妖怪の群れが都市を責めてきた日から一週間がたった
文夜と永琳はいかにも高そうなレストランに来ていた
「ねえ文夜?」
永琳が文夜に声をかけたが文夜は黙々と出された食事を口にしていた
「ねえ聞いてるの?」
「……くない…」
「え?なんて言ったの?」」
永琳は文夜が何を言ったのか良く聞き取れなかったので聞き直したが…
「全然美味しくない!あーもうっ!格好付けてこんなところ来なければよかった!」
そう言うと文夜は席を立った
「店員さーん!お金は払うからもう料理出さなくていいよ!あともう帰る!」
文夜は店員を呼びお金を渡すと永琳を立たせた
「よし、行こうえーりん!」
「え?ちょっとえーりんって…」
文夜は永琳の手を引き、店を出た
「隊長!対象2名が移動を開始しました!」
「バレないように追うのです!我ら『隊長の尻尾をもふもふしたいお!同好会』の意地を見せるのです!」
「「「「おー!」」」」
隊長…夏目咲奈を先頭に5人の男女が文夜と永琳の後をつけていた
しかしお金があまり無かった為、レストランの中には入れなかったので二人が外に出るのを待っていたのである
……
数分後、永琳は文夜に手を引かれて少し大きな公園に来ていた
「ここ覚えてる?」
「…本当に私達が小さかった頃に遊んでた公園よね」
永琳は懐かしい思い出に浸っているようであった
文夜はベンチに座り、手招きをするので永琳もベンチに座った
「小さい時はあんなに広く感じたのに、今じゃ少し狭く感じるね…」
文夜は前屈みになりながら周りを見渡していた
「それだけ私達が大きくなったってことよ」
文夜はベンチから立ち上がり永琳の方を向いた
「そうだ!久しぶりに遊ばない?」
「公園で遊ぶって…私達はもういい大人なのよ?」
永琳は少し嫌そうに答えたが文夜は笑顔になった
「だからこそ良いんじゃないか!最近身体動かしてないでしょ?だから軽い運動だと思ってさ!」
「はぁ…分かったわよ」
「はいタッチ!えーりんが鬼ね」
文夜は永琳の肩を触ると走りだした
「あっ!全く…小さい時みたいにすぐに捕まえてあげるわよ!」
永琳は三つ編みにしていた髪を解いた後、文夜を捕まえるために走り始めた
……
1時間後、公園のベンチにはハシャギ疲れて座っている永琳とまだ満足ではなさそうに立っている文夜がいた
「はぁはぁ…疲れたわ…こんなにはしゃいだのは何百年振りかしら…」
「えーりんも体力つけなきゃ」
肩で息をする永琳に対して文夜は笑顔でいった
「科学者に体力なんて…必要ないわよ…」
「何か趣味とかないの?」
文夜の質問に永琳は息を整えてから答えた
「毎週ジョジョは読んでるわよ」
「あれまだやってたんだ…因みに今は何部なの?」
文夜は昔恐がっていた事を思い出し少し顔を顰めていた
「たしか…第81部よ」
「長っ!絶対作者人間じゃないよね!?」
「噂では作者は吸血鬼らしいわよ」
文夜はその光景を想像したのか少しにやけていた
「漫画を書く吸血鬼…なんかシュールだね!」
「そういえば、文夜はジョジョを始めて読んだ時はすごく恐がっていたわね」
「小さい僕にはあの表現とかは恐かったんだよ…ジョジョといえば…中学生のころのえーりんは「私のスタンドがっ!!」とか言ってたよね」
それを聞くと永琳は顔を真っ赤にして慌て始めた
「あ、あれは忘れなさいって言ったでしょ!」
「慌てる永琳も可愛いよ」
文夜は表情を変えずに言った
「い、いきなり何を言い始めるのよ…」
永琳は顔を赤くしたまま俯いていた
「…八意永琳、君に伝えたい事がある」
文夜は永琳の顔を上げさせて目をじっと見つめながらそう言った
「僕と…結婚してくれない…ん…」
顔を赤くしている文夜が言い切る前に永琳は口づけをしていた
「これが私の答えよ…一体どれだけ待たせるのよ…我慢出来なくて襲いそうだったのよ私?」
永琳は涙を浮かべながらも嬉しそうに言った
「ははっこんなにも待たせてごめんね永琳…愛してるよ」
「私も愛してる…」
二人は強く抱きしめあった
その頃の同好会メンバー達は…
「「エンダァァァァァァァ!!」」
「「イヤァァァァァァァァ!!」」
咲奈以外の4人は吠えていた。二人に気づかれない程度に
「おめでとうございます隊長…」
咲奈は涙を浮かべながら手にしていたカメラを閉まった
「私も良い男性見つけなきゃ…」
咲奈は何もない方を見ながら呟いた
……
二ヶ月後、とある高級ホテルで文夜と永琳の結婚式があった。そこにはたくさんの人が集まっていた
「色々な人を招待したけどなんでマスコミまで…」
「隊長は自分がどれだけこの都市で有名なのか知ってますか?先日の妖怪が攻めてきたときなんてマスコミは「彼こそが英雄だ!」みたいなことを報道してたのですよ?しかも結婚するお相手が月の頭脳なんて言われてる八意様ですよ?マスコミがこんな美味しいネタに食いつかない筈が無いですよ」
待機室で文夜と咲奈は話していた。文夜は咲奈の長い説明に少しうんざりしながらもちゃんときいていた
「僕ってそんなに評価されてたんだ…ちょっと嬉しいかも」
文夜は照れた感じで頭をかいていた
「そういえば隊長はタキシードを着なくて良いのですか?」
咲奈は文夜がいつもの服装なので気になって質問してみた
「タキシード着たいよ?すごく着たいよ?でもね…尻尾があるとすごく不自然なんだよ…」
「いろいろとすみませんでした...」
少し涙目で答えた文夜に申し訳なくなったので咲奈は謝った
「美音さーん!準備できましたかー?」
タイミング良く係りの人が文夜を呼びに来た
「うっ…ついにこの時が来ちゃったか…今行きまーす!」
文夜はその場で返事をした。しかし尻尾と狐耳がピンと立っているので余程緊張しているのだあろう
「では頑張ってきてくださいね隊長」
「頑張ってくるよ…」
文夜は咲奈に見送られながら待機室を後にした
「私も行くとしますか…」
一人になってしまった咲奈もその部屋から出て行った
……
式場にはたくさんの人が集まっていた
『では新郎の入場でございます』
アナウンスが聞こえると文夜は式場に入場した
しかし緊張しているせいか歩き方が固かった
「隊長緊張してますよ…」
「あんな隊長もまた良い!」
「尻尾がピンと立ってる…」
「カメラ…カメラ…」
文夜の姿を見たお客さん達はヒソヒソと話し始めた。しかし…
「全部聞こえてるよ全く…」
文夜にその声は全て届いていた。文夜はツッコミを入れないように耐えながら神父の目の前に立った
「つ、次は永琳の入場か…緊張してきた…」
文夜がつぶやくと神父がじーっと見つめていたので文夜は頭を軽く下げて謝った
『次に新婦の入場です』
その瞬間、騒ついていた会場は静かになった。皆一箇所のところ見ていた。そこにはウエディングドレスを身に纏った永琳がいた
皆に見守られながら永琳は文夜の隣へと移動した
「どう…かしら」
永琳は頬を赤くしながら文夜に質問した
「女神はここにいたのですね…」
文夜は真顔でそう言った
「褒め言葉として受け取って良いのかしら」
「世界で一番美しいよ…」
「褒めすぎよ全く!」
『あーごほんごほん。ごほんごほん』
二人がイチャイチャし始めたので神父はわざとらしく咳をした
「す、すいません…」
文夜は素直に謝ったが永琳は余程嬉しかったのか笑顔のままであった
『全く、最近の若いのは…
汝、美音文夜は、この女、八意永琳を妻とし、
良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、
病める時も健やかなる時も、
共に歩み、他の者に依らず、
死が二人を分かつまで、愛を誓い、
妻を想い、妻のみに添うことを、
神聖なる婚姻の契約のもとに、
誓いますか?』
神父は何か物申したいような感じではあったが誓いの言葉を言い始めた
「誓いま…っ!!」
神父の誓いの言葉に答えようとした文夜は身震いした
「どうしたの文夜?」
「何この殺気…!他人に向けるような量じゃない…!それにこの力…妖力じゃない力?」
「ねえ文夜!!」
永琳は突然怖い顔でブツブツと言い始めた文夜に声をかけた
「う…うん大丈夫だよ…誓います」
文夜は心配させたくなかったのか無理やり笑顔を作っていた
『続けます…汝、八意永琳は、この男、美音文夜を夫とし、
良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、
病める時も健やかなる時も、共に歩み、
他の者に依らず、死が二人を分かつまで、
愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、
神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
「はい、誓います」
『皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、
結婚の絆によって結ばれた このお二人を
神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう
(中略)
…恵みによって成長し、実り豊かな生活を
送ることができますように。
わたしたちの主 "月夜見"によって…』
「ふふっこれで私達は正式な夫婦なのね…文夜?」
「月夜見って名前を聞いた時にもまた同じような殺気を感じた…一体僕の周りで何が…」
文夜はまたブツブツと何かを言っていた
「あなた!」
上の空になっている文夜に対して少し大きめの声で永琳は呼んだ
「…え?」
文夜はその声でやっと永琳が自分に声をかけている事に気がついた
「さっきからどうしたの!いきなり上の空になったりして!…もしかして私と結婚したことを後悔してるの?お願い…私の前からいなくならないで!何でもするから!何でもするからいなくならないで…!」
取り乱している永琳の事を文夜は抱きしめた。永琳は抱きしめられた瞬間、落ち着いたようであった
「泣かないで永琳…僕は絶対に永琳の目の前からいなくならないよ。神に誓っt…っ!」
文夜はまた何かを感じたのか身体が震え始めた
「はぁはぁ…約束するか…ら…」
そして文夜は言い終わるとその場に倒れてしまった
「あなた!」
永琳は声をかけたが文夜はピクリとも動かなかった
あたりがざわめきついている中、永琳は倒れてしまった文夜の脈を測るなど身体を調べ始めた
「傷とかは無いわね…熱も無い…脈も正常…どうなってるの一体?」
その後、文夜は病院に搬送された
……
一時間後、文夜は病院のベッドの上で目を覚ました
「ここは…?」
「あなた!」
目を覚ました文夜に永琳は駆け寄った
「…永琳?そうだ…僕は倒れちゃったんだっけ?」
文夜は呑気に答えていたが永琳は泣きそうになっていた
「身体はどこも悪くないのに意識が戻らないから心配したんだから!」
「心配させてごめんね…でも、もう大丈夫だよ。どこも痛くないしね」
文夜は永琳を撫でながら言った
「…せっかくの僕達の結婚式が台無しだよ」
「本当よ…全く」
「「はぁ…」」
二人は同じタイミングでため息をついた
「んーじゃあ、あの場では言えなかった事を今言うよ 」
文夜はいきなり永琳を抱きしめた
「…世界で一番君を愛しているよ」
「何で今言うのよ…私も愛しているわよ」
その後、二人は唇を重ねた
〜メリーの部屋〜
「今回も八意さんいないの?」
「しばらく来ないって言ってたわよ」
「一体彼に何が…娘の結婚式の話しだったのに…」
「だいたい理由は想像つくけどね。まあいつも通りで行きましょう」
「ねえメリー。同好会って?」
「切り替え早いわね…文夜って案外人気があるのよ。癒し系として」
「尻尾可愛いもんねー」
「因みに同好会の創立者は夏目咲奈よ」
「なるほど…あっ次の質問なんだけど」
「それは伏線だから教えてあげないわよ」
「まだ全部言ってないよ!?」
「蓮子の考えなんて私ならすぐに読めるわよ」
伏線らしきものを入れてみましたがどうでしょうか?
あと何処かおかしいところがありましたら指摘していただけると嬉しいです
「次回もお楽しみに!感想とかあったら教えてね?」