文夜と永琳の元に三人が来てから七年になった
依姫は文夜と永琳の教えをバランス良く身につけていた
豊姫は勉強と霊力の扱いは他の二人を凌駕していた
輝夜は勉強も戦闘技術も微妙であったが、舞や模写などの文芸の方面がピカイチであった
そして永琳は文夜から弓道を学び、文夜を凌駕するほどの技術を会得した
八意邸…今日は豊姫十五歳の誕生日の為、5人でパーティーをしていた
「「「「誕生日おめでとう!」」」」
4人は豊姫に向けてクラッカーを鳴らした
「みんなありがと〜」
豊姫は恥ずかしがりながらもとても喜んでいるようであった
「はいこれ!豊姫ちゃんにプレゼント!」
輝夜は豊姫に可愛くラッピングされた箱を渡した
「これは…リボン?」
豊姫が箱を開けると中には紫色のリボンが入っていた
「豊姫ちゃんには紫色のリボンが似合うと思うわよ!一生懸命どれにするか悩んだからつけてみて!」
輝夜は豊姫に満面の笑みを見せていた
「じゃあ早速付けさせて「待って姉さん!」なぁに?」
豊姫がリボンを付けようとするのを依姫は大きな声で阻止した
「私からのプレゼントはこの帽子なのです」
依姫は白色の帽子を豊姫に渡した
「二人ともありがと〜!」
豊姫は帽子を受け取ると輝夜と依姫の事を強く抱きしめた
「く、苦しいよ豊姫ちゃん!」
「ち、力入れすぎです!」
豊姫に抱き着かれた2人は口では嫌とは言うもののその顔は笑顔であった
「あっ豊姫ちゃん。これはお父様から託されたものなんだ」
文夜が布に包まれた物を差し出すと豊姫は依姫と輝夜を解放してそれを受け取った
「これは…扇子?」
豊姫は布に包まれていた物を取り出すと、不思議そうにそれを見つめていた
「十五歳の誕生日に渡してくれって言われてたのよ」
「ふーん、少し使ってみようかしら」
永琳がそう教えてあげると豊姫は扇子を広げて自分に向けて風を起こした
「っ!!」
文夜は扇子から不思議な力を感じ取ったのか、風が豊姫に当たらないように妖力の壁を何万層と張った
扇子から放たれた風は妖力の壁に触れた瞬間、壁をほとんど消し去った
「はぁはぁ…豊姫…ちゃん…その扇子は危険だから…僕が使いかたを教えるまで絶対に使うわないで…」
文夜は突然肩で息をし始めたので永琳達は不思議そうに文夜を見ていた
「えっ?別にいいじゃない。あっ、輝夜ちゃんも使ってみr「やめろ!」ひっ!」
豊姫は扇子を輝夜に渡そうとしたが文夜に怒鳴られた為に驚いてしまった
「あ、あなたどうしたの?」
初めて怒鳴った文夜を見た為に永琳は心配そうに声をかけた
「ご、ごめんね…説明なしでこんなこと言ってもわからないよね…あとで永琳と豊姫ちゃんは僕の部屋に来てくれないかな?」
「もしかして豊姫ちゃん怒られちゃうの…?」
輝夜は悲しそうな顔をしながら言った
「ううん…怒ったりしないから大丈夫だよ」
「例え姉さんを怒るとしてもた、叩かないでくださいね…?」
依姫は少しビクビクしながら文夜に言った
「ははっ…恐がられちゃったかな…」
文夜は苦笑いをしながらリビングから出て行き自分の部屋に入ってしまった
「…あなた達」
永琳は輝夜と依姫をじっと見つめていた
「あの人は何かあったから大きな声を出しただけなのよ?豊姫の事が嫌いだからやった訳じゃない事を分かってあげてくれないかしら?だから…恐がらないであげてね?」
永琳は悲しそうな目をしながらうっすら笑っていた
「…ごめんなさい。ちょっと驚いてしまっただけです」
依姫は永琳に頭を下げたが、永琳は首を横に振った
「頭を上げなさい。あと私に言わないであの人に直接言ってあげてね?」
「じゃあ今から謝ってくる!」
「まずは私の用件がさきよ〜」
文夜の部屋に行こうとした輝夜を豊姫は阻止した
「そうね…じゃあ行きましょうか。輝夜と依姫は少し待っててちょうだいね?」
「はーい」
「分かりました」
永琳は豊姫の手を引いて文夜の部屋に向かった
……
「入っても良いかしら?」
「どうぞー」
永琳は文夜の部屋のドアをノックすると中から呑気な声が聞こえてきたので豊姫と一緒に部屋に入った
「来てくれてありがとね二人とも。豊姫ちゃん…さっきはごめんね?驚いちゃったよね」
文夜は豊姫の頭を撫でながら言った
「何か私が悪いことしちゃったんだよね?」
「さっきは何があったの?意味がないなんて言わないでしょ?」
永琳と豊姫が文夜に質問すると文夜は先程の扇子を懐から取り出した
「この扇子には恐らく…特別な能力があるんだ」
「特別な能力?」
豊姫は首を傾げながら聞き返した
「うん。扇子が起こした風がね僕が張った壁をほとんど消し去ったんだよ…こんな危険な能力があるのに教えないなんて…まさか豊姫の父親は豊姫消そうとしたのか?この扇子を自分に向けて使う事を確信して…」
文夜は自分の考えを口に出していた
「お父様が?あ、ありえないわよ!」
永琳はパニック状態になりそうだった豊姫を抱きしめた
「まだ仮説の段階だから落ち着いてね豊姫」
「先生…ごめんなさい取り乱しちゃって」
豊姫は涙目で謝った
「ほら、笑って豊姫ちゃん。君は笑っている方が可愛いよ」
文夜は豊姫のほっぺを摘まんで無理矢理笑顔にした
「や、やめてよお父さん!」
「「お父さん!?」」
突然の事に文夜と永琳は目を見開いた
「何かお父さんぽかったから…そう呼んじゃダメ…?」
豊姫は涙目かつ上目遣いで文夜に聞いた
「うっ…全然良いよ豊姫ちゃん」
「わ、私の事は?」
少し照れながら文夜は言い、永琳は何かを期待しながら豊姫に聞いた
「もちろんお母さんって呼ぶわよ〜」
「お母さんって言われるだけでもすごく嬉しいわね」
永琳が恥ずかしそうに言うと…
「私もそう呼ぶ!!」
「で、では私はお父様とお母様とお呼びいたします!」
最後のところだけ聞いていたのか、輝夜と依姫が元気良く部屋に入ってきた
「ははっ!いきなり3人の親になっちゃったね永琳」
「こらっ!二人とも盗み聴きなんてしないの!」
「「ごめんなさい…」」
永琳は輝夜と依姫を叱った
「で、でも!私達は早くお父さんに謝りたかったから終わるのを待っていただけです!」
「そーよそーよ!」
「なんで謝るの?」
本気で分かってないような感じの文夜に輝夜は説明した
「私達はさっき恐がっちゃったからお父さんが傷ついちゃってるのかなって思ったの…」
「子供にそんなことを思わせちゃうなんてまだまだね…」
文夜はため息をしながら自分の額に左手を当てていた
「そんなことはありませんよ!それにこれから成長していくでもいいじゃないですか!」
依姫は必死にフォローしようとした
「親は子供から教わることもあるって良く言うもの。今はダメでも少しずつ良くして行きましょう?」
永琳が文夜の肩に手を当てながら言うと文夜は何かを悟ったようであった
「うんそうだよ…何事もプラスに考えるとしようか!」
そう言うと文夜のお腹から大きな音が聞こえた
「もしかしてお腹空いたの?」
「うん…」
文夜は恥ずかしそうに答えた
「じゃあ豊姫の誕生日でもあるしいっぱい作るとしますか」
永琳がそう言うと依姫は手を上げて飛び跳ね始めた
「あっ私も手伝います!」
「じゃあ行きましょうか」
永琳と依姫は楽しそうにキッチンへと向かった
「僕たちは出来上がるのを待つとしよっか」
「そうね〜」
「もちろんよ!」
輝夜と豊姫は文夜の意見に賛成し、リビングへと向かった
その後、五人は楽しく話しながら夕飯を食べた
いろいろとあった豊姫の誕生日であった
……
一ヶ月後、文夜は豊姫だけを自室へと呼び出していた
「扇子の力をどう制御すれば良いか考えてたけどこの方法しかないな…」
「どんな方法なの〜?」
豊姫は目を輝かせながら文夜に聞いた
「扇子の能力を豊姫ちゃん自身の能力にするんだ」
「つまりどうゆうことだってばよ!」
豊姫は何時もとは違うトーンで言った
「僕がこの扇子の力を豊姫ちゃんに移す」
「そんな事が可能なの〜?」
「この一ヶ月で扇子の構造はいろいろと調べたりして完璧に理解したから可能…な筈だよ」
文夜はあまり自信がなさそうに言った
「確証はないのね…あとなんでこの扇子を操るんじゃなくて私の能力に変えるの?私が悪用するかもしれないわよ?」
いつもみたくニコニコしているのではなく真剣な顔で豊姫は文夜に質問を始めた
「その扇子がもしも他の人に奪われても大丈夫でしょ?
二つ目の質問だけど、僕は豊姫ちゃんが悪用しないって信じてる。もしも悪用するようならば、僕が止めるから」
文夜は豊姫の目をじっと見ながら答えた
「…お父さんが私の事を信じてくれてるなら私も信じるわよ〜やってくださいな〜」
豊姫は何時もの口調で文夜に言った
「じゃあこの椅子に座ってくれないかな?」
「お父さんの一瞬で物を作り出す能力は本当羨ましいわね〜」
文夜が妖力で作り上げた椅子に豊姫は座りながら言った
「これは能力じゃなくて努力の結果だよ」
「努力が報われる程度の能力でも持っているんじゃないかしら〜?そもそも未知の物を一ヶ月で構造を完璧に理解なんて普通は無理だと思うわよ〜」
豊姫はなんとなく言ったのだが文夜は真剣に考え始めてしまった
「…いや…そんな訳…ないよね?」
「早く始めてよ〜」
ブツブツ言っている文夜に対して豊姫は痺れを切らしたのか急かした
「そうだね…じゃあ始めるよ」
文夜は左手を扇子に、右手を豊姫の頭の上にかざして目を閉じた
「あっ…」
「よし終わったよ豊姫ちゃん。どんな感じ?」
「なんか知らない力が私の身体に入ってきた感じがするわね…えーっと『触れた物を粒子レベルで浄化する翼を出す程度の能力』…?」
豊姫は一瞬身震いをし、その後目を閉じながら言った
「人の身体で風を放つのは不可能だから能力が人でも使えるように形状変化したのかな…とりあえず外に出て能力を使ってみよう」
「は〜い」
二人は庭に移動した
……
「もう周りに壁は張ってあるから全力で使っていいよ。あっ能力を使うならその能力の事を強くイメージするんだよ」
文夜がアドバイスすると豊姫は翼を強くイメージしていた
「イメージ…翼のイメージ…あっアゲハ蝶だ」
近くに飛んでいたアゲハ蝶を見た瞬間、豊姫の背中から緑色のアゲハ蝶のような翼が生えた
「すごーい!豊姫ちゃんの翼きれーい!!」
「それはなんですか姉さん?」
家から見ていたのであろう輝夜と依姫が窓から顔を出していた
「これは…私の新しい能力よ〜」
「かっこいいー!」
「羨ましいです」
「豊姫ちゃん、その翼の大きさとかは変えられる?」
豊姫は文夜に言われた通りにしようと強く念じたが、翼の大きさは変わってはいなかった
「うーん…強くイメージしてるけどダメね…」
「豊姫ちゃんはその翼の扱いをしっかりできるようにしようか」
「は〜い」
豊姫は翼をしまい文夜と共に家の中へと入った
……
「永琳、あの自分の能力が分かる薬をくれないかな?」
翌朝、突然自分の研究室に入ってきた文夜の事を永琳は不思議そうに見た
「あなたの能力は『振動と摩擦を操る程度の能力』でしょ?何でまた必要なの?」
「少し気になることがあるんだ」
「分かったわ…はい、どうぞ」
文夜は何か確信があるような顔をしていたので永琳は懐から薬を出し、文夜に渡した
「ありがとう永琳!」
文夜はそれを一気に飲み干した
「…やっぱり」
「どうしたのあなた?」
「豊姫ちゃんに言われてちょっとだけ気になってたんだよ…でも本当に僕にはもう一つ能力があった。それは『努力が報われる程度の能力』…だよ」
〜蓮子の部屋〜
「すごい能力ね2人とも」
「私もそう思うわよ」
「能力の説明できる?」
「触れた物を粒子レベルで浄化する翼を出す程度の能力だけどまさに名前の通りよ…もうチートよ」
「アゲハ蝶の翼でそれって…月光蝶?」
「よくわかったわね」
「このとよねえすごいよぉぉ!」
「次は努力が報われる程度の能力ね」
「これって…何でもできるって事でしょ?」
「なんでも…ではないわね。努力って言ってもそれ相当な量をこなさなければならないのよ。まあ努力家の文夜にはピッタリの能力ね。前から少し強すぎなんじゃないかってところあったでしょ?でも文夜は人10倍努力をしていたのよ」
「でも努力をしても敵わなかったなんてあったら心が折れちゃいそうね」
「文夜は挫折を味わった事がないからどうなるかしら…」
「心が折られちゃってやる気も全て失っちゃうかすぐに立ち直れるか見ものね」
ガンダムネタを入れちゃいました!
もしも不愉快だっ等感じましたら遠慮無く言っちゃってください!
「感想があったら書いてくれると嬉しいわね〜待ってるわよ〜」