私レミリア♂紅魔館がヤバい!   作:たぶくむ

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ここから東方妖々夢


原作 ~東方妖々夢~
春雪異変 ~導入~


コッ………コッ…………

 

 

紅魔館に足音が響く。銀色の艶髪をしたメイド服の少女。『十六夜咲夜』である。

 

廊下を歩いていく道中、周囲の妖精メイド達から『おはようございます』と作業の手を止めてまで挨拶に行くほどに慕われている彼女。

 

しかし『メイド長 十六夜咲夜』は、挨拶をする妖精メイド達に律儀に挨拶を返していく中、歩く彼女の顔は少しだけ焦燥を帯びている。

 

心なしか、いつもより歩くスピードも速く感じる。

 

 

「あははッ!!避けろ避けろ~!」

 

 

「くそッ!!妹様の雪玉を重警戒!来るぞ、避けろォォッ!!ふげッ!!??」

 

 

「た、隊長!!??隊長~~~!!!!???」

 

 

「隊長が被弾したッ!!総員、障害物に身を隠せッ!!」

 

 

限りある窓からふわふわと白が落ちている外をのぞくと、白が積もり積もった庭で楽しそうに雪玉を投げるフランとそれに対して避ける妖精メイド達の地獄絵図が広がって入る。

 

 

雪で壁を作ってバリケード等を作りながら避ける妖精メイドを襲うのはフランの雪玉の剛速球の嵐である。

 

次々と避けきれずに被弾していく妖精メイド達。

 

ここ最近では見慣れた光景である。

 

 

しかし、当の咲夜はそれに構っていられるほど余裕がない。

 

 

咲夜は歩みを止めることもなく、目的の場所であろうと思われる場所に到達した途端、その歩みを止め、目の前の光景にはっと息を飲む。

 

 

「……………ない」

 

 

咲夜が目にした光景に唖然として呟いた言葉は、たった一言のみであった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…………もう燃料がない?」

 

 

「…………はい」

 

 

時は変わって、場所はレミリアの部屋へ。

そこには、珍しくパチュリーもいた。

 

 

咲夜の言葉にふと紅茶へ伸びる手を止めて聞き返すレミリアだが、聞いた言葉は変わらなく『燃料がない』という事実であった。

 

 

「…………ふむ」

 

 

「…………燃料が無いのはかなり不味いわね」

 

 

「ええ、未だ続くこの冬を乗り切れるだけ備蓄があるかどうかどうか…………」

 

 

少しだけ、手を止め、思考に走るレミリア。

 

落ち着いた様子言いながらで紅茶を口に含むパチュリーと、それに対して答える咲夜。

 

 

「咲夜」

 

 

「はい」

 

 

「未だ続く冬、これをどう考える」

 

 

「はい、間違いなく異変かと。犯人は……わかりませんが」

 

 

「ああ、そうだな。私も異変だと考えている、だからパチェを呼んで異変について話していた」

 

 

「ええ、いくら冬が長引くといってもこの長さは可笑しい。既に終わってしまってもいい時期だもの」

 

 

異変について考えていたレミリアとパチェリー。これまで長く冬が続くなど今まで見たこともなければ四季のある幻想郷から見ても、可笑しい。

 

もう既に時期は春であるはずだからだ。

 

それに、長く続いてしまった冬の弊害で、紅魔館の燃料不足という問題も出てしまった。

 

 

「咲夜、お前にこの異変の解決を命じる。本来、博麗の巫女が解決すべき問題だが、長引くと面倒だ」

 

 

「かしこまりましたわ。お坊ちゃま」

 

 

レミリアの命に深く、上品にお辞儀をして承る咲夜。

 

 

「咲夜、これを持っていきなさい」

 

 

そして、パチュリーから声が掛けられる。

 

 

「……これは…………?」

 

 

パチュリーが渡したのは紫色の球体。真ん中に白い星マークがついている物体であった。

 

 

「私が作ったマジックアイテムよ、弾幕の補助をしてくれるわ。スペルカードには最適な道具だと思うの」

 

 

「…………なるほど……。ええ、有難く使わせていただきますわ。パチュリー様」

 

 

 

咲夜は受け取ったマジックアイテムを仕舞い。退出しようと背を二人に向けようとする。

 

 

「咲夜」

 

 

「はい?」

 

 

しかし、レミリアの一声によってその動きは止められた。

見ると、手招きをするレミリアの姿。

 

 

咲夜は少しだけ不思議に思いながらも素直にレミリアの元に近づいていく

 

 

手招きをしているレミリアは、咲夜がすぐ傍にいることを確認した途端。

 

 

「………ッ!!??」

 

座ったまま咲夜へと両手を伸ばしたレミリアは、そのまま咲夜を引き寄せ、咲夜の顔を胸の中で抱く。

 

 

「お、お、お坊ちゃまッ!!!???」

 

 

「…………」

 

 

状況が呑み込めずにただなすがままで困惑する咲夜と、ただ黙って抱きしめるレミリア。

 

 

「………フッ、解っていると思うが、無事に帰ってこい」

 

 

「は、はいっ!そ、それは、もちろんですわ、御心配なく…………」

 

 

「我が従者()を心配しない主人()がいるものか。どれだけ時間がかかろうとも、遂行できずとも、無事で帰ってこい。それが第一の命だ」

 

 

「…………はい、お坊ちゃま」

 

 

そう言って、ゆっくりと、手を離すレミリア。

 

自由になった咲夜は若干、いやかなり名残惜しげだったが、一礼して部屋から退出していくのであった。

 

 

 

 

 

 

「ふむ、マジカル☆咲夜スター…………か?」

 

 

「…………マジカル云々については良く解らないけど、参考は博麗の巫女からよ」

 

 

「…………?パチェ?少しだけ不機嫌になってないか?」

 

 

「いいえ、そんなことは無いわ」

 

 

「そ、そうか」

 

咲夜が退出した後、そんな会話が交わされているのを咲夜が知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

 

「…………ッ、妹様」

 

 

咲夜は装備を整えて、玄関を出ようとすると、目の前に人影が現れ、その姿に少しだけ驚いたような顔になる咲夜。

 

フランの顔はすこしだけむくれていいるような表情で、何とも話しがたい雰囲気を纏っている様子だ。

 

 

「……どこいくのよ?」

 

 

「お坊ちゃまの御命令で、この冬の調査を命じられました」

 

 

「…………そう」

 

 

そう言いながら、咲夜を通り過ぎていくフラン。

 

そのまま、咲夜の方へと向かず歩いていくフランの背中を見ながら、一礼をして外へと出ようとする咲夜

 

 

「…………無事に帰って来なさい」

 

 

「……………………」

 

 

後ろから聞こえた声に再び足を止める咲夜。

 

 

さっと後ろを振り返ってフランの姿を見る。歩む足を止めてはいるが見えるのはプリズムの翼がついた背中のみである。

 

 

「貴女が怪我をすれば、お兄様が、皆が悲しむわ。」

 

 

『それに、貴方がいなければ張り合いがないもの』

 

 

ポツリとフランが呟いた最後の言葉も咲夜はしっかりと聞き逃さなかった。

 

咲夜はフッと、少しだけ笑みが零れる。

 

 

「………………かしこまりましたわ。フラン様

 

 

「………………フンッ」

 

 

リンッ、とフランの翼のプリズムが揺れた。

 

ぶっきらぼうにまた歩み始めるフラン。

 

ふと見えたフランの顔は赤かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玄関から外に出た咲夜は、門の前へと歩きだしていく。

 

 

「咲夜さん!」

 

 

「………………美鈴」

 

 

門まで行くと、見計らったように姿を現す美鈴。

美鈴の顔は、ニッコリと笑顔だった。

 

 

「その姿は…………」

 

 

「ええ、咲夜さんがいない間は、私が代理のメイド長をすることになりましたので!」

 

 

「………そう」

 

 

「異変解決、頑張ってくださいね。それと、寒いでしょうからこれを使ってください」

 

 

「………………ッ」

 

 

そう言いながら取り出したのはマフラーである。

 

そういえばマフラーをしていなかったなと咲夜は思う

 

 

「フフッ、代理メイド長とは言っても、咲夜さんが育てた妖精メイド達はとても優秀ですし、あまり私の出番何てなさそうですけど、せめてこれだけはやらしてください」

 

 

そう言って、マフラーを咲夜へと優しく巻き付けていく美鈴。

 

 

「よしッ!これでよし!それでは、頑張ってくださいね!」

 

 

「……ええ、有難く借りていくわ。ありがとう美鈴」

 

 

美鈴の応援を背に咲夜は空を飛ぶ、少しだけ、後ろを振り返ると、手を振って応援する美鈴と窓越しから見送るように顔を出しているレミリアが見えた。

 

 

咲夜は、心と体が温まる包み込まれる感じがしたが。それは到底マフラーだけの温もりではないだろう。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

場所は変わって博麗神社。

 

神社の外はすっかり雪が積もっているようだ。

 

 

「………………さむっ」

 

 

神社の中で、霊夢はこたつに入りながら寒そうにお茶を飲んでいる。

 

長く続いている冬だというのに、それに違和感を覚えている様子すらなく、博麗の巫女として異変解決に乗り出そうとしない霊夢。

 

 

それはある意味いつも通りの霊夢であった。

 

 

霊夢は静かに、それでいてこたつの温もりを感じながら、お茶を飲んでいく。

 

 

そんな静寂な空間はすぐに破られた。

 

 

「霊夢ッ!!これは異変だぜッ!!!」

 

 

ガタッと乱暴に襖を開けて入ってくる魔理沙。

しっかりと暖かい衣服に身を包み、マフラーを巻き付けているいかにも暖かそうな恰好で手に箒を持ちながら入ってきた。

 

 

「………………何よ、うるさいわね」

 

 

「そんなこと言ってる場合じゃないぜッ!いくら何でも冬が長すぎるッ!異変だぜ霊夢ッ!」

 

 

「ふーん」

 

 

「何がふーん、だよ!霊夢!異変解決に行くのぜ!ほらッ!!」

 

 

「………いやよ、寒いし。面倒よ」

 

 

「何言ってんだ!これじゃあいつまでたっても春が来ないぜ!?」

 

 

心底嫌そうな顔をする霊夢。異変解決に乗り出す気がない友人の姿を見て、魔理沙は苛立ったように言う。

 

 

「………宴会の準備しなくていいじゃない。このまま続いたって私は構わないわよ」

 

 

「ッ!!ああ、そうかい!なら私だけでも行かせてもらうぜッ!」

 

 

「どーぞー」

 

 

いつまでも異変解決に乗り出そうとしない霊夢の姿に我慢の限界が来たのか、そういうやいなや外へと飛び出していく魔理沙。

 

 

その魔理沙の後姿を見て、霊夢は再び湯呑にお茶を淹れる。

 

 

「………………」

 

 

霊夢も、この異変に関して何も思わないわけではない。

 

 

正直、冬が続いてくれれば宴会の準備や、境内の掃除もしなくていいし、面倒ごとが無くなる。

 

 

しかし、今回の異変に関しては、霊夢の勘ながら嫌な予感をひしひしと感じ取っているのだ。

 

 

その嫌な予感がいつまでたっても拭われず、何か不吉な予感を感じながらも動き出すことを渋っているのだ。

 

 

ズズッと、お茶を飲む霊夢。

 

 

目線は、外のいつまでたっても降りやまぬ雪。その一点のみだ。

 

 

「はあ…………」

 

 

お茶を飲んだ後、ため息をつく霊夢。

 

 

「…………よっと」

 

 

そう言って、立ち上がる霊夢。湯呑の中のお茶は未だ残っている。

 

 

「…………面倒だけど、仕方ないわね」

 

 

そう言って、しっかりと装備を整えた後、お祓い棒と愛用の陰陽玉を手に遅れながらも魔理沙の後に続いて飛び出していく。

 

 

嫌な予感をひしひしと感じ取って、並々ならない異変だということは理解している。

 

 

だが、魔理沙が異変解決に行くというなら話は別だ。

 

 

友人に危険な目を合わせる訳にはいかない。

 

 

私も異変解決に乗り出さなければ。

 

 

魔理沙が異変解決に飛び出していった数十分後、博麗の巫女が後に続くように異変解決に乗り出したのだ。

 

 

終わりの見えない冬を終わらせ、本来来るべき春を取り戻すため。

 

 

これが、『春冬異変』の始まりである。




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