東方狐流記   作:ももんがぴょん

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28話 また会える日を

 

私と神奈子は急いで守矢神社へと帰ってきた

日が出てすぐに神社に着くと沙奈枝は鳥居の掃除をしていた

 

「沙奈枝!」

 

「あっ!おかえりなさい諏訪子様に神奈子様!」

 

沙奈枝はにっこりと笑いながら私達に手を振った

あまり焦っていないって事は…文夜はここにいない…?

 

「文夜は帰ってきているか?」

 

私が文夜は何処へ行ってしまったのか考えていると神奈子が沙奈枝に質問した

 

「あっ!そうなんですよ!3日前にボロボロになった文夜さんを綺麗な女性が連れて来たんですよ!」

 

…沙奈枝は何でそんな大事な事を思い出した様に言うのであろうか

 

「…その女性ってまだこの神社に居るの?」

 

「はい!寝室で文夜さんの看病をしてくださっていますよ!そう言えば文夜さんは何をしてしまったのですか?」

 

どうやら沙奈枝は何があったのか聞かされていないみたいだね

 

「よし。寝室へ向かうぞ諏訪子」

 

「うん。いろいろと話を聞きたいしね」

 

「私は掃除が終わったら朝食の用意をしますね!」

 

そう言いながら沙奈枝は掃除を再開した

…さて寝室に向かうとしますか

 

……

 

私と神奈子が寝室に入ると、そこには静かに眠る文夜と、文夜の横で正座をしている銀髪の女性がいた

 

「…お帰りをお待ちしておりました。諏訪子様に神奈子様」

 

私達に気がついた女性は立ち上がって頭を下げた

 

「お前…名前は?」

 

神奈子は警戒しながら質問した

 

「私は…」

 

女性は名前を聞かれただけなのに困っている様だった

 

「貴女が永琳?」

 

私は文夜が最後に呟いた言葉を手掛かりに言ってみた

すると女性は少し目を見開いた後に悲しそうな目をした

 

「…そうであってそうではありません」

 

「どうゆう意味だ?」

 

神奈子は何を言っているか分からなさそうであった

…私もよくわかんないけどね

 

「私の身体のモデルになった人が八意永琳です」

 

ごめんさっぱり分からないや

 

「お願いだから私達が理解できるように簡単に!話してくれないか?」

 

神奈子は無駄に簡単を強調していた

分からなさすぎてイラついているのかな

 

「分かりました。私はあの人…文夜が持っていた剣です」

 

「剣…つまり、付喪神とゆうわけか?」

 

「その通りであります」

 

付喪神…でもなんでピンポイントで永琳の姿をしているんだろ

 

「じゃあ何で永琳って人の姿なの?」

 

私が質問すると女性は語り始めた

 

「文夜は戦う時に必ず私に力を送り込みます。何時も送り込まれる力には強い想いがありました」

 

「想い?」

 

「そうです。常に八意永琳への愛情がありました…それの影響でこの姿になってしまったんだと思います」

 

そこまで文夜は奥さんの事が好きだったんだ…それじゃあ私の想いは届かない訳だよ

 

「お前の事はよく分かった。それよりも文夜の体調はどうなのだ?」

 

神奈子は敵意が無いことを悟ると警戒を解いていた

 

「身体の傷は私が治療しましたが…」

 

「今だに目を覚まさない訳か」

 

「ずっと眠り続けています」

 

寝ている文夜って可愛いなー見ているだけでウズウズしてくるよ

 

「私達は待つしかできないようだな諏訪子…諏訪子?」

 

それにこの部屋…文夜の匂いがする…頭がクラクラする…

 

「諏訪子!!」

 

「ふぇ!?」

 

私は神奈子が大きな声を出したので驚いてしまった

 

「聞いていたのか?」

 

「ごめんぼーっとしてた…」

 

でも疼く…文夜の事しか考えられない…

 

「ちょっと一人になるね」

 

私は寝室から飛び出した

 

「…なんでこんなに身体が疼くの…?なんでこんなにも切ないの…?」

 

私の身体はどうしちゃったの…?今までこんな事無かったのに…

私は自分の部屋に戻った

 

……

 

翌朝、私は居間で沙奈枝が作った朝食を剣の女と共に頬張っていた

結局あの後一度も顔を出さなかったが大丈夫なのであろうか?

 

「おはよう神奈子」

 

諏訪子は何ともなさそうに普段通り居間にやってきた

 

「大丈夫か諏訪子?昨日は結局顔を出さなかったが」

 

「もう大丈夫だよ。心配を掛けちゃってごめんね」

 

諏訪子は頭を下げていた

…一体私はどう言ってやれば良いのか分からないな

 

「諏訪子がそう言うならもう気にしないさ」

 

私は思った事を言うと沙奈枝が白い目を向けていた

 

「それはそれでどうかと思いますよ…」

 

うーむ…今まで戦い一筋であったから励まし方とか分からないのだ

少しは他人の気持ちを汲み取る事をしなければ信仰を集められないだろうな…

 

「えーっと…そう言えば何て呼べばいいのかな?」

 

諏訪子は剣の女を見ながら言った

 

「あっ私もそれで困ってたんですよ!」

 

確かに名前が無いとなると呼び辛いな

私に至っては剣の女と呼んでいるしな

 

「そうですね…では、ヤゴコロと呼んでください」

 

剣の女…ヤゴコロは少し考えた後にそう名乗った

 

「そういえばヤゴコロさんはここ最近付喪神になった訳じゃないよね?なんで今まで出てこなかったの?」

 

確かに産まれたばかりの付喪神ではなさそうだな

自分の事をよく理解しているしな

 

「簡単な理由ですよ。私の外見がこれだからです」

 

ヤゴコロは自分の身体を指差した

 

「おっぱいですか?確かに豊満ですよね…」

 

沙奈枝はヤゴコロの胸を凝視しながらアホな事を言っていた

苦笑いしているでは無いか…本当マイペースだなこいつは…

 

「ま、まあそれもありますけど…」

 

それもある…だと…!?もう真剣に考えるのがバカバカしくなってきたぞ

 

「文夜は八意永琳を心の底から愛しています。そんな人の前に姿が同じだけの私がいるとどう思うでしょうか?」

 

それを聞いた沙奈枝と諏訪子はすごい複雑そうな顔をしていた

私にはさっぱり分からないぞ?

 

「きっととても辛いと思います…ですから私は今までこの姿を出すことがありませんでした。そしてこれからも姿を見せるつもりもありません。そこで貴方方に頼みがあります」

 

私の為に説明してくれたのか…優しい奴だな

それよりも頼みとは何だ?

 

「遠慮せず言ってみると良い」

 

「私達ができる範囲ならいいよ」

 

「とても簡単なことです。私の事を文夜に言わないでほしいだけです」

 

「それだけですか?」

 

「はい」

 

「分かった。文夜には私達がそれっぽく言っておこうではないか」

 

私がそう言うとヤゴコロは嬉しそうに微笑んだ

 

「ありがとうございます神奈子様。私はまたあの人が危険な状態になったら表れます。あと…」

 

ヤゴコロは私の目をしっかり見ていた

 

「神奈子様はとても力強くて優しいお方ですよ?」

 

そう言い残してヤゴコロは大剣へと姿を変えた

 

励ましてくれたのか…こんな私を…と言うか心を読まれただと!?

 

「最後の言葉はどうゆう意味ですか?」

 

沙奈枝はとても気になっている様であった

こんな恥ずかしい事を教えられる訳がなかろう

 

「気にしては負けだぞ沙奈枝。あとこれは文夜の横に置いておこう」

 

「じゃあ私が置いてくるね」

 

そう言って諏訪子は剣を一度持とうとしたが何かを悟ったのか引きずり始めた

私が持っていった方が早いのではないか?まあ良いか

 

「諏訪子様の朝食の支度をしておきますから早く戻ってきてくださいねー!」

 

沙奈枝は頑張って引きずっている諏訪子に声をかけた

 

……

 

「はぁはぁ…重すぎるよこれ…」

 

私は頑張って引きずってきた剣をよいしょっと文夜の横に置いた

 

「ヤゴコロさんはあんな事言ってたけど、やっぱり文夜の近くに居たいよね」

 

私は呼吸を整える為に深呼吸をした

 

「はぁ…何でいきなり身体が疼くようになったんだろう…」

 

私は文夜の近くに座って、頭を撫でた

 

「あの時…諦めがついたと思ったのに…我慢できないよ文夜ぁ…」

 

もう感情を抑えられない…私はそっと文夜の唇に自分の唇を重ねようとした…

 

「諏訪子!朝食はもうできているぞ!何をモタモタしている!」

 

私は神奈子の怒鳴り声で正気に戻った

 

「い、今行くよ!」

 

私は文夜が寝室を後にして居間に来た

 

「何をやっていたんだ諏訪子!朝食が冷めるではないか!」

 

それだけでそこまで怒る?って思ったけど沙奈枝が作ってくれたご飯だもんね…でも言い訳はしてみようかな

 

「神奈子はあの大剣を持ったことがないからそんなことが言えるんだよ」

 

「む?どうゆう意味だ?」

 

 

「あの剣だけど成人男性2、3人分くらいの重さはあるよ?」

 

あんなの振り回してる文夜はすごいよ全く…

 

「全然軽いではないか?」

 

…どうやら私は話す種族を間違えたみたいだ

 

「そういえば神奈子は4本の御柱を振り回す程の怪力女だったね」

 

私の嫌味に神奈子は青筋を立てていた

 

「喧嘩を売ってるのか?」

 

「何?前の決着つける?」

 

「喧嘩はやめてください!」

 

神奈子と睨み合っていると沙奈枝は私達の間に割って入った

 

「…あれは疲れるからやめよう」

 

「同感。またあんなに疲れたくないよ」

 

沙奈枝のおかげで喧嘩をせずに済んだ私は朝食を食べ始めた

 

……

 

深夜…私は文夜のいる寝室に忍び込んだ

神奈子も沙奈枝が寝ているのは確認している

もう…邪魔はされない…

 

「えへへ来ちゃった…」

 

私は静かに眠る文夜の上に乗っかった

 

「もう昨日からおかしいんだよ私?文夜の匂いを嗅ぐだけで頭の奥まで痺れちゃう…」

 

私は服を全部脱いだ

だって暑いもの

 

「ねえ文夜…こんなずるい感じになちゃってごめんね…でも…」

 

私は文夜の唇に自分の唇を近づける

私の初めてを…全部あげる…

 

「ごめんなさい諏訪子様!」

 

あと少しのところで私の意識を途切れた

 

……

 

「はぁはぁ…」

 

私は手にしていた太めの木の棒をその場に落とした

 

「手頃な木の棒がすぐに見つかって良かった…」

 

私は頭から血を流している諏訪子様を見下ろしている

私は諏訪子様が寝室に忍び込んだのを確認してから木の棒を探しにいった

私の腕力だけでは重い一撃を加えられないと判断した。だからこその行動だ

 

「…とりあえず寝かしておくとしましょう」

 

私は諏訪子様の部屋へ諏訪子様

を運んで布団の上で寝かした

頭の骨は幸いヒビなどは入っていないでしょう…

治療をするつもりはありませんけど

私は諏訪子様がまた起きて変なことをしない様に見張る事にした

 

……

 

「諏訪子様起きてきませんねー」

 

「朝食の支度は済んでいるというのに…」

 

私は今で神奈子様と諏訪子様が起きてくるのを待っていました

 

「起こしにいってきますね!」

 

私は諏訪子様を起こしに諏訪子様の部屋に向かいました

 

「諏訪子様〜起きてますか〜?」

 

私はゆっくり扉を開きました

そこにはぐっすり寝ている諏訪子様ではなく、頭から血を流している諏訪子様がいました

 

「す、諏訪子様!」

 

私は驚きの余りに大きな声をあげてしまいました

 

「どうした沙奈枝!って諏訪子!?」

 

私の声を聞いた神奈子様が慌ててやってきました

 

「おい!返事をしろ!」

 

神奈子様が諏訪子様の頬をペチペチ叩いていると諏訪子様は目を覚ましました

 

「うーん…あれ?どうしたの?」

 

「どうしたじゃない!お前頭から血が!」

 

「えっ?」

 

諏訪子様は自分の頭を触り、その手を見ると酷く驚いていました

 

「うわっ!何これ!?」

 

「一旦落ち着いて状況を整理しよう…昨晩何があった?誰に襲われたんだ?」

 

「昨晩?えーっと私は…っ!」

 

何かを思い出した諏訪子様は涙目になった後にプルプルと震え始めました

 

「何があったんだ諏訪子?」

 

「どうしよう神奈子…私やっちゃいけないことしちゃった…!」

 

諏訪子様は神奈子様に抱きつき、泣きはじめました

 

「お、おい何があったのか説明しておくれ!」

 

神奈子様は非常に困っている様子でした

泣いているだけだと分からないのは当然ですよね…

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!」

 

諏訪子様は一体何を謝っているのでしょうか?私にはさっぱりわかりません

 

「諏訪子様は話せる状況では無いので私がお話しいたします」

 

「…ヤゴコロか」

 

私は突然声がしたので警戒しながらそちらを向くと、ヤゴコロさんが立っていました

本当神出鬼没ですね…

 

「率直に言います。諏訪子様の頭の怪我は私の仕業です」

 

「…何故だ?」

 

きっと何か理由があると考えた神奈子様は怒りを抑えている様でした

 

「そうまでしなければ諏訪子様を止める事ができませんでした」

 

「諏訪子を?」

 

神奈子様は諏訪子様を抱きしめながら聞いています

 

「諏訪子様はあの人に夜這いを…」

 

「諏訪子様が!?」

 

つ、ついつい声が出てしまいました…でもすごく驚きでした

 

「でも怒らないであげてください…今の諏訪子様は我慢が出来ないのですから」

 

「我慢が出来ない?」

 

「私だって分からないよ!やっちゃいけないことだって分かってるよ!でも!でも!」

 

諏訪子様は泣きながら声を荒げていました

 

「ほら落ち着け諏訪子…」

 

神奈子様は優しく頭を撫でています

 

「私は諏訪子様とあの人を隔離すべきだと思います」

 

「それは諏訪子の事を考えてそう言ってるのか?」

 

神奈子様の質問を聞いたヤゴコロさんは何故か微笑んでいました

 

「私ははっきり言って諏訪子様の事など、どうでも良いのですよ」

 

「随分はっきり言うな」

 

「私はあの人の武器なのですから。むしろ主人想いな付喪神と言って欲しいくらいです」

 

そう言えば文夜さんが何時も持っている武器なんですよね…普通に話していると忘れてしまいます

 

「お前にとっては私達は赤の他人であるからな…で、どうする諏訪子?」

 

泣き止んで落ち着いた諏訪子様はゆっくり立ち上がりました

 

「…文夜が起きたら呼んで。私は自分の部屋で大人しくしているから」

 

「わかりました。あの人が起きたらお知らせします」

 

そう言い残してヤゴコロさんは諏訪子様の部屋から出ていきました

 

「私たちも出るとしようか」

 

私と神奈子様も諏訪子様の部屋から出ました

この日は特に何事も無く終わりました

 

……

 

「うっ…ここは…?」

 

僕は目を覚ますと天井が見えた

この見覚えのある天井は…

 

「っ!ここは守矢神社だぞ文夜!」

 

身体を起こすと神奈子が側に居た

 

「僕は一体何を…」

 

起きたばかりのせいかよく思い出せない…

 

「お前は月夜見様に襲いかかり負けたのだ」

 

そうだ…僕は月夜見にやられたんだ…手も足もでなかった…

 

「なんで…僕はこんなにも弱いんだろう」

 

「…私は諏訪子を呼んでくる」

 

神奈子は諏訪子を呼びに行ってしまった

 

「…昔おじさんに指摘した事を自分でやっちゃうなんてね」

 

でも…許せなかったんだ

訳の分からない理由で僕の世界を滅ぼされたのが…

 

「…あれ?」

 

僕はここで自分の身体の異変に気がついた

尻尾が無いのだ

 

「どうなっているの…?」

 

僕は立ち上がって自分の身体がどうなっているのか確認するために妖力で鏡を作ろうとしたが…

幾ら頑張ってもできないのだ

しかし、神力と霊力では鏡を作れた

 

「まさか…妖怪としての僕が死んだ…?」

 

ははっ…半妖からただの人間になっちゃったのか…

僕が神力と霊力で作った鏡で自分の事を観察していると、諏訪子と神奈子が寝室に入ってきた

 

「ごめんね諏訪子…心配をかけちゃったよね?」

 

僕は頭を下げると諏訪子は僕の胸倉を掴んだ

 

「心配?私は迷惑をかけられたよ!」

 

「…諏訪子?」

 

神奈子は諏訪子が何をしているのかよく分かっていない様だった

 

「おたくさ自分が何をしたか分かっているの?昨日文夜を連れて来た私と神奈子に責任がどうとかいろいろ来ているんだよ?」

 

…僕が暴れたせいで皆に迷惑をかけちゃってるのか

 

「出て行って…この守矢神社から出て行って!!」

 

諏訪子は僕を睨みながら叫んだ

 

「うん…僕がいなくなるだけで済むならすぐに出て行くよ」

 

「傷の手当てをしたのはただの情けだよ?ほら早く出てけ疫病神!!」

 

そう言って諏訪子は僕から手を離した

 

「今までありがとね諏訪子…とっても楽しかったよ」

 

「二度とこの神社に来ないで!」

 

諏訪子は最後にそう言い残して部屋から出て行った

 

「すまない…」

 

僕が出ていく支度を始めると神奈子は頭を下げてきた

 

「なんで神奈子が謝るの?悪いのは僕だよ。だから顔をあげてくれないかな」

 

「…ああ分かった」

 

神奈子の顔を見ると、涙目になっていた

 

「そうだ…これをくれてやる」

 

神奈子はそう言いながら僕に巾着袋を投げ渡した

 

「これは…こんなにもらっても良いの?」

 

巾着袋の中を見ると、一ヶ月は食に困らない程度のお金が入っていた

 

「今までのお礼も兼ねてな。それに生きて行くなら金も必要だろう」

 

「ありがとね神奈子…」

 

神奈子の優しさで涙が出そうだよ…

 

「本当に行ってしまうのか?」

 

神奈子は最後の確認の様に聞いてきた

 

「うん…諏訪子があそこまで言ったんだから僕は従うよ」

 

それを聞いた神奈子はとても寂しそうな顔をしていた

 

「そうか…見送りはいるか?」

 

「できたら欲しいかな」

 

「では一緒に外まで行くか」

 

僕は荷造りを終えた後、神奈子と鳥居まで来ていた

 

「諏訪子にもよろしく言っておいてね」

 

「絶対に死ぬなよ。そしてまた私だけにでも会いに来い」

 

「うん。また会おうね」

 

僕は神奈子と固く握手をした

でも…もう沙奈枝ちゃんとも会えないのか…

 

「さあ早く行け。今沙奈枝は出かけているが、会ってしまうと余計名残惜しくなってしまうぞ」

 

「そうさせてもらうよ」

 

僕は神社を後にした

 

……

 

「…本当にこれで良かったのか諏訪子?」

 

私は木陰に潜む諏訪子に声をかけた

 

「こうしないとまた私は襲っちゃうから…」

 

私には分かる。諏訪子は今泣きたいのを我慢している

 

「我慢しなくて良いのだぞ?私で良ければ胸を貸すからな」

 

「神奈子!!」

 

諏訪子は我慢の限界だった為か、私の胸に飛び付いた

 

「頑張ったな…好きな相手にあそこまで言うのは辛かっただろ?もう我慢するな…存分に泣け」

 

私は子供の様に泣きじゃくる諏訪子の頭をただ撫でてあげるだけだ…

 

……

 

「はぁ…これをきっかけに旅を始めようかな」

 

僕は村へ向かうための道を歩いていた

 

「文夜さん?」

 

僕は下を向きながら歩いていると、僕の名前を呼ぶ声が聞こえた

顔をあげて見ると沙奈枝ちゃんが鮭を持った状態で立っていた

 

「やっぱり文夜さんだ!目が覚めた様で嬉しいです!」

 

沙奈枝ちゃんは嬉しそうに僕の側にやってきたが、僕がいろいろと荷物を持っているのを確認すると何か不安そうな顔をした

 

「何処に行くのですか…?」

 

もう素直に言っちゃおうかな…これで最後になるのに嘘なんかつきたくないし

 

「諏訪子に神社から出て行けって言われちゃったから旅を初めてみようかなってね」

 

僕はにっこりしながら言った

沙奈枝ちゃんは引き止めるのかなって思ったけれど、そんな事はなかった

 

「では…また今度聞かせてください!」

 

「え?」

 

「私はずーっとずーっとこの守矢神社にいますからまた会いにきてください!そして是非いろんなお話を聞かせてください!」

 

沙奈枝ちゃんは楽しそうににっこりしていた

本当に可愛いね沙奈枝ちゃんって…

 

「うん!また…また来るから!」

 

「あっ!文夜さんに幸運のおまじないをかけてあげます!」

 

沙奈枝ちゃんはそう言って手にしていたものを地面に置いた

どんなおまじないなんだろ?

 

「えいっ!」

 

沙奈枝ちゃんは変な掛け声をしたと思ったら僕の頬にキスをした

 

「ふふっ!これが私の最高のおまじないです!」

 

うん…これなら幸運になれる気がするよ

 

「じゃあね沙奈枝ちゃん」

 

僕は手を振った後にまた歩き始めた

人間の僕の旅立ちを最後に見送ってくれたのが沙奈枝ちゃんで良かったと思うよ

 

〜とある大学の研究室〜

 

「第二部終わりね!」

 

「お疲れ様ってところかしら」

 

「第三部は何てタイトルか予定とかあるの?」

 

「予定としては「鬼と天狗とスキマ編」ね。多分「妖怪の山編」になると思うけど」

 

「妖怪の山…気になるわね」

 

「まあオリジナル展開になるのは確実ね」

 

「あっそう言えば諏訪子は何でおかしくなっちゃったの?」

 

「それは前回の最後で月夜見がかけた呪文のせいね」

 

「流石月夜見汚いわね」

 

「同じ蓮子って名前なのに結構違うわね」

 

「ただ同じ名前なだけよきっと…それにしても沙奈枝は最後に随分と訳の分からない事を言ってたわね」

 

「常識に囚われない彼女の妄言なのかはお楽しみって感じね」

 

「楽しみにしているわね。そう言えばもう6月終わるのよねー」

 

「ちょっと前に年越し蕎麦を食べた気分よね」

 

「そして受験生のカウントダウンは始まって…」

 

「こらやめなさい蓮子」

 

「はーい」




こんにちは!これにて第二部は終わりです!
一味違う諏訪編はどうでしたか?
諏訪編で失敗したなーって思うところは…オリジナルキャラクターの沙奈枝を無駄に気に入ってしまった事ですね
そして第三部ですが…かなりあり得ない設定を出してきたりします
是非、私のオリジナル展開重視の物語を楽しんでいってください!
では…次回も見てください!
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