輝夜、豊姫、依姫が遊びに来てから数ヶ月が経った
「気分はどうかな?」
「今日は特に調子が良いわね」
文夜が部屋に入ると永琳はベッドの上で身体だけを起こしていた
「ねえあなた。久しぶりに一緒に出掛けない?」
「ん、それはいい考えだね。無理しないでよ?」
「何かあったらすぐに言うわよ」
永琳はゆっくりとベッドから降りた
「結構大きくなったね…予定日ってそろそろだったよね?」
文夜は永琳のお腹を見ながら言った
「あら?あなたはあまり見てなかったかしら?」
「最近は特に見てなかったからね」
「もうちょっと感心を持ってくれても良いんじゃないかしら?」
永琳は頬を膨らませながら言った
「べ、別に感心がないんじゃ無くて家事に一生懸命になり過ぎちゃってて…」
慌てて弁解をしようとする文夜を見て永琳は微笑んだ
「ふふっあなたが私の為に頑張ってくれてることは分かっているわよ。ちょっと意地悪したくなっただけよ」
「うー…酷いよ永琳」
「こらっ!これから父親になる人が項垂れ無いの!」
永琳が一喝すると文夜はシャキッと立った
「は、はい!ごめんなさい!」
「やっぱりあなたに意地悪するのは楽しいわね。ちょっと着替えるのを手伝ってくれないかしら?」
そう言うと永琳は上着を脱ぎ始めた
「何を手伝えばいいかな?」
「服を選んで着させて欲しいのよ」
「ちょっと待ってね…」
文夜はクローゼットを開け、しばらく考えたあといくつか服を出した
「やっぱりこの青と赤の服が一番似合うよ」
「そんな服入れてたかしら…」
「ちょっと前に驚かせようと思ってこっそり入れておいたんだけどね」
文夜は苦笑いしながら言った
「このデザイン…小さい頃に私が着てたやつと同じね」
永琳はじっくりと文夜が出した服を見つめた
「永琳が小さい頃着てたやつは僕のお母さんが作ったやつだったんだよ」
「だから他に着ている人がいなかったのね…」
永琳は昔を思い出す様に目を閉じた
「で、それを思い出したから僕が今の永琳の体型に合うように作ったんだ」
文夜は胸を張って自信満々に答えると永琳はとても驚いた顔をした
「本当あなたは何でもできるわね…」
永琳の言葉に文夜は首を横に振った
「何でもできる訳じゃないよ。なんでもできるように努力してるだけだよ」
文夜は服を永琳に着させ始めた
「人に服を着させるのって結構大変だね」
「咲夜が産まれたらいっぱい服を着させる事が多くなると思うわよ?」
「それもそうだね…はい終わったよ」
文夜が服を着せ終わると永琳は鏡の前にゆっくり移動した
「何か不思議な気分…まるで昔の自分を見ているような感じね」
「永琳は昔と違って綺麗になったよね」
永琳は顔を赤くしながら文夜の肩を叩いた
「…馬鹿」
「いてて…着替えも済んだし出掛けよっか」
「そうね…早く行きましょう」
永琳は文夜と手を繋ぎながら繁華街へと向かった
繁華街…咲奈は休暇だった為に一人で買い物を楽しんでいた
「この新作のバッグも…いやいやこっちのバッグも…ん?あれは…」
バッグの専門店でいろいろな商品を見ていた咲奈がふとガラス越しに外を見ると、手を繋ぎながら歩く文夜と永琳が目に入った
「やっぱり尻尾があると目立ちますね…それにしても八意様とデートですかね?少し後をつけてみるとしますか」
咲奈は持っていたバッグを元あった棚に戻すと急いで文夜達の後を追った
「…ねえあなた。何か視線を感じない?」
永琳は立ち止まり不安そうな顔でキョロキョロ周りを見渡した
「確かに感じるけど殺気は含まれて無いから僕たちの知り合いじゃないかな?」
文夜は永琳の肩に手を回し自分の方へと寄せた
「もしも何かあったら僕が守るから」
「あなた…」
永琳は顔を赤く染め、文夜にくっ付きながらまた歩き始めた
「何ですかあの可愛さ…妬ましいです」
咲奈は少し離れたところで周りの人が避けてしまう程のオーラを出しながら見ていた
「ねえあなた!映画でも見ましょう!」
永琳は映画館の近くに来ると文夜の腕を引っ張り始めた
「身体に悪いからそんなにはしゃがないの」
文夜は永琳を落ち着かせた後、二人で上映作品一覧を見た
「んー永琳は何を見たい?」
「私はジョジョを見たいわね」
「ジョジョ?」
文夜は一覧の中から探していると、長い題名の作品が目についた
「もしかしてこの「ジョジョの奇妙で愉快な冒険 オールスターバトル4 フォックスフルムーン」じゃないよね?」
「もちろんそれよ!」
目を輝かせてる永琳とは違い文夜の目は死んでいた
「まあ永琳が見たいって言うなら僕も見るよ。ちょっと券を買ってくるからちょっと待っててね」
「お願いするわね」
文夜は券を買いに行ったので永琳は近くのベンチに腰を下ろした
5分後、文夜は券を手に持った状態で永琳が座るベンチへやってきた
「その感じだと買えたみたいね」
「凄かったよ?僕たち以外お客さんいないんだよ」
文夜は苦笑いをしながら言った
「なんで誰もジョジョの面白さがわからないのかしら…」
永琳はブツブツ言いながら立ち上がった
「え?何処に行くの?」
「え?何を言ってるの?」
「あっ言い忘れた。映画は二時間後だよ?」
「はぁ…それを先に言いなさいよ」
永琳は上げた腰をまたベンチに下ろした
「二時間何をしようか…」
「ねえあなた。先に食事を済ませない?」
文夜は少し考えたあと腰を上げた
「そうだね。そろそろお昼だから丁度良いし」
「何処が…あっ!行きたい場所があるんだけどいいかしら?」
「僕が行ったことある場所?」
「もちろんよ。私達の思い出の場所でもあるから!」
「???」
永琳は楽しそうに言っていたが文夜は何処かわからないようであった
「もういいわよ!ついて来なさい!」
「ちょっ引っ張らないで!」
永琳は文夜の手を引っ張りながらある場所へと向かった
「さあ着いたわよ」
「あれ?ここって…」
文夜が永琳に連れて来られた場所はごく普通のファミレスであった
「懐かしいね…ここで僕は永琳に求婚するって言ったんだっけ?」
「ふふっ!しっかり覚えているじゃない」
永琳は微笑むとファミレスの中へと入って行った
文夜もその後を追うように中へと入った
「すいません。あの席に座りたいのですけど…」
「はい!ご案内しますので少々お待ちください!」
永琳がウエイトレスに言うとウエイトレスは準備を始めた
「お二人様ご案内でーす!」
ウエイトレスは文夜と永琳を席に案内した
「御注文がお決まり次第及びくださーい!」
ウエイトレスはスキップをしながらその場を離れた
「すごく元気が良い店員だったね」
「まるで輝夜みたいだったわね」
カウンター席に座った二人は水を飲んだ
「それにしても昔と全然変わってないね」
文夜はキョロキョロと周りを見渡していた
「変わったのは私達と店員だけみたいね」
永琳はメニューを見ながら言った
「どれどれ…ってメニューすら変わってないんだ」
文夜は何処か嬉しそうであった
「どれにしようかしら…」
「僕はランチセットAにしようかな」
「じゃあ私はランチセットBにするわね。すいませーん!」
「はい只今参上いたしました!」
永琳が呼んだ瞬間に先ほどのウエイトレスが駆けつけてきた
あまりの速さに永琳と文夜は少し引いていた
「え、えーっと私はランチセットBで…」
「ランチセットBですね!」
「ぼ、僕はランチセットA…」
「ランチセットAですね!デザートなどはいかがですか?私としてはこの特大パフェがオススメですよ!」
「頼んでみる?」
「じゃあそのパフェを1つ…」
「ありがとうございます!ランチセットA、Bに特大パフェの御注文いただきましたー!」
ウエイトレスは厨房へと駆けていった
「あの子絶対将来大物になるね…」
「商売がうまいと言うかなんて言うのかしら…」
「あっ飲み物とってくるけど何が良い?」
文夜は席を立った
「じゃあお茶をお願いするわね」
「すぐ取ってくるね」
文夜は飲み物を取りに行った
「本当昔を思い出すわね」
永琳はカウンターで寝るかのような体勢になった
「まさか文夜の方から求婚してくれるって言ってくれるなんて思っても無かったし…」
永琳は何もない空間に指で何かを書いている様であった
「こうして結婚していっぱい愛されて子供を授かって…私がこんなに幸せになっちゃってもいいのかしら?」
永琳は誰もいない空間に問いかけると丁度文夜は帰ってきた
「持ってきたー…って大丈夫!?具合いが悪いの!?」
文夜は持ってきたグラスをテーブルに置くと永琳の肩を摩った
「ちょっと眠かっただけだから大丈夫よ。心配をかけてごめんなさい…」
文夜は安心した様にした後席についた
「具合いが悪かったらすぐに言ってよ?」
「今は本当に大丈夫よ。心配し過ぎなくても良いのよ?」
「やっぱり心配だよ。たった一人の妻なんだから」
「なんで文夜はこう人目のつく場所でそんな事を言えるのかしら…」
永琳が俯いているとウエイトレスが食事を運んできた
「お待たせしましたー!AセットとBセットでーす!」
ウエイトレスは文夜と永琳の前に食事を並べた
「デザートはいつお持ちいたしますかー?」
「食事後にお願いするわね」
「かしこまりました!ではごゆっくりと!」
ウエイトレスは別の客の元へ向かった
「じゃあ食べますか」
「冷めないうちに…ね?」
永琳と文夜は料理を食べ始めた
「味すら変わってないって凄いね」
「前は私がAセットを頼んだのよね」
「よくそんな事まで覚えてるね」
「あなたとの思い出は全て覚えているもの」
永琳は微笑みながら言った後、黙々と料理を口に運んだ
数分後二人は食事を済ませてデザートを注文した
「パフェなんて初めて食べるよ」
「私はよく食べるわね」
「太っちゃうよ?」
「うるさいわよ!」
永琳は失礼なことを言う文夜の頬を叩いた
「いてっ!そこまでしなくても良いじゃないか…」
「ふん!乙女心を全く理解しないあなたが悪いのよ!」
文夜が叩かれた頬をさすっているとウエイトレスがデザートを持ってきた
「デザートをお持ちしました!御注文は以上ですね?」
「んーそうだね」
「ごゆっくりしていってくださいね!」
ウエイトレスはパフェを永琳と文夜の間に置くと一礼をしてその場を離れた
「…流石にこれは太るわね」
「そもそも食べきれるかな…」
出されたパフェはとても二人で食べきれる量ではなかった
「とりあえず食べよっか」
「普通に食べてもつまらないでしょ?」
永琳はそう言うとスプーンに一口で食べれる量を乗せて文夜の口の前まで持っていった
「はいあーん」
「あ、あーん」
文夜は顔を赤くしながらそれを口に入れた
「確かに美味しいね」
「こうやって食べるのもたまにはいいね。はいあーん」
文夜も同じ様に永琳の口の前にスプーンを持っていった
「あーん…ふふっ!ちょっと恥ずかしいわね」
永琳は恥ずかしそうに微笑みながら口に入れた
咲奈はその光景を2人から見えない角度の席からコーヒーを飲みながら見ていた
「…とても微笑ましい光景ですね」
咲奈はコーヒーを一口飲んだ
「それにしてもここのコーヒーは少ししょっぱいですね」
「お客様!おしぼりをどうぞ!」
ウエイトレスがやってきておしぼりを咲奈に手渡しした
咲奈はそれで口の周りを拭いた
「あ、あの…」
「何でしょうか…あっお金置いときますね」
ウエイトレスが何かを言おうとしたので聞き返そうとしたが文夜達が会計を終え既に外に出ているのを見るとお金だけ置いて追いかけてしまった
「お釣り…ってピッタリあるや…それにしても先ほどのお客様は何故泣いてたのですかね?」
ウエイトレスは自分に問いかける様に言った
文夜と永琳は映画まで時間があるので思い出の公園へと向かった
「結構歩いたけど大丈夫?」
「ええ大丈夫よ」
二人はベンチに腰をかけた
「このベンチには思い入れが強いよ」
「ここでいろいろあったのよね…」
永琳は文夜の肩に頭を寄せた
「ねえあなた…私とっても幸せよ?」
「もちろん僕もだよ永琳」
文夜は永琳の肩に腕を回した
「でもね…たまに怖いの…」
「怖い?」
「そう…こんな私が幸せになっても良いの?もしかしたらこの幸せもすぐに消えて無くなっちゃうの?そんな事を考えちゃうの…」
「大丈夫だよ永琳…僕が必ず…必ず守るから」
文夜は永琳の肩を強く抱いた
「あなた…ううん。文夜ありがとね」
永琳はにっこり笑うとそのまま目を閉じぐったりしてしまった
「永琳?永琳!」
文夜は永琳を摩ったが反応は無かった
「隊長!今ここに救急車を呼びました!」
「咲奈!?何でここにいるの!?」
突然現れた咲奈に文夜は驚いたがそれよりも永琳の事が心配であった
「…何分位でここに?」
「5分くらいだそうです」
「5分…永琳…それまで辛抱しててね…」
文夜は永琳の頭を撫でた
5分後、永琳は病院へと運ばれた
文夜は医者から簡単に説明を受けていた
「え?産まれる?」
「そうですね。今回倒れてしまった原因は陣痛が既に始まっていたのに無理をしてしまってたからですかね」
「僕がしっかり永琳の事を見ていなかったから…」
文夜は膝の上で握り拳を作った
「私達医者が何とかします。奥さんと子供の命を預からせていただけないでしょうか?」
「…はいお願いします」
文夜は頭を下げてから永琳がいる病室へと向かった
そこには目を覚ました永琳がベッドの上にいた
「心配をかけちゃったみたいね…ごめんなさい…」
「永琳が謝る必要はないよ。気づけなかった僕が悪いんだ…」
「このままじゃお互い自分が悪いって言い続けちゃうから楽しいお話にしましょ?」
「そう…だね」
文夜はにっこり笑って見せた
「とうとう産まれるのね…あなたは心の準備はできたかしら?」
「もう心臓が破裂しそうだよ」
「ふふっ!お父さんになるんだからしっかりしてちょうだい!」
「そう言う永琳はどうなの?」
「私?そうね…やっぱり怖いわよ?これから来るであろう未知の痛みとか咲夜は無事産まれるのかとかね。でも…」
永琳は微笑みながら文夜を見た
「愛する文夜が近くにいてくれるって思えるだけで恐怖なんて無くなったも同然よ」
「永琳…」
文夜は永琳の身体が少しだけ震えている事に気がついた
「我慢しなくても良いんだよ?恐いなら恐いって言っても」
「あっ…」
文夜は永琳を強く抱き締めた
「ならキスをしてちょうだい…きっとそれで私は頑張れると思うから…」
「分かったよ」
文夜と永琳は唇を重ねた
「んっ…ありがとうあなた」
「愛する妻の為なら何でもやるよ」
「ふふっ!ありがとう…っ!!」
永琳は突然顔を歪めた
「っ!医者を呼んでくるね!」
「おね…がい…」
文夜が医者を呼ぶとすぐに医者はやってきた
そして永琳の状態を見ると他の医者と共に永琳を別の部屋へと移動させた
「お父さんはここでお待ちください」
「分かりました…」
文夜は永琳が運ばれた部屋の目の前の椅子に座って待った
「こうゆう時に僕は何もできない…自分の無力さを思い知るよ…」
文夜は天井を見た
「でも神には祈らないよ。神なんてこの世には存在しないのだから」
文夜は目を閉じて産まれるのを待った
30分後…
「無事産まれましたよ」
「っ!!本当ですか!?」
中から出てきた医者の言葉を聞いて文夜は立ち上がった
「はい。中にお入りください」
「永琳!」
文夜が部屋に入ると永琳は狐の尻尾と耳が生えた赤ん坊を抱いていた
「あなた…抱いてあげてちょうだい」
文夜が永琳の元へ行くと永琳は赤ん坊を文夜に渡した
「…zZ」
「もう寝ちゃってるよ…」
文夜は赤ん坊の頭を優しく撫でた
「ちゃんとあなたの妖怪としての部分も引き継いでるみたいね」
永琳は微笑みながら言った
「咲夜…産まれてきてくれてありがとう…」
文夜は赤ん坊…咲夜のおでこにキスをした
〜蓮子の部屋〜
「ひっぐ…」
「何で蓮子は泣いているのかしら?」
「私はこういうのに弱いのよ…ぐすん」
「私はイチャイチャし過ぎてるのを見て砂糖を吐き出しそうになって大変だったわよ」
「ぐすん…ねえメリー」
「どうしたの?」
「この時の人って寿命が長いのよね?」
「そうよ?それがどうしたの?」
「なら…すぐに地球は人で埋まっちゃうんじゃないの?」
「そのことね…この時の人類わね今の人類とは違って子孫を残すという本能があまり強くないのよ」
「それは自分で何とかできちゃうから?」
「そうね。この時代で子孫を残す理由は跡取りの為くらいなのよ」
「じゃあ文夜達は?」
「あの二人はどちらかと言うと今の人類に近いのよ。孤独がそうさせたと言うか…」
「何か可哀想ね」
「そうかしら?幸せになれたって事はとても素晴らしい事なんだから可哀想とは思わないわよ?」
「…それもそうね!」
私なりにイチャイチャさせてみましたがどうでしょうか?
砂糖を吐いていただけると嬉しいです
あとところどころ知識が足りないためあやふやな部分があります…指摘などございましたら是非お願いします
「見てくれてありがとう。感想とかいただけると嬉しいわね」