スーパーロボット大戦Z 魔王たちの新たに歩む物語   作:有頂天皇帝

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更新遅れました。ネタが思いつかなかったり何度も書き直したりしましたがようやく投稿出来ました。これからも投稿は遅くなると思いますが頑張って続けていくのでよろしくお願いします。


第11話 信頼と覚悟(後編)

ゼロが部屋を出たのをきっかけにほかのメンバーたちもそれぞれの母艦に戻るか、機体の整備を手伝ったり、交流を深めたりなど艦が出港するまでの間思い思いに過ごしていた。

 

そんな時、ソレスタルビーイングの旗艦である多目的MS輸送艦『プトレマイオス』にいるソレスタルビーイングの戦術予報士である『スメラギ・李・ノリエガ』から武装したブリタニア軍が接近している事を知らされた。

 

ZEXISのメンバーは直ぐに出撃しようとそれぞれの機体に乗り込もうとしたのだが、ゼロがそれに待ったをかけた。

 

ゼロ曰く、ブリタニア軍がやってくることは予想していたことであり、そのための策が既に施されているため迎撃するのは自分だけで問題ないと言った。 

 

最初はスメラギやジェフリーたちはゼロだけが出撃することに難色を示していたが、ゼロの作戦を聞いた上でゼロの部下であるモニカたちが護衛として同行するのと、何かが起こっても問題ないようにZEXISメンバーがすぐに出撃できるように待機することで作戦実行の許可を得た。

 

そしてゼロたち黒の騎士団のメンバーはブリタニア軍を迎え撃つ為にそれぞれの機体に搭乗すると近くの街に降りた。

 

ゼダスのコックピットの中でゼロの仮面の下でルルーシュは何時でも作戦を実行できるように最終チェックを行っていた。

 

『(ブリタニア軍が攻めてきたのは俺にとって好都合だ。カレンや扇たちと違ってZEXISのメンバーの殆どは俺に対しての信頼がない。だが、俺の力をここで見せつければZEXISも俺を・・・ゼロを信じる事になる)』

 

ルルーシュは黒の騎士団──というよりもカミナのように露骨に態度で示していないがZEXISのメンバーの殆どがゼロに対して不信感を抱いていることを理解している。故にこの状況を利用してZEXISでの信頼を得ようと考えていた。

 

『(こういった事態を予測して、合流前にこの街の地下街を管理している職員にギアスをかけておいた。後はそいつに合図を送って奇跡を見せれば、俺の計画は完遂される)』

 

「ゼロ様。ブリタニア、来ます!!」

 

グロースターカスタムのコックピットにいるモニカからの言葉と同時に、ブリタニア軍が街の外までやって来た。

 

指揮官機用グロースターの姿から、軍を率いているのはコーネリアの腹心の部下であるアンドレアス・ダールトン将軍だろうと当たりをつける。そして先頭にはブリタニアの最新鋭ナイトメアである第七世代KMF『ランスロット』と、サザーランドとグラスゴーによるナイトメア部隊がいることからあわよくばここでゼロたちを倒そうと考えているのだろう。

 

「あのMS・・・!ゼロが前線に出ているのか・・・!」

 

ランスロットのコックピットの中からゼダスの姿を確認したスザクは思わずゼダスを睨んでいた。

 

「ゼロめ・・・。どういう手段で国連にコンタクトを取ったか知らぬが・・・その後ろ盾を使わないとはいい度胸をしている」

 

ダールトンは国連の後ろ盾を使わずに自分たちと戦おうとしているゼロに関心をした。国連の力に頼る軟弱な敵ではないようで自分たちの敵として申し分ないとでも思っているのだろう。

 

『新型KMFのグロースターか。どうやらコーネリアの近臣が来ているようだな』

 

「あれだけの数をたった6機で相手するなんて・・・」

 

カレンはブリタニア軍の多数のナイトメアに対して自分たちはたった6機で相手をしなければならないと考え、無意識に固唾を飲むのだった。

 

「心配ない。お前たちは私の指示に従っていれば問題ない」

 

ゼロはそうカレンに言うとゼダスは高機動形態からMS形態になると市街地へと移動した。それを護衛するかのようにゼダスの隣にクリスティアのガフラン。地上には龍騎のガンダムAGE-1、モニカのグロースターカスタム、カレンの紅蓮弍式、焔の黒の騎士団KMFの『夜叉』がゼダスの後をついていき市街地へと移動した。

 

「ゼロめ、市街戦を挑むつもりか?」

 

「既に市民の避難は完了しています」

 

「街を戦場とするのはあまり好ましい事ではないが、千載一遇のチャンスを逃がす道理もないか・・・」

 

ダールトンはゼロが市街地に移動したのを見て市街戦で挑もうとしており、高い可能性で市街地にはゼロが仕掛けた罠があると思われる。部下からの報告で市民の被害を気にせずに戦えると思いつつも、戦闘による街の被害を考えれば市街地での戦闘は避けたいところだがここでゼロを逃せばブリタニアの脅威になるのは間違いない。故にダールトンは街に被害が出ることを覚悟してゼロを倒すことを決意した。

 

「各機は前進!ゼロとその仲間たちを追い込め!」

 

「ゼロ・・・!ここで君を止める事で戦いを終わらせる・・・!」

 

ダールトンが部下にそう指示を出すとブリタニア軍のグラスゴーとサザーランドたちはそれぞれの武器であるアサルトライフルや大型キャノン、大型ランスを構え始めた。そしてランスロットのコックピットの中でスザクは操縦桿を握る手を強くし、MVSとヴァリスを構えた。

 

「(来るか・・・!)」

 

ゼロは仮面の中で笑みを浮かべながらブリタニア軍が攻撃を仕掛けてくるのを待ったその時だった。

 

ブリタニア軍の側面から何者かによる攻撃が行われた。これによりブリタニア軍のナイトメアが何機か大破してしまった。

 

「側面からの攻撃!?」

 

「ゼロ・・・!伏兵を用意していたのですか!?」

 

「いえ、今の攻撃は我々とは無関係です!まさかこれは・・・!?」

 

スザクは突然の攻撃に驚きつつランスロットのブレイズルミナスでその攻撃を防いだ。そしてカレンは今のブリタニア軍への攻撃はゼロが用意した伏兵によるものだと勘違いしたが、ゼロから事前に今回の作戦を聞いていたモニカはそれを否定しながら攻撃が行われた場所を見た。

 

『チィッ!どうやら、厄介な連中が来たようだな』

 

「あれって、もう一つの日本で暴れてる機械獣って奴!?」

 

ゼロは思わず舌打ちをしながらブリタニア軍に攻撃したもの達の姿を見た。そこには多数の青銅の巨人を思わせる巨大な機械『タロス像』と一体の胸部に具えた大型ファンとムチのような腕をした『ストロンガーT4』といった機械獣軍団の姿があった。カレンは資料などでその存在だけは知っていたがもう一つの日本で暴れてる機械獣がエリア11に来ていることに疑問を抱き思わず叫んでしまった。

 

「兜甲児と、その仲間たちがこのエリア11に来ていると聞いていたが・・・」

 

「どうやらここにはいないようだな」

 

「「まあいい。ならば、見せしめにこの街を焼き払い、Dr.ヘルの力を知らしめるまでだ!」」

 

そしてその機械獣軍団を率いるのはDr.ヘルの配下であり、兜甲児にとって彼の祖父である兜十蔵の仇のあしゅら男爵である。

 

どうやら日本で戦った兜甲児とその仲間たちがエリア11に来ている情報を手に入れ機械獣を引き連れエリア11に来たようだ。

 

あしゅら男爵は女と男の声を入れ替えながら辺りを見渡すが兜甲児とマジンガーZの姿が見えないことから狙いを街の破壊に切り替えた。

 

そしてあしゅら男爵が女と男の声で同時に機械獣たちに指示を出すと機械獣たちは無差別に街を攻撃し始めた。その攻撃は今度はブリタニア軍だけではなくゼロたちにも放たれていた。

 

「くっ・・・後手に回ったか!ここは後退する!」

 

「しかし・・・!」

 

「既に市民は退避している。ならば姫様にお預かりした兵達をいたずらに消耗させるわけにはいかん。巻き返しは後でも出来るのだ」

 

「Yes,my lord」

 

ダールトンは機械獣軍団の姿を確認すると、このままでは味方陣営に多大な被害が出ると考えこの場は交代することにした。部下は目の前にゼロがいるというのに手が出せないことに歯痒く思うが、ダールトンの指示に従い交代し始めた。

 

「退くしかないのか・・・!」

 

スザクは目の前にゼロがいるというのに退くしか かなくてはならないことを悔しく思うが、軍人であるスザクはダールトンの命令に従い後退した。

 

『ブリタニアは後退したか・・・!』

 

「ゼロ!我々も後退すべきでは!」

 

『待て!まだ何か来る!』

 

ブリタニア軍が後退したのを確認したゼロだが、戦況に変化はない。クリスティアはゼロに後退することを進言したが、ゼロは何かの気配を感じ全員に警戒するように言った。

 

そして、ゼロがそういったのと同時に次元獣が群れをなして現れたのだった。

 

「次元獣!こんな時に現れるなんてね!」

 

焔は突如現れた次元獣に驚愕すると同時にこの状況に対して歯噛みした。ブリタニア軍が撤退したもの彼らの前には機械獣と次元獣という勢力は異なるが世界の共通の敵とも言える存在がおり、それに対して自分たちの戦力はMSとKMFを合わせて6機で戦わなければならないと感じ、状況はこちらが圧倒的に不利である。

 

そんなことを考えていると、離れた場所で待機していたはずのプトレマイオスとジェフリー艦長たちS.M.Sの可変型攻撃宇宙空母『マクロス・クォーター』、そして何故か出撃している『グレンラガン』が近くまでやって来た。

 

「黒マント仮面!大口叩いたわりにゃ、苦戦してるじゃねえかよ!」

 

『グレン』のコックピットの中からカミナがゼロに対してそう話しかけてきた。それを聞いたクリスティアとモニカがゼロに対して無礼だと感じ文句を言おうとしたが、そのゼロに止められたため大人しく黙った。

 

『ZEXISが来たか』

 

ゼロは予想していたことだがそう呟いた。流石にZEXISとしても機械獣や次元獣たちの存在を無視することも出来ない。故にこうしてやって来るだろうとゼロは機械獣たちが現れた時からそう予想していた。

 

「相手が国際的テロリストと次元獣ならば、君の手腕を見物しているわけにもいかんのでな」

 

「各機は発進を急いで!」

 

ジェフリーが言う通り、機械獣や次元獣たちはZEXIS共通の敵であるためにここは協力して相手取るべきだと判断していた。現にスメラギもZEXISメンバーの発進を急がせていた。だが

 

『必要ない。既に奴等は私の術中にはまっている』

 

ゼロはジェフリーたちZEXISの助けを必要とせず自らの力のみで敵を倒すと言った。

 

「奴め、何を言っている!?」

 

「そのようなハッタリが通用するか!」

 

「「さあ、機械獣軍団の!あの忌々しき来訪者と兜甲児の仲間を奴の目の前で叩き潰してやれ!」」

 

あしゅら男爵はゼロの言葉をハッタリだと決めつけ、ゼロたちZEXISを全滅させるためにストロンガーT4を先行させた。

 

「ゼロ!」

 

『全ての準備は整っている!時は来た!さあ、崩落のステージの幕を開けよ!』

 

迫り来るストロンガーT4の姿に焦りを見せるカレンはゼロの名を呼ぶ。そしてゼロは高らかに声を上げると指を鳴らした。

 

「・・・作戦実行・・・」

 

市街地の四方の端にあるビルにて、ゼロの声を聞いたギアスによって支配された市民たちはそれを合図にその瞳の周りを赤くし無表情で行動を起こし始め、四方の端のビルが同時に爆破された。

 

「「何っ!?」」

 

「地下街を支える柱が・・・!」

 

「崩れる!」

 

あしゅら男爵は突然のビルの爆破に驚き、カレンとスメラギはそのビルの爆破によって地下街を支えている柱が崩れていくのを理解した。

 

しかし、全てがゼロの思惑通りに進まなかった。南西の端にあるビルだけが柱が崩れていなかった。

 

『(馬鹿な!一箇所だけ柱が崩れないだと!?地下街を崩落させるはずが、こんな所にミスが・・・!)』

 

「「何をしようとしたかは知らぬが、こけおどしはここまでだ!」」

 

ゼロは崩れていないビルの柱を見て歯噛みする。どうやら一箇所だけ何らかの理由でそこだけが爆破しきれなかったようだ。あしゅら男爵は何も起こらないことからビルの爆破を見てただのこけおどしだと判断した。

 

『ええい!』

 

「ゼロ!」

 

「私達も援護を・・・!」

 

『お前たちはそこを動くな!』

 

ゼロは崩れなかったビルの柱を破壊するためにゼダスを動かした。それにカレンとモニカが追従しようとしたがゼロの言葉で動きを止めた。

 

「あいつ・・・!」

 

ゼロの突然の行動に困惑するZEXISメンバーの中でただ1人カミナはゼロに対して顔を顰めていた。

 

『(ここでモニカたちを動かして、崩落に巻き込んでしまっては俺は手駒の一つを失う事になる・・・!ミスは自らの手で償う!かくなる上は、俺の手で最後の柱を破壊する!)』

 

ゼロがゼダスを動かしたのは自らの策の失敗を償うために破壊しきれなかった最後の柱を自らの手で破壊しようとするためだった。

 

「「馬鹿め!逃げられると思うなよ!」」

 

あしゅら男爵はそう言いながら機械獣たちに指示を出すと、機械獣たちはゼダスに対して一斉攻撃を仕掛けた。

 

ゼダスの装甲の硬さのおかげで機械獣の攻撃に耐えることが出来ているが、その攻撃によって身動きが取れないでいるためこのままでは撃墜されるのも時間の問題だろう。

 

『(くそっ!こんな所で俺は死ぬわけにはいかない!俺は・・・俺は・・・!)』

 

ゼロ──ルルーシュはこのままでは自分が死ぬと悟るが、それに対して何も出来ない自分に歯噛みするしか出来なかった。そんな時だった。

 

「うおおおおっ!」

 

カミナが叫びながらグレンラガンを動かし、ゼダスの近くまでやって来た。そのカミナの突然の行動に誰もが予想外だったのか呆気に取られていた。

 

『お前は・・・!』

 

「どうすりゃいいんだ!?」

 

『何っ!?』

 

「逆転の策があんだろ!だったら、それをとっとと教えろ!」

 

ゼロは突然やって来たカミナに驚いたが、それ以上にカミナがゼロに策がある事に気づいたのに驚きを隠せなかった。

 

「アニキ・・・この人、逃げ出そうとしたんじゃ・・・」

 

「そうじゃねえ、シモン!・・・俺にはわかる・・・わかったんだ!こいつには戦う覚悟がある!」

 

『!』

 

「だから、こいつは逃げねえ!どから、俺はこいつを助ける!」

 

シモンはゼロの行動を部下を置いて逃げ出しているように見えていたが、カミナはそう思わなかった。カミナは本能でゼロに戦う覚悟を持っていることを感じ取り、そのことからゼロは敵を倒すための何かを起こすために行動したのだと察したのだ。

 

『(この男は・・・)』

 

「早く教えろ!俺は何をすりゃいい!?」

 

ゼロ──ルルーシュは初めて出会った疑わずに迷いなく自分を信じるカミナという男に驚いていた。しかしカミナから策を催促されたことでハッとなりカミナに指示を出した。

 

『ドリルだ!お前のドリルを貸せ!』

 

「おう!」

 

「「ええい、そうはさせるか!各機は奴に攻撃を集中させろ!」」

 

『行くぜぇぇぇっ!!』

 

ゼロの指示を聞いたカミナは勢いよく返事をし、その様子を見ていたあしゅら男爵は何か仕掛けてくると考え、機械獣たちにグレンラガンを攻撃するように指示を出した。

 

『まずは右方向にダッシュ!急げ!』

 

「おうよ!」

 

『そのままの速度で左に切り返し!』

 

「よっしゃ!」

 

『最後は直通だ!お前のドリルであの地点を貫け!』

 

「任せとけ!」

 

カミナはゼロが指示したルートを敵からの攻撃をかわしながらグレンラガンを走らせた。そして最後にゼロがしていた場所に辿り着いた。

 

「シモン!!」

 

「う、うん!!」

 

カミナがシモンに呼びかけ、それにシモンが応じるとグレンラガンはゼロがしていたビルまで来ると拳を叩きつけ命中した瞬間にドリル発動させる『スカルブレイク』によってビルを破壊した。

 

「こ、これって・・・!」

 

「「地面が崩れる!!」」

 

「よし!成功だ!!」

 

カレンとあしゅら男爵は地面が揺れているのを感じた。ビルが破壊されたことにより市街地の至る所で連動するように爆発が起こり、さらに機械獣の攻撃によって限界を超えたのか地面が崩れ始めた。

 

「これは!」

 

「すごい・・・!敵が全部、崩れた足場に飲み込まれてる!」

 

「へ・・・!あそこから抜け出すのは骨が折れるだろうぜ!」

 

カレンとシモン、カミナは機械獣と次元獣たちが崩壊した地面に飲み込まれていく姿を見て驚いていた。

 

これこそがゼロが用意していた策である。四方の端にあるビルを爆破させることで地下街を支える柱を破壊し、それによって市街地の地面を崩壊させる事で敵を崩れた地面に飲み込ませることで敵の動きを鈍らせそこを叩くことがゼロの策である。

 

『ジェフリー艦長、ミス・スメラギ!各機を発進させるんだ!』

 

「りょ、了解!」

 

ゼロはこの隙を見逃すはずもなくジェフリーとスメラギの2人にZEXISメンバーを出撃させるように命令した。スメラギは動揺しつつもゼロの命令に従いZEXISメンバーを出撃させた。

 

「ゼロ!これは・・・!」

 

『全ては計画通りだ。後は機械獣と次元獣を駆逐する』

 

「「な、何という事だ!我が機械獣軍団が・・・!」」

 

あしゅら男爵は崩れた地面に呑み込まれて身動きが取れなくなっている機械獣たちを見て驚きを隠せないでいた。そして敵が身動き出来ないこの瞬間を利用してZEXISメンバーに攻撃するよう指示を出した。

 

「足場が崩れては、陸戦用の機体では、どうする事も出来んな」

 

「いつの間にゼロはこんな準備をしてやがったんだ・・・」

 

「だけどよ!街一つを壊すなんてやり過ぎなんじゃないのか・・・!?」

 

「そこらは奴らを片付けてからの話だ。行こうぜ」

クロウ

 

オズマとロックオンはゼロの大胆不敵な作戦にゼロの手腕に感心していた。だが、株式会社21世紀警備保障の社員にしてダイ・ガードの操縦担当のパイロットである赤木駆介は街ごと破壊するゼロの作戦に避難の声を上げる。

 

それは赤木だけの意見ではなく、ZEXISメンバーの多くがゼロに対して思ったことだ。敵を倒すためとはいえ流石に街一つを破壊するのは流石にやり過ぎだと思っている。それに対して次元獣バスターにしてブラスタのパイロットであるクロウ・ブルーストは機械獣や次元獣たちを倒すのが先だと言う通りだと考えゼロへの追求を止めた。

 

『モニカと焔は次元獣を!カレン、クリスティア、龍騎は私と共に機械獣を倒すぞ!』

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

ゼロはゼダスを機械獣へと向かい、カレンの紅蓮弍式、クリスティアのガフラン、龍騎のガンダムAGE-1がゼロの後に続き、モニカのグロースター、焔の夜叉が次元獣へと向かった。

 

「「ぬうう・・・!おのれ、おのれぇぇぇっ!!」」

 

「あしゅら!前に倒した機械獣を修理してきたようだが、とんだ無駄足になりそうだな!」

 

あしゅら男爵は自分がゼロの策にハマってしまったと気づき、悔しそうな顔をする。マジンガーZに乗る甲児はそんなあしゅら男爵を挑発するのだった。

 

『私の計算では機械獣と次元獣は3分は身動きがとれない。その間に勝負をつけるぞ!』

 

ゼロが言う通り、ゼロの策はあくまで時間稼ぎのようなものであり、時間が経てば相手も抜け出してしまうから早く勝負をつけなければならない。

 

「あのゼロって人・・・すごい・・・」

 

「俺達も負けちゃいられねえ!ついでだ、カレン!グレン対決もここで決着をつけるぞ!」

 

「望むところよ!」

 

シモンはゼロの策略に驚き、カミナもまたゼロなに負けられないと言わんばかりに気合いを入れ、カレンにグレン対決を仕掛けるのだった。

 

『全軍、攻撃開始!この日本を襲う者は我々が叩く!』

 

ゼロの言葉を合図に、ZEXISメンバーはそれぞれが別れて機械獣と次元獣と戦い始めた。

 

焔は夜叉のランドスピナーをフルスロットルさせると次元獣の攻撃をかわしながら一気に距離を詰める。

 

「抜刀!」

 

夜叉の腰に着いている日本刀型の刀『時雨』を鞘から勢いよく抜くと居合切りで次元獣の首を斬り落とした。

 

「ターゲット、ロック完了。全武装一斉発射!!」

 

グロースターカスタムは2丁の銃口の下部に刃が付いた片手銃『30ミリ口径片手剣銃』、両肩にそれぞれ付属している『ザッテルヴァッフェ』と『ガトリング砲』。そして腰についている『ミサイルポット』の照準を次元獣たちに合わせると、一斉発射し次元獣たちの攻撃に当たりながら次元獣たちを撃ち抜いていく。

 

「ゼロがいれば、あたし達は勝てる・・・!あたしもやるんだ・・・!ゼロと一緒に正義を成すんだ!」

 

ゼロの実力を確信したカレンはゼロについて行くことを再度誓うとタロス像の剣による攻撃を十手型の短刀『呂号乙型特斬刀』で受け流しながら接近するとその頭部を巨大な右腕で掴むと紅蓮弍式の主武装である『輻射波動機構』を起動し、タロス像を内部から爆破させた。

 

『(多少の計算違いはあったが、ここまでは俺の計算通りだ。後はこいつらを片付ければ全ては収まる。そのためにも、この戦い・・・負けられん・・・!)』

 

ゼロは上空からタロス像に向けてゼダスの胸部から『ビームキャノン』を放ちながら敵を倒していく。ゼダスの援護をするように上空と地上からそれぞれガフランとガンダムAGE-1がガフランの両掌から撃つビームバルカンと尻尾のビームライフルを、AGE-1はドッズライフルとビームサーベルでタロス像を攻撃していく。

 

そしてストロンガーT4はマジンガーZと一騎打ちの形で戦っていた。

 

「熱海で倒した機械獣か!性懲りも無く、また出てきやがって!」

 

「「黙れ、兜甲児!このストロンガーT4はDr.ヘルの手によってさらなる強化を受けたのだ!もうこれで貴様達に後れを取る事はない!覚悟するがいい!」」

 

「だったら、ご自慢の機械獣を返り討ちにして、世界征服なんてのは考えるだけ無駄だってのを教えてやる!」

 

ストロンガーT4は胸部に具えた巨大ファンを回転させると巨大な竜巻を発生させ、マジンガーZを呑み込まんとする。それに対抗するようにマジンガーZは口の溝から気化させた特殊溶解液を含んだ突風『ルストハリケーン』を放つとぶつかり合い拮抗した。

 

「「何をしているストロンガーT4よ!偉大なるDr.ヘルの手によって生まれ変わったお前の力ならば、その憎きマジンガーZを倒せるはずだ!」」

 

「ナメるなあしゅら!俺のマジンガーZがお前たちなんかに負けるわけないだろ!」

 

あしゅら男爵と甲児が叫んでいると、ストロンガーT4の背後を早乙女アルトのメサイアFによる『ガンポッド』による銃撃、ロックオンのガンダムデュナメスの『GNスナイパーライフル』による狙撃などのZEXISメンバーの遠距離攻撃をくらったことによりバランスを崩し、そのままストロンガーT4はマジンガーZのルストハリケーンに呑み込まれて装甲がボロボロになった。

 

「「馬鹿なっ!?」」

 

「これで終わりだ!ブレストファイヤー!!」

 

ストロンガーT4がやられていく姿を見て驚愕するあしゅら男爵。そして甲児はルストハリケーンを放つのを止めると、胸部の放熱板をから超強力熱線『ブレストファイヤー』を放った。

 

ルストハリケーンによって至る所が溶かされ身動きの取れないストロンガーT4はその攻撃をかわすことが出来るはずもなく、ブレストファイヤーが直撃したストロンガーT4は爆散してしまった。

 

「「おおおっ!ス、ストロンガーT4が!」」

 

「見たか、あしゅら!ここにはお前のような奴と戦う力が集まっているんだ!」

 

「覚えておれよ、兜甲児!貴様とその仲間、このあしゅらが必ず葬ってくれるぞ!」

 

ストロンガーT4が破壊されたことに驚愕するあしゅら男爵に対して甲児は言った。甲児の言う通り、ZEXISメンバーはそれぞれが異なる目的を持ってこの組織に加入しているが、全員に共通している点として悪と呼ばれるような存在と戦うことを覚悟しており、そのための力を持っていることだろう。故に世界征服を企むDr.ヘルの配下であるあしゅら男爵たちに負けるわけにはいかないのだろう。

 

あしゅら男爵もストロンガーT4が破壊されたことによってこれ以上の戦闘は無意味だと判断し甲児たちに捨て台詞を吐きながら撤退した。

 

「来るなら来い、あしゅら。俺達は・・・ZEXISは絶対に負けないぜ」

 

甲児は去っていくあしゅら男爵の後ろ姿を見ながら決意するように呟くのだった。

 

そして、あしゅら男爵が去った後はZEXISメンバーによって残っていた次元獣とタロス像たちを全滅させた。

 

その後、戦いを終えたZEXISメンバーはゼロの力を知ったのだが敵を倒すためとはいえ街一つを破壊したことに難色を示していたが、ゼロはそれに対して我々が戦うべきは次元獣やテロリストのようなこの世界の平和を乱す存在であり、それらを倒す為ならば全面的に肯定することでは無いが、犠牲を出すことに躊躇って敗北することはZEXISには許されないと言った。

 

それに対してゼロの言っていることは間違ってはいないと分かりつつもZEXISメンバーは言葉に詰まるが、ゼロは他人に否定されようとも自らの戦い方を変える気はないしそれを貫き通すための覚悟を持ちそれこそがゼロの正義であると断言された。

 

ZEXISメンバーもゼロに対して全くの異論がない訳では無いが、これ以上この場にいては無用な争いを招く事になるというスメラギとジェフリーの意見によりとりあえずはこの場から去ることを優先した。

 

そして今回の戦いを通してカミナと黒の騎士団にあった不穏な空気は消え去り、カミナとカレンの蟠りも完全になくなっていた。他のZEXISメンバーもまたこれから一緒に戦っていく仲間として交流を深め会うことになった。

 

そんな中、マクロス・クォーターに用意された部屋にてゼロの仮面を外したルルーシュは椅子に腰をかけるとフッと息を吐いた。

 

「どうやらその様子だとお前の想定通りに事は進んだようだな」

 

ベッドに寝転びながらC.C.はルルーシュに顔を向けてそう聞いてきた。そんなC.C.の態度にルルーシュは一瞬顔を顰めるがC.C.に何を言っても無駄なことは彼女と関わったこの短い間でも十分に理解している為、ルルーシュはため息を吐いてから一応C.C.の質問に答える。

 

「まぁそうだな。多少のアクシデントはあったがこれでZEXISの奴らもゼロに対しての不信感は薄れただろう。少なくともこれから共に戦う仲間としては問題は無いだろう」

 

ルルーシュが言う通り、ゼロのやり方はともかくその覚悟を知った彼らはそのやり方に賛同することはできなくともこれから共に戦っていく上では信用は出来ると思って貰えただろう。

 

「ZEXISを創立したエルガン・ローディックの狙いはまだわからないが、俺の目的を果たすためにもZEXISは上手く利用させてもらうさ」

 

ルルーシュは悪どい笑みを浮かべながらそう呟くのだった。それをC.C.はただじっと見つめるのだった。

 

 

 

 

────数多の悪意が渦巻くこの世界の中で異なる思いを持ちながら世界のために戦う事を決意したZEXISの未来に待っているのは彼らが望んだ平和か、それとも終わりのない絶望か。

 

 

──それは、神のみぞ知ることなのであった──




夜叉
全高:4.36m
全備重量:7.98t
動力:エナジーフィラー
推進機関:ランドスピナー
武装:内蔵式対人機銃
スラッシュハーケン×2
スタントンファー×2
対ナイトメア用日本刀『時雨』×2

日本側が『グラスゴー』を鹵獲、解析することでコピー生産した『無頼』を元に黒の騎士団が改良した量産型KMF。頭部に鬼の角が2本生えており、両肩が日本鎧の形をした黒く塗装されたKMF。対ナイトメア用に造られた日本刀『時雨』はランスロットのMVSのデータを元に造られた焔専用の武装である。

グロースター・カスタム
全高:4.29m
全備重量:8.56t
推進機関:ランドスピナー
武装:内蔵式対人機銃
30ミリ口径片手銃剣
スラッシュハーケン×2
ケイオス爆雷
ザッテルヴァッフェ
ガトリング砲
ミサイルポット
スナイパーライフル

ブリタニア・ユニオンが開発した第5世代KMF『グロースター』をモニカ・クルシェフスキー専用に中距離・遠距離機体として改造した機体。モニカ専用のスナイパーライフルはモニカの狙撃能力を合わせて、数十キロ先の敵を正確に狙い撃つことが可能。機体の至る所に重火器を装備しており、一斉発射による弾幕によって敵の殲滅を図ることが可能。機体の色は黒く、右肩には黒の騎士団のエンブレムが描かれている。

次回の話はダイジェストで数話飛ばしてから本編に入る予定です。

ZEXISとして活動してから多くの敵と戦ってきた。現在ZEXISは平和維持理事会の直属である事を公言する表部隊とその存在秘匿されている裏部隊に別れ、それぞれ戦いを続けていた。裏部隊に所属するルルーシュたちはアザディスタン王国へとやって来た。かつての故郷を訪れたソレスタルビーイングのガンダムマイスター刹那・F・セイエイは何を思うのか、そして世界的テロリストであるWLFがアザディスタン王国に潜入しており、彼らは国を乗っ取ることを企みその企みを阻止するためにZEXISは戦うのだった。

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