豊姫が新たな力を得てからさらに5年がたっていた
豊姫と依姫と輝夜は文夜と永琳の元から旅立とうとしている
八意邸キッチンにて…
「長い間お世話になりました」
「本当にありがとうございました〜」
「嫌だー!まだここでみんなと住んでいたいー!」
豊姫と依姫が深くお辞儀をする中、輝夜は駄々をこねていた
「輝夜ちゃん…僕たちだって辛いよ。でも、輝夜ちゃんも僕たちに頼ってばかりじゃなくて独立しなきゃいけないんだよ?それに一生の別れってわけじゃないんだからいつでも遊びにおいで!」
文夜は優しく輝夜の事を抱きしめた
「ここはあなた達の家でもあるのよ。困ったこと、辛いことがあったらいつでも相談に来なさい」
永琳は抱きしめられている輝夜の頭を撫でながら微笑んでいた
「ぐすん…遊びに来てもいいの?」
「「もちろん」」
文夜と永琳は口を揃えて言うと輝夜は文夜の腕を振りほどき、笑顔を見せた
「じゃあ私はもう泣かないわ!いつでも遊びに来るわね!」
「よしよし…輝夜ちゃんは最後まで元気だね」
「あ、あのお父さん!!」
文夜は輝夜の頭を撫でていると依姫が頬を少し赤く染めながら声をかけた
「どうしたの依姫ちゃん?」
「最後に私を抱いてください!」
「ごほっごほっごほっ!?」
永琳は突然の依姫の発言に咽せていた
「だ、大丈夫かい永琳!?あ、あと依姫ちゃんはな、何を言っているんだい!?」
文夜は永琳の背中をさすっていると豊姫はくすくす笑っていた
「依姫ちゃんは大胆ね〜」
「え?あっ…抱くじゃなくて抱きしめてください!」
依姫は自分が言い間違えていた事に気づき慌てて言い直した
「よ、よかった…依姫ちゃんがいやらしい子に育っちゃったんじゃないかって思っちゃったよ…」
「なっ、何を言ってるんですかお父さん!」
文夜が安心した様に言うと依姫は顔を真っ赤にしながら文夜の胸をポカポカ叩いた
「私も抱きしめてちょうだい!」
「じゃあ私も〜」
「ははっ!じゃあ順番にしてあげるよ!」
文夜は三人を順番に抱きしめた
……
八意邸の玄関には荷物をまとめた豊姫、依姫、輝夜と永琳と文夜がいた
「僕達はさようならとは言わないよ。代わりにこの言葉を使うよ」
「これしかないわよね」
文夜と永琳はアイコンタクトをし、そして息を揃えて言った
「「行ってらっしゃい輝夜、豊姫、依姫」」
「「「はい!お父さんお母さん行ってきます!」」」
豊姫達は元気な声で言ったあと歩き始めた…それぞれの道へと
……
3人の姿がもう見えなくなったころ…
「行っちゃったわね…この家も広く感じるわね…」
永琳は現在文夜と永琳しか住んでいない八意邸を見つめた
「僕たちに子供が出来ればまた騒がしくなるさ」
「あなた…」
永琳は何かを期待をした目で文夜を見たが…
「ただ…ちょっとだけ待っていてくれないか?ある人と話をつけてくる」
永琳は目付きが鋭くなっている文夜を見てあることを感じ取った
「…分かったわ」
「ちょっと用意してくるね」
文夜は一度家に入り、自室に戻った
……
数分後、玄関には大剣を背負った状態の文夜と永琳がいた
「じゃあ行ってきます」
文夜は永琳にキスをした
「んっ…気をつけて行ってらっしゃいね」
文夜は八意邸を後にした
永琳は文夜が見えなくなった後もはしばらく玄関にいた
「あんなに怒っている文夜を見るのは初めてね…」
ぼーっとしていた永琳は数分後に家の中に入った
……
文夜は綿月家に訪れると応接室に通された
そこには綿月家現党首…豊姫と依姫の父親がいた
「いやいやー美音さん夫婦には助けられましたよ」
「いえいえ、こちらこそ良い体験をさせてもらいました」
文夜はお辞儀をするとソファに腰を下ろした
「まさかあそこまで豊姫と依姫があんなに立派に成長するとは思いませんでしたよ!はっはっは!!」
綿月家党首が高笑いすると何かを我慢している様であった文夜はゆっくり口を動かしていた
「…ざけるなよ」
「はい?何か申し上げましたかな?」
綿月家党首が聞き返すと文夜は立ち上がり怒鳴った
「ふざけるなって言ってるんだ!自分の娘を殺そうとしてた奴が何を言うんだ!」
「な、何を言っているんだね?」
党首は驚きながらも何を言っているのか分からないという顔をしていた
「とぼけるな!豊姫が15歳の誕生日の時にプレゼントした扇子の説明を何故しなかったんだ!」
「そ、それは…」
「事故と見せかけて豊姫を殺す…運良く僕を殺せればいいかとでも考えたの?」
文夜はかまをかけていただけであった。本当は全て間違いであって欲しいと願っていた
しかし文夜がそこまで言うと党首は穏やかそうな目から冷酷な目へと変えた
「ふぅぅぅ…流石は穢れた英雄さんだこと…そうだとも.…お前が言った事は全て当たっているよ」
「僕だけを狙えば良かったじゃないか!なんで実の娘まで殺そうとしたんだ!」
文夜は尻尾をゆらゆらさせながら怒った
「あんな出来損ないが私の娘?はっ!笑わせてくれる!」
党首も席から立ち上がり怒鳴った
「出来損ない…?」
文夜は顔を顰めていた
「あらゆる事が妹に劣るなど出来損ないじゃないか!我が家系に出来損ないなどいらない!」
党首は見下すような感じで部屋に飾ってある豊姫の写真をみている
「あなたが豊姫の事を良く見ていない事は分かった…
10秒だけあげる…神への命乞いと遺書の準備を済ませたら?」
文夜は謎のセリフを右手で顔を隠し、左手で党首を指差しながら言った
「命乞い?命乞いするのはお前の方だ!」
当主はポケットに入れていた銃を手に持ち構えた
「死ね!」
しかし…銃を撃った瞬間、当主の手は爆ぜた
「〜〜〜!」
「…銃を撃った時に生じる反動と手にかかる振動を最大にさせてもらったんだよ。僕の能力くらい知ってるでしょ?」
手が爆ぜた党首は悲鳴を上げながら床を転がり回った
「はぁはぁ…まさかこんな事になるとは…」
党首は涙を浮かべながらフラフラと立ち上がった
「うっ…ここは一旦逃げなければ…」
「逃がさないよ」
文夜は腰を落とし右手を床の上に置いた
「がはっ!」
すると逃げようとした綿月家当主は急に氷の上で滑るように転んだ。いや、実際に滑って転んだのである
「貴方の周りの床の摩擦をゼロにさせてもらったよ…」
文夜はゆっくりと党首に近づいた
「ひっ!わ、私を殺すのか!?」
腰を抜かした党首はツルツル滑りながらも後ろへと逃げようとした
「殺してやりたいさ。でも貴方にはこの都市の法に裁かれてもらう。幸い、貴方の悪事は全て裏が取れている」
「く、糞ぉぉぉ!」
文夜は妖力で手錠を作り党首の手に付けようと近づくと…
「いてっ!」
文夜はつるんと滑って頭を床にぶつけた
党首は「こいつは何をやっているんだ?」と言いたげそうな顔をしていた
「いてて…自分の能力に自分が引っかかるなんてアホじゃないか…」
文夜はぶつけた所を手で摩りながら立ち上がった
立ち上がったという事は自分の足元の所だけ摩擦を起こしているのであろう
「格好良く閉めたかったのに…まあ拘束はさせてもらうけど」
文夜は無抵抗の党首の手に手錠をかけると電話を出してあるところにかけた
「もしもし?咲奈?僕の机の上にある書類があれば警察が動くと…うん…お願いね」
文夜は電話を切ると近くの椅子に腰を下ろした
「まあ察しの通りあなたは数分後に捕まるよ」
「…」
「はぁ…」
声をかけても特に何も返さないので文夜はため息をついた
「…あなたが出来損ないと言った豊姫ちゃんはね」
「…っ!」
党首は突然話し始めた文夜の方を見た
「小さい頃から周りの事を良く見てたから人の長所も短所もすぐに分かっちゃうんだ。それにとても頑張り屋だったんだよ?お姉ちゃんの自分が依姫ちゃんのお手本になれるようにね」
文夜が部屋に飾ってある豊姫の写真を見ながら言っているのを党首は静かに聞いていた
「確かに依姫ちゃんは凄かったよ?物覚えも良くて教えてあげた事もぱっとできちゃったからね。まさに天才って感じだったよ。でも豊姫ちゃんは努力の天才だったと思うよ」
「…本当に私は娘たちの事を良く見ていなかったのだな」
「その事に気付いてくれただけでも僕は嬉しいよ」
文夜はにっこり笑った
「私よりあなたの方が親にピッタリだ…私は親失格だ」
「なら二人に認められる程の父親になってみせたらどうかな?僕は仮の親…本当の親は血を分けたあなたなのですから」
文夜はこの時、内心では羨ましいと思っていた
そう…文夜にはもう血を分けた者がいないのである
だからこそ血の繋がりがある事がとても羨ましかったのだ
「ふっ…まさか私が大っ嫌いな穢れに親について教わるとはな…」
党首は先ほどとは違う涙を浮かべながら俯いた
数分後、咲奈は警察を引き連れ綿月邸へとやってきた
文夜は身柄を警察に引き渡すと咲奈にお礼を言った後に家に帰った
……
「そういえば久しぶりに家に帰りますね姉さん」
「そうね〜お父さんに教えてもらったケーキ屋さんに行っちゃったせいで遅れちゃったけどね〜」
豊姫と依姫は八意邸から出た後、町に行き買い物を楽しんでいた
「ほーら久しぶりのマイホー…え?」
豊姫は驚いた。自分の家の前にたくさんの警察がいたからであった
「…まさかお父さん?」
「ちょっと何があったか聞いてきますね」
豊姫は何か考えていると依姫は一人の警察に話を聞きに行った
しばらくすると依姫は暗い顔で豊姫の元へと戻ってきた
「一体何があったの依姫ちゃん」
「私達の父が捕まったそうです…」
「そう…じゃあ私達どこで生活しましょうか…」
豊姫が自分の家を見ながら言うと…
「え?あっ!ちょっと聞いてきます!」
依姫は再び警察の元へと走っていった
……
「えーっとですね姉さん」
「うん。ところでその後ろにいるお兄さん達はどなたかしら〜」
何故か警察のお兄さんを連れて依姫は豊姫の元に戻ってきた
「とりあえず話とか聞きたいから一緒に来てくれだそうです…」
依姫がそう言うと警察のお兄さんはにっこり笑った
恐らく警戒されたく無かったのであろう
「私達が事情聴取!?」
「大丈夫怖くないですから」
依姫と豊姫はお兄さん達に連行され、いろいろと話を聞かれた。しかし寝床などを用意してもらい、次の日にはまた綿月邸で暮らす事になった
……
次の日の朝、文夜は昨日帰ってきたらすぐに寝てしまったので永琳から話を聞かれていた
「お疲れ様あなた。でも少しは私に話してくれても良かったんじゃない?」
「ご、ごめんね永琳。君に心配をかけたくなかったんだよ」
永琳は少しだけしゅんっとした顔になった
「昨日のあなた…すごく怖かったわよ」
「何年も我慢してたんだよ…自分の娘を殺そうとしたやつなんて許せるわけないでしょ?」
「私だって許せなかったんだから!私も一発引っ叩いてやりたかったのよ!」
永琳は怒りをあらわにしたのに対し文夜は苦笑いをした
「あはは…永琳も連れて行けばよかったかな?」
「当然よ!全く…この怒りを何処へぶつければ良いのかしら…そうだあなたに伝えたい事があったのよ」
「なんだい?」
「次の満月の日は…私、あの日なのよ」
永琳は思い出したかの様に顔を赤め、恥ずかしそうに言った
「あの日?」
「ぞ、俗に言う危険日ってやつよ!」
永琳は顔を真っ赤にしながら大きな声で言った
「そ、そういえばまだ僕達って忙しかったから身体を重ねた事はなかったね」
「楽しみにしてるわよあなた。ふふふっ」
永琳と文夜は顔を湯気でも出るのではないか?というほど真っ赤にしていた
〜メリーの部屋〜
「不愉快なやつだったわね綿月家当主は」
「私も不愉快だったわよ。でも最後に改心してくれてよかったわよ。そう言えば文夜が何をしてて忙しかったか気になる?」
「なあにメリー?」
「まず文夜は仕事を続けていたのよ」
「ふむ」
「妖怪退治、と言うよりは警察に近かいかも」
「あれ?でも警察がいるなら一体何をしてたの?」
「警察が関われない様なちょっと危ない事とかを文夜はやっていたわね」
「それだから綿月家党首の悪行とかを知っていた訳なのね」
「その通り。それにしても今の時代は妖怪がいないからなんで嫌いになるのか私にはさっぱりわからないわね」
「え?」
「え?」
「ちょっと前までここに幽霊の八意さんいたわよね?」
「幽霊なんて普通にいるじゃない」
「メリーも一般人から掛け離れた思考回路をしているわよ」
「そうかしら?」
「幽霊がいるのに妖怪はいないって思えるのはメリーだけよ」
「蓮子の方がおかしいのよ」
「この話だけは一生わかり合う事はなさそうね」
あんな事を書いてますけど18禁にはしません!…もとの方では普通に入ってましたけど
あと無駄な説明多いですかね…全部蓮子メリーに任せちゃってもいいんですけどね
「感想があったら是非教えてくれ」