私レミリア♂紅魔館がヤバい!   作:たぶくむ

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紅霧異変 ~5~

「ああもうっ!めんどくさいッ!!」

 

 

今、霊夢は紅魔館の廊下を駆け回っている。

 

この異変の首謀者であり、そしてこの館の主を探しに。

 

 

「待ちなさいッ!」

 

 

後ろから追ってくる紅魔館のメイド長、『十六夜咲夜』から逃げながら。

 

 

ただ、消耗しきっている咲夜と、未だ万全の状態である霊夢では飛ぶスピードに差があるため、そんな霊夢の足止めとして、咲夜は霊夢の向かう道中に自分の部下たちである妖精メイド達を迎撃にあたらせて。

 

 

しかし、天性の才能がある霊夢にとっては妖精メイド達など、敵ではないのだが、こうも倒しても倒しても次々と現れる妖精メイド達に霊夢は少しばかりの苛立ちを感じながら倒していくのだ。

 

 

「ご主人様の元には行かせないよッ!!」

 

 

「メイド長とお坊ちゃまの為に死ぬ気で止めろッ!!」

 

 

ただ、物量というのはそれだけでも驚異的であるのにここにいる妖精メイド達は異様に自分たちの主や上司を崇拝しているかのような忠誠心を持つもの達だらけの集まりだ。

 

 

死にもの狂いの妖精メイド達に霊夢は足止めをくらい、後ろを顧みずに向かってくる妖精メイド達に屈辱的ながらもスペルカードを使わせられるところまで行ってしまった。

 

 

「………ここは、こっちね」

 

 

ただ、霊夢は持ち前の超人じみた勘の持ち主であり、自分の勘を頼りに紅魔館の廊下を疾走しているのだが、どれも的確にレミリアの元へと向かっている道のり通りに進んでいる。

 

 

レミリアに近づいていくにつれ、次第に妖精メイド達の抵抗が激しくなっているということを霊夢は肌身に感じながら、異変解決の為にレミリアの元へと急ぐのであった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……………………」

 

 

霊夢は自身の勘を頼りに廊下を進んでいった結果、偶然にも紅魔館の屋上へと到達した。

 

 

辺りはすっかり暗くなり、月の明かりが照らしている。

 

 

霊夢はもうこんな時間になってしまったのかと思うとともにふと上空を見上げてみる。

 

 

「……………………紅いわね」

 

やはりというべきか、未だ紅い霧に覆われている空を見上げ、霊夢は思ったことを口に出すのである。

 

 

「……………ようやく来たのね」

 

 

 

「…………またあんたか」

 

 

上空をふと見上げていた霊夢に声をかけるのは、後ろから追ってきたのであろう咲夜だった。

 

 

咲夜は少しだけ、能力が回復した咲夜は一足先に霊夢を先回りしていたのである。

 

 

「………ご主人様の元へは絶対に行かせない。貴女は今、ここで…………ッ!」

 

 

「………………」

 

 

キッと霊夢をにらみつけてそう言う咲夜にはどこか鬼気迫る勢いを感じられ、それに当てられたのか霊夢は少しだけ怯む。

 

 

「あんたに構っている暇はないわ」

 

 

「…………何をッ!」

 

 

「私はあんたに話があるのよ。そろそろ姿を見せていいんじゃない?」

 

 

霊夢は咲夜の方、正確には咲夜よりもさらに向こう側を見ながらそう言っている。

 

 

「……………………ッ!!」

 

 

「館の主さん?」

 

 

咲夜ははっ、と霊夢が自分を見ておらず、自分の後ろにいるであろう誰かに問いかけているのを感じ、まさかと思う気持ちで後ろをバッと振り返る。

 

 

「ほう、私に気が付くか、流石だな」

 

 

「…………お坊ちゃまッッッ!!??」

 

 

「……………………」

 

 

霊夢の見ている方向、そこにレミリアはいた。

 

 

紅く染まっている月を背後に大きな翼を空闊とさせ、咲夜と霊夢を見下ろしている悪しき吸血鬼がそこにはいた。

 

 

咲夜はレミリアからあふれ出る威圧感をを肌一身に受け、そのプレッシャーに呑まれながらも、これまで、慈愛の表情で優しげであったレミリアの姿とは到底かけ離れているレミリアの姿を見て、驚愕と同時に圧されている。

 

 

霊夢はといえば、無表情でレミリアを見つめてはいるが、レミリアから放たれている威圧感に呑まれ、無表情を貫いてはいるものの、冷や汗を流す。

 

 

レミリアから放たれる妖気は、それこそ力のある妖怪であるということを証明し、レミリアから放たれている威圧感は、まさに強大な支配者そのものといってもいいほどであるのだ。

 

 

 

(……………これは、厳しいわね)

 

 

霊夢はそんなレミリアを見て、心の中でそうつぶやく。

 

 

霊夢も、レミリアはこれまでと格が違うということを肌に感じている。

 

 

それこそ、自分以上の実力の持ち主であるということを暗に確信までに至っているのだ。

 

だが、自分はあくまでも博麗の巫女。異変解決せねばどうして博麗と名乗れようか。

 

 

所謂、博麗の巫女としての矜持が霊夢を突き動かしているのだ。

 

 

「あんたがこの異変の首謀者ね」

 

 

「いかにも」

 

 

レミリアのその一言だけでも十分な威圧感を感じてしまうほど。

 

 

その威圧感に当てられて霊夢は冷や汗を流し、心の中で無意識的に弱気になってしまっているのだ。

 

咲夜もそのレミリアの威圧感に当てられて、十分に動く事させままならぬほどであろうか、苦しそうに、しかし倒れてはならないと苦しそうだ。

 

 

「この異変、私たちにとってはすごく迷惑なのよ、この霧を無くしなさい」

 

 

「…………無理だな、あの忌々しい太陽を無くしたのだ。お前の言葉など受け入れる気にならん」

 

 

「なら、ここから出ていってくれる?」

 

 

「うん?ここは私の城だぞ?出ていくのは侵入者であるお前だろう」

 

 

「この世から、よ」

 

 

「ほう……」

 

 

レミリアは面白そうな笑みを浮かべながら霊夢を見る。よもや人間程度が高貴な吸血鬼である自分に対してこうも豪語できるのか、と。

 

 

随分据わった肝だ。これが単に蛮勇なだけではないことを祈るが。

 

 

「…………お坊ちゃまッ!!お坊ちゃまが出るほどのことでもございませんッ!!ここは、私がッ!!」

 

 

咲夜は主の手を煩わせてはならないと、立ち上がって、レミリアにそう言って、ナイフを取り出す。

 

 

「……………………」

 

 

霊夢は向かってくるであろう咲夜に対して、自分もいつ動けるように片手にお祓い棒、もう片方に数枚のお札をもって戦闘準備を備える。

 

 

「よい、咲夜、控えろ」

 

 

「ッ!!!しかしッ!!」

 

 

「控えろ、と言ったはずだ。咲夜」

 

 

「ッ!!??」

 

 

「………………ッ」

 

 

咲夜に対して言い放つレミリア。

 

 

咲夜は一層強くなったレミリアの威圧感を受け、その場で跪く。

 

霊夢も、流れ弾でその威圧感を受けて圧される。

 

 

「………ッ!かしこ、まりましたッ」

 

 

「ここは私が引き受ける、咲夜、お前は紅魔館の後始末でもしていろ」

 

 

「……………はっ、御心のままにッ」

 

 

そう言って咲夜は一瞬の内に能力を使ってその場から離れていった。

 

 

 

「護衛であのメイドを雇っているんじゃないの?」

 

 

「ふん、咲夜は優秀な掃除係だ。おかげで首一つすら落ちていないさ」

 

 

「………あんたは……いや、聞くまでもなく強そうね」

 

 

「さあな?外にも出してもらえない箱入りなものでな、なにせ日光に弱いものだから」

 

 

嘘だ。と霊夢は心の中でそう吐き捨てるように言い放つ。

 

ここまで威圧感を放ってくる相手が箱入りの貧弱ではないくらい自明の理だ。

 

 

「だが、まぁ、今宵はこんなにも月が紅いから………本気で殺すか?

 

 

「……………ッ」

 

 

レミリアは紅い瞳で霊夢を見下ろしながらそんなことを口に出す。

 

 

さらに妖気が濃くなり、その体から発せられる威圧感も強くなっていく。

 

 

対する霊夢も自身の中に無意識的に植え付けられた恐れと怯んだ気持ちを押しこらえながらもお祓い棒を持ち直して構える。

 

 

「…………さっさと異変を解決したいの。早々に倒されてくれることを祈るわ」

 

 

「…………それはどうだろうな?」

 

 

「……………はぁ、こんなにも月が紅いのに」

 

 

 

 

 

 

「「永い(楽しい)夜になりそうね(だな)」」

 

 

その瞬間、霊夢は空へと飛び出し、レミリアは弾幕を放つ。

 

 

 

幻想郷。スペルカードルールが定まれて最初の異変、後に紅霧異変と呼ばれた異変は、とうとう終盤へと到達した。

 

 

吸血鬼『レミリア・スカーレット』

 

博麗の巫女『博麗霊夢』

 

 

この二人の弾幕ごっこが今、始まった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「うわッ!!ちょっ、ちょっと待てってッ!!」

 

 

「アハハハハハハ!!!せいぜい無様に避けて見せてよッ!!」

 

 

図書館内、白黒の魔法使い並びに泥棒。霧雨魔理沙と、その泥棒退治の為に図書館内に派遣されたフランドールが弾幕ごっこを繰り広げている。

 

 

しかし、形勢的にフランが優勢なのか、魔理沙はフランから放たれる弾幕を避けるのみであり、効果的な反撃ができないでいる。

 

 

必死にフランの弾幕を避けていく魔理沙に、その姿が滑稽なのか、さらに弾幕の濃度を濃くして魔理沙を追い詰めていこうとするフラン。

 

 

愉しそうに笑いながら魔理沙を追い込んでいくフランの姿はまさしく悪魔、それも吸血鬼だと再認識するほどである。

 

 

いつもは無邪気な表情を浮かべ、子供らしい一面があるフランだが、今回ばかりは黒い笑顔で愉しそうに笑っている。

 

 

 

 

 

「……………………」

 

 

「―――ぷはッ!!た、助かりました。あ、ありがとうございます……………」

 

 

弾幕ごっこに興じている二人から離れたところに、パチュリーと射命丸文がいた。

 

 

口を塞ぐように貼られていたテープをはがしてやったパチュリーにお礼を言う文。

 

 

「し、死ぬかと思いました」

 

 

「…………まぁ、同情はするわ」

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

まぁとばっちりでフランに捕まったのだ。そんな状況に自分を当てはめてもあてはめなくても十分に同情できる。

 

 

「………まぁ、無断で紅魔館敷地内に侵入したのは事実だから、それに関しては別話ね」

 

 

「…………………あ、あやや、それは………それもそうですね」

 

 

うーんと悩むそぶりを見せていたが、結局は事実であるため、力なくうなだれる文。

 

 

未だ縄はほどかれていないため、満足に体を動かすことができなければその場から逃げ出すこともできない。

 

 

「まぁ、処罰は後でここの主に下してもらうから、今は祈っておきなさい」

 

 

「…………………祈る、ですか?」

 

 

はへ? とキョトンとしてパチュリーに聞き返す文。何をどのように祈るのか。それが見当もつかないようだ。

 

 

「目の前の馬鹿2人が、ここを壊さないようにすること、よ」

 

 

「……………………………」

 

 

その言葉を聞いて文は再び青ざめる。

 

 

現在魔理沙とフランが弾幕ごっこを繰り広げているが、両者の特徴を話しておきたいと思う。

 

 

現在、両者は全力近くで弾幕ごっこを繰り広げている。

両者、火力特化型である。以上。

 

 

「………わ、私を絶対に見捨てないでくださいねッ!!??」

 

 

「………………善処はするわ」

 

 

とりあえず図書館全体に結界を張っておいてはいるのだが、いつ壊されてもおかしくはないだろう。

 

 

願わくば、どうか穏便に弾幕ごっこを終わらせてくれればと、考えてもどうしようもないこの状況にパチュリーは思った。

 

 

とりあえず、弾幕ごっこの被害を受けないようにと本棚に隠れて震えている自分の 使い魔(小悪魔 )を何とかして動かさなくては。

 

 

パチュリーは紅魔館を、特に図書館内を破壊されないように動き出すのだ。

 

 

 




けんじゃ「~~~~ッ!!!」


きつね「???ど、どうなされたのです?」


けんじゃ「放っておいてッ!!」


きつね「は、はぁ…………」
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