こいつよくそんなガバガバな状態で投稿しましたね?(他人事)
たくさんの評価、感想、お気に入り、誤字報告などなど、色々感謝です。
この場を借りて感謝申し上げます。
間に合った。
間に合った――けど。
「正直、これはきつい」
受け止めた瞬間、右腕の骨が逝った。
これは直でくらっていれば致命傷レベルだ。
むしろ僕だからこそこれで済んだと言える。
これをまだ中学生の少年少女にぶつけてくるとか……雄英校が修羅すぎる。
いくらヒーローでも、腕が折れれば辛い、が。
もう片方の無事な拳を、ぐっと握りしめる。
「でもまだ、やられてないぞ……!」
「君は……あのときの? なんで、こんな……!」
「なんでって、君が助けを求める顔をしていたから」
当たり前だ。なぜなら僕はヒーロー。
ヒーローは点数のために戦うんじゃない。
救いを求める人を守るために戦うのだ。
だから。
「まっててよ。こんなロボット位、倒して――やる!!」
言い切ると同時に直撃し、尚こちらを圧していた巨拳に、思い切り力を込めて横にずらしてやると、重力のまま地面に沈み込む。
土埃が舞う中、脚は止めなかった。
その横にズレ、地面にめり込んだ腕から頭部分まで駆け上がり、地面を見つめるモノアイをのぞき込んだ。
「やぁ。この片腕分のお礼させてもらうね。お釣りは取っておいてよ」
言い切り、腕をモノアイに突っ込む。
ギャリギャリと内部で音を鳴らすのを無視して、配線をすべて引きちぎるとあっけなくロボはダウン。
歩行機能を失ったロボが、大きく後ろに倒れていくのと同時に、足場を亡くした僕も宙に待った。
「――僕の勝ちだ」
そうして、重力に身を任せて落ちていく。
あー。そういえば糸使えないのか。
さすがに体力使いすぎたな。
地面に衝突しても死なないかな、まあ大丈夫か。
謎の楽観視をしていると、頬に感じる鋭い痛み。
え? ビンタされた?
それは先ほどの女の子の物だった。
もしかして何かやらかしたかと思えば、そうではなく僕の体が地面すれすれで浮いてることに気が付く。
これが彼女の能力らしい。
「あ、これあ、ありがとう!」
「どういたしま……うええぇぇぇぇ」
「えぇ……」
同時に響き渡る試験終了のコール。
こうして試験は僕の汗と、血と、彼女のアレによって、幕は降ろされた。
◆
「なんだこのガキ! やべぇ! コイツぁ原石だろ! 馬鹿じゃねぇの! 俺すっげぇ好きだ!」
「うるさいよマイク。あたしゃ気乗りせんがね。過ぎたる自己犠牲は、悲しみを生むものさ」
「ただまぁ……俺らの判断がどうなるであれ、資質しか感じませんね。彼からは」
手元の資料に目をやれば、そこにあるのは多くの嘆願。
全てが緑谷出久という生徒に対しての嘆願届だった。
長年この学校に勤めている教師陣だが、流石にこんなことは初めての出来事だった。
それを見たプレゼントマイクはどこか遠くを見るような目で言う。
「ヒーローを助けちまうヒーローか。まるで」
「オールマイトみたい、か?」
その言葉を拾うのは、闇に紛れるように全身を黒でまとめた無精ひげの目立つ男――イレイザーヘッドととして活動している男だった。
「まぁ、ちょっとは期待しちまうよなぁ。でもそれはお前もだろ?」
「……いや、彼に頼り切ったヒーロー社会はいつか疲弊する。俺からすれば彼ほど強いヒーローが現れるのは大歓迎だが、彼のようなヒーローというのは賛同しない」
「お前は昔っからそういうところあるからなァ~。もう少し夢見ようぜ全く」
「だれもが夢を見れる世界などないぞマイク。勘違いするな。俺らは夢を与えるべき
「そうかい。それで言うとこの緑谷っていうのはお前の眼鏡にかなうのか?」
「フン。0点に決まってるだろ。見込み──ゼロだ」
「そうかよ。でもお前今、笑ってるぜ」
◆
二週間ほどして、家には雄英から一通の手紙が届けられた。
それまでは特に何も出来事もなく、オールマイトとの連絡も途絶え、
スパイダーマンとしての活動を少しする程度の日々だった。
気を使ってあまり声をかけてこない母親に一言言って、部屋にこもり手紙を開けた。
『私が投影された!』
と、家の机の上で、オールマイトが現れた。
わー流石雄英。僕の行けなかった高校はこんなすごいんだなーと。
多分見るまでもないが、死にそうな顔をしているであろう僕はやや上の空状態でそんなことを考えた。
あれほどの啖呵を吐いて結果がこれ。
もう、映像だとしてもオールマイトを直視できない。死にたい。
僕の最大の敵が、僕の阿呆さ加減であることに気づいてしまった。
『本当なら滅茶苦茶ためてからバン!って言いたいけど、正直君が死にそうな顔してるのは手に取るようにわかるからスパッと言おう。――緑谷少年おめでとう。合格だ』
「へ? 合格? 合格!?」
聞き間違いかと思って近寄ると、それも分かっていたのかオールマイトが説明してくれた。
元々あの試験には、撃破ポイントとは別に救助ポイントなるものが設定されており、結果僕は救助ポイントをこれまで見たことのないほど高い得点を得ていたのだとか。
『ぶっちゃけ心配もしてなかったんだけど、まさかこんなことになるとは思わなかったよ。根っからのヒーロー気質。しかと見させてもらった。――ようやくだな緑谷少年。来いよ、ここが君のヒーローアカデミアだ!!!』
自然と涙が出た。
ようやく。ようやくだ。
色んな事が起きて、時に挫折して、絶望して、それでも結局立ち上がった日々だった。
時には一人で、時には支えられて。
そしてようやく僕は。
「ヒーローに、なれる!」
ここから僕のヒーローアカデミアが、始まる。
――と、そんなこんなで随分長いプロローグになったね。ごめんごめん。
うん? これで終わりでもいいって。そんなこと言わないで聞いてよ。
これからもっと大変だったんだから。
そう。僕がこの世界でヒーローになるのは、
これまでのどの戦いよりも、大変だったのだから。
ありがとうございました。
文字数今回少なめで申し訳ございません。