とある施設の一室
一人の女性…夏目咲奈はその部屋に入った
「失礼します美音隊長」
「隊長はいらないって何度も言ってるでしょ咲奈?」
そこには書類に目を通している文夜がいた
「貴方は第三番隊隊長なのですよ?少しは自覚してください」
「はぁ…咲奈は相変わらず堅いね…まあ座ってよ」
文夜は『四本の尻尾』をクネクネさせながら、妖力で椅子を作り出した
「なぜ、いつも自分で椅子などを作るのですか?」
咲奈はその椅子に腰を下ろした
「すごく簡単に言っちゃうと修行だよこれは。僕は半妖だから年月が経てば妖力は増えるんだよ。でもね、それを扱うことに関しては修行が必要なんだ。さらに、軍なんかに入ってたら修行をする時間すらない…そこで僕は考えたんだよ」
「身近にあるものを妖力で再現する…ですか?」
説明を聞いていた咲奈は今ある状況からこの選択肢を選び口に出した
「その通り!これがまた大変なんだよ。まず、すごく集中力を使うんだよ。さらに、その形にするために妖力を操作しなきゃいけないんだ。僕はこれを三百年位かな?常に周りにあるものを妖力で作り続けたんだ。おかげで妖力の扱いに関しては誰にも負けない自信はあるよ。と言っても妖怪以外持ってないね」
文夜は最後に苦笑いをしながら言った
「はぁ…成る程。どうして隊長が強いか分かった気がします」
咲奈は納得したような感じであった
「僕ばっかり喋っちゃってごめんね。咲奈はこんな所に世間話をしに来た訳じゃないでしょ?」
「ああ、そうでした。隊長宛に手紙が来てたのですよ」
咲奈は封筒を一つ文夜に渡した
「この印は…」
文夜は封筒を破き中にある手紙を読んだ
「…ちょっと1週間程有給を取るから手続きは君に任せた!」
手紙を読み終わった文夜は席を立った
「はぁ…分かりましたよ。そのテンションは八意様からですね」
「久しぶりに会うなー!楽しみだなー!」
文夜は尻尾を揺らしながら部屋を出た
「なんでこんな子供っぽい人が隊長なんでしょう…もうちょっと大人っぽい感じの人の秘書になりたかったなー…ちょっとお灸を据えてあげますか」
咲奈は笑みを含めながら何もせずにその部屋から出た
二日後
八意邸の研究室に文夜は来ていた
「久しぶり永琳。元気だった?」
「私が元気じゃなかったことなんてあったかしら?」
「ははっ!それもそうだね!…今日はどんな要件なの?」
文夜は真剣な顔で質問した
「この薬を飲んでもらいたいだけよ。頼めるかしら?」
永琳は机の上に置いてあった薬を文夜に差し出した
「永琳の頼みなら何でも聞くさ。じゃあいただきます」
文夜は薬を一気に飲み干した
「〜〜〜っ!!」
文夜は声にならない叫びを上げながらもがき始めた
永琳はただその様子を観察しているだけであった
「ハァハァ…す、凄く痛かった…」
「はいどうぞ」
永琳は一枚の手鏡を渡した
「なんで鏡を…なにこれ!?」
文夜は驚いた。手鏡に映っていたのは何時もの金髪の自分の姿ではなく、綺麗な銀髪の自分の姿が映っていたからだ
「尻尾の色まで変わってる…永琳、この薬は何なの?」
永琳は一通りメモを書き終わったあたりで紙から目を離し答えた
「これは蓬莱の薬よ。でも不死になった訳じゃないわよ?その効果だけを消した蓬莱の薬…お試し版?」
「なんで毛の色が変わったの?」
「上の連中が大嫌いなのは穢れ…そこで私はこの蓬莱の薬を飲むと不老不死になれるけど、妖怪になってしまうおまけを付けたの。妖怪になってしまった事をわからせる為に毛の色が変わるって訳。上の連中に都合良く使われるのは嫌よ」
永琳は少し嫌そうな顔で説明した
「なるほど…だから昔、薬とは完成してるけど蓬莱の薬としては完成しないって言ったんだ」
文夜は納得したような顔をしていたが永琳は頭を下げた
「いきなりこんな危険な薬を飲ませてしまってごめんなさいね…」
「だからさっきも言ったでしょ?永琳の頼みなら何でも聞くってね」
「…ありがとう」
文夜が笑顔で答えると永琳も笑顔になった
「さあ、こんな話はやめていろいろと話さないか?」
「ええ、そうね」
その後二人は夜が明けるまで話しをした
1週間後
「…何この書類の量」
文夜が部屋に入ると机の上には大量の書類があった
「あら?髪の毛の色を染めましたか?」
咲奈は何ともない顔で部屋に入ってきた
「ねえ何をやったの!?」
少し焦りながら文夜は質問した
「隊長の有給の申請は面倒臭かったのでやりませんでした」
「なんでそんなことしたの!?」
「日頃の鬱憤をぶつけさせてもらいました」
咲奈は最高の笑顔でそう答えた
「どうしようこれ…あまり使いたくなかったけど…」
文夜はとある場所に電話をした
数日後…
咲奈は椅子に座っている文夜の目の前である書類を見ながら立っていた
「報告致します。最近妖怪による都市への攻撃の回数が極端に下がりました」
「…もしかしたらだけど、妖怪を束ねる者が現れたのかもね」
「束ねるもの…ですか?」
文夜は少し考える仕草をした後に答えた
「お偉いさん達にこの事は伝えておいてもらえないかな?」
文夜は席を立って出掛ける支度を始めた
「どこへ向かうのですか?」
「僕は情報を集めてくるよ」
「了解しました。気をつけてください」
咲奈は文夜を見送った後に部屋を出た
数日後
咲奈は帰ってきた文夜を出迎えた
「おかえりなさいませ」
「早速だけど情報をまとめてみるね」
文夜は椅子に座ると紙に書きながら話始めた
「妖怪を束ねているのが一匹の九尾の狐。それでその狐が大勢の妖怪を率いてこの都市を攻め込むみたいなんだ」
「はぁ…一体どうやってそんな情報を掴んだのですか?」
咲奈はため息をついた後、文夜が書いているものを見始めた
「何で今ため息をついたの?まあいいや、僕の能力って知っている?」
「振動と摩擦を操る程度の能力ですよね。それが何か?」
咲奈は質問の意図が読めないようであった
「音って空気の振動によって聞こえているってことは知っている?」
「まさか、わざわざ街の外に出て能力を使い妖怪達が話してた内容を全部聞いてたのですか?」
「その通り」
咲奈は呆れたのかため息をついた
「はぁ…普通の人じゃ絶対にやりませんよそんな事」
「ふふふっ生憎と僕は半妖なんですよ」
文夜は少しニヤけながら答えた
「全くこの人は」
「あとこれ報告書だから提出してきてくれないかな?」
咲奈は文夜から書類を渡された
「ではすぐに提出してきますね」
咲奈は少し早歩きで書類を提出しに行った
数ヶ月後
とある山の中
そこには千を超える程の量の妖怪達が集まっていた
その中心には九尾の狐がいた
「いいか!今日は満月だ!満月は我々妖怪に力を与えてくれる!今日こそが!奴ら人間どもに復讐できる絶好のチャンスだ!今まで殺されてきた同士の為にも必ず勝つぞ!」
「「「「「ウオォォォォォォォォォ!!」」」」」
周りにいた妖怪は一斉に咆哮をあげた
「では行くぞッ!」
九尾の狐を戦闘に妖怪達は進撃を開始した
その頃の都市は…
「私が指揮を?」
「美音は第三番隊隊長としてよく働いてくれている。美音なら絶対にやってのけると信じているからな」
文夜がいつもいる一室に少し小太りの老人が来ていた
「そこまで私を評価していただけるなんて…嬉しい限りです」
文夜は少し恥ずかしそうに俯いていた
「頑張ってくれよ?みんなに頼られる隊長さん」
「…まだまだ私はみんなに頼られてなどいませんよ」
そう答えると老人は少し残念そうな顔をした
「そうか…なら直接聞いてもらうのが一番かもな。数分後にミーティング室にこい。美音が指揮をとる事を伝えねばならないしな」
「分かりました」
文夜はミーティング室へと向かった
数分後
ミーティング室にて
文夜は数百の兵の前にマイクを片手に立っていた
『今回の作戦の指揮をとることになった第三番隊隊長の美音文夜だ。私は皆が知るように半妖だ。 私の事が嫌いな人も少なくはないと思う。だけどお願い…今回だけでいい。今回だけでいいから私の言うことに従って欲しい』
文夜が言い終わると一人の兵が立ち上がった
「いつから俺たちがお前の事を嫌いって錯覚してたんだー!」
『えっ?』
文夜が抜けた声を出すと次々とみんな立ち上がった
「お前が裏でどれだけの努力をしてきたかなんてみんな知ってるぜー!」
「それに、お前がどれだけ人間が好きかも知ってるぜー!」
「お前がどうして張り切ってるかも知ってるぜー!」
「馬鹿!それは言っちゃいけないって前に説明しただろ!」
「す、すまねえ」
「「「「「「お前の事が嫌いな奴なんてここにはいないんだぜ!」」」」」
文夜の目にはうるうるしていた
『皆ありがとう…みんなに嫌われているんじゃないかとずっと思っていたよ…!』
「泣くなよー!」
『泣いてなんかない!ごほん!」
文夜は少し強めに言ったあとわざとらしく咳をした
『戦場では私の能力を使用して指揮をとる!
あとは…絶対に死なないで。身の危険を感じたらすぐに逃げても良い。まずは自分の命を大事にしてくれ…以上かな』
文夜は顔を上げて言った
『皆!妖怪はもうすでに近くまで来ている!戦闘配置に着いてくれ!』
「「「「「「「ハッ!!」」」」」」」
兵達は敬礼をした
〜とある大学の研究室〜
「ねえねえ今回って何か説明いるかなメリー?」
「ねえ八意さん。文夜の溜まった書類ってあるけど普通クビですよね?」
「これはね、永琳に頼まれたよ…一応私は権力はありますからね。少し不満は出ましたけど何とかなりましたよ」
「本当すごい権力ですね」
「ただ二度と肩を持たないと言いましたけどね」
「よかったね」
「何がですか?」
「もしも人が悪かったら永琳さんは騙されてお金とかいっぱいあげてたかもしれないよ?」
「小さい時から文夜君の事を見てきましたからその心配はありませんでしたよ」
「ちっ…」
「メリーさんそろそろ私の精神が持ちません」
「蓮子?そうゆうのは影でやりなさい」
「はーい」
「…え?メリーさん?」
「そろそろビールでも飲みましょう」
「私はレモンサワーって気分ね」
「じゃあそれにしましょう」
「メリーさんは影で私の...いやいやそんな事...えっ?」
今回は少し自信が無い回です...
ここおかしいだろ!って箇所がありましたらコメントお願いします...
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