余裕のある方はそちらにも目を通していただけると幸いです。
吸血鬼異変最大の戦闘『紅魔館攻防戦』
この戦闘で、幻想郷側が危惧していた事、『レミリア・スカーレット』が参戦し、幻想郷側、特に天狗達に多くの損害が出た。
結果、レミリアの圧倒的な力を目の前に、天狗達の戦線が崩壊し、吸血鬼異変で幻想郷側に最大の損失を被り、そして、戦闘中の講和によって紅魔館を攻略することは叶わなかった。
この結果から見れば、紅魔館を守り通した吸血鬼勢力の勝利ではあるが、レミリアによる戦線崩壊後、天狗達も冷静さを取り戻して、何とか吸血鬼達とまともに戦えるようになった。
戦闘中のレミリアの離脱も天狗達の戦線回復に一因した。
この異変終了後、天狗達は大きな損害で、人間とのバランスを保つ妖怪の山に多大な影響が及ぼされた。
紅魔館、吸血鬼勢力も同様に、多くの吸血鬼達が死亡。そして、付き従っていた妖怪達も散開し、かつての勢力的な脅威はもはや無くなったといえる。
レミリアと八雲紫、両陣営の指導者が同意した講話により、吸血鬼異変は終結した。
この戦闘で、幻想郷中に大きくその名声を広げたのは、圧倒的な力を見せつけた『レミリア・スカーレット』。
そして、前線で戦線を立て直すまでに目覚ましい奮闘を見せた。新しく白狼天狗隊長へと就任した『犬走椛』の名前である。
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「せいッ!!」
「ギャッ!?」
柳葉刀を振るい、目の前の吸血鬼を斬りつける。吸血鬼の頭と胴体を一刀両断する。
「はぁッ!!」
「グワッ!?」
返す刀で、後方に回り込んでいた吸血鬼も同様に斬りつけて殺す。
「ふッ!!」
吸血鬼が放った魔弾を片方の手で持っていた盾で防ぐ。
「やあッ!!」
「ブッ!?」
そして、その隙に近寄ってきた妖怪に盾で殴って、怯ませた隙に素早く切りつける。
そして、遠距離から魔法で攻撃を行っていた吸血鬼へ一瞬で近づいて斬り殺す
「落ち着いて!目の前の敵に集中して向き合って!!ここを脱却しますよ!」
そう言って、周囲に敵の影が見当たらないことを確認し、周囲の同族である白狼天狗達にそう呼びかける。
味方達は私の声にはっと気を取り戻したかのように、落ち着きを取り戻し、戦闘に復帰していく。
敵の吸血鬼『レミリア・スカーレット』が巻き起こした惨劇、同族の多くはあの禍々しい巨大な槍によって殺され、そのまま戦線すら崩壊するに至った。
しかし、ある程度レミリアは暴れまわった後、何かにふと気が付くように目を向けた先に急行していった。
何がともあれ、レミリアが不在の今、戦線を復帰するいい機会だ。そう考えた私は周囲に檄を飛ばして鼓舞していく。
ただの一兵卒である私にはもともとそんな権限は持ち合わせていないが、こんな混戦ではそんなことは関係ない。
私も、多くの敵妖怪、吸血鬼を斬り殺した。
だが、混乱による士気の低下により、押し返すことが出来ず、常に劣勢だ。
……くそっ!こんな時に、『あの人』は何をしてるんだ!!!
ふとそんな怒りにも似た感情がふつふつと沸き上がる。
いつもおちゃらけて、突拍子もないことを言ったと思えば、自分の責務も無視して、どこかふらりと行ってしまう上司。
こんな大事態でも姿が見えないことから、どこか転々としているのだろう
……まったく!人の気も知らないで!
いっつもだ!いつも不利益を被るのはいつも
くそっ!!上司だからって偉そうに!肝心な時は逃げ出すんだからッ!!
これだから鴉は嫌いなんだ!!!!
そんな沸き上がるどうしようもない怒りを理性で抑え込み、とりあえず、目の前の敵にこの怒りをぶつけてしまおうと考えた。
確かに上司の烏天狗達は好きではない。下っ端である白狼天狗達をいいように扱っている節がある。
烏天狗の中にもいい人はいる、そこは解っているが、こればかりはどうしようない。
申し訳ないが、この怒りは目の前の敵にぶつけて解消してしまおう。そう思って、また目の前の敵たちを蹂躙するべく、柳葉刀を強く握りなおした。
……。
…………………。
……………………………………。
いつの間にか、戦闘が終了した、吸血鬼達との講和が成ったらしい。幻想郷の賢者八雲紫の式、八雲藍が周囲に伝えまわっているのだから本当なのだろう。
周囲に敵の影は無し、姿も見えない。
一先ず終わった戦いに深く心を落ち着けるために一息ついた。
………さて、あの人に文句でも言いに行こう
とりあえず、心のモヤモヤは敵で解消したとは言う物の、それとこれとは話が別だ。文句の一言でも言わないと気が済まない。
どうせあの人のことだから
『椛は真面目ですねぇ、どうせ私が居なくても大丈夫ですよ』
とかなんとか無責任なことを言うだろうが。
自身の能力を発揮して、『あの人』の姿を探し出す。
────────!いたッ!!
そして、その姿を見つけ、見つけた方向へと飛んで行った。
やっぱり変なところにいてッ!!
そんな新しく沸き起こった怒りの感情と共に私は飛んでいった…………………。
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「何をしてるんです」
目の前で何かに熱中している目の前の上司『射命丸文』さんにそう問いかける。
先ほどまで、前線での仕事の放棄の件で散々なじろうとしたが、周囲に目もくれず、話も聞きませんと言いたげな上司の姿に怒りを通り越して呆れの感情が強くなった。
「しっ!!静かに!!これは…………大スクープですよッ!!」
そう言って、話しかけようとする私を制して目の前に夢中にカメラを向けて何枚か撮影している様子だ。
「…………まったく。何があるって言う………ん…………です…………ッ!?」
嘘ッ!?
私は、目の前に映った光景に目を疑う。
目の前の光景には二つの影。
一人は子供。翼の生えている子供、吸血鬼であるということは一目瞭然、先ほどまで、前線で暴れまわった吸血鬼『レミリア・スカーレット』だ。忘れもしない。
でも、もう片方は女性。この幻想郷の創始者にして賢者であり、この吸血鬼異変を止めようと一番に働きかけた女性『八雲紫』だ。
確かに、どちらも高名で敵同士、激しい激戦でも繰り広げられているのなら解る。だが、目の前の光景はそんな戦闘とは無縁で、何というか…………………。
「スクープです………スクープですよ!!幻想郷の賢者と!吸血鬼のリーダーであるレミリア・スカーレットがッ!!き、キスをッ!!!」
そう言って、興奮したようにシャッターを切る文さん。
そう、レミリアと八雲紫が密着して、顔を近づけているのだ。
遠くの光景だから、何をしているのかはよく見えないが、でも、あれは…………まさしく………………キ、キ、キス………ですよね!?
私も、文さんと同じく、目の前の光景に言葉を失い、呆然と見ていることしかできなかった。
しばらくして、レミリアがその場から離れていき、八雲紫がその場に残された。
その顔は…………まぁ、確実に女性の…………いえ、止めておきましょう。
「ウフフフフフッ!!これはいい記事が出来そうですね!!」
そう言って上機嫌に笑いだす文さん。正直気味悪い。
「記事はいいですが、前線から離れて勝手な行動は慎んでください、迷惑を被るのは私達なんです」
「あやや、それはすみませんでしたね。あまりにもスクープの予感がしたもので」
そう言って悪びれもせず謝る文さん。その態度に少しばかり怒りが沸いたが、この人に何言ってもこんな感じなのだからしょうがない。
「ですが、私がここに赴かなかったら衝撃の光景も見られなかったんですよ?」
「………ッ!!で、ですが、そ、それとこれとは話が別ですよ!!そ、それに、彼女だって、し、知られたくないことだったかもしれませんし!」
「あやや、『椛』は真面目ですねぇ。今時、有名人のスキャンダルは大スクープですし、皆が求めていることですよ!!バレる方が悪いんです!!」
「ど、ド屑だ…………!!!」
「あややややや、何と言われようとも私は慣行しますよ!!それに、あの幻想郷の賢者『八雲紫』のこのスキャンダルは大スクーp「私が、どうしたのかしら?」
後ろの方でそんな声がした。聞いたことのある声、それは、今話題にしていた当本人。
「「…………………」」
ギギギと恐る恐る後ろを見る。目の前には笑顔で笑う日傘を持った秀麗な女性。『八雲紫』だ。
笑顔の裏にゴゴゴゴと効果音が付くような得も言えぬ迫力と憤怒を感じる。
「あ、あやややややや!!??こ、これは、ち、違いましてね!!??」
「あ、あ、い、いえ!?わ、私は何も見ていません!!な、ななな何も見ていませんから!!」
目の前の笑顔の阿修羅にたどたどしく弁明をする。わ、私は、文さんの後を付けていただけですし!わ、私はひ、被害者ですから!!!
「言いたいことは、それだけかしら?」
あ…………………あ…………………。
その後は、あまり思い出したくはない。
文さんの撮ったデータも、有無を言わさずに消され、文さんはかなり落胆していたようだが、正直自業自得だ。
でも、正直、本当に正直言うと、私って被害者ですよ、ね?文さんを連れ戻そうとしただけですから…………。
はあ………………文さんといるといっつもこれなんだから…………………。
憂鬱だなぁ…………………。
まぁ、今回の戦いで評価されて、新しく白狼天狗の隊長に昇格したから…………………そこは良かったのかな…………………。
…………………はぁ。
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最近、紫様がおかしい。
いや、元から、と言っては失礼かもしれないが、どこか掴みようのない人だから、おかしく思ってしまうかもしれないが。
違うのだ。ここ最近、サボり気味だった賢者としての仕事に精を出している様子なのだ。
いつもなら「私は面倒だから、藍、貴女に任せるわね~」とかなんとか言ってサボろうとするところだが、ここ最近ちゃんとお仕事をしっかりこなされるようになった。
特に最近出現し、異変も起こし、そして、講和をして幻想郷に移住をゆるされたあの場所『紅魔館』の監視に力を注いでいる。
まぁ単純に、新しくできた巨大勢力を危険視していると言われればそれだけなのだが、なんだかそれだけではないように思える。
『スキマ』を使って、ふとした拍子にため息をついたり、じっと何かを熱心に見つめていたり。無表情かと思えば、なんだか何かを羨むような眼を向けていたり。
まあ、後者の方は多分私の見間違いか何かだろうが。
そんな紫様を見かねた私は、『大変お疲れでしょうから、代わりに私が行いましょうか?」と一声かけたのだが。
「!!??い、いいいえ?な、なんでもないわよ?わ、私は大丈夫!元気だしほら!!」
そう言って、無理に取り繕いなさる。
嗚呼!!紫様はこれほどまで、精神的に疲弊なされるまで『紅魔館』のことを危惧なさるとは、お労しい!!
それもこれも、『レミリア・スカーレット』だ!
あの者が、幻想郷を、紫様が第一に愛してらっしゃる幻想郷に牙を剥き、決して目を逸らすことのできない損害を与え、しかも悠々と幻想郷に移住しているからだ!!
紫様は『紅魔館』の幻想郷移住をお許しになったのも、妖怪の山の天狗の被害が重大で、人間と妖怪のバランスを保つことが出来ないとお考えになったから苦渋の判断でお許しになられたのだろう!!
くそッ!!何か、何か私も紫様が悩まれる御懸案の解決に何か、お手伝いをしたい!!
私も、『紅魔館』の監視を強めて、少しでも紫様の御懸念を取り除かなくてはッ!!
そう思って私も『紅魔館』内の監視を紫様の式神となったことから同じく使用できるようになった『スキマ』で行うことにした。
『レミリア・スカーレット』よ!!私は、決してお前を許しはしないぞ!!
『お坊ちゃま、朝ですよ!!」
『……んん?…………う~。あ、あさ……………。』
決して、お前に気を許さない!!
『レミィ、ここが、こういうことになっているから、こういうことになるのよ』
『へぇ、そうだったのか!!やはり、頼りになるな!パチェ!!!」(ペカ~
『………ッ!!!そ、それほどでも、な、ないわ』
…………け、決して…………………。
『お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様』
『あ、あばばばばばばばば、……………う~☆』
………ゆ、ゆるさ…………ブハッッッ!!!!!1
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「紫様、私にも、式を使役することの許可を頂きたいのですが………」
「!?!?!?!?!?ど、どういうこと!?え、ええ!?」
「い、いえ、あ、あの、紫様に少しでも、貢献を、と」
「そ、そうなの、で、でも、どうして?」
「……………そ、それは…………………ブハッッッ!!!!」
「!?ど、どうしたの!?藍!?藍!?らああああぁぁぁぁぁぁん!!!!????」
その日、私は式を使役することを許された。
その式の名前は……………『橙』と、そう名付けた。
『バンパイアキス』(ヴァンパイアキスとも)
首筋に噛み付いて吸血をする某東方ゲームのおぜう様の技です。
キャラクターモデル的に、キスしているように見えてしまうとか。
二時間後の22:00にももう一話投稿です。