それと、話のストックを貯めながら投稿するので、少しだけ投稿は遅くなります
「最近、橙がところどころ転々としていて、行方がつかめていないのです」
「そうか、大変だな」
ここは、紅魔館の客間室、そこにレミリアと九尾の狐、『八雲藍』がテーブルをはさみ、紅茶と茶菓子をテーブルの上に置きながら、会話しているようだ。
レミリアと八雲紫の会談によって、次第にレミリアとの交流の時間が増えるようになってきた八雲一家。
そのほとんどは紫のお忍びでの紅魔館訪問ではあるが、時々藍が紅魔館に訪ねてこうしてレミリアとのある話題についての会話を弾ませているのだ。
「しかし、橙の可愛らしさといえばッ!!それはそれはもうっ!!」
「そうか、大変だな」
藍の積もる話に対して逐一相槌を打つレミリア。
「元は猫の妖怪ではありますが、もともとの猫型の姿も愛くるしいものがありますが、ヒト型になった時の姿の可愛らしさといったら、もう、筆跡に残すことすら憚れてしまうくらいの可愛さでッ!!」
「そうか、大変だな」
「よく『藍しゃま~』となついてくるときにはもう……。しかし、基本的に放浪癖があって、よく気を引くためにマタタビを使って橙を操ることもありますが、その時の可愛さも……………」
「ソウカ、大変ダナ」
今度はゆっくりとかみしめるように思い返しながら橙との思い出を熱く語る藍。
心なしか、藍の橙トークに目が虚ろになっていくレミリア。
藍がこうして式神という立場ながら自身も式神を使役することになったというのは、彼女の『式神を使役する能力』が一因するが、もともとは、彼女の突拍子もない『式神を使役したい』という紫への申し出である。
それはそれはもう紫をパニックにさせるに至った申し出、それはレミリアが関係してしまっているということはレミリアも紫も知ることはなかった。
その為、可愛い式神を愛でたいという新しく生まれた藍の願望によって誕生したのが式神『橙』である。
その時の藍といったらもう、人前に見せてはいけない顔になってしまったことを紫に窘められてしまうほどであったそうだ。
基本常識人が堰を切れば暴走するとはよく言ったものだ。
普段まじめな藍が屋敷では自分の式神を溺愛するというギャップに紫は困惑を禁じえなかったのだ。
何かといろいろ橙には甘い藍ではあるが、紫に使役されている手前、自分の式神も間接的には紫に使役されているということと同義である。
そう考えた藍はよく橙に式神としての心構え等教えていくのだが、それは橙には甘い藍である。
あまりいい成果は得られなかった。その結果、橙は妖怪の山で放浪していたりと好きなところを転々としてしまっているのだ。
確かに橙は可愛いのが悪いが、これではどうしようもないし、紫様の手前、あまりよろしくはないだろうと考え、少し時期に咲夜を教育していたといわれているレミリアに意見を求めに紅魔館に来ることになったのだ。
しかし、紅魔館に来たはいいものの、橙に対して語っていくうちに橙への愛情が次第に増してきて、結局、レミリアの面前で橙に対する愛を告白していくというレミリアにとって地獄のような時間が始まってしまったのだ。
「………で、結局?」
「橙は可愛いんです!!」
「……………そう」
駄目だ。話になんねぇ。
そうレミリアは頭の中で結論をだし、苦笑いをしながら紅茶を口に含んでいくのだ。
「しかし、そのままでは不味いこともあるだろう?お前の式なんだから」
「………ええ、そうですね。確かにこのままではいけないということは重々承知しておりますとも」
「ふむ…………」
そうして、レミリアも橙に対しての教育等の案を考え始める。
といっても実際の橙という子を見たこともなければ、藍から出るのは橙に対する愛のみであるため、どういった子なのかわからない。
その為、具体的な案は出せないとこにあるのだが、と思ったところで少し考え、そして編み出した。
「………まぁ、参考になるかはわからないが、パチェの方から『猫の正しいしつけ方』とか言ったような本を貸し出してやろうと思うが。まぁ、妖怪でも元々は猫なんだろう?だったら参考になるかはわからんがそれから引用して試した方がいいだろうな」
「………ええ、解りました。感謝します」
結局は、猫なんだから猫と似たようなしつけをすればいいだろう。
そうレミリアは結論付けた。
「しかし、頼もしいですね。こういった悩みを公言できる相手がいるということは」
「………………ああ、………うん」
そう、安心したようにほっと一息つく藍にぎこちない返事を返すレミリア。
それはそうだ。先ほどからの橙に対する話は悩みというより、むしろ親ばk。いいや、やめておこう。
「しかし、そちらの人間、「十六夜咲夜」さんについてはどういった教育方法だったんですか?紫様がここ6年と少しで見違えるほどに成長したと仰っていられましたが。」
「……!ああ、そうだな」
今度は自分の方に会話を振ってきた。そう、6年前と大きく成長し、立派なメイド長となった『十六夜咲夜』について、どういった教育をしてきたか。
「………そうだな、毎日武芸、教養、学問、礼儀、言葉遣い。ありとあらゆる分野をじっくりと長時間覚えさせていたな」
主に美鈴、パチェ、フラン、小悪魔が。
「…………………」
少しだけ固まってしまった藍であったが、まぁそれくらいしていればそりゃ立派になるよなと、藍は思った。
「まぁ、長時間はやはり疲れるから、それのケアを私が重点的に行っていたさ」
「ふむ…………」
そう、レミリアがやっていることは端的に言えばアメとムチのような教育である。
叱るときには叱り、厳しい教育を施し、そしてそれらをこなしたらレミリアの抱擁というご褒美だ。
まぁ、咲夜の元々のスペックが高く、有能であったからこそ成り立った教育方法ではあるが、使いようによっては一般の子の教育にも使えるものである。
その為、藍にとっても有益な情報ではないだろうか。
うまくいけば、橙への教育にも使える。そう考えたからこそ藍は真摯にレミリアの話を聞いているのだ。
「しかし、まぁ、おすすめはできん、並みの妖怪であってもその教育方法は体を壊す危険性があるし、私のケースは失敗とも成功ともいえないものだったからな」
そのレミリアの釘をさす言葉にはっと我に返る藍。
…………失敗?失敗と言えば。
「咲夜が最近、紅茶に変な薬物を入れていることもある」
「最近霊夢が修行をサボるようになってしまいました」
「「……………………」」
「…………咲夜が私の着替えを覗こうとしてくるし」
「…………前から教えていた家事をめんどいといって放棄気味になってしまったり」
「……………………咲夜がフランと仲が悪いし」
「……………………霊夢が昔、『紫と洗濯物一緒にしないで』と言って紫様を悲しませてしまったり」
「……………………咲夜が自室のベットの下に本を、……………」
「……………………昔は素直で後ろをついてくる可愛い子だったのに今は……………………」
「「……………………」」
「藍」
「はい」
「橙の教育、絶対に成功させるぞ。私も惜しみないサポートを約束する」
「感謝します」
「藍!!」
「レミリアさん!!」
そういって、固い握手を交わして互いに決心をするレミリアと藍。
そう、結局はどちらも元々は育児失敗したような?身なのだ。
今度こそはと、互いに決意を宿らせた。
咲夜の二の舞には/霊夢の二の舞にはさせない!
そんな両者の思惑がそこにはあったのだろう。二人の間には何か似通った友情のようなものすら芽生えているのだ。
元々は敵同士ではあったものの、共通しているような悩みを抱え、固い契りを交わし、親交を深めていったのである。
「らんしゃま~!」
「ちぇえええええええええええええん!!!」
結局は橙に甘い藍である。
紅魔館で宿した決意は橙によってもろくも崩れさったのであった。
「それでですね!?やっぱり橙は可愛いなぁと!!」
「ソウカ……………………」
結局は徒労であったかと、少しレミリアは後悔するのであった。
しっかし30話も原作前でよく引っ張っていたなぁと思います。
じれったくさせてすみません!