私レミリア♂紅魔館がヤバい!   作:たぶくむ

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誰もいなくなる?

快晴の青空に太陽が顔を出す。

 

辺りを強く照らし、季節は未だ夏であるということが見て取れる。

蝉が神社周辺から歓声を挙げるが如く、協和する。

 

 

「………………ズズッ」

 

 

神社の巫女、博麗神社に仕え、生活している博麗霊夢が本殿の縁側にてお茶をすすりながら外を眺めている。

 

 

陽射しが強く、まだまだ暑い季節であるため、霊夢の頬に一筋の汗が滴っている。

 

 

霊夢は一仕事、神社周辺を掃除し、やることを済ませた後、暇になった時間、この暑い季節の中でも唯一の至福の時ともいえる時間を過ごしている。

 

 

霊夢は今この時間がかけがえのない幸せな時間なのだ。

 

 

「………で、どうしてあんたはここにいるのよ」

 

 

「…………いや、すまんな」

 

 

隣にいる、レミリア・スカーレットさえいなければ、の話だが。

 

 

一息ついて、隣に座っているレミリアに声をかける霊夢。

 

 

縁側は日陰になっているようで、レミリアが持参していた日傘は折りたたまれてレミリアの傍に置かれており、今レミリアが手に持っているのは霊夢と同じ湯呑。もちろん中身も同じだ。

 

 

「謝罪はいいから」

 

 

「………ああ、それはだな……………」

 

 

レミリアが博麗神社にお忍びで邪魔している理由は、数刻前にさかのぼる。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふーっ、楽しかった!」

 

 

「……ぜぇ……………ぜぇ…。死ぬかと思ったぜ」

 

 

紅魔館の地下図書館では、満足げな笑顔を浮かべてすっきりしているフランと、どこか疲れている顔で息をついている魔理沙がいた。

 

 

以前、パチュリーと交わした約束通りに借りた魔導書を返しに来た魔理沙であったが、そこでうっかりフランと鉢合わせになってしまったのが運の尽き。

 

フランの強制という名の要望によって、なぜか弾幕ごっこをすることとなった魔理沙。

 

 

パチュリーが止めるかと思えば、むしろ推奨するくらいだ。

 

 

何でも、進化した結界の出番ね。だとか、妹様の魔法がどれくらい成長したか。

 

とかいった理由から、弾幕ごっこを推した。

 

 

逃げ場もなく、かといって逃げ出すこともできず、流されるがままに弾幕ごっこを行うことになった。

 

 

なんとかフランの弾幕を自分のスペルカードを駆使して躱していくのが何回、何回と繰り返していくうちにいつの間にかフランは満足したようだ。

 

 

 

「………ふぅ、ふぅ、もう少し手加減してくれたっていいんだぜ?」

 

 

「それじゃ、楽しくないでしょ?」

 

 

「私は楽しくなんてないぜ、毎回毎回必死だっての」

 

 

そういう魔理沙は 囲んで追い詰めてくる弾幕だったり、時計、逆時計と、弾幕の壁を張り巡らして来たりと初めて見るフランのスペルカードにかなり苦戦したが、かろうじて生き残ることが出来たようだ。

 

 

人間である身であるため、吸血鬼の弾幕を食らってしまったらどうなってしまうかわかったものじゃない。

 

 

………………死にはしないだろう。恐らく。

 

 

「もう一回する?」

 

 

「勘弁してほしいぜ、今日はもう帰るぜ」

 

 

「あら、残念」

 

 

「……それにしても、フラン」

 

 

「……?なーに?」

 

 

「なんだっけか、あの、突然姿が消えたら周りから弾幕がブワァァッて追いかけてくるスペカ」

 

 

「秘弾『そして誰もいなくなるか』のこと?」

 

 

「ああ、そう、それそれ」

 

 

秘弾『そして誰もいなくなるか』 

 

フランのスペルカードであり、フランが姿を消したと思ったら、突然追尾式の弾幕が魔理沙を追いかけてくるものだから魔理沙はたまげたものだ。

 

 

逃げても逃げてもその後をついてくる弾幕、それが次第に数を増やし、どんどんと逃げ道を防がれて、自身に迫ってくる弾幕。

 

解決策など本体であるフランが姿を消してしまっているためどうしようもなく、スペルカードブレイクを待つのみでしか効果は切れない。

 

 

所謂『耐久型』のスペルカードである。

 

 

「あれってさ、あれだろ?一人になったら~、のやつだろ?」

 

 

「あら、解るの?誰から聞いたの?」

 

 

「有名な童謡だぜ」

 

 

いろいろな場所で意味が所々変わっている所もあるが、有名な童謡で、幅広く知れ渡っている『10人のインディアン』

 

題名の通り、10人のインディアンが一人一人と姿を消してしまい、最終的には誰もいなくなってしまうという内容だ。

 

 

「私の予定だったら最後の一人は魔理沙だったんだけどね」

 

 

「へへっ、あいにく、弾幕避けは得意なもんでね…………。残念だったな、最後の一人はフランになっちゃって」

 

 

「……いいもんね。どうせ私は首を吊ったところで死なないし」

 

 

「おん?首吊りだなんて醜いぜ?本当の歌通りにしとけばいいのぜ」

 

 

「…………本当の事って?」

 

 

キョトンと目を丸くして首を傾げて魔理沙を見てくるフラン。

 

『10人のインディアン』は10人のうち一人一人事故に巻き込まれて行方不明になっていたり、途中で離脱したりとあまり好ましくない内容でもあるのだ。

 

 

そのため、最後の一人になってしまったら『首をつって自殺してしまう』という残酷で冷笑的な歌詞でもある。

 

 

しかし、魔理沙の言う通り、最後の一人になってしまった子には自殺以外にも別の解釈がされており、どうやら魔理沙はそちらの方を知っている様だ。

 

 

「ああ、それはだな…………」

 

 

魔理沙は首を傾げているフランに耳を貸す様に言う。

魔理沙はフランの耳元に告げるように口を近づけていく。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「という訳で、ねっ!お兄様!結婚しよ!結婚!」

 

 

「何がどうして『という訳で』なんだ!?全くもって意味が解らん!!」

 

 

 

 

『最後の一人は結婚して誰もいなくなるんだぜ』

 

 

『そっちの方が最後の一人になったとしても嬉しいもんだろ?』

 

 

 

レミリアが起きた時には既にフランが部屋に侵入してきた挙句、こんなことを言ってきた。

 

話を聞いていたとしてもどうしてフランと結婚しなければいけないのかということを理解できない。

 

 

「私が最後の一人だから!結婚しなきゃ!!」

 

 

「いやいやいやいや!それはおかしい!! そもそも私達は兄妹だろう!!」

 

 

「愛に血族なんて関係ないよお兄様!!」

 

 

「だぁぁぁぁぁぁ!!やめろぉぉ!服に手を掛けようとするなぁ!!」

 

 

馬乗りになって服に手を掛けようとするフラン。

それに対して必死になって抵抗するレミリア。

 

 

しかし、無情かな。ここぞという時にフランが見せたことのない力を見せてレミリアは押され始める。

 

 

「その童謡を元にして作られた長編推理小説がありまして、読んでみましたらとても興味深かったですよ?お坊ちゃま。特に、殺害方法が」

 

 

「どうして咲夜はしれっと私の部屋に入ってきているんだ!?いや、それはいいからフランをどうにかしてくれ!!」

 

 

「ええ、かしこまりました。………にしても、最後の一人は自殺でも、結婚でもなく病死なのかもしれませんね。だとしたら、本当に救いがない話ですけれど、もッ!!」

 

 

「あッ!!??」

 

 

一瞬の内にレミリアとレミリアに馬乗りになっているフランが別々に距離を離されてしまった。

 

 

「………ふぅ、助かったぞ」

 

 

「ええ、ご期待に添えて感謝の極みでございますわ」

 

 

「…………………」

 

 

レミリアとフランとの間に立つ咲夜。

 

 

フランと咲夜は両者睨み合っている。

 

 

 

「……またお前?何度も何度も邪魔しに来て……………」

 

 

「今回ばかりはお坊ちゃまの御命令ですので。まぁ、それ以外でも介入させていただきますが」

 

 

「……どきなさい、命令よ」

 

 

「私の主は後ろにおわします『レミリア・スカーレット』様ただ一人ですわ、妹様?」

 

 

「…………………お前………………!」

 

 

「オマエ、ではなく、十六夜咲夜ですわ。妹様?」

 

フランの妖気と咲夜の霊力が次第に高まって一触即発の雰囲気へと変わってしまう。

 

 

「…………………」

 

 

レミリアはしれっとその場からじりじりと離れるようにしてドアに近づいていく。

 

 

そして、ドア付近へと接近した瞬間、勢い任せに廊下へと逃げ出していく。

 

 

聞こえてくるのは自室での騒々しい音。その音で何が行われているかレミリアには理解できた。

 

 

……………できれば、可能な限り荒らさないでほしいなぁ。

 

 

後ろを顧みずに飛び出していくレミリアはふとそんなことを考えたのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…………………」

 

 

「…………………すまない」

 

 

時は戻って博麗神社。レミリアが博麗神社に来たことの発端を聞いた霊夢は何とも言えずにただ黙ってお茶のおかわりをレミリアの湯呑に注いでやるのみであった。

 

 

「…………………」

 

 

「…………………」

 

 

再び、二人はただ黙って蝉の鳴き声を聞きながら、お茶を啜る。

 

 

「………それで、どうするの?」

 

 

「まぁ、ほとぼりが冷めたころにまた戻るさ」

 

 

「………………そう」

 

 

あまり会話が上手でなく、あまり他人と話すということ自体あまりしない霊夢にとっては前までの話の内容が少しだけ気まずいものであるし、こういった素朴な問いかけしかできないため会話が長続きしない。

 

 

だが、しかし、霊夢にとってもレミリアに関してあることだけ興味があるものがある。

ただ、それを聞くには少しだけ勇気が必要なのである。

 

 

しかし、霊夢はこの微妙な雰囲気と、しん、とした空気を変えるため、多少勇気を振り絞って聞いてみることにする。

 

 

「………それで、結婚に関してはどうするつもり?」

 

 

「まさか、とんでもない」

 

 

霊夢にとってもすごく気になる物であり、そういった話題をふときいてみたところ。

 

即座に否定の声が入った。

 

 

「たった500年。まだ結婚という年齢でもなかろう」

 

 

「………ああ、そうだったわね」

 

 

そういえば吸血鬼の500年はまだまだ子供だということを霊夢は思い出した。

 

 

今までの雰囲気から見た目以外は全然ギャップが違うものだから忘れていた。

 

 

「…………でも、そういった事を考慮しておいてもおかしくはないでしょう?」

 

 

しかし、霊夢はより踏み込む。

 

 

霊夢は自分でもどうしてこんなに踏み込むのかはよくわからない。

 

 

しかし聞いておかないとと思ってふと聞いてしまった。

 

 

「………まぁ、そうか。いやなに、未だ私の両親が存命であれば、今頃はそんな縁談話でも舞い込んできただろうがな」

 

 

「……………………」

 

 

「当然、今ではどちらも居ないのだし、そういった事にはてんで無頓着ではあったな」

 

 

「……………なら」

 

 

「いいや、今の私は紅魔館の主。もうそんな色めいた話に構っていられる立場ではない。当分、まだまだ先だろうな」

 

 

「…………………そう」

 

 

それを聞いて霊夢は少しだけ安心したような、悔しいような、色々な感情がさざめきだつような感じがした。

 

 

しかし、それらの意味不明に沸き立つ様々な感情を抑えつけるように、無表情を貫いて、湯呑のお茶を飲みほした。

 

 

「………………あちッ」

 

 

未だ熱々のお茶を口付けて、その熱さに思わず湯のみの縁から口を離してしまった猫舌のレミリアの姿をふと霊夢は見て。

 

 

ただまぁ、それでもいいか。と納得した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…ふー………ふー………」

 

 

「………ッ………ッ………」

 

 

「いいわ、最低限譲歩してあげる。妾。それでどう?」

 

 

「……………ええ、いいでしょう」

 

 

「…………それじゃぁ「ただ、どちらが妾なんです?」……………」

 

 

「……………………」

 

 

「……………………」

 

 

 

「……………やっぱりッ………!」

 

 

「……分かり合えませんね………ッ………!」

 

 

「…………いつまでやっているのかしら?」

 

 

「「!!??」」

 

 




門番?寝てるんじゃないかな?
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