私レミリア♂紅魔館がヤバい!   作:たぶくむ

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少しだけ休みました。


春雪異変 ~1~

咲夜は、紅魔館の近くの森を飛んでいた。

 

この終わらない冬の異変解決といっても特にこれといって心当たりなどあるはずもなく、付近の調査兼、聞き込みから咲夜は始めたのである。

 

 

道中襲い掛かってくる妖精達と何かモコモコしてそうな妖怪。

 

まるで『毛玉』の様な妖怪が襲い掛かってくるのだが、これはパチュリーから授かったマジックアイテムが弾幕を自動的に張る為、咲夜は何もせずとも迎撃し、撃墜まで持って行ってしまう。

 

 

咲夜は、パチュリーが作ったこのマジックアイテムの性能の良さに驚愕し、何か無理をいって量産化して、妖精メイド達に常備させることを検討してみようかしらなどと考えてしまう程である。

 

 

そんなこんなで、襲い掛かってくる妖怪達を迎撃しながら、調査を進めていく咲夜であった。

 

 

紅魔館付近の森と言えば、当然あの湖からも近いということもあり、道中で、レミリアとフランに面識があるチルノに遭遇した。

 

 

チルノは、この異変の影響、まぁ、氷の妖精であるから長く続く冬の影響を受けて、かなり元気な様子である。

 

 

「おっ、さくやじゃんか!」

 

 

と、咲夜に気が付いて親しげに声をかけてくるチルノ、どうしてこんなところにいるんだなどと当たり障りのない会話をした後で、咲夜はチルノにさりげなく異変について聞き出そうとする。

 

 

「最近、ここらへんで何か変わったことはないかしら?変だなって思ったり、それぐらいでもいいわ」

 

 

という風に、咲夜はチルノに聞いてみる。

 

 

チルノは、元気よく「ない!」と答えるのだが、あっ!と何かに気が付いたような素振りを見せ、遠くの方へと指をさす。

 

 

「あっちのほーこーだけ、ふぶきがすごくつよいんだ!めもみえない!」

 

 

といったように、その方向を指さして、チルノは言う。

 

 

咲夜は、一先ずそこに向かってみるか、とチルノに礼をいって別れるのだ。

 

 

 

後方から『なんだかわからないけど、がんばれよー!!』 とチルノの声援と共に、咲夜は吹雪が強くなっているという情報を受け、そこへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――寒符「リンガリングコールド」

 

 

 

――幻幽「ジャック・ザ・ルドビレ」

 

 

チルノが指し示す場所へと向かった咲夜は、現在、とある妖怪と戦闘している。

 

 

『レティ・ホワイトロック』

 

 

薄水色のショートボブに、ゆったりとした服装を着用している少女。特徴的なのはターバンのような帽子とマフラーであろうか。

 

 

咲夜の異変解決を止めようとちょっかいをかけた妖怪である。

事の発端は数十分前にさかのぼる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チルノが指し示した方向を向かっていった咲夜、チルノが言っていた通り、そっちに飛んでいくにつれ次第に吹雪が強まっているように咲夜は感じたのである。

 

 

それに加え、何やら妖気の濃度が濃くなっている様で、妖精と、毛玉妖怪が何やら活性化している様子で咲夜に襲い掛かって来たのだ。

 

 

吹雪が強まり、辺りが良く見えない中、雑魚とはいえ、襲い掛かってくる妖怪達の迎撃もしなければいけない状況に咲夜は苛立ちを隠せなかった。

 

 

「ああもうッ!こんな雑魚倒しても何にもなりゃしない!」

 

 

「早く黒幕にご登場願いたいものだわ」

 

 

と、こんな愚痴を吹雪の中で漏らした咲夜だが、その瞬間、周囲に吹き荒れていた風がぱっと止み

 

 

「くろまく~」

 

 

という気の抜けた声と共に『レティ・ホワイトロック』がその場に現れたのである。

 

 

レティが出現したと同時に、周囲で吹き荒れていた吹雪と強風は突然止んだ。

 

正確には、レティと咲夜の辺りのみ、だが。

 

 

それは、レティの妖怪としての妖気によってであるのだろうか、定かではないが。

 

 

そこらへんの雑魚妖怪とは妖気が強い様子で、力のある妖怪であるということは咲夜にも伝わっている様だ。

 

 

「…………貴女が黒幕?」

 

 

「ええ、私は黒幕だけど普通よ~」

 

 

「こんなところに黒幕も普通ももないわ。ここらの吹雪の原因も貴女でしょう?」

 

 

「貴女の口ぶりからすると、貴女もこの冬を終わらせようとしているのかしら~?」

 

 

「ええ、この冬は明らかに異変だわ。長すぎる。普通じゃないわ」

 

 

「そうね~、普通じゃないわね~。フフッ、頭のおかしなメイドが一匹空を飛んでいるもの」

 

 

「…………そうね。やっぱり、貴女が黒幕の様ね」

 

 

咲夜は手にナイフを持ち、マジックアイテムに霊力を込め始めて戦闘準備に移行していく。

 

 

「フフッ、冬は私達にとって幸せ。私たちの時間。…………それを、終わらせるというのなら、全力で抵抗させていただくわ」

 

 

対するレティも妖気を身体中に滾らせていく。

 

 

そして両者、弾幕を放って、これがレティと咲夜のスペルカード勝負の始まりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――怪符「テーブルターニング」

 

 

 

 

青色と水色の弾幕が咲夜へ迫る。多少、追尾性能を備えている様だ。

 

しかし、咲夜はそれらを危なげなく避けて、負けじと咲夜もスペルカードを宣告する。

 

 

――幻符「殺人ドール」

 

 

紅霧異変の時とは比べ物にならないほど大量のナイフがレティのスペルカードの弾幕を打ち消しながら、レティへと向かっていく。

 

 

レティは、自分の弾幕をかき消しながらこちらに向かってくるナイフの弾幕を避けようとするが、避けきれずに被弾してしまう。

 

 

その瞬間、勝者が決まってしまう。 咲夜の勝利だ。

 

 

 

「あーあ、負けちゃった。まだまだいけそうだったのだけど」

 

 

被弾して、戦意を喪失したレティは、負けたというのに、あっけらかんとしている様子である。

 

 

ゆったりと地面に降り立ったレティ、それと同じようにレティの近くへと降り立った咲夜。

 

 

「あぁ、ごめんなさいね。黒幕とはいったけど、長い冬に関しては私も知らないの」

 

 

…そろそろこの冬も終わりかしらね~。

 

 

と残念そうな口調とは裏腹に、表情は仕方がないと言わんばかりの顔であった。

 

 

「………そう、なら、次の黒幕でも探さなきゃね」

 

 

「…………なら、あっちの方向に、貴女の持っている同じような…………変な物……暖かい何か…かしらね。そんなものが集まっている様な気がするの。そこに向かうといいかもね~」

 

 

「…………? あっちね。ええ、解ったわ。ありがとう」

 

 

「はーい。じゃあ、私は春眠を貪ることにするわ。異変解決頑張ってね~」

 

 

そう言ってひらひらと手を振ってくるレティを尻目に咲夜は、新たな目的地へと飛び去っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…………迷った」

 

 

「…………迷ったわね」

 

 

 

一方で、霊夢と魔理沙は共に行動し、共に迷っていた。

 

飛び去って行った魔理沙の後に続くように飛んだ霊夢が魔理沙に追いついた後、なんだかんだで行動を共にして、異変解決に取り掛かろうとした矢先、二人は辺りが見えぬ吹雪の影響もあってか方角も解らなくなり、あっちこっちと右往左往していた。

 

 

「なんだ、結局ついてくるんじゃないか」

 

 

と、魔理沙と合流したときに、魔理沙がムカつくニヤけ面で霊夢に絡んできたこともご愛嬌。

 

 

しかし、そんなほんわかとしたやり取りも束の間、二人は吹雪によって方角も解らぬままあちらこちらへさまよっているのみであった。

 

二人は行けども行けども同じような光景ばかりが並び、嫌でも迷っているという事実を突きつけられているのだ。

 

 

「…………まったく、あんたが所かまわずあっちこっち行くからでしょ」

 

 

「なんだ、人のせいにされちゃ困るぜ。だったら霊夢が先導すれはいいじゃないか」

 

 

「…………勘通りに行ってもいいのなら、それでもいいけど?」

 

 

「いんや、勘は勘だ。当てにならんものに信用できるわけないぜ」

 

 

「…………そう」

 

 

…………結構当たるのだけど。

 

 

と、霊夢はぼそっと呟いたが、魔理沙は聞こえていないようだ。

 

 

「…………ん?霊夢、あそこ、鳥居だぜ?」

 

 

「…………あら、ホントね」

 

 

吹雪の白で、ぼんやりとしか映っていないが、二人が目を向けた先には、鳥居の赤が見える。

 

 

鳥居へと近づき、鳥居を入って先へ進んでいくと、見覚えのない屋敷が立ち並んでいるようだ。

 

 

「…………こんなところに屋敷何てあったかしら?」

 

 

「へぇ、たいそう御立派なお屋敷じゃないか、人が住んでいるのか?」

 

 

見覚えのない屋敷に頭をひねる霊夢と、純粋に立派な屋敷に感嘆の声を挙げ、人が住んでいるものか疑問に思う魔理沙。

 

 

抱える疑問は違うが、中に入っていく二人。

 

 

「…………金目の物がありそうね」

 

 

「…………面白そうな物がありそうだな」

 

 

結局、思考的には同じようだ。

 

 

「む!人間が迷い込んだと思ったら二人も…………。どうしたの?迷った?」

 

 

そんな二人の前に少女が現れた。

 

 

緑色の帽子を被った茶色のショートヘアーの少女。

 

 

リボンのついた赤と白の長袖ワンピースを着用し、幼い見た目の少女である。

 

 

ただ、猫耳が付いており、二本の尻尾を備えている彼女は、その持っている妖気からも、妖怪であるということが見て取れる。

 

 

そこら辺の妖怪よりも断然強い妖気を持っている。

 

 

彼女は、とある九尾の狐の式神が溺愛している『橙』である。

 

 

「迷ったわ」

 

 

「迷ったんだぜ」

 

 

突然現れた橙に平然と返す二人。

 

 

「……む。 ふふん!でも残念だったね!ここは迷い家、迷い込んだら最後!ここからは出ることもできないよ!」

 

 

「…………迷い家?」

 

 

「あぁ、道理で帰り道が見えなかったわけだぜ」

 

 

「…………もう少し怖がるとかさ。いい反応してくれてもいいんじゃない?」

 

 

私妖怪だし、と気が削がれたように言う橙。

 

 

「あんた。迷い家って言ったわね?なら、ここにある物、持ち帰れば幸運になれる…………?」

 

 

「…………霊夢?」

 

 

「うん?なれるよ?」

 

 

ふと、迷い家について確認を取る霊夢と、何やら合点が言ったようで、企むような顔をして霊夢にアイコンタクトを図る魔理沙。

 

 

「「じゃあ、まずはここにある物もらっていくわ(ぜ)」」

 

 

「…………にゃ!?なんだって!?」

 

 

二人の言葉にピクッと反応を示した橙。

 

 

「帰って!ここは私達の里だよ!ここから出てって!」

 

 

「…………ここに迷い込んだら帰れないらしいし」

 

 

「…………へへ、まずはその幸運とやらにあやかってから帰らせてもらうことにするぜ」

 

 

「…………にゃ、にゃぁ!?そ、それだけはさせないよ!こうなったら実力行使で追い出してやる!」

 

 

心なしか目が金マークになっている霊夢と、悪い顔をしてにじりよってくる魔理沙を見て、怯んだ橙であったが、ここの家財を持ってかれては困るという矜持が橙を突き動かした。

 

 

「邪魔ね」

 

 

「邪魔だぜ」

 

 

いつにもまして戦う気満々な霊夢と魔理沙。

 

 

迷い家(マヨヒガ)で、二人の盗人と、盗人から家財を守る橙のスペルカード勝負が、今始まった。

 

 

 




スペルカードの宣告を少しだけ変えました。
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