私レミリア♂紅魔館がヤバい!   作:たぶくむ

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TSproject 流行りそう、流行らない?


急ピッチで仕上げたため綻びがあり、少し編集しました。


吸血鬼異変 ~前夜~

迅速に勢力を拡大させた吸血鬼達。

 

 

しかし、幻想郷の賢者八雲紫の一手によって、幻想郷中の妖怪達が一致団結し、吸血鬼勢力に対抗した。

 

 

初期こそは互角、吸血鬼達が優勢であったのだが、吸血鬼の弱点ともいえる日光の光によって吸血鬼達は朝に活動が不可能となり、逆に朝でも活発に動ける幻想郷の妖怪達が躍動し、次第に吸血鬼勢力の勢いが弱まっていく。

 

 

局地的な面でも、幻想郷の妖怪達、特に力のある天狗や鬼が驚異的な活躍を見せ、夜には八雲紫の式神である八雲藍の妖術によって吸血鬼達を倒していく。

 

 

吸血鬼勢力は次第に押され、一転不利な展開へと追い込まれている。

 

 

だが、幻想郷勢力には懸念があった。

 

 

あのレミリア・スカーレットと紅魔館の主要メンバーが動く素振りをこれまでに見せていないこと。

 

 

この状況すら打開する一手がレミリアにあるのだろうか?と未だその実力が不明瞭なレミリア・スカーレットなる吸血鬼に感じる不安は拭えなかった。

 

そんな彼らの心配とは裏腹に優勢となった妖怪達は各地でも連戦連勝を重ね、ついに吸血鬼勢力の根城である『紅魔館』へと侵攻していくのであった。

 

 

追い込まれた吸血鬼達、追い詰めた妖怪達。

 

 

この吸血鬼異変最大の戦闘が今、始まろうとしていた。

 

 

 

 

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レミリアは、紅魔館の廊下を歩いていた。

 

 

吸血鬼達の聴くに堪えない作戦会議という名の度重なる敗戦の責任追及に嫌気がさしたレミリアはこっそり会議室から抜け出して自室に戻ろうとしているのだ。

 

 

一勢力のリーダーが勝手に会議室を抜け出すのはどうかとは思うのだが、意外にも吸血鬼達は誰も咎めようとしない。

 

 

結局のところ、強大で偉大な指導者が必要だと言っていても、それを傘にして自分たちの勢力を伸ばしたいだけであり、レミリア自体はさほど必要とされていなかったのだ。

 

 

事実、レミリアは各地域での戦闘に一切関与しておらず、今実、妖怪達がこの紅魔館に侵攻してくるまで蚊帳の外だったのだ。

 

 

吸血鬼一族の権威復興、吸血鬼復活とは綺麗事を口にするものの、敗戦が重なり、劣勢に追い込まれると保守に回る所は何とも愚かしい。

 

 

この点では、愚かな人間達と何ら変わりないなとレミリアは嘲笑した。

 

 

同族でありながらも保守に逃げ、窮地に追い込まれた時だけ期待するような目で自分を見つめてくる吸血鬼の恥ともいえる同族共にレミリアは見切りを付けていた。

 

 

自室に戻ったレミリアはこの後どのように動いていくか思考する。

 

 

目的は幻想郷への移住である。そのためには、どうすればいいか。

 

 

このままでは敗戦濃厚であり、こちらの要求すら通らない程侮られるだろう。

 

 

思考を巡りに巡らせたレミリアは結局のところ一つの結論へと導いた。

 

 

 

…………力を示せばいい。

 

 

敗戦は敗戦でも、印象に残るほどの恐怖をあちらに植え付ければいいだけだ。

 

 

この『レミリア・スカーレット』の存在、『紅魔館』の恐ろしさ。

 

 

明日は目一杯幻想郷に見せつけてやろう。この『レミリア・スカーレット』の名を出して奴らが恐れるほどの地獄を。

 

 

 

「お兄様……………?」

 

 

そう考えている所にレミリアにドアの向こうから愛らしい声が掛けられる。

 

 

「フラン?」

 

 

そうレミリアの愛する妹『フランドール・スカーレット』である。

 

 

ドアを少し、開け、おずおずと顔をチラリと出したフランは「入るね。」と一声かけて自室に入ってくる。

 

 

そして、バッ!!と効果音が付くのではないかという程のスピードでレミリアに飛びついた。

 

 

レミリアは何とか抱き留めるものの、スピードを殺しきれず、腰かけていたベットに押し倒される形になってしまう。

 

 

「………………ねぇ、お兄様」

 

 

「うん?どうしたの?フラン」

 

 

しばらく、レミリアの胸に顔を埋めたフランは顔を挙げないまま、そう言う。レミリアは、限りなく優しい声で答えていく。

 

 

「明日。お兄様、出て戦うんでしょ?」

 

 

「……………ああ」

 

 

「…………フランも、行く」

 

 

フランには、何となく、幻想郷との戦いに負けているということを理解していた。

 

 

そして、レミリアが最前線で戦わざるを得ないという事実も。

 

 

みすみす、いかに兄であるレミリアが強いといっても流石にあちらの方が優勢である状況で、レミリアが無傷で勝利するとは限らない。

 

 

ましてや相手は妖怪であり、軟弱で狡猾なだけの人間達とは違う。

 

 

正真正銘我ら吸血鬼にも並ぶ力を持った妖怪達である。

 

 

初めての未知との戦いにレミリアが無体満足で帰れるという保証はどこにもなく、その分戦いに赴く愛する兄への心配が拭えない。

 

 

ならば、自分も兄と一緒に出て戦う。というのがフランの主張なのである。

 

 

「駄目だよ。フラン」

 

 

そう、きっぱりとそしてフランをなだめる様な声でレミリアは答える。

 

 

「…………どうして?お兄様、死んじゃうかもしれないんだよ?」

 

 

兄からの拒否の声に内心フランは絶望へと叩き落されたような気持ちになる。

 

 

「フランを守るために死ぬんだったら、お兄ちゃんはそれでもいいかもしれないね」

 

 

「…………駄目だよ、そんなこと」

 

 

「フラン?」

 

 

そういってフランは顔を埋めたままぎゅっとレミリアの服を掴み、ふつふつと自分の感情を吐露していく。

 

 

「駄目、駄目なの。お兄様が死んじゃったら」

 

 

「お兄様は、ずっとフランの傍にいてくれたの。お兄様が私に全てを教えてくれたの。お兄様がッ、私に生きる希望を教えてくれたの」

 

 

「お兄様が………っ、私を愛してくれていた。あの時だって……っ、お父様から私を救おうとしてくれていた。お兄様だけが私の味方で居続けてくれた…………っ」

 

 

次第にフランの身体が震えていく、服を握るフランの手の力が強まっていく。

 

 

「お兄様は、何も解ってないの………っ、私にとってお兄様がどんなに大切なのか………っ、フランだけじゃない………っ、紅魔館のみんなにだって」

 

 

「………フラン」

 

 

「だからっ、お兄様が死んじゃったら………っ、駄目、駄目なの。だから………、お兄様、お願い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「生きて、帰って」

 

 

―――私を、見捨てないで。

 

 

 

「…………うん、わかった」

 

 

ゆっくりとレミリアは上体を起こし、涙を流すフランの目をそっと拭う。

 

 

「元から、お兄ちゃんは死ぬ気なんてないよ、冗談が過ぎた。ごめんね、フラン」

 

 

「これは、紅魔館の全員の為の戦いだ。もとより私は死ぬ気なんてさらさらない。絶対に勝って戻ってくる」

 

 

「だから、この紅魔館はフラン、君が守ってくれるね?お兄ちゃんが無事に帰ってきて、安心して戻れるように」

 

 

「………うん………っ、うん!わかった、お兄様」

 

 

「約束だよ、フラン」

 

 

―――どんな時があっても、お兄ちゃんが守ってあげるから、ね?約束だよ、フラン!!

 

 

―――うん!おにーさま!!

 

 

しばらく吸血鬼の兄妹は抱きしめ合ってお互いの温もりをしっかりと感じた。

 

 

「…………ねぇ、お兄様」

 

 

「うん?」

 

 

「フランね?お兄様が好き、大好き」

 

 

「うん、お兄ちゃんもフランのことが大好きだよ」

 

 

「…………ううん、違うの」

 

 

レミリアからの愛の言葉、それはフランには自分と同じような意味合いを持たないということをはっきりと理解している。

 

 

だからこそ、今が自分の気持ちを正直に伝えるチャンスだ。兄妹の関係よりさらに向こうの感情を。

 

 

「私、フランは、お兄様が、h「お坊ちゃま!失礼します!!」」

 

 

突然、フランの声は外からの声に妨げられた。

 

 

「美鈴か、どうした?」

 

 

「はい!パチュリー様が結界の準備が整ったとのことです!これで、明日の夜までは持つだそうです!!」

 

 

「そうか、パチュリーには礼を言っておいてくれ、美鈴も、大儀だった」

 

 

「はい!それでは、失礼します!!」

 

 

異様にテンションの高い美鈴が部屋から退出していく。

 

 

恐らく、激戦が近くなっているため、久しぶりの戦いに武人としての彼女の血が騒いでいるのだろう。

 

 

元気よく部屋を飛び出していく美鈴を尻目にレミリアはフランへと目を向ける。

 

 

「それで、どうしたの?フラン」

 

 

「むーっ………、もういい」

 

 

気が削がれたフランはむっとした表情のままレミリアの胸へと再び顔を埋めるのであった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「以上が、御報告です。紫様」

 

 

「そう………、ご苦労様、藍」

 

 

ここは、屋敷、八雲紫が所有している屋敷である。

 

 

そこに、八雲紫とその式 八雲藍がいる。

 

 

「…………何か、気がかりなことでも?」

 

 

「………ええ、そうね」

 

 

「………レミリア・スカーレット、ですね?」

 

 

渋い顔をしている主人を不思議に思ったのか、そう藍が問いかける。

 

 

「ええ、レミリア・スカーレット、吸血鬼勢力のトップに位置しているのに、これまで各地に赴き手を下したことは一回もない」

 

 

「はい、ずっと紅魔館の中に」

 

 

「それが、私にとって不可解なのよ。吸血鬼達はこの幻想郷へ支配を目的に侵攻してきた。でも、そんな彼らのリーダーであるレミリア・スカーレットが何もしていないというのが。」

 

 

さらに紫は続ける。

 

 

「彼は、とてつもない、この幻想郷の中でも最高峰の実力を兼ね備えている、そんな彼の直属の配下達も皆一芸に秀でていて、どれも幻想郷でも戦えていられるくらいに。」

 

 

「…………………」

 

 

「その気になれば、すぐに幻想郷を窮地に追い込むことだって可能だったわ。でも、それをしない。いいえ、あえてしないといったところかしら、そんな雰囲気を彼から感じるの」

 

 

「しかし、今回はそうはいかない」

 

 

「ええ、きっと、彼、レミリアは何らかの手を打ってくるはずよ。未だ不可解な彼の力。それが、この幻想郷にどんな影響を及ぼしていくのか。そして、彼の理解不明なその思考。まだ計り知れない。末恐ろしいわね。あの子」

 

 

「レミリア・スカーレットにより一層の監視を強めましょうか?」

 

 

「ええ、一先ず、そうした方がいいわね」

 

 

「はい、承知いたしました。紫様」

 

 

そう言って藍は退出していく。

 

 

藍は、主人である紫がここまで危惧するレミリア・スカーレットの存在というものを改めて警戒を強める。

 

 

あそこまで紫様が悩むことなどあまりない。

 

 

今までが上手く行き過ぎた。いや、レミリアが現れていないだけだが。

 

 

しかし今回ばかりは楽にはいかないか。と藍はそう思った。

 

 

「あら、八雲のわんちゃんじゃない」

 

 

そう、不快な声が前方から聞こえた。

 

 

「何様だ。妖怪」

 

 

藍の顔が一瞬で無表情に、少しばかり、敵意と殺気を出しながら藍は目の前の女性に言う。

 

 

「あら、酷いわね、あなたの飼い主さんが私を呼んだというのに」

 

 

不敵な笑みを隠そうともせずに此方へ笑いかける女性。藍はそんな彼女に不快だという表情を隠すまでもなく向き合っている。

 

 

「それとも、飼い主の大事な御客人に牙を剥くほど、出来の悪いわんちゃんなのかしらね、あなたは」

 

 

ふっ、と笑いながらこちらを挑発していく女性。

 

 

「ふん、紫様がお呼びしたというのなら尚更、そこらの塵同然の妖怪なんぞに注意を向ける程度のことでもない」

 

そう言って藍は彼女の脇をするりと通っていく。

 

 

「だが、たかが塵、埃でも紫様に降りかかろうものなら、その時は容赦はしない」

 

 

「あら、手を出したらどうしてくれるのかしら」

 

 

その場が剣呑な雰囲気で充満する。

 

 

藍は敵意と殺気を隠そうとせず、女性は不敵な笑みでその中に敵意と殺気を醸し出しながら。

 

 

しかし、それもほんの数瞬、女性が敵意と殺気を消散させる

 

 

「冗談、冗談よ。今は違う標的がいるもの、それまで、仲良くしましょうね」

 

 

うふふと上品に笑いながら藍から離れていく。

 

 

「チッ………、戦闘狂が…………」

 

 

藍はその後姿を不機嫌そうに、悪態をつくのであった。

 

 

 

 

 




パチュリー、狙ってます。(何がとは言わない)
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