ただ俺は平凡に殺し合いたいだけ。
そんな願いを抱きながら過ごす日常は、いつも濁っていた。
「人を殺すのは犯罪」
そんなガキでも知っていることが、俺の人生を苦しめる。
人を殺したい人間は抑圧されなければならないのか。そこに自由における平等は無いのか。
ああ、無いとも。有史以来、人間が平等だったことなど一度もないのだから。
古の権力者が、同族を狩ることを罪とした時から私の人生は罪なのだ。
だからといって、私は今の日常を壊したい訳では無いのだ。日常の中に殺し合いがあればいいのだ。平和な殺人を行いたいのだ。
そんなこんなで街を歩いていると、あるゲームのパッケージが目に止まった。VRMMOでリアルな戦いができるという…
なんと素晴らしいことか!この手のゲームは人を殺すこと、つまりはPKができるのが基本だ。リアルなPKはそれはもう擬似的な殺し合い、殺人なのではないか?これなら私の欲求は満たされるのではないか?
勢いでソフトとVR機器を買ってしまった…まぁいいか、金ならいくらでもある。仕事は辞めてるから時間もあるし、買ったからにはとことんやりこんで殺し合い《エンジョイ》していこうでないか。
俺は家に帰ると、ベットに寝そべりゲームを起動する。
キャラクターメイクをするらしいのだが…
「ふむ、見た目か…そのままでいいだろう」
やはりこの身で殺し合いをしたいしな
「名前…」
ネームはさすがに実名とは行かない、自身の安全を考慮してな。日常が崩れるのは良くない。
「シュラ…シュラでいこう」
シュラ…修羅から取った名前で行こうと思う。修羅の如く殺し合いが出来ればいいと願ってな。
ふむ…武器も選ぶのか…
とりあえず武器を一通り確認し…
「これにしよう」
大剣を手に取った。
戦いの中では力が全てを解決する。あの呂布奉先もその腕力で三国最強の武将となったのだ。ステータスもSTRを高めに…
シュラ
Lv1
HP32
MP25
【STR 65〈+20〉】
【VIT 20】
【AIG 15〈+5〉】
【DEX 0】
【INT 0】
装備
頭 【空欄】
体 【空欄】
右手 【初心者の大剣】
左手 【スロット不可】
足 【空欄】
靴 【初心者の魔法靴】
装飾品 【空欄】
【空欄】
【空欄】
スキル なし
よしこれでOK、ログインと…
ゲームを開始すると、噴水のある広場に転送された。
(おお…匂いまである、なんてリアルなんだ)
未知なる世界に胸をときめかせながら、近くにいる赤い鎧を着た御仁に話をかける。
「すみません、ここらで初心者におすすめの狩場ってありますか?」
「初心者か、この先言ったところに森があるから、そこがちょうどいいぞ」
「ありがとうございます」
俺はすぐさま森に向かい、他のプレイヤーを探した。途中でモンスターなどがでてきたが全て無視した。
でもモンスターも狩らないと高レベルのプレイヤーは殺せないのか…考慮しよう。
しばらく探していると、茂みの向こう側から声が聞こえてきた。
「はぁー、何とか勝ったぁ…」
おそらく自分と同じ初心者のプレイヤーだろう、モンスターを狩るのにてこずったのか、勝ったはいいが満身創痍になっていた。
俺はそれを見て思わず飛び出して、そのプレイヤーを押し倒した。
「うわ!なんだお前!や、やめろ!」
抵抗するそのプレイヤーを押さえつけ何度も何度も大剣を突き刺した。
「や、やめてくれ!死ぬ!死ぬぅ!」
死ぬまで何度も、何度も、何度も…
気がつくと相手プレイヤーは消えていた。
その時、自分の世界に色ついたような気がした。
『スキル【サイコキラー】を獲得しました。』