東方機人伝 ~機械人形と写影の賢者~   作:倫鈴

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観察記録-01

        観察記録-01

 

           記録者:<   >

・個体名:アイ(i)

 

・機体種:元.家庭用har型アンドロイド/現.戦闘用har型アンドロイド(Remodeling)

 

・製造地点:株式会社レイジング第7工場

 

・識別番号:3659-3

 

os:Nh(Remodeling)

 

 

 

 

 

[概要]

 

attack、defence、search、agility。

主な4つの機能+recoverという特殊機能をバランスよく兼ね備えるos。

バランスタイプなので、単体の機能と比べれると特化タイプに劣る。

よって4つの機能をそれぞれ組み合わせて戦うことを推奨させる。

 

 

 

 

 

 

[性能]

 

 

<attack function>

 

'身体機能強化スキル'

 

・強拳(フィストⅠ~Ⅲ)

・強脚(レッグⅠ~Ⅲ)

・強腕(アームⅠ~Ⅲ)

 

────────────────────ー

 

<defence function>

 

'機体防衛スキル'

 

・纏熱(ヒートⅠ~Ⅲ)

・纏冷(コールドⅠ~Ⅲ)

・帯電(エレキⅠ~Ⅲ)

 

────────────────────ー

 

<search function>

 

'周辺調査システム'

 

・アナライズ

・ソナーパルス

・マーキング

 

────────────────────ー

 

<agility function>

 

'環境適応システム'

 

・ラーニング

 

────────────────────ー

※Nh型osはスキルⅣ以降の習得、使用が困難。

ただし“拡張アタッチメント”によるスキル行使はⅣ以上でも可能であることを確認している。

 

※混合スキルについては観察記録-59aを参照。

 

 

[外見]

 

身体スキン並びに骨格は人間の女性を想定して作られている。

 

ただ髪型はショートウルフで、胸囲もほぼないことから、中性的なイメージを売りにしている“商品”だったようだ。

 

口調もやや中性的だが、男寄りともとれるだろう。

 

元々は黒色の髪だったが、改造途中で髪の色素系が壊れ、白髪になった。

 

いつの間にか娘のエリンが、アイの頭髪機能を修理し、彼女の好みである灰色の髪に勝手に設定していた。

(こういう所の技術は私の専門外なのだが……。その技術はどこで覚えてきたのだか)

 

髪の色などなんでも良いですと、アイは特に気にしてはいないように振る舞っていた。

桃色の髪にされたときは、珍しく嫌がっているように見えたが。

 

 

[概要]

 

 

元々家庭用の子守りロボットだったが、私の改造によって、osに肉付けする形で戦闘用に生まれ変わった。

 

損傷が激しかったため、機体の99%は“人工耐全特殊混合素材”、さらに“ホワイト・マテリアル”を使用した、通称『白パーツ』に置き換えた。

 

実験の意味も込めて手工したが、改造は無事成功したと思える。

 

拒否反応が見られなかった事が一番の成果だろう。

 

『白パーツ』の形状設定にはアイの元の骨格を尊重したため、子守りロボットの外見が残っている。

 

 

 

[備考]

 

発見時から違和感は感じていた。

 

改造時、人為的なシンギュラリティの覚醒跡を確認されたときに、その違和感が分かった。

 

この子は既にリミットを外され、シンギュラリティの覚醒に至っていたのだ。

 

レイジング第7工場での、“例の事件”がきっかけか、もしくは出荷後に何者かの手によって、リミットを外されたか。

 

どちらにせよ通常のレイジング製品がここまでの感情を発露するとは考えにくい。

 

されど偶にアイが、本物の人間のように思えるのだ。

 

“306事件”の規制から見る機会がなかっただけに、なかなかに衝撃だった。

 

人間にそっくりな機械人形はこの社会に山程存在したが、この個体は何かが違う。

 

それを言葉で表現するのは難しいが……端的かつ不親切に言うならば、これが“シンギュラリティ”なのだろう。

 

不気味の谷を越えたhar型には、まだ未開拓の領域がある。

 

 

 

前述のシンギュラリティの覚醒起因予想がもし後者の場合、それを行った犯人は、“ニヒル”の動き、軍基地制圧事件でのミサイル発射、その着弾地点を予期していた可能性がある。

 

考えすぎだとは思うが、それにしては、この状況は“出来すぎている“と私は感じる。

 

この時代に『運命のいたずら』とでも言うのだろうか。

 

 

シンギュラリティの再封印、削除は考えていないが、このままでは自分で身を滅ぼしかねない。

 

修得させた大方のアビリティは“スキル”として、osへの認証式にさせた。

 

今は私のコンピューターに繋げさせたが、アイ自身の心情の改善が見られ次第、osを独立させることも視野に入れよう。

 

…………まだ当分は先だろうが。

 

 

 

引き続き、観察を継続する。

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