます。ゴクッ、ンク
はぁぁ、あの今ってどういう状況ですか?」
「そう慌てなくても、
もう少し休んでからでもいいのよ?
3日も目が覚めなかったのだから。」
「3日!?
いえ、今のところは大丈夫です。
お願いします。」
眠っていた時間に驚きながらも
マリアの説明に耳を傾ける。
「そう‥‥‥分かったわ。
今私たちは使用していたアジトを破棄、
フロンティアが封印されている土地まで拠点
を移しながら向かう予定よ。」
「‥‥‥そうですか。」
「ここは、拠点の一つになるわ。
この調子で計画を進めていくことを考えると
少し憂鬱にはなるけどね。」
マリア苦笑しながらそう言った。
空気が少し重くなったので、話題を変えることにした。
「そ、そういえば今日は3人はいないの?」
「セレナ達なら、何かやる事があるって言って出ていったわね。」
「やる事?」
「ええ、私のためにって言ってたわね。」
(なら、学園祭に遊びにもとい潜入に行った時か。)
「マリアさんのためにって何ですか?」
「‥‥‥そういえば言ってなかったわね。
私はギアを纏えば纏うほど、フィーネの魂が強くなり
最後は塗り潰されてしまうのよ。」
「‥‥‥マリアさん」
(ものすごく申し訳ないのだけれど知ってます。
しかもマリアさんじゃなくて、調ちゃんの方でしたね。)
「そんな悲しそうな顔をしないで、
大丈夫よ。まだ私は私よ。」
「マリアさん、何か力になれ」
そこで警報が鳴る。
「警報!?」
するとスピーカーからナスターシャの声が聞こえる。
『聞こえますか?マリア本国がここを嗅ぎつけたようです。
今すぐにガングニールにて迎撃を』
「ッ!?相手は生身の人間
ガングニールの一撃でも当たったら!」
「死ぬ‥‥‥でしょうね。
ギアはそれ程に強力です。」
「あなたも分かっているなら!」
「でも、戦いながらでしか
解決策も浮かびませんよ?」
「戦いながらでしか」
俺は体を起し、痛みもなく問題なく体が
動くことを確認しながら話す。
「ええ、殺すのではなく
大怪我させるなり、骨を折るなりして
撤退させましょう。」
「それは、何の解決になってもいないと思うのだけれど?」
「それでも問題の先送りはできますよ。」
俺は震える手を見えないように隠しながら
表情を変えずに言う
(そういえば、戦った相手がぶっ飛んでた人が多かったけど
今回はそうじゃない。
一歩でも間違えば殺してしまう。
考えろ、立ち止まらずに考えろ!
出来ることをするんだ!)
「じゃあ、先に行きますね!」
サクラが扉を開けて、走っていくのを追うのを躊躇う。
(問題の先送りはできるか。‥‥‥セレナあなたを助けたい
そのためにも!)
「‥‥‥私は迷わない!」
マリアはサクラを追うために走り出す。
2人が現場に来ると灰が舞っていた。
「おや、目が覚めたのですね。
良かった、まだ手伝ってもらう事がありますからね。」
「お陰様で、たった今目が覚めたので出来ることを
しに来ました。」
「仕事熱心で結構、それに新生フィーネも来たのですか。
でしゃばりだとは思いましたが、この程度の相手なら、
ガングニールを使用するまでもないですからね。」
ウェル博士がノイズを操りながら、工作員を灰に変えていく。
俺はアガートラームを断片再現をし、ノイズと工作員の間に立つ。
「さて、気合を入れて行きますか!」
ノイズを切り裂き、後ろから撃ってくる工作員に蛇腹剣で
武器を切り裂くと同時に腕に深い傷を負わせる。
「ぎあぁぁぁ!!」
俺は耳に入る悲鳴を聞かないように攻撃をしていく。
すると普段よりも繊細な戦いを求められるせいで、
死角が疎かになり、ノイズが突撃してくるが、
「はぁぁ!」
ガングニールを纏ったマリアに助けられる。
お互いが背中を合わせながらノイズと工作員を
倒していく。
「あがぁああああ!」
「いでぇえぇぇええ!!」
「ごめんなさい。あなたの手を血で汚してしまって。」
「気にしなくていいですよ。既に似たような事してますし。
マリアさんも血が嫌ならノイズだけを任せましょうか?」
「いいえ、あなただけに背負わせない!
私も背負うわ!」
工作員の方は戦える状態ではなくなったのか、
そのまま逃げていった。
それを追うノイズを倒していく。
(これを逃すと子供の危険が危ない!!)
その後、ノイズを倒し終えると
「‥‥‥ふむ、何故逃したのでしょうか?
ノイズで倒せば、飛ぶ鳥跡を濁さずといけたのですが?」
ウェル博士が当然の質問をしてくるとマリアが、
「簡単なことよ。奴らに私の手で、恐怖を刻みたかったからよ。
私たちに手を出せば、どうなるかを知らしめるためにね。」
「なるほど、フィーネの権威を示したかったと!
それは考えていませんでしたね。
これで、追手が減ると思いますか?」
「減らなかった時は、
その時こそソロモンの杖の出番だと思うのだけれど?」
「ええ、もちもんその通りですね。
どうやら本当にでしゃばってしまったようですね。」
「謝罪よりも早く移動しましょう。
ここにいては今度は、2課がくるわ。」
「また俺が怪我させられそうなので、早く移動しましょう
そうしましょう。」
「ええ、その通りです。
既に3人には合流地点を伝えてあります。
必要な資材を持って移動しましょう。」
ナスターシャが車椅子でこちらに近寄ってくる。
「分かったわ。マム」
「了解、今すぐ動きますね。」
「‥‥‥マリア、少しは覚悟ができたみたいですね。」
マリアは、向こうで荷物を運ぶサクラを見て
「彼のおかげでね。」
その後、資材を飛行機に積んで合流地点へ移動をしていた。
飛行機の窓側の席に座り、空の景色を見ながら、
(人を傷つけた。血の‥‥‥匂い
肉を引き裂く感覚、悲鳴全てこびりついて離れない。
‥‥‥死んでないよな?全員走って逃げてたし
大丈夫なはず。」
「‥‥‥何が大丈夫なのかしら?」
「うぉ!?マリアさんかびっくりしたな。」
「ええ、ばんやりとしているあなたが見えたから、
つい声をかけてしまったわ。」
マリアはそのままサクラを抱きしめる。
「‥‥‥ふぁ!?」
「ごめんなさい、謝りたかったのあなたを巻き込んだこと」
「え、あいや、気にしてな」
「私に心配かけないように、強がらなくてもいいのよ。」
自然と涙が溢れてくる。
「‥‥‥初めてかもしれないんです。
人を殺すかもしれないって思ったのは、
今日は運良く殺さずに済みました。
けど、悲鳴が何かを斬った感触が全部残ってて。」
「私もよ。全部残っているわ。
きっと消えない傷として残るのかもしれないわね。」
「‥‥‥‥でも、後悔だけはしていません。
これだけは間違っていないと思いたいです。」
「私も覚悟を決めたの。大切なものを守るために
躊躇うことを今日捨てるわ。」
(私がもっと早く覚悟を決めていれば、こんな優しい子の手を
汚さずに済んだのに!)
それから合流地点に着くまでに間、俺は泣き続け
マリアは優しく受け止め続けた。
「合流地点って、ここだったなぁ」
俺は泣いた恥ずかしさから飛行機を降りたあと
先に合流地点のカ•ディンギル跡地にいた。
(ここで響ちゃんはネフィリムに左腕を食べられて
浸食が加速したはず、ならやることは決まってる。
それを阻止すること!)
向こうから三人が駆け寄ってくる。
「サクラさん、もう動いても大丈夫なんですか!?」
「良かった。目が覚めたんですね。」
「なら今日は奮発していいものを食べるデス!」
「ありがとう、それとごめんね。
心配かけちゃったね。」
「いいんです。仲間なんですから、当たり前です。
そ‥‥それに、うう、恥ずかしくて言えません。」
「セレナ後一歩だったのに」
「腰が引けちゃったデスよ。」
「みんな無事だったのね。」
3人の無事を確認できたマリアの表情が和らぐ。
ナスターシャが、すぐ後に合流した。
3人の話を聞くと
聖遺物のペンダントを奪いに学校の学園祭に潜入
なんやかんやあって、決闘を申し込んでしまったらしい。
それを聞いたナスターシャが、
3人の頬を平手打ちする。
「私たちは、遊びでやっているわけではないのですよ!」
3人が無言になるなか、
いつのまにか来ていたウェル博士が口を開く。
「少し良いでしょうか?
その子達が約束してきた決闘に乗りたいのですが?」
俺は、作戦内容を聞くために質問をする。
「一応、何考えてるか聞いても良いですか?
俺にできる事があればしますけど?」
「ええ、君にだけ頼みたい事があります。」
「‥‥‥俺だけ?」
「その通り!君だけにしか出来ない事です!
この作戦に必要なのは彼だけなので、
皆さんは後方へ下がって大丈夫ですよ。」
「サクラさんを1人になんて!」
「そうデス!元はと言えば私たちが原因デス!」
「うん、私たちが残ります。」
「残念ながら、君たちは甘い
ですが先の戦いで、表情一つ変える事なく
人を切ることのできる彼の方が適任なんですよ。」
「そう言うわけです。
皆さん下がりますよ。」
「分かったわ、マム
さぁ、行きましょう。」
マムの命令で全員後方へと下がっていく中、
マリアさんが悲しそうな顔で、
こちらを見ていた。
ノイズを出すウェル博士と並びながら、
作戦を聞く。
マリア達には後方にいてもらう。
前線に出るのは、ウェル博士とサクラの2人
そして、2課の装者を足止めして
ネフィリムの餌を確保するとの事
「えらく、シンプルですね。」
「ええ、ですがシンプルな作戦ほど相手は
深読みをしてしまうものですよ。」
「そういうものですか。」
「ええ、そういうものです。」
それからしばらくして、
2課の3人が来た。
響がギアを纏い疑問をぶつけてくる。
「サクラさん
セレナちゃん、切歌ちゃんと調ちゃんは!」
「彼女達なら、謹慎中だよ。」
「ええ、その通りです。
なので彼と僕がこうして出張ってきたのですよ。
お友達感覚で計画に支障を出されては困りますからね。」
ウェル博士が、3人にノイズを襲わせ、
俺はイチイバルを断片再現して襲い掛かる。
「今は、いない3人よりも!
サクラを止めることに集中するぞ!」
「当たり前だ!あいつをどうにか連れて帰る!
あそこはあいつの居場所じゃない!」
「サクラさん!手加減無用で行きます!」
「‥‥‥こい!!」
戦いが始まる。
誤字•脱字が有れば、よろしくお願いします。