【一部バグあり】鋼の錬金術師FA《真理の究明》RTA11:10:03【完結】 作:妖魔夜行@
感想評価も嬉しいゾ。
あと日刊ランキング乗ってたよ!嬉しいね!
悲しみ怒り力に変えて運命はすぐそばにあるRTAはじまるよー。
前回は『デビルズネスト』を出たところで終わりましたね。今回はいよいよ【焔の錬金術】を習得します!おまえのちんこに火を灯そう……(マイナー語録)
現在ホモちゃんが習得している技能は【剣術】と【錬金術Lv.10】、そして【黒牢の錬金術】です。ステータス面は【器用Lv.10】と【万能】、そして【敏捷Lv.10】と【瞬足】と立派な仕上がりになっています。え?【筋力】、【頑健】、【体力】?知らない子ですね……そいつらがなくても攻撃が当たらなければどうということはない。あとはホモちゃんの肉弾攻撃の威力が「くそざこパンチやめてくださいよ」と言われる程度になるだけです。でも足はムキムキなんだよね……。
雑談はここまでにして、マスタングに電話しましょう。すうぃやせ〜ん…あてぃしですけど〜ちょっとお茶とかあ、しやせ〜ん?しましょうよ〜。
『お茶ですか……すみません。今仕事中でして……』
え…?まさかA to sheの誘いを断るんすか?まあ大佐は断りませんけど(ABO構文)
『……分かりました。では明日、いつもの喫茶店で…ええ』
よし、これで約束を取りつけることが出来ましたね。まあここからが本番なんですけどね。前話したように、大佐の好感度は一度上がると一定の期間を開けなければ上がらなくなります。しかしそれではかなりの時間を要してしまいます。そこで、ちょっとした裏ワザを使います。所謂バグですね。ちなみにこのRTAで使用するバグはこれが最初で最後です。
レギュレーション違反じゃねぇの?と思ったそこの兄貴、安心してください。大丈夫ですよ!
というのもまともに使えるバグがこれくらいしかないのが理由です。他はキャラのグラフィックが仮面を付けたかのような顔に変化する『仮面舞踏会』やゲーム内のアイテムが全部農作物関連のものになる『農業高校』と呼ばれるバグくらいで、使えるどころか途中でフリーズしてデータが吹き飛びます。
話が逸れましたが、こういう理由なのでバグ使用は許可されています。まあ先駆者兄貴が存在しないので私がルールだ状態なんですけどね。
ではマスタング好感度MAXバグを使用しやす。
やり方は簡単。まず好感度上げの時に行くカフェに行きます。そして席に座ったらベジタリアンメニューを開き、スープ、フルーツジュースをドリンクに選びオーダーを完了します。
はい、これで完了です。あとはマスタングが来るのを待ちましょう。
「遅くなってすみません……もう料理の注文を?」
ここまでは先に料理を頼んでいた時に出てくる会話なのですが、このままだったらただの会話…ここからがマグマ(バグ)なんです!
┌───────────────────┐
│あなたはマスタングに話しかけた。思えば│
│彼と知り合ってから長い時間がたった。 │
│今なら錬金術師仲間としてお互いの錬金術│
│を教え合えるかもしれない。 │
└───────────────────┘
知り合ってから長い時間(1年もたってない)。ホモの時間の流れは早いなぁ……(諸行無常)。
┌─────────────┐
│提案しようかな・・・? │
│▶提案する │
│ 提案しない │
└─────────────┘
提案しましょう。するとマスタングは快く頷いてくれます。やっぱ好きなんすねぇ!
「………!…分かりました。ですが、この錬金術は他言無用でお願いします。絶対に情報を漏らさないでください」
ありがとナス!これでフェーズ2……完了……。
お礼の意味も込めて大佐に料理を勧めましょうね〜。ほら、食えよ食えよ。
しかしなんでこの料理を注文するとバグが起こるんでしょうかね……他のバグも発生条件は謎ですし……このゲームッ!(奥が)「深い」!!!ッッボボボボボボボボッ!ボゥホゥ!ブオオオオバオウッバ!
深さに感動したところで喫茶店を出ましょうか。マスタングといつ錬金術を教えてもらうかだけ決めたら別れましょう。
「ではまた後日……詳細はホークアイ中尉を通してお伝えします…」
オッス、お願いしまーす!ではホモちゃんは家に戻って【黒牢の錬金術】の発動条件をショートカット出来るようにします。靴底に【応用錬成】を仕込んだように今度は【黒牢の錬金術】を仕込みます。但し固有技能ということもあって成功率は低めです。【万能】を持つホモちゃんですら成功率50%行くか行かないかですもん。極限技能になるとどうなる事やら……考えたくもないですね。
うーん……一回目は失敗ですね。失敗したので時間を浪費して靴がお釈迦になりました。まあ一つくらいなら大丈夫です。もう一回チャレンジしてみましょう。
おっ、なんとか成功してくれたようですね。大佐見たく替えのモノを常備することは出来ないのでスペアはありませんが、これで完成ですね。あとは【焔の錬金術】を習得したらそのまま最終決戦まで突っ張ります。
┌───────────────────┐
│扉をノックする音がした。この叩き方はリ│
│ザだろう。先程のマスタングの言葉を思い│
│出して玄関へ向かった。 │
└───────────────────┘
「フォル……話は大佐から聞いたわ。今夜、ここへ来てちょうだい」
ぶ・ラジャー!(無邪気)ん?なんかリザさん顔色わるいですね。どしたどした〜風邪でも引いたか〜?(すっとぼけ)
「……フォル、あなた………いえ、また後で話すわ。じゃあね」
なんか素っ気なかったですね。まあ当たり前ですけど。理由がわからない人のために今はまだ話さないことにしておきます。では夜になるまで倍速。
夜になりました。ではマダム・クリスマスが経営するバーへ向かいましょう。お邪魔するわよ〜^^。
「いらっしゃいませ〜…あらぁ?初めて見るお客さん。あっ!もしかしてあなたがロイさんのお客さん?」
そうだよ(便乗)。早く案内してくれ!もう待ちきれないよ!と行ってる間にマスタングの隣の席に案内されました。大佐の隣にはリザさんが座っています。
「……焔の錬金術を教える代わりに、そちらも情報を教えて頂きます。それと、こちらの紙にサインと拇印を押してもらいます」
ここら辺はAを連打連打〜!連打連打連打〜!しときましょう。つまるところ全部「はい」でいいです。項目としては「【焔の錬金術】の知識を記録に残さないこと」、「自分以外に教えないこと」、「なんらかの場合に知られた時、責任を取ること」その他諸々です。基本的に普通にプレイしていれば破ることはありません。まあその気になればエドなどにも【焔の錬金術】を覚えさせることは出来ますが、これはRTAなのでしません。
┌───────────────────┐
│あなたは【焔の錬金術】の知識を得た。 │
│あなたは【焔の錬金術】を理解した。 │
└───────────────────┘
やったぜ(SKRIボイス)。これから毎日家を焼こうぜ!!【焔の錬金術】、習得完了です。いくら何でも簡単に覚えすぎでは?と思ったホモの兄ちゃんも多いでしょう。ここでホモちゃんのステータス、技能を思い出してみてください。【器用Lv.10】、【万能】、【錬金術Lv.10】、【黒牢の錬金術】……この性能は国家錬金術師と同等、もしくはそれ以上のステータスになっています。
そして固有技能の錬金術を覚えられるかどうかはキャラクターの錬金術の精度によって変わります……勘のいい兄貴はいっぱいちゅきぃ……。
但しバグを使ってこのイベントを起こすと習得確率が下がることもあるのでプレイ中は内心ヒヤヒヤしていました。生きてるって素晴らしい!!
ではこちらもホムンクルス&賢者の石の情報について話しましょう。そして軍の上層部が内乱で瀕死になった兵士を使って生物実験をしたことも話します。
「なっ……!」
「そんな非人道的なことを軍が…!?」
このことを話すとマスタングとリザさんの軍に対する忠義心が揺らぎます。ちなみにここで国土錬成陣について話すとマスタングはヒューズ中佐の死の真相に気づき復讐の鬼と
しかも復讐対象が分からないのでリザさんやマスタング隊のメンツまで疑い始めます。こんなマスタング隊はいやだ。
まあ覚えたいことは覚えられたし、話すこと話せましたし、タカキも頑張ってるし!そろそろ帰っていいっすかぁ?
「………ああ」
「ちょっと待ってフォル」
帰ろうとしたらリザさんに呼び止められました。そう言えば大事なことを話していませんでしたね。うっかりうっかり。
「一つだけ聞きたいことがあるの……あなたは…焔の錬金術の知識を得るために私に近づいたの…?」
焔の錬金術は元々リザさんの父親が生み出したもので、リザさんのお父さんはマスタングの錬金術の師匠でもあります。エドとアルにとってのイズミ・カーティスですね。
そして焔の錬金術を使って大佐はイシュヴァール戦で成果を上げました。ようは民間人も焼き殺したわけです。マスタングとしてもこれは不本意だったでしょう。
こんなことがもう起こらないように、リザさんは自身の背中に彫られてある焔の錬金術の情報を焼き潰して欲しいと頼みます。これは自分自身のケジメのためでもあったと思います。
まあそんな辛い思いをしてきたのに自分の上司が自分の親友に錬金術を教えるなんて言ったらそりゃ疑いたくもなりますわ。
ですがホモちゃんの立場からすると堪ったものでありません。そもそもマスタングのことはリザさんが紹介してくれたんだからさあ、ホモちゃんにそんな気があるわけないのは確定的にあきらか。はっきりわかんだね。
「……そう、よね。ごめんなさいフォル。疑ったりして……」
あっ、いいっすよ(気さく)。人間生きてりゃ誰にでも間違うことはあるからね?多少はね?だからと言って親の口座から1500万円を引き出して散財した罪は許されないゾ。死で償え(懺悔)。
これで本当に用は済んだので帰りましょう。マサラタウンにさよならバイバイするような気持ちで帰ります。
はい、家に着きました。これでやることは終わりましたのであとは最終決戦の日まで時間を進めましょう。このゲームは時間の進め方を自分のさじ加減である程度早くしたり遅くしたり出来るのでいいですよね。まるでやること済んだらさっさとストーリークリアしろと制作会社が走者に啓示してくださっているようだぁ……。
それに通常プレイでも自分のスピードでストーリーを進めることが出来るのでフラグ管理とかもしやすいんですよね。こんな立派なゲーム作って……ほんま、誇らしくないのかよ?
やり残したことも無いはずですし、あとはダラダラするだけなので最終決戦まで加速させ───
【今回は以上です。ご視聴ありがとうございました】
私がフォルと出会ったのは、イシュヴァール戦が終わった頃……大佐に私の背中を焼き潰して貰った月の終わりだった。
あの日は買い物帰りで、傘をさしていても濡れる程の大雨だったのを覚えている。誰しもが急ぎ足で雨宿り出来るところを探そうとしている中、彼女はいた。
土砂降りの中、傘もささずにただじっと佇んでいる彼女を見て、私は慌てて駆け寄った。
「ちょっと、あなた大丈夫!?こんなに冷えて…」
「………」
明らかにここの人間ではなく、恐らく紛争地帯から逃げてきた難民なのだろうと悟った。
「……とりあえず、このままじゃ風邪を引くわ。私の家に来ない?」
「………」
私が手を差し出すと彼女はゆっくりと握ってくれた。
その手は氷のように冷たかった。
家に帰る頃には私もずぶ濡れになっていた。他人の家のお風呂なんて使い勝手も分からないだろうし、あのままでは私も風邪を引いてしまいそうだったから二人一緒に浴室へ入った。
まず泥だらけの髪と体をお湯で洗い流して綺麗にして、それから湯船に浸かった。しかし成人女性と15歳前後の少女が一緒に入るほど私の家の湯船は大きくない。なので私が彼女を後ろから抱きしめるような形で湯に浸かった。
体を温め一息ついたところで彼女自身のことを聞くことにした。
「ねえ……あなた、どこから来たの?」
「………」
「綺麗な金髪に澄んだ青い瞳……アメストリスの人間よね?」
「………」
「…ねえ、聞いてる───ってのぼせてるじゃない!」
初めのうちは私が何を言ってもうんともすんとも言わなかった。それどころかのぼせてしまったので急いで湯船から出て処置をした。
服は私が昔着ていたものの中にサイズが合うものがあったのでそれを着せて彼女が起きるまで料理をしていた。
「ぅ……ん…」
「起きた?あなたお風呂でのぼせたのよ」
水を与えて彼女の意識がはっきりしているのを確認してから料理を食卓に並べた。湯気が立つ料理を前にして目をぱちぱちと見開きする。
「お腹すいているでしょ?遠慮しないで食べていいわよ」
「………」
やはり返事はしてくれなかったがおずおずとスプーンを手に取りスープに手をつけた。一口、また一口と口に運び最後の方は男の子のような食べ方になっていた。
他の料理も同じように食べきり、食器を洗おうと席を立った時だった。
「なんで」
「え?」
「なんで、こんなに優しくしてくれるの?」
振り向くと、彼女は青く透き通った瞳で私を見ていた。疑いの感情はなく、ただただ不思議そうにそう言った。
「なんでって言われても……普通見過ごせないでしょ」
「普通って、何?」
変わらない調子で話す彼女を見て違和感を覚えた。常識が欠落しているというか…酷く不安定な状態に見えた。
だってそうでしょう?このくらいの年齢の子なら何が正しくて何が悪いのか、そういう常識というものが身についているはず。ましてや成熟するのが早い女の子なら尚更。
でも、彼女はそれが無かった。
「ねえ、さっきも聞いたけど……あなたはどこから来たの?」
「……エリゼエール」
「エリゼエールですって!?」
イシュヴァール戦の前、私がまだ軍人になる前の頃だ。アメストリスの西に位置するクレタという国にはエリゼエールと呼ばれる小さな街があった。街の住民は優しく、旅人を労ってくれることや、渡り鳥が旅の途中によく休憩しに来るなどちょっとした観光名所にもなっていた。
しかしアメストリスとクレタは小競り合いが絶えず、国境付近で度々戦闘になることが多かった。エリゼエールは国境から近いところに位置していたこともあり戦闘の余波を受けることもしばしばあったらしい。
そんな中起こったのが、後に『エリゼエールの悲劇』と呼ばれる事件だ。
事件が起こる日の朝、血まみれの男がエリゼエールの付近で見つかったのだ。アメストリスの人間がクレタの軍人に見つかればその男は捕虜として扱われ、手酷い仕打ちを受ける。それを気の毒に思った街の住民が、軍に隠れてその男の手当をしようと診療所へ連れて行ったのだ。
それが罠だとは気づかずに……。
傷の治療をしている時に医師は不思議なことに気づいた。男の服は血で真っ赤に染まっていたのだが、肝心の男の傷を探そうとしてもどこにも見当たらなかったのだ。
そして、事件は起こった。男を治療をしようとしていた医師の家が突然爆発したのだ。当然街の住民はパニックに陥り、クレタ軍も混乱した。当たり前だ、知らないうちに爆弾を抱えこんでいたのだから。
その日のうちにエリゼエールの街は崩壊した。男性も、女性も、大人も、子供も、軍人も、民間人も関係なしに、皆殺されたらしい。
らしいと言うのは、その情報が街を破壊した男の主観で報告されたからだ。
まさかそんな所から少女がやって来たとは思わなかった。
「そう…だったの…」
「…お父さんも、お母さんも、友達も、先生も、商店街のおばさんやおじさん達も、みんな殺された……あの男が、殺した……わたしも本当は死んじゃうはずだった……。けど、生きていた……だからわたしは逃げた。走って、走って、走って走って走ってはしってはしってはしってはしってはしってはしってはしってはしってはしってはしって、ここにたどり着いた…」
せき止められていた水が一気に押し出されたように話す彼女の瞳は暗く、この世に絶望しているように見えた。そう、あの時の私のように。
けど少し気になることがあった。先程の話から彼女には両親がいたということが判明している。ショックを受けていることから愛情も注がれていたことが伺える。
なら何故彼女の常識はズレているのだろう?
ショックで精神が歪んだ?分からない…だけども彼女の存在が不安定だということはわかる。
私が、私が彼女を助けなければいけない。
これは私がしなければならないことだ。そんな気がした。
「あなた、行くとこないんでしょ?なら私の家に住まない?」
「……?」
イマイチ理解していない彼女に困り笑顔を浮かべてしまう。もう一度易しく伝えてみた。
「だから、私と一緒に暮らさない?」
「…え」
「勿論あなたの意思を第一に考えるわ。望むのなら保護施設に連れて行って里親を探してもらうわ……どうかしら?」
「……でも、わたし…迷惑かける……」
悲しそうに青い瞳を伏せる彼女の姿はとても痛々しくて、見てるこっちが辛くなってしまうほどだった。その姿を見ていたたまれなくなった私は、思わず彼女を抱きしめた。
「そんなこと…子供が気にしなくていいのよ」
「うぁ、うああ、うあああああ!!!」
思えば彼女のハッキリとした声を聞いたのはあの時の泣いた声が初めてだった。ひとしきり泣いたらスッキリしたのか鼻を鳴らして抱擁を解いた。
瞳は泣き腫らしたことで赤く腫れてしまっていたが相変わらず青く澄んだ綺麗な色をしていた。
「そう言えば名前を言ってなかったわね。私はリザ・ホークアイ。リザでいいわ」
「リザ………リザ…。わたしは、わたしの名前は───ない」
「名前がない?もしかして記憶喪失になったんじゃ…」
「違う」
首を横に振る彼女の顔はどこか呆れているように感じた。あれは今でも釈然としない。
「わたしは本当ならあの街で殺されていた。でも生きていた。前のわたしは死んだ…だから、新しくリザに名前をつけて欲しい」
「わ、私に?」
突然の申し出になおさら困惑したが、これから家族となる彼女からのお願いだったので引き受けた。
しかし私のネーミングセンスは他人とどこかズレているらしい。親や友人にもよく否定されていた。
辞書を引き、家にある本を読み、悩み悩み抜いて考えついたのがあの名前だった。
「フォールン。フォールン・モクナワートって名前はどう?」
「フォールン…モクナワート…どういう意味?」
「フォールンって言うのはエリゼエールに伝わるおとぎ話の主人公の名前なのよね?その子はたしか…『天使』。モクナワートはクレタの言葉で『青い瞳』を意味する……青い瞳を持つ天使、どう?中々素敵じゃない?」
「……フォールン…なんでリザがそのおとぎ話を知ってるの?」
「だって私、一度旅行に行ったことがあるもの。宿屋の女将さんが教えてくれたお話だったから印象に残ってたの。それにあなたは青い綺麗な瞳を持っているしね」
天使の女の子が翼を無くして地上に落ちてしまい、地上の人々のお願いを叶える代わりに自分の翼を探してもらうというおとぎ話だった。悲しい話だったからよく覚えている。
彼女は何度もフォールン・モクナワートという名前を口ずさむ。自分の体に刻み込むように、何度も何度も口に出す。
「フォールン…モクナワート……うん。分かった。私の名前は、フォールン・モクナワート」
「気に入ってくれて良かったわ。これから宜しくね、フォル」
「……フォル?」
「略称、あだ名みたいなものね。嫌だった?」
首を横に振る。先程とは違い、今度は嬉しそうだった。
「ううん。嫌じゃ…ない」
「それならよかった。じゃあ改めて、宜しく。フォル」
「うん。よろしく……リザ」
それから私はフォルと暮らし始めた。自分より年下の女の子と一緒に暮らすなんて初めてだったので慣れないことも多かった。それにあの頃は大佐の副官となったばかりだったので毎日が忙しかった。
けれども家に帰ればフォルが出迎えてくれて、一緒にご飯を食べ、お風呂に入り、そして一緒に寝る。まるで姉妹のようだった。
大佐にフォルのことを話そうか迷ったのだが、フォルの心が安定するまでは会わせない方がいいだろうと思い話さないことにした。
あの子は私が日付が変わるまで仕事をした日もあの子は必ず玄関で出迎えてくれた。眠たいだろうに睡魔に耐えて待っていてくれたのだ。
父を亡くし、家族がいなくなった私はそれが嬉しくて、いつの間にか私の中でフォルの存在がとても大きくなっていた。
ある日、雑務に忙殺されそうだった私を見て大佐が休暇を与えてくれたことがあった。
「ねえリザ」
「なぁにフォル?」
「私、リザみたいに髪を短くしたい」
そんな時、フォルが突然『髪を切りたい』と言ってきたのだ。絹の糸のような綺麗な金髪は出会った頃から整える程度でしか切っておらず、腰あたりまで長くなっていた。
「そうねぇ…確かに長くなったものね。散髪屋に行きましょうか」
「あの…リザに切ってもらいたい」
「私に?どうして?」
「……リザがいいの」
フォルにしては珍しく、ハッキリとした理由を語らずに頼み事をしてきたので不思議に思った。けど深く詮索する必要もないので快諾した。
「分かったわ。じゃあ道具を準備するから待っていてね」
「うん」
あの日からフォルはショートヘアを好むようになった。理由が私への憧れと聞くと少し照れくさいのだけど…。
暫く経ち、大佐と私は国家資格を受けたい錬金術師がいるときいてリゼンブールという田舎へ向かった。
そう。後に【鋼の錬金術師】と呼ばれるエドワード・エルリックとその弟のアルフォンス・エドワードだ。しかし着いた先にいたのは車椅子に乗る男の子と鎧だった。
あの子たちは母親を蘇らせようと人体錬成を行い、その結果エドワード君は左足を、アルフォンス君は体全部を失った。
アルフォンス君の魂を鎧に定着させるためにエドワード君は自分の右腕を失った。
大佐はそんなエドワード君を軍に誘った。もしかしたら父の姿が重なったのかもしれない。
大佐が話をしている間、二人の幼なじみの女の子と話した。
彼女はあの内戦で両親を失ったらしい。だから軍人は嫌いと言っていた。
「軍人さんは嫌い…お父さんもお母さんも戦場に連れていかれて、殺されたから。その上、エドとアルも連れていこうとしてる……」
マグカップを握りしめながら俯く彼女に私は少し意地の悪い言いかたをした。
「それはあの子達が自分で決めることよ。そう……自分で決めること」
中途半端な慰めの言葉よりもハッキリと言った方がこの子のためだと思ったからだ。彼女の中でも葛藤があったのだろう。私の言葉の意味を理解して考え込んでいた。そして質問をしてきた。
「リザさんは、なんで軍人になったの?」
「……守りたい人がいるから」
頭に浮かんだのは大佐と、フォルの顔。軍人になったのは守りたい
そんな話をしていると大佐が話を終えたようで帰りの支度をして家を出た。
「じゃあね、お嬢さん」
「ウィンリィ、です」
「そう……また会えるといいわね、ウィンリィちゃん」
ウィンリィちゃんの差し出された手を握り握手をして私は馬車に乗った。
馬車に揺られながらあの子の髪を思い出し、私も髪を伸ばしてみようかなと思った。
家に帰り、フォルにその事を話すと不機嫌になったのは割愛しよう。
それから2年後、あの子は私の家を出て独り立ちすることになった。なんでも錬金術に興味を持ったから
「寂しくなるわね」
「会おうと思えば…いつでも会える、よ?」
「それでも出迎えてくれる人がいないのは寂しいわ……気をつけてね」
「うん……リザも、風邪ひかないでね」
抱擁を交し、あの子を見送った。
あの子が
「フォル!」
「───リザ。久しぶり」
久しぶりに会った彼女はあの頃と変わらない、いつものフォルだった。
が、どこか違和感を感じた。その時は気のせいだと思っていた。
「え?私の家じゃなくて別の部屋に引っ越したの?」
「うん…いつまでも、迷惑かけられないし…」
「迷惑だなんて思ってないわ。今からでも……」
「いいの」
しかし、違和感は増していくばかりだった。気になった私はある日からフォルの家を訪ねるようになった。
昔と変わらない食事、仕草、話しかた……しかし違和感は拭いきれなかった。
そしてあの夜の出来事…。
「マスタングさん、取引しましょう?軍の上層部が行っている賢者の石の錬成、そしてホムンクルスの情報。これらとあなたの『焔の錬金術』の知識を、ね」
まるで別人だった。私が知っているフォールンとはかけ離れた
そして大佐はフォールンの交渉に頷いた。小さな声で「すまない」と言われたが、天秤にかけるのにも葛藤があったであろう大佐を責める気持ちは湧かなかった。むしろ、それよりもフォールンの存在が大きくすぎた。
彼女がバーを出ようとした時、思わず呼び止めていた。
「ねえ、フォル。一つだけ聞きたいことがあるの……あなたは…焔の錬金術の知識を得るために私に近づいたの…?」
そんなことはありえない。だってフォルを大佐に会わせたのはあの子が東部に戻ってきた時が初めてなのだから。あの時の私は混乱していたのだと思う。
彼女はそんな私の言葉をきいて、笑った。
「あははは、そんな訳ないでしょ?」
「……そう、よね。ごめんなさいフォル。疑ったりして……」
「いいよ別に。じゃあね、リザ。それと大佐さん」
手をヒラヒラと振って彼女は店を出ていった。
なんだ今のは?
「お、おい中尉。顔色が悪いぞ、大丈夫かね?」
「……大丈夫です。すみません大佐、今日はもう帰ります」
「あ、ああ…気をつけて帰りたまえ」
大佐の言葉が右から左へ流れるように聞こえた。外に出ると深夜ということもあり、冷えた。
「あれは、誰だったの…?」
分からない。分からなかった。あそこにいたのは、私の知っているフォールンじゃなかった。まるで、中身が入れ替わっているような気持ち悪さがあった。
「フォル……」
あなたは、どこに行ったの?
走者は気づいていませんが、ミスをしています。
題名には「一部」バグと書いてあります。
次の投稿は1ヶ月後になります(ガチ)。
連日投稿はこの為の布石だった……?
伏線らしい伏線なんてないけど考察(暇つぶし)して気長に待っていてください。
追記・活動報告にホモちゃんのプロフィールを書いといたゾ。気になった人は見て欲しいノーネ。