『紅色の幻想郷』
レミリアのスペルカードが告げられた瞬間、紅色の弾幕が高密度に展開される。
全方位に放たれていく大弾
それらを避ければ次は細かい弾幕が襲い掛かってくる
細かい弾幕が大弾の穴を埋めるようにして放たれるため、列を抜けて弾幕を避けるということができず、大胆に弾幕を回避するということができなくなってしまった。
「………………ッ!」
その為、霊夢がこの弾幕を躱すには、最小限の動きで弾幕を避けざるを得なくなってしまう。
しかし、次々と向かってくる弾幕、大弾に気を取られていれば細かい弾幕が目の前までに迫り、細かい弾幕に気を取られていると今度は大弾が。
一時すら油断してしまえば即座に被弾してしまうであろうということは霊夢には痛いほど痛感しているのだ。
反撃としてホーミングアミュレットを放っても、蝙蝠となってそれら弾幕は容易に回避されてしまうため、無駄に終わってしまう。
「霊符『夢想封印 散』ッ!!」
苦し紛れに霊夢もスペルカードを宣告するが、このスペルカードは攻撃のためではなく、どちらかといえば、回避型、周囲の弾幕を打ち消して、高密度の弾幕にどうにかして避け道を作るという目論みである。
当然、守りのためのスペルカードはレミリアへの効果的な攻撃にならず、一方的にレミリアのスペルカードでも攻撃を許してしまっているという現状だ。
「蝙蝠『ヴァンパイアスウィープ』
レミリアの『紅色の幻想郷』に苦戦している霊夢を見てか、レミリアは勝負を決めにかかった。
霊夢への高密度の弾幕とは別に、ホーミング性能のついた弾幕を放っていく。
軌道を描いて6つの弾幕は霊夢へと突撃していく。
「……………クッ!!??」
高密度に圧していく弾幕にすら手を焼いているのに、今度は追尾性能付きの弾幕と来たものだ。
霊夢は未だ効果が残っている『夢想封印』を利用して周囲の弾幕を打ち消しながら、追尾してくる弾幕から逃げるように飛び回っていく。
飛び回って、『夢想封印』のスペルカードがブレイクした時には、追尾してくる弾幕に対して距離を十分にとることができたため、追尾してきた『ヴァンパイアスウィープ』の弾幕を撃ち落とす。
「まだまだ、終わりだと思ってもらっては困るッ!!」
「運命『ミゼラブルフェイト』」
「………………ッ!!」
続けざまにレミリアのスペルカードが霊夢を襲う。
次は紅色の鎖が霊夢へと襲い掛かる。
「…………早いッ!!??」
先ほどの追尾弾幕とは速度が段違いだ。
気が付けばすぐに霊夢の近くへと迫る。
霊夢も自分の飛行速度をできる限り上げて迫りくる紅の鎖から逃げ回る。
何本もの鎖、これらすべて霊夢へと向かってくる。上から来たと思えば下から、左右から、四方八方から紅い鎖が霊夢を襲う。
霊夢も向かってくる紅い鎖に対して『グレイズ』しながらも躱し、そしてその鎖から逃れるように飛び回っていくのだ。
当然、向かってくる鎖から回避するのに頭がいっぱいであり、レミリアのことなど考える暇すらない。
嫌がらせのように鎖とは別に四方から弾幕が放たれ、それらが霊夢の動きを制限されてしまい。弾幕を回避していた霊夢は気が付きば『グレイズ』の回数が多くなっていき、とうとう素肌へと弾幕や鎖がかすってしまう。
(……………………これ以上は、無理ッ!!)
必死な表情で弾幕を躱して言っているものの、それらは霊夢の人外的な直感によってのものが大半であり、迫りくる弾幕には直感が危険を告げていても身体が付いてくるとは限らない。
(………でも、そろそろスペルカードがブレイクするはずッ!!)
しかし、レミリアのスペルカードの制限時間もそろそろ終わりに近づいてくるであろう目測が霊夢がここまで必死に弾幕を回避していくことの後押しをしてくれる。
霊夢は必死に、どれだけかすり傷を負ったとしても、レミリアのスペルカードの制限時間が過ぎることをただ待つのみ。
「……………………ッ!!」
どれだけ回避していたのかもわからないほど必死で弾幕を回避していた霊夢は唐突に弾幕がなくなったことに気が付いた。
(ブレイク…………した…………?)
半ば呆然の感情が多かったものの、すぐに状況を把握していく。
(…………ッ!そうだ、
気がついた時にはもう遅かった。
上空を見上げる。
一層紅く、まるで血塗られているかのように紅い月を背中に、大きな翼をした紅い瞳が霊夢を刺すように見下ろしているのだ。
「……………ッ」
その紅く、威圧的な目に霊夢ははっきりと怯えの表情を無意識的に浮かべてしまった。
霊夢を見下ろしながら、レミリアは後方の月へと右手をかざすように手を出している。
その右手からは並々ならぬ妖気が集まっていき、ある一つの物体を模っていく。
それは、まるで命を刈り取るのではないかと思うほどおぞましく紅い槍。
到底人智では覆すことのできないほどの妖気とその力。
霊夢はその光景をまざまざと見せつけられる。
「そろそろ、終わりにしてやろう。博麗の巫女」
高圧的な目で霊夢を見下ろすレミリア。口は好戦的で、そして不敵な笑みが浮かべられている。
まるで、自分を相手によくぞここまでやれたものだ。と格下の奮闘を賞賛し、それでいて愉しそうに。
バチバチと妖気が一転に集中しているため、魔力が膨張して、まるで雷のように周囲に巻き起こしていく。
「神槍『スピア・ザ・グングニル』
音すら置き去りにして、さらに光を超して向かってくるのではないかと思うくらい高速で向かってくるレミリアのグングニルを前に霊夢は茫然と、ただ貫かれるのを待つただ一匹の獲物に過ぎないのである。
その妖気に当てられて、気を失っていく霊夢が最後に見たものは、目と鼻の先に接近していく『グングニル』だった。
『グングニル』が霊夢を貫く。
その瞬間。
「――天生」
そんな声が、グングニルの方向から聞こえた。
「………なッ!!??」
そこで初めてレミリアの顔に驚愕の表情が浮かび上がった。
霊夢を貫くはずのグングニルが突然霧のように消散していき、そこにいたのは何やら神々しいオーラをまとっていた霊夢の姿であった。
そして、そのオーラを纏ったまま霊夢はレミリアへと突撃していく。
周囲にお札の弾幕を形成させながら、そしてレミリアの弾幕に負けず劣らずの速さと威力で襲い掛かってくるのである。
「………………ッ!!」
完全に攻守が交代した瞬間であった。
レミリアがいくら弾幕を放とうともすべて霊夢の神々しいオーラによって打ち消され、逆に霊夢から放たれてくる弾幕がレミリアへとものすごいスピードで向かってくるのである。
霊夢がレミリアをすっと見据えているが、その眼は先ほどまでの霊夢のけだるいような目ではなく。なんとなく言葉に表せれない雰囲気がそこにはあった。
次第にレミリアを追い詰めていく霊夢。今度はレミリアが必死になる番である。
「………………クウッ!!??」
迫りくる弾幕をすれすれで躱しながら。反撃という反撃すらできないほどレミリアは追い詰められていくのだ。
「ッ!?」
オーラを纏った霊夢がレミリアを圧倒していく中。
唐突に霊夢が力を無くしたように脱力して。そのまま下降していくのであった。
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『紅霧異変』
約10年前、幻想郷に侵入して『吸血鬼異変』を起こしたレミリア・スカーレットが再び起こした異変であり。
14代目博麗の巫女『博麗霊夢』が就任してから数か月後、『スペルカードルール』が初めて制定されて初めての異変である。
レミリアは太陽の光を遮断するため、太陽の光を紅い霧によって覆った。
それにより、住人の体調が不調になったり気分が悪くなったりと悪影響が及ぼされてしまうことになる。
紅霧異変は 14代目、『博麗霊夢』が住人たちの体調被害を鑑みて初めての異変解決に向かった異変として記憶に新しい。
霧の湖の妖精たちをなぎ倒し、紅魔館の門番、そしてレミリアの従者を倒していった霊夢はレミリアへと最後の弾幕勝負を挑むことになる。
その戦闘は激戦を繰り広げられ、遠くからでもその激戦が見えるほどであったという。
『弾幕ごっこ』での戦闘でありながら、激しく戦闘を繰り広げられてはいたが、見たもの皆、その激しさとは裏腹にその弾幕が彩る『美しさ』に見入るものが大半であっただろう。
霊夢とレミリアの弾幕ごっこは長きにわたったが、多くの者たちが固唾をのんで見守っていた激戦にもとうとう決着がついた。
激戦が繰り広げられた後、観衆はみんな歓喜に沸いた。
紅い霧がすっかり消え去っていったのである。
そして、観衆はみな、その意味を理解した。
即ち『霊夢の勝利である』と
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「…………やれやれ、ここまで、とはな」
撃ち落とされたように気を失いながらゆっくりと降りてくる霊夢をしっかりと抱きとめたのはレミリアであった。
所謂『お姫様抱っこ』である。
対面したときは気だるそうに、そして生意気そうな雰囲気と口調であった霊夢だが、この時ばかりはすやすやと整った寝息を立てて、あどけない表情で寝ているのは年相応で可愛らしいものだ。
衣服は弾幕を回避したときにボロボロになっており、所々かすり傷もできているが、霊夢の少女らしく整った顔は健在である。
対するレミリアは比較的目立つような怪我も、衣服の綻びすらないように見える。
まだまだ万全で、続いての戦闘の余力を残しているようにも見える。
……………ただ一か所、素肌を晒し、素肌からは被弾の跡らしきものが浮かび、煙だっており、衣服もぼろぼろになっている右肩を除いて、
これは、気を失って下降していく霊夢を急いで抱き留めた後、突然の肩の痛みに気が付き、できたものである。
霊夢の弾幕にいつの間にか被弾していたという事実をレミリアははっきりと理解したのだ。
「……………負け、だな」
そう自分自身に言うようにつぶやいたレミリア。
ただその表情は悔しいといった感情ではなく。心底愉しいとばかりの笑顔であった。
「…………まぁ約束通り、霧は晴らしてやろう。よくやったな。博麗霊夢」
そう言って霊夢の頭を親のように、なでるレミリア。
「……………………ん」
霊夢はくすぐったそうに、それでいて心地よさそうに声を漏らす。
その可愛らしい姿にふっとレミリアは聖母のような笑みを浮かべる。
それは悪魔として恐れられていた姿とは正反対である。
「………強くなれ、お前はまだまだ強くなれる。」
レミリアは言い聞かせるように眠っている霊夢に告げる。
「しかし、数奇な運命だな。これは、私の予想していた運命とは別物。それも、寸前のところで覆してしまったとは…………。」
レミリアは安心したような顔をして眠っている霊夢を撫でながら言う。
「………末恐ろしいな。 だが、楽しみでもある」
自身の絶対的な運命を覆して、勝利という運命を私からつかみ取ってしまったこの眩いほどの輝きを放つこの原石に。
「お前は
そう言って、大きな翼は手の中にある少女を守るように優し気なものであり、慈愛の笑みを浮かべながらゆっくりと霊夢の頭を撫でるレミリア。
一枚の絵かと思われる光景がそこにはあったのだ。
それは、紫が霊夢を迎えに来るまで続いたそうな。
余談ではあるが、何か物欲しげな表情を浮かべた紫がレミリアにとって印象的だったのは覚えている。
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「……………………逃げられちゃった」
ぽつんと大穴が開いた先を見つめながら茫然とフランが立ち尽くしている。
夜明け近くになり、太陽が顔を出すころでもあるため、魔理沙を追うことができないのである。
『逃げるついでに、これ、借りていくぜッ!!』
逃げる寸前に、どこからか持ってきたのか魔導書を手に持ちながら箒に乗って逃げていった魔理沙。
大穴を開けたのはフランでもあるため、自業自得と言ってはそうなのだが。
「……………散々、暴れてくれたわね?」
「……………………ッ!!??」
背後からかけられる声にフランは無意識にビシッと背筋を伸ばして反応する。
ギギギとぎこちなく後ろ向いた先には、笑顔のパチュリーが。
その笑顔には何やら威圧感が。それはレミリアの放つ威圧感すら余裕で越えてしまうほどの威圧感が放たれているのである。
「…………それに、肝心の魔導書すら盗まれる始末、と来たわね」
「……………………パ、パチュリー?」
ゴゴゴと効果音が付くのではないのかというほどの威圧感がフランを震え上がらせる。
「…………ッ!??ご、ごめッ!!」
そこではっと自分の役目を思い出したフランは青ざめた表情を浮かべてパチュリーへと謝罪の言葉を口にしようとする。
「お仕置き、かしらね?妹様?」
その後、図書館内に、吸血鬼の悲痛な悲鳴が鳴り響いたらしい。
「…………………に、逃げられる…………?なら、今のうちにッ!」
「……………それは無理よ」
「……………あ、あやや、あはは」
魂魄妖夢 人気投票ランキング一位おめでとう!