東方狐流記   作:ももんがぴょん

6 / 31
5話 白銀の魔術師

文夜は都市の最終防衛ラインである壁の目の前にいた

さらに文夜の目の前には数百の兵隊が武器を構え、こちらに向かってくる妖怪達に備えていた

 

『第一部隊は銃撃戦用意!空からくる妖怪を撃ち落として!第二部隊、第三部隊は待機!』

 

文夜は妖怪が目視できる範囲にきた瞬間、少し大きめの声で命じた

兵たちは空を飛ぶ妖怪を目掛けてレーザー銃を乱れ打った

弾が羽に当たり地面に落ちる妖怪や、頭などに当たり即死する妖怪もいた

 

『次!第二部隊、第三部隊は僕を先頭に敵陣に攻めこむよ!』

 

文夜は空を飛ぶ妖怪がもう既にいないことを確認したあと

銃を撃たせるのをやめさせ、兵たちの先頭に立った

 

『それじゃあ…行くよ!』

 

「「「「「ウオオオ!!」」」」」

 

文夜が自分の大剣に妖力の刃を付けて妖怪の群れに向かい走り出すと兵たちは雄叫びをあげながら後に続いた

 

「たいして…強くないじゃないか…」

 

文夜は大剣で次々と妖怪をなぎ払いながらそう呟いた

 

「えーっと他の人達は…うわぁ…」

 

文夜は辺りを見渡すとついそんな言葉を口にしていた

妖怪が他の兵によって次々と切り裂かれていっているからである

 

「少しは有利かな、程度で考えてたけどまさかここまでとはね…」

 

この戦場を見れば誰もが思うだろう。あまりにも一方的すぎだと

それもそのはずだ。妖怪達の武器はその肉体のみ

しかし人間はレーザー銃やレーザーと同じ原理で出来ている刃が付いた刀のような物を持っている

妖怪には人間を凌駕する肉体がある。だが人間はそれすらも凌駕する科学力を保持していたのである

 

『逃げる妖怪は追わなくて良いよ!こっちに向かってくる奴らだけを狙うんだ!』

 

文夜はそう指示したが、妖怪達は逃げることなく攻めてきたため、この指示は意味を成さなかった

 

10分後…

 

その戦場に立つ妖怪は九尾の狐を残していなかった

 

文夜は兵を下がらせ、一人で九尾の狐と対面していた

 

「あなたが妖怪達を仕切っていた九尾だね」

 

「なぜだ…なぜお前は妖怪なのに人間を味方する!」

 

文夜が質問をすると九尾は逆に質問した

文夜は間を開けずにすぐに答えた

 

「僕は妖怪であると同時に人間なんだよ。人間の味方をしていたとしてもおかしくないでしょ?」

 

文夜は自分の尻尾をゆらゆらと動かしていた

 

「半妖だと!?…お前の名前を教えてくれないか?」

 

九尾は一瞬驚いたあと質問した

 

「僕の名前は美音文夜。人間と妖狐の半妖だ」

 

「お前が兄さんの…」

 

九尾は名前を聞いた瞬間に顔を顰めてそう呟いた

 

「兄さん…?」

 

「ああそうさ!お前の父親は俺の兄さんだ!」

 

九尾は牙を剥き出しながら怒鳴り付けた

 

「兄さんは人間に恋をしてしまった…挙句の果てには結婚までして子供まで出来た!だけど、そのことが他の妖狐にばれたから兄さんは殺された!」

 

文夜は九尾が言う事を黙って聞いていた

 

「人間なんかがいたから兄さんは死んだんだ!だから俺は人間に復讐するのだ!」

 

「…昔から父さんだけいなかったのにはそんな理由があったんだ」

 

今まで聞いているだけだった文夜は口を開いた

 

「どうだ?俺と一緒に人間に復讐しようじゃないか!そして二人で妖怪たちの長になろうじゃないか!」

 

文夜はその提案を…

 

「だけど断る」

 

「なっ!?」

 

剣を地面に刺して、それに寄りかかりながら右手を自分の顔に当て左手で九尾の狐を指差すという謎のポーズをしながら断った

 

「僕には愛する人がいるし仲間がいる。だから恨んでなんかいないよ」

 

文夜は九尾を睨みつけた

 

「それに貴方が言ってることは、ただ父さんの復讐を理由にして暴れたいだけだ。そんな危険な存在は僕が殺す」

 

「調子に乗るなよクソガキがぁぁぁ!」

 

九尾は周りにドス黒い妖気を放ちながら叫んだ

 

「っ!流石は九尾の狐!妖力の量が半端じゃないなね…でも…」

 

文夜は地面に刺さった大剣を引き抜いた後、それに妖気を送り妖力の刃を作り出した

 

「貴方に負けるわけにはいかないんだよ」

 

「死ねぇぇぇ!」

 

九尾は爪を文夜目掛けて振り下ろした

 

「そんな品もなくて、大振りな攻撃が僕に当たるわけないでしょ!」

 

文夜はそれを軽々と避けた

 

「せいっ!」

 

「ぐふぅ!」

 

文夜は腑抜けた掛け声とともに大剣の柄の部分で九尾の腹の辺りを突いた

 

「何故だ!何故攻撃が当たらない!妖力も!力も!貴様より上の筈だ!」

 

「確かに貴方の妖力と力は膨大だよ…だけどそれを周りに放っているだけなんだよ」

 

文夜は腹を抑えながら叫ぶ九尾に向かって言った

 

「でも、僕は自分の妖力を身体強化に当てているんだよ。

そこが貴方と僕の決定的な違いだよ」

 

「図に乗るなよ糞ガキがぁぁぁぁ!」

 

そう言うと九尾は両腕をあげ上空に自分の妖力を集め始めた

 

「あれは…一箇所に妖力を集めているのかな?」

 

気づいた時にはその妖力は直径1kmはある球体となっていた

 

「はぁはぁ…お前に勝てなくても俺は勝つ!」

 

「っ!まさか都市にそれをぶつけるつもりじゃ!」

 

文夜は少し焦った様に質問した

 

「そうよぉ!そのまさかよ!いくらお前が身体強化をしてようがこれを止めることはできねえだろ!」

 

文夜は何も答えずにただじっと球体を見つめていた。右腕を空へと伸ばしながら

 

「はははっ!恐怖で言葉すらでないか! 目の前で都市が崩壊して行く様をそこで見てるがいい!」

 

九尾は笑った後にあげていた両腕を下ろした。両手で物を投げるかの様に。しかし、妖力でできた玉は微動だにしなかった

 

「何故だ…?何故だ何故だ何故だ!何故動かない!」

 

「…あれは僕の能力によって動きを抑えさせてもらっている」

 

何が起こっているかわからない九尾に対して文夜は静かに答えた

 

「な、なんだこれは!?」

 

文夜が右手を九尾に向けると九尾は突然出てきた縄のような物に縛られて動けなくなってしまった

 

「それは僕が妖力で生み出した物だよ。あれだけの事をしようとしたんだ…死ぬ覚悟くらいはできた?」

 

文夜は少しずつ九尾に近付いていく

 

「ま、待ってくれ!お、俺はお前の最後の血の繋がった者なんだぞ!」

 

九尾は少し涙を浮かべながら言った

 

「命乞いはそれだけ?」

 

文夜はゴミを見るかの様な目で見下ろしていた

 

「待ってくr」

 

文夜は九尾が何か言う前に首を切り落とした

 

「もしかしたらわかり合う事もできたかもしれないじゃないか…僕の父さんと母さんみたいな悲劇を繰り返したくないって思えたら…何で憎しみでしか物事を考えられなかったの…?」

 

文夜は悲しそうに最後の自分と血が繋がった者の亡骸を見て呟いた

 

「…最後の一仕事をしなきゃね」

 

文夜はそれから目を離し、空に浮かぶ球体を見つめた

 

「妖力が空っぽになるかもしれないけど、この方法しかないかな…」

 

文夜は両手で大剣を持ち、剣先を空へ向けた

 

「はぁぁ…」

 

妖力の刃は次第に大きくなっていき、空に浮かぶ球体よりも大きくなった

 

「せいやー!」

 

文夜は少し飛び上がってからそれを振り下ろし、球体を真っ二つにした

そして球体は爆発したが爆風が周りに広がることは無かった

その後、文夜はに倒れた

 

「はぁはぁ…も、もう動けない…」

 

文夜は手にしていた剣も離して大の字になっていた

 

「大丈夫ですか隊長ー!」

 

空にいきなり球体が現れたので心配になった咲奈が文夜を探しにやってきた

 

「動けないから助けてくれー!」

 

文夜が声を上げると咲奈は文夜の元にやってきた

 

「う、動けないほどの重傷を!?おい!急いで救護班を呼ぶんだ!」

 

咲奈は手に持つ通信機器に向かって叫んだ

 

「いや、ただのエネルギー切r「喋らないでください!」はい。」

 

文夜が何か言おうとすると咲奈は止めた。数分後、文夜は救護室に運ばれた

文夜が救護室に運ばれてしばらく時間がたったあと、慌てた永琳が救護室に入ってきた。

文夜がただのエネルギー切れだと伝えると「重傷って聞いて本当に心配したんだから…!」と言い、泣き出してしまった

文夜は永琳を慰めるという新たな仕事が増えてしまった

こうしてこの戦いは幕を閉じた

文夜は誰一人戦死者を出さず、都市を守ったことにより、勲章を与えられた

周りからは指揮をしている姿や、いきなり物を作り出す姿から「白銀の魔術師」と呼ばれるようにもなった

文夜はその呼び名が結構気に入ってた様である

 

〜とある大学の研究室〜

 

「あれ?八意さんはいないの?」

 

「なんかすごく凹んでたわね…」

 

「まあいいや!ねえメリー。なんで文夜はエネルギー切れを起こしたの?大剣に力を注ぎすぎたからなの?」

 

「実は違うのよ。その後に爆風が周りに広がることはなかったってあるでしょ?それに関係しているの」

 

「どうゆうこと?」

 

「まずね、文夜は球体を真っ二つにしたわ。でもこれだと爆発して都市に被害が出てしまうって文夜は考えたの」

 

「ふむふむ」

 

「それで爆風で都市に被害が出ないように真っ二つにした球体の周りに何百層の妖力でできた壁を張ったわけ」

 

「それはエネルギー切れになるのも当たり前ね…」

 

「あと蓮子は気づいてないみたいだけど」

 

「なんか馬鹿にされた気分ね」

 

「妖力の球体が動かなかったことなんだけど」

 

「…その事に何があるか本当に気がつけないわ」

 

「あれが動かなかった理由はね文夜が能力で摩擦を操作したの」

 

「なんで摩擦?」

 

「球体が動く時に空気と触れ合うでしょ?その時に少なからずとも摩擦が発生するわけ」

 

「…?」

 

「えーっと…要約するとその摩擦を最大限まで強めてブレーキを掛けちゃうのよ」

 

「ブレーキ!だから動かなかった訳ね!」

 

「これは余談なんだけどね、ブレーキをずっと掛けてたから摩擦熱が発生しちゃってあの辺りはすごく暑かったのよ」

 

「それは言われないとわからないわね」

 

「本当蓮子ってテンションコロコロ変わるわね」

 

「お化けと一緒にいて普通のテンションでいろって方が無理よ」

 

「それもそうね。八意がいないからいつも通りのテンションなのね」

 

「メリーって結構裏でいろいろ言うタイプなのね」

 

「女だから仕方が無いわよ」

 

 




初の戦闘描写が入りましたがどうでしょうか?今回はあれでしたが主人公最強設定はないつもりです
一方的な戦いであった事が伝わると嬉しいです
後は…文夜君は格好良い物が大好きですね
純粋な男の子みたいな感じです!
「感想なんかあったらコメントしてくれると嬉しいな」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。