スーパーロボット大戦Z 魔王たちの新たに歩む物語 作:有頂天皇帝
第1話 魔王の目覚める日
───かつて優しい世界を望んだ魔王は優しい世界を創るため、世界の全ての悪意を無くすためにその命を世界に捧げた。
───魔王のために戦っていた騎士は魔王が死んだ時、かつて魔王に騎士の忠誠を誓った神殺しの島でその命を自らの手で絶った。
───最後まで魔王の隣に立ち共犯者として共にいた魔女は魔王が大切にしていた箱庭にある教会で涙を流しながらただ祈りを捧げていた。
本来ならば彼らの物語はこれで終わるはずだった。しかし何の因果か彼らは別世界にて新たな生を得て再び世界に反逆するのだった。
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別々の歴史を歩んでいた並行世界が「大時空震動」によって溶け合い、新たな「多元世界」が誕生してから20年。2つの月と2つの日本列島を持つこの地球は神聖ブリタニア帝国とアフリカ・ユニオンの「ブリタニア・ユニオン」、EUとOZの「AEU」、中華連邦とギャラルホルンの「人類革新連盟」の三大国家や三大国家含め多くの国々が加盟している国連、非加盟国家のアザディスタン王国やアーブラウなどの勢力に別れていた。そして宇宙では火星に移住したものや一部のコロニーが着々と戦力を強化しておりこの世界では未だテロや紛争が絶えず、また謎の怪物「次元獣」やイマージュ、インベーダーなどが各所で暴れ回っていた。
そしてそのような時代で犠牲となるのはいつも決まったかのように力を持たない弱者とされる子供や一般市民などといった存在であり、そんな存在を踏みにじって強者とほざくのは畜生以下の貴族や軍人などという存在である。
OZのトレーズ・クシュリナイダーやゼクス・マーキス、ブリタニア・ユニオンのグラハム・エーカー、人革連のセルゲイ・スミルノフのように貴族や軍人の中にはマトモなものも少数派ではあるがいることはいる。
しかしAEUの政治家たちは自国民の血が流れることで国民からの支持を失うのを恐れ他国民を生贄のように使い潰し、ブリタニア・ユニオンの貴族は支配した土地の人間『ナンバーズ』を玩具のように使い潰して壊すような豚共、人革連の中華連邦の大臣官は病で伏せている天子の代わりと称して自らの利益のために国を腐敗させていく。
そのようなことが許されてしまう世界だからこそそれに反抗するもの達もいるが殆どの者達は諦めてしまったかのように現実を受け入れてしまっている。
しかしそんな現実に抗い、求める理想を実現させようと戦い続けるものたちはその力を行使するものも現れるのだった。
───これは力ある者たちに対する反逆の物語である。
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多元暦13年の夏、二つに分かれた日本の内南東側にある日本に対して宣戦布告と同時に戦争を仕掛けたブリタニア・ユニオン。日本側は旧型MS(モビルスーツ)であるゲイレールやアンフ、装甲車などの兵器を用いって迎撃しようとしたがブリタニア・ユニオン側は新たな人型兵器『KnightMareFrame』通称KMF(ナイトメアフレーム)の実戦投入の他新型MSフラッグとジェノアスを投入するなど圧倒的な軍事力で日本を侵略するのだった。
そして日本の敗北の決定打となったのは当時日本内閣総理大臣でありタカ派としてブリタニア・ユニオンと徹底抗戦を唱えていた枢木ゲンブ首相の突然の自害によりトップがいなくなったことで、日本は混乱し、軍部と政府、関係各所はろくな連携を取れなくなり日本は力を出し切る事が出来ないままあっという間に敗北した。そして日本は結果的に国も名前も人種も自由もそれら全てを奪われ日本は『エリア11』と日本人たちは『イレブン』と呼ばれるようになってしまったのだった。
そしてブリタニアが宣戦布告以前、人質として日本に送られた3人の皇族は戦後の混乱から消息不明となり、この戦争でその幼い命を散らしてしまったと目されていた。しかし、その情報も死亡したと目された3人の皇族に近しい一部の関係者以外には、些事としてすぐに忘れ去られてしまうだろう。
───────しかしこの時、とある魔女と騎士を除いて誰もが知る由もないことだった。
「・・・ボクは・・・いや、オレは、ブリタニアを
・・・いや、この腐った世界をぶっ壊すっ!!!」
ブリタニアの侵攻により瓦礫と化した街並みの只中で、その紫水晶のような美しい瞳に燃え滾る焔を宿した、一人の「魔王」が再びその誕生の産声を上げた事を────
ブリタニア・ユニオンと日本の戦争の『極東事変』で実の妹である第12皇女リリーシャ・ヴィ・ブリタニアと第13皇女ナナリー・ヴィ・ブリタニアと共に、祖国に見捨てられた第11皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは戦後、テロにより命を落とした母である皇妃マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアを後援していたブリタニア貴族アッシュフォード家に保護された後、本名を捨てルルーシュ・ランペルージと名乗るようになった。───その胸に自らの願いを抱きながら
ルルーシュは自らの願いを叶えるための手段として戦うことを選び、そのために必要な知識、資金力、軍事力を手に入れるためにその類稀なる優秀な頭脳を駆使するのだった。先ず知識を得るためにルルーシュはアッシュフォード家に保護されてから2年、政治・経済・軍事・科学等の多岐に渡る分野の他、世界情勢など様々なことを学びそれら全ての高度な知識を自らの血肉とした。
次にルルーシュが求めたのは資金。ルルーシュは資金確保の手段として株の売買をしてある程度の資金を稼ぎその資金を使いルルーシュは会社を設立しまともに職につくことが出来ないが手先が器用な日本人たちを雇用することで良質な製品を製造しそれらを販売することで順調に資金を稼ぐことが出来た。
そして最後に軍事力。手に入れた資金でKMFやMSの大量生産したり、宇宙のデブリ帯にある半壊したMSやエイハブリアクターなどを回収して使えるようにしたりなどして機体や武器を集めることは順調に進んでいた。
そして秘密裏に関係を持っている『キョウト六家』の重鎮の1人である桐原泰三やコロニーの表と裏の両方で大企業として活動しているマフィア『テイワズ』のマクマード・バリストン等の協力者たちの力もあって整備士やパイロットなども着々と集めることに成功し、ルルーシュの為の戦力『黒の騎士団』は徹底した情報管理の元で秘密裏に組織として完成に近づいていた。
─────そして、時は流れ多元暦20年。エリア11に『魔王』と呼ばれる存在が表舞台に現れるのだった。
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『エリア11』内、『トウキョウ租界』の一角にブリタニア人とイレヴンを区別しないオープンな校風の私立学校『アッシュフォード学園』が存在する。アッシュフォード家の当主、ルーベン・アッシュフォードが創立し理事長を務めるこの学園では生徒たちの個性を大事にしているためか他の学園では絶対に行わいないようなイベントを生徒会長の指示の元月に数回はやっており、それがまた生徒たちに好評でこの学園の生徒たちは日々を楽しく過ごしていた。
そんな生徒の中で最も有名な人物として上がるのは誰かといえば1人の男子高校生の名が挙がるだろう。高等部2年のアッシュフォード学園副生徒会長ルルーシュ・ランペルージの名を。
ルルーシュ・ランペルージ。端正な顔立ちと、その優雅な佇まいから彼の周りには男女問わずよく人が集まっていた。また外見こそ細く見えるものの、その実身体はしっかり鍛えているらしく、運動部からひっぱりだこ!というほどではないものの、容姿端麗・文武両道を地で行くルルーシュは正に非の打ちどころの無い『優等生』であり、彼を狙う女生徒は両手に余るほどいた。ただ彼の欠点として上げられるのは無断で授業を欠席したり、賭け事に手を染めるなど普通の学生らしくない事が上がるだろう。しかしそれでも彼の人としての良さは損なわれないのか男女ともに生徒たちから慕われていた。
そんな彼は今日もまた友人であり同じ生徒会メンバーであるリヴァル・カルデモンドと共に賭けチェスの代理人としてトウキョウ租界にあるバーで貴族と戦った。ルルーシュは不利な盤面な上、一手20秒と短い時間で戦うことになったが8分30秒という短時間で圧勝した。
「いやーさっすが貴族!プライド高いから支払いもしっかりしてるし言う事無いねー」
「相手の持ち時間も少なかったしな。それにぬるいんだよ貴族って。特権に寄生しているだけだから」
リヴァルは先程ルルーシュに敗北した時の貴族の引き攣った顔が面白かったのか笑いなからそんなことを言うがルルーシュは特に思うことも無いのかつまらそうにそう言った。ルルーシュにとって満足のいくような相手に巡り会えないことに不満を感じるがそれを顔に出すことなくコインパーキングの支払いをしている時だった。
『只今より緊急ニュースをお伝えします』
街頭の巨大スクリーンに租界で起こったテロに関する報道が流され、訪ねようとしたことは記憶の彼方へと飛び去ってしまった。
「あ~りゃりゃ。こりゃ悲惨~~」
「テロ……か」
今朝のニュースから流されている一連のテロ事件とは、研究施設にテロリストが侵入し多くの人命と研究資産の一部を強奪した後、各地で連鎖的に発生している事件のことだ。ブリタニア人だけでなく、その他多くのナンバーズにも被害が出ているらしい。そして一連のあらましをキャスターが伝え終えると、このエリア11総督であるクロヴィス・ラ・ブリタニアの会見放送を流し始めた。
『帝国臣民の皆さん、そして勿論協力頂いている大多数のイレブンの方々も――――』
しかしルルーシュはそれには目もくれず、パーキングの支払いを終えてさっさとリヴァルのバイクに取り付けてあるサイドカーへと乗り込んだ。
「あれ、ルルーシュ。会見は見ないの?総督の姿なんてめったに見れるもんじゃないけど……」
「画面越しに見る機会ならいくらでもあるだろう?そんなことより次の授業に間に合う方が大事だ……さ、早く出してくれ」
「りょーかい」
そして死者に対して黙祷を捧げる一般市民達を尻目にバイクは走り去っていく。
ルルーシュはサイドカーに乗りながらチラリと周囲を流し目に見る。律儀に黙祷を捧げる人も少なからずいるが、大半の人間は関係ないとばかりに歩み続けていた。黙祷を捧げない人間はAEUや人革連などの他国出身の人間だけではなくブリタニア・ユニオンの人間もいた。ブリタニア臣民の全てが皇族を敬愛している訳では無い。その権威と権力の大きさに恐れて表立って皇族を非難するものはいないが、ブリタニア・ユニオンの国是である「弱肉強食」に対して反対する「主義者」と呼ばれる者たちはブリタニア人全体を見てもその数は決して少なくはない。本国から遠く離れた地であるこのエリア11にブリタニア人が多いのは、日本から大量に採れるエネルギー資源の1つ『サクラダイト』の利権目当てでやって来た貴族やそれらの仕事に関係するものたちだけではなく、『弱肉強食』というブリタニアの国是に嫌気が指して発展の著しい植民地エリアに逃げたのも理由の一つだろう。
「(確かに競い合わせることで人は成長するのは確かだ。しかしそれも度が過ぎれば毒となり争いが起こる)」
他者から奪うことに慣れたブリタニアはその欲を満たすことのみを考え自らの足元を顧みない。軍の人間は汚職に塗れ、貴族や皇族は欲を満たすために他者を陥れ、その他の市民たちは危機感も抱かず他人事のように日々を過ごす。何奴も此奴も自らの利だけを求め他者を顧みようともしない───あまつさえ交通事故が起こっても助けを呼ばないで事故の様子を物珍しそうに写真すら取るのだ。これが皇帝の言う『前へと進む民族』の姿だと言うのならばどれほど愚かなのだろうか?
「(尤も、そういう意味ならば俺も大して変わらないな)」
名と身分を偽り、自分の心に蓋をしてブリタニアから隠れるように生き、その息苦しさを払うように憂さ晴らしとして賭け事をしている自分もまた無気力・無関心な民と変わらないだろう。寧ろそれを理解していながら何もしない自分の方がタチが悪い。それでもルルーシュは何時か自らの望む世界を創り出すためにその日を悔いのないように生き、来るべき時のために備えるのだった。
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「(そう思っていたのだがな・・・・)」
交通事故を起こしたトレーラーに近寄り、コンテナから様子を見ようとしたルルーシュだが、突然動き出したトレーラーによってコンテナの中に入った。わかっている事はこのトラックは報道で流れていたテロリストのものだということでその証拠にコンテナの中には幾つかの火器や突起の着いたカプセル、そして旧式ではあるが第四世代KMFグラスゴーがあった。
現にそのグラスゴーはコンテナから出ると追っ手らしきブリタニア軍の武装ヘリや第五世代KMFサザーランドと戦闘した。グラスゴーがサザーランドに追い詰められている間にトレーラーはハイウェイからゲットーの地下を移動するもトレーラーのタイヤが溝に嵌りその衝撃でコンテナが開き、カプセルがあらわになりそれを発見した名誉ブリタニア軍人──ルルーシュの友である枢木スザクはカプセルのそばにいた人影を見てテロリストだと判断し取り抑えようとしたがその人影がルルーシュだとわかると取り押さえるのを止めた。
しかし、それと同時にカプセルが開き煙が漏れ始めたことに気づいたスザクは持っていたガスマスクを押し当てた。事前にミーティングで回収するものを毒ガスと聞かされていたスザクはカプセルから溢れているものを毒ガスだと判断しルルーシュだけでも守ろうとしての行動だった。しかし、カプセルが完全に開き光とともに中身が顕になるとそこには気絶している拘束衣を纏った緑髪の少女がいた。ルルーシュとスザクは見て見ぬふりも出来ず少女の拘束を解いている途中、クロヴィスの親衛隊に見つかってしまった。
親衛隊隊長は目撃者の存在を消すためにスザクにルルーシュを撃つように命令したがスザクはその命令を拒否した。そして命令を拒否したスザクはそのまま親衛隊隊長に撃たれてしまった。スザクが撃たれて倒れたのを確認すると親衛隊隊長は部下たちにルルーシュを射殺するよう命令し部下たちも射撃体制を取ろうとしたその瞬間、ルルーシュの後ろのトレーラーが爆発したことで親衛隊たちは爆発による爆風によってルルーシュと少女の姿を見失ってしまった。
しかし、これによって少女を回収するためにブリタニア軍は総督であるクロヴィスの命令によりシンジュクゲットーの殲滅を開始した。
それに対抗するようにシンジュクゲットーのレジスタンスたちとその協力者たちが民間人を守りながらブリタニア軍と戦っているが圧倒的物量の差でレジスタンスたちは追い込まれていた。
「(くそ!どうして俺が巻き込まれなくてはいけないんだ!?)」
ルルーシュは自分のとった選択によってテロに巻き込まれるとは予想出来なかったために急いで少女を連れて地下を走りながらモニカに連絡を入れようとするも電波が届かないためか中々連絡が取れないことに焦りを感じていた。そんなルルーシュを少女は冷静にじっと見ていた。
「(このまま逃げ続けても見つかるのは時間の問題だ。それに例え俺たちが見つからなかったとしてもこのままではゲットーの人間は間違いなく皆殺しだ)」
ルルーシュはそんな最悪な未来を簡単に予想出来てしまうだけに今の自分が情けなく思いながらもそんな最悪な未来を打開するための案を模索し始める。ルルーシュのその表情は見たものに恐れを抱かせると同時に美しさを感じるような悪人然としているが、ルルーシュの紫水晶の瞳にはそれと対になる輝きが宿っているのを感じた。
「─────終わりたくないのだな?」
「なに?」
今まで一度も口を開かなかった少女がいきなり話しかけてきた。ルルーシュは少女を警戒しながらも少女の言葉に耳を傾けた。
「お前は余程生に執着があるようだな。力があれば生きられるのか?」
「当然だ。例え人として優れていたとしても力がなければ簡単に淘汰される」
ルルーシュは少女の言葉に答えながらかつて自分を捨てた父親のことを思い怒りを抱いた。母を守ることも出来ず自分たち兄妹を捨てたあの日からルルーシュは力を求めていた。ルルーシュには力があるが、今のままでは確実にいずれ死を迎えるのは確定的だった。
「(────こいつはこの状況を打開出来る『何か』を持っているのか?)」
ルルーシュが少女にそれを尋ねるより先に少女はルルーシュの手を握った。突然の行動にルルーシュは声を出そうとしたその瞬間、ルルーシュの頭の中に閃光が走った。
光が弾け、頭の中にいくつもの風景が脳に直接焼きつけるように鮮明に映し出される。数え切れないほど繰り返された戦争、躯となった我が子を抱いて泣き崩れる母親、虐殺が行われ血に染まった大地。人類の愚かしい闘争の歴史――――そして赤い鳥を象った文様に巨大な遺跡群、人形のように立ち尽くし、紋章をその身に刻んだ大勢の巫女。
『これは契約────力を得る代わりにお前は私の願いを一つだけ叶えてもらう』
耳ではなく、脳に直接響くように聞こえる女性の声。これはあの少女のものだろうか、ルルーシュは叩きつけられるように移り変わる光景を目にしながら、まるで悪魔いや、魔女の契約のようだなとルルーシュはそんなことを考えた。
『契約すれば、お前は人の世に生きながら人とは違う理で生きることになる』
─────人とは異なる理だと?
『異なる摂理、異なる時間、異なる命・・・・・王の力はお前を孤独にする────それでもお前は力を望むか?』
再び脳に様々な光景が焼きつけられる。
磔にされ、火あぶりにかけられる女性。壁に追い詰められ槍衾にされる貴族の男。誰もいない雪の降る平原で一人孤独に倒れ伏す少女────誰もが悲しみと絶望と虚無を抱えている。これが与えられた力に負けた者の末路と言うのか・・・・?
──────下らない
力を得たから孤独になる? 違う、力を得て他者を省みないから孤独になるのだ。
そうだ、彼等はあのブリタニアと同じだ。力を得て他人を見下し、全てが自分の思い通りになると思い込んだ哀れな道化。そうなったら最後、その者についていくのは同じく力を求めた奴や、おこぼれにあずかろうとする愚者だ。いずれその者達は力持つ者に対し反旗を翻すだろう。それが欲のためなのか、理念の違いかはともかく。
だが自分は絶対にそんな轍を踏みはしない!
「例えどんな力を得ようとも、絶対に俺は屈しない──────結んでやろう、その契約を!!」
その宣言と共にどこかで歯車が噛み合う音が鳴り、ルルーシュの左の瞳に赤い光が差し込み契約の証による力が宿るのだった。
『─────あぁ、やはりお前はそういう男だよなルルーシュ』
そんな優しさと嬉しさの感情が混ざったような少女の言葉にルルーシュは気づかなかった。
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「─────ようやく見つけたぞ」
地下の出口から出てくるルルーシュと少女を見ながら親衛隊隊長は銃を構えながらルルーシュに対してそう言った。親衛隊隊長の周りには彼の部下たちが同じように銃を構えて銃口をルルーシュに向けていた。
「よく頑張ったと言っておこう。流石は誇り高きブリタニア人だ。だが君の命運もここまでだ」
親衛隊隊長はルルーシュを褒めるような言葉を言うがその目は明らかにルルーシュを見下していた。
「なぁ最後に一つだけ聞いてもいいか?」
「なんだ?」
親衛隊隊長は銃を向けながらも恐怖を感じずに普通に話しかけてくるルルーシュを不気味に感じながらも気の所為と判断しルルーシュの言葉を聞こうとした。
「貴様たちは撃たれる覚悟があるか」
「下らんな。強者である我々ブリタニア人が負けることなど有り得んのだからそんなことを考える必要などあるものか」
親衛隊隊長はルルーシュの言葉を聞いて鼻で笑った。与えられた特権と力を自分の力と勘違いし人を人と思わないような人種────ルルーシュが最も唾棄すべきタイプの人間だ。
「撃っていいのは撃たれる覚悟のあるヤツだけだ。しかし、お前たちからはその覚悟も理念すらも感じない。故に────ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様たちは『死ね』」
ルルーシュの開かれた瞳の瞳孔が収縮し、変わりに赤い告死鳥が羽ばたき、親衛隊達の脳裏を犯す。
そしてその先に待つのは、理不尽な命に対する圧倒的な従属感だった。
「ククッ・・・クフフッ─────Yes,Your Highness!!」
親衛隊隊長と親衛隊たちは銃口を自らの額に首元に持っていき、笑みを浮かべながら彼等は引き金を引いた。
後に残ったのは狂気の笑みを浮かべた親衛隊の遺体とそれを冷たい目で見下ろすルルーシュだけだった。
「これが『王の力』か────なるほど、確かに人の理とは完全に異なる力だな」
ルルーシュは赤い鳥のようなシンボルが浮かんでいる左目を抑えながら呟いた。
「────だが力は所詮力でしかない。俺は力に溺れる気などない・・・・使いこなしてみせるさこの力を!!」
──────全ては優しい世界を作るために
この日、シンジュクゲットーにて魔女との契約によって魔王が誕生したのだった。これによって世界の運命の歯車はまた動き始めるのだった。
王の力を手にしたルルーシュ。彼の目指す先に待ち受けているのは彼の望む世界なのかそれとも地獄なのかはまだ誰も知らない。だが、彼が歩みを止めることがないのはわかりきっている事だ。ルルーシュは自らの願いを叶えるためにもその力を振るうのだった。
次回、第2話『魔王の狂宴』