ある指揮官とある人形   作:名無し

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執筆中の話を誤って削除してしまい振り出しに戻ったので初投稿です。
この活動をしていく上で避けられない出来事であることは分かっているのですがメンタルに来るものがありますね…。投稿が遅れたのはこれが原因です。
ただの言い訳ですね。申し訳ありません。
体調を崩した訳ではありません。もしご心配をお掛けしてしまっていたのならば重ねて謝罪申し上げます。

リクエストは常時、受け付けております。感想欄をご利用ください。

それでは、どうぞ


補給基地の指揮官さまと79式 その4

後方支援開始

 

資源がない。先に言っておくが無駄遣いした訳じゃない。そもそも人形製造は補給基地(ここ)じゃあまり必要ではないし装備も同様だ。なら何故なくなったか。それは近々行われる大規模作戦のためだ。その作戦のせいで前線の基地がいつもより多くの資源を要求してきた。仕方ないことだと分かっているし必要なことだとも分かっている。だが突然そんなこといわれて簡単に対応できるわけがないだろう。前線に送るために普段ならこの基地のための分まで送らざるを得なかったのだ。本部に打診したが申し訳なさそうな顔で断られた。何処も同じような状態らしい。そんな言い訳をしていると扉の方から軽い音が3回。

先程呼び出した79式だろう。

 

「失礼します、指揮官さま。79式、参上しました。ご要件は?」

 

「ああ、来たか。君には一旦後方支援の部隊に移ってもらう。」

 

そう淡々と告げる。あまりもったいぶる話でもないしさっさと本題に入った方がいいだろう。

 

「私では力不足でしたか?指揮官さま。」

 

そんな声に疑問を感じ目を上げると79式が涙目で震えていた。

 

「ああ!違う違う!力不足だとかそういうことではなくて…!」

 

慌てて弁解をするも聞こえていないようだ。話をする前にまず落ち着かせないと。だが泣いている子を落ち着かせた経験などあるはずがなくどうすればいいか分からない。軽くパニックになっているとふと小さい頃の自分を思い出した,。一か八か、これにかけるしかない!

 

「ひぅ!」

 

そして思い切り79式を抱きしめた。

 

「断じて力不足なんかじゃない。大丈夫。君はよくやってくれてる。」

 

「はぅ…」

 

努めて優しい声音を出しつつ、ゆっくりのしたテンポで背中を叩く。かつてよく泣き出していた自分が途端な落ち着いたという必殺技である。誰かに試すのは初めてだが効果は自分が1番よく知っている。そろそろ落ち着いた頃合だろうか。

 

「落ち着いたかい?」

 

「は、はい…。お騒がせして申し訳ありません。」

 

落ち着いてくれたようなので解放する。こころなしかいつもより顔が赤い気がするがそこはあえて触れないでおこう。

 

「えっと…、大規模作戦の関係でここの基地の分の資源が結構枯渇気味になったんだ。それで一時的に第1部隊のみんなも後方支援の方を手伝ってもらおうと思って隊長の君に声をかけたんだ。力不足だとかでは断じてなく。」

 

「なるほど。だから最近は元気がなかったんですね。最近ちゃんと寝てないんじゃないですか?」

 

ジト目でこっちを見てくる。心当たりしかないので目をそらす。

 

「はぁ…。指揮官さまは人間なんですから体調管理はしっかりしてくださいね。指揮官さまが倒れるとこの基地止まっちゃいますよ?」

 

おっとお説教モードに入りそうだ。早めに切り上げるとしよう。

 

「ああ、気をつける。それで、後方支援の方やってくれるか?」

 

「ちゃんと指揮官さまが休んでくれるなら。」

 

痛いところをつかれた。最近は仕事が多くてあまり休めていないのだ。というか休んでいたら終わらない。

 

「ああー、まあ善処するよ。それじゃあ部隊員に通達、準備出来次第出発してくれ。」

 

「了解しました。指揮官さま、行ってきます!」

 

元気な声でそう返事した後執務室を出ていく79式を後目に、机の上の山を見る。これ今日中に終わるだろうか。とてもじゃないが無理な気がする。そんな独り言を零しながら、山崩しを再開した。

『指揮官さま、行ってきます!』

 

後方支援終了

 

そろそろ後方支援に行った79式が帰ってきて報告書を提出する頃だろう。見送った時は朝日が上り明るくなった頃だったが既に日は沈み夜の帳が落ちている。休憩?取れてないよ。善処するとは言ったが実行はできてないなコレ。

絶対何か言われる。仕方ないよ。仕事が多いんだもん。そんな言い訳をしていると扉が開いた。帰ってきたのだろう。

 

「任務完了!ご報告致します、指揮官さま。」

 

「ああ、おかえり。そこに置いておいて。こちらで処理しておくよ。お疲れ様、79式。次の君の仕事は2日後だからそれまでは自由に…」

 

顔をあげるととても不機嫌な顔が視界を覆っていた。大層ご立腹の様子である。

 

「休んでませんよね?」

 

「ああ、いやちゃんと休んだよ?ほら元気げん」

「休んでませんよね?」

 

「いや仕方ないんだよ。だって仕事が終わら」

「や・す・ん・で・ま・せ・ん・よ・ね?」

 

「…はい」

 

誤魔化せなかった。怖い。笑顔が怖い。笑顔の由来は威嚇の顔だと聞いたことがあるがそれが納得出来るくらいに怖い。そして言及はまだ続く。

 

「初めから正直に言ってくださればいいんですよ。急ぎのものはまだ残っているんですか?」

 

 

「急ぎのものは先に終わらせておいた。少なくとも期限が今日中のものは無いな。」

 

誤魔化そうとも思ったが正直に話すことにした。なんかもう嘘が通じない気がしたからだ。そしてその選択は正しかったようで79式の調子がいつも通りに戻った。…いや、いつもよりご機嫌か?

 

「どうしたんだ?なんだか機嫌が良さそうだが」

 

「いえ…。ちょっと失礼しますね。」

 

いつの間にか横に来ていた79式がそう告げると、突如世界が回った。抱き上げられた、と理解した時には既にソファの上で横に寝かされており、後頭部にはやわらかく暖かいものがあった。俗に言う膝枕である。

 

「な、79式?一体これは…?」

 

慌てて立ち上がろうとするも片手で抑えられ元の位置に戻される。困惑しながら視線を向けると79式は優しい笑みを浮かべていた。

 

「急ぎのものはないんでしょう?でしたら休んでください。こうでもしないと休んで下さらないでしょう、指揮官さま?」

 

そう言いながら頭を撫でてくれる。思っていた以上に疲れていたようで瞼が加速度的に重くなっていく。

 

「残っている分が心配なのでしたら明日私が手伝いますから。今は仕事は忘れて、ゆっくりお眠りになってください。」

 

「ああ、あり、がとう。ななきゅうしき…。

 

そうして、沈み込むようにゆっくりと、意識を手放した。

 

―おやすみなさい、指揮官さま。いい夢を―

 

『任務完了!ご報告致します、指揮官さま。』




というわけで、その4でした。
こまめなデータの保存って大事ですね。身をもって思い知りました。
皆さんもデータを扱う際には気をつけてくださいね。とても虚無ります。
閲覧ありがとうございました。
それでは。
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