私レミリア♂紅魔館がヤバい!   作:たぶくむ

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破壊の妹 (フラン視点 前編)

―――フランドールを地下に閉じ込める、今後誰とも接触を禁止する。

 

 

10歳になったお兄様と5歳となった私、そしてこの館の全使用人の前で私にとって最悪で、信じられない言葉があいつの口から放たれた。

 

 

断固として、冷静にそう私たちにそう告げた。

 

 

―――ナンデ?どういう事だ?どうして?

 

 

呆然とした私にそんな疑念がぐるぐると回転するようにせめぎ合っている。

 

 

「どうしてですか!父上!フランは何も悪いことはしていないでしょう!?」

 

 

「これは、領主命令だ。お前に何を言われようとも覆ることはない、くれぐれも、皆この命を心に留めておいてくれ」

 

 

お兄様からの抗議の言葉も、断固として聞き入れず、もう一度、念を押してあいつは退出した。

 

 

使用人達の噂声でざわざわと騒がしくなる。ある者は気の毒そうに私を見ながら、しかし声をかけようとせずに退出していったり、あるいは、領主からの命に素直に従い、呆然とする私に目もくれずに退出していく者、その他様々な反応を見せていたが、誰一人私に同情の声をかけることはなかった。

 

 

たった一人を除いて。

 

 

 

「フラン……。」

 

 

心底気の毒そうな声で私を呼び、そのまま、呆然とする私を優しく抱きしめるお兄様。

 

 

「………」

 

 

私は、お兄様の温もりを出来るだけ長く堪能し、その後、大人しく、新しい私のお部屋、地下に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

大人しく地下の私のお部屋に向かった後、前の私のお部屋と似ているベットに倒れるように飛び込む。

 

 

あいつは私のお部屋をそのまま地下に転移させたようだ。まったく仕事が早い。

 

 

 

―――この後、どうするべきか。

 

 

 

大嫌いなあいつの宣言を仕方がなく、本当に仕方がなく素直に受け入れ、地下に移った私だが、内心、あいつへの憎悪が私の中を埋めていく。

 

 

あいつの言うことを素直に聞き入れるのも癪であるのに、何より『今後誰とも接触を禁止する』ときた。

 

 

 

―――お兄様と接触すらできない?ふざけるな。

 

 

 

怒りで体が震え、手に力が入り、あまりの悔しさに歯嚙みをしてしまう。

 

 

 

―――殺す。殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!

 

 

 

ドス黒い感情が私を埋め尽くしていくのだが、ほんの少し残った私の理性が私のこの感情を抑え込んでいく。

 

 

 

駄目だ。今、あいつに逆らってしまえば。

 

 

腐ってもあいつは吸血鬼、それも、大人の

 

 

未だ未熟で子供である吸血鬼の私では到底立ち向かうことが出来ないのは百も承知だ。

 

 

今は、力をつけていくのみ、あいつを凌駕する。圧倒的な力をつけるべきだ。

 

 

そんな決意が私に宿っていく。

 

 

 

 

 

 

―――でも、お兄様と当分会えなくなるのは、少し、いや、かなり辛いなぁ……

 

 

 

やはり、お兄様に会えなくなるのは、私にとって想像以上の痛手であったようだ。

 

 

気丈に振舞おうとしても、弱気な気持ちが私に襲い掛かってくる。

 

 

 

 

 

 

 

お母様が亡くなってから。全て私の思い通りに事が進み、順風満帆だと思っていた。

 

 

 

お兄様を独り占めにして、これ以上私とお兄様を邪魔する者が消えたと喜んだのも束の間。その3年後の今にあいつの邪魔が入った。

 

 

確かに、お母様が死んでから私を見る目に少しだけ険が入っていたのは気づいてはいたが、お母様が死んだ悦びと、お兄様を独り占めにできることへの悦びでもう誰の邪魔が入らないと油断していた。

 

 

あいつが、男だからってのもあるが……

 

 

でも、全部私の詰めの甘さから起こったことだ。どうしてこういうことで詰めが甘いんだ、私は!!!

 

 

 

考えれば考えるほど、悔しさが沸き上がり、握る力がより強くなる。

 

 

 

―――寝よう。少しだけ、頭を冷やしてすっきりさせよう。

 

 

 

私はしばらく、ひんやりと薄暗い地下の部屋で、目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ひんやりとした地下の部屋で私は目を覚ました。

 

 

地下では、何もかもが違った。

 

 

この薄暗いこの部屋、ひんやりとしている寂しい雰囲気、私の部屋であるはずなのに、隔離されている牢屋の様な感覚だ。

 

 

 

 

―――そして、何より傍にあるはずの温もりがない。

 

 

 

そこで私はようやく、お兄様と会えないということが私にどう影響するのかはっきりと理解した気がした。

 

 

 

寂しい。ついさっき、朝に会ったはずなのに、傍らにお兄様がいないとこんなに寂しいんだ……。

 

 

 

私は傍にあったお気に入りのぬいぐるみ、テディベアと言うぬいぐるみを抱きしめて寂しさに耐えようとする。

 

 

 

このぬいぐるみも、お外から、お兄様が帰ってきたときに持ってきた物だ。私のためだけに……。

 

 

 

 

 

寂しい……。寂しいよぉ……お兄様……。

 

 

 

 

コンコン……

 

 

「……フラン?」

 

 

 

!!!!!

 

 

 

お兄様!?この声は、お兄様!!!

 

 

 

「……お兄様?」

 

 

予想外のお兄様の声にびくっ!と体を震わせたが、それがお兄様だと認識した瞬間、言葉にできないほどの喜びの感情が沸きあがってきたが、取り繕って、静かに返事を返す。

 

 

 

「フラン、大丈夫かって、うわっ!!!」

 

 

「お兄様ァ!!!おにいさまぁぁぁ!!!」

 

 

お兄様が部屋に入ってきたところでもう我慢が利かなかった。

 

 

姿を目に入れた瞬間体勝手に動いて、お兄様の胸元に飛び込んでしまった。

 

 

お兄様は驚いてはいたが、しっかりと私を受け止めてくれた。

 

 

 

ふわぁ………お兄様の匂いだぁ……

 

 

お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様!!!

 

 

 

お兄様の胸元に顔を埋めながら、ついでに、スリスリとしていると、お兄様が何も言わず背中を撫でてくれたり、頭を撫でてくれたりした。

 

 

優しく、慰めるように。  顔は見えないけれど、きっと優しい顔をしているんだろう。

 

 

 

あぁ………。やっぱり私はお兄様がいないと駄目なんだなぁ………

 

 

 

お兄様と少しでも一緒に居れなかっただけで相当参っていたらしい。

 

 

改めて、私の中にお兄様が重大な影響を及ぼしていることを再認識した。

 

 

 

「……お兄様。どうして、ここに来たの?」

 

 

 

しばらく抱き合っていた私たちだったが、落ち着いた私がそうお兄様に問いかける。あいつから、私との接触を禁止されていたはずだったが……

 

 

「皆に内緒で黙って来ちゃった。フランが心配だったからね」

 

 

そう、いたずらのバレた子供かのように笑うお兄様。

 

 

 

私が心配だと言うお兄様に喜びのあまり少しゾクッとしてしまった。

 

 

 

「………ところで、フラン。寂しくない?あの………色々あったからさ。あの………」

 

 

 

そう言いづらそうに言いよどんでいるお兄様

 

 

 

私が地下に閉じ込められるということに何も出来なかったという自責の念にかられるのだろう。

 

 

お兄様は天使の様に優しいから。

 

 

「ううん………大丈夫。お父様は少しだけ機嫌が悪いだけだから、機嫌が治るまで、私、我慢できるよ?お兄様も会いに来てくれたし……」

 

 

 

そう、努めて健気にそう言う。

 

 

 

これでお兄様は私の為に行動を起こしてくれるから、私だけの味方になってくれる。私の為だけのお兄様になってくれる。

 

 

 

だからお兄様の前では努めて気弱に、健気に振舞う。

 

 

 

「………そっか。強いね、フランは。お兄ちゃんもフランの為に頑張らなくちゃ、ね。」

 

 

 

ほら、神妙そうにそう言うお兄様、きっと私の為に何かできることを考えているんだろう。

 

 

私の為に苦心して、私の為に悩んで、私の為に考えて。私の為だけに動いてくれて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………カワイイなぁ。

 

 

 

 

 

カワイイし、カッコいいし、優しいし、いい匂いだし、柔らかいし、キレイだし……………

 

 

 

 

 

 

 

あぁっ………………大好き。

 

 

 

 

 

「フラン、今日も色々持ってきたんだ。フランが退屈かなって思って」

 

 

 

そう言って、お兄様が持ってきていた袋から玩具、本などを取り出していく。

 

 

「ええと………。本、本がいい!お兄様と一緒に読みたい!」

 

 

「ん、うん、いいよ。一緒に読もうか」

 

 

 

そうにっこりと笑うお兄様。

 

 

 

また、私とお兄様の2人だけの時間が、退屈で寂しかった私の心が幸せに埋まる時間が、再び戻ってきた。

 

 

 

お兄様は、どうあっても絶対に私を裏切ったりしない、絶対に守ってくれる。

 

 

私のことを見てくれているのはお兄様だけだ。

 

 

 

お兄様だけが私のことを愛してくれている。

 

 

 

私もお兄様だけを愛している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――だったら、私たちの間にアイツは必要ないよね。

 

 

 

 

 

 

………………邪魔だなぁ。

 

 




紅い悪魔(後編)だけで、ここまで引っ張れることに驚いた。


しつこいでしょうが、お付き合いください。
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