私レミリア♂紅魔館がヤバい!   作:たぶくむ

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愛するお兄様へ(フラン視点)

「………………」

 

 

目が覚める。

 

 

寝ぼけた頭でしばらく虚空を眺め、はっとして時計を見て時間を確認する。

いつもの起床時間である午後の5時。

 

 

私は、起床の後、余韻に浸るべく寝台の傍にあるお気に入りのぬいぐるみに手を伸ばし、ぎゅっと抱きしめる。

 

 

嗚呼、今日の夢はいい夢だった。

 

 

ぎゅっとクマのぬいぐるみ、所謂テディベアを抱きしめながら、先ほど見ていた夢の回想をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

『フラン…………おいで』

 

 

薄暗く、そして赤黒く染まっている教会の中、私はその教会の入り口に立っていた。

 

視線の奥にはお兄様が、愛おしげな笑みで私を呼び、手招きして待っている。

 

 

ゆっくりと、お兄様へと足を踏み入れていくと、誰もいない荒廃した教会の中で、ひとりでに流れていくメロディ。

 

それは、お兄様と私二人を祝う讃美歌。

 

 

遠くにいるお兄様を見つめるだけで胸の中の微熱がふつふつと沸き上がっていく。

 

一歩一歩、足を進めていくだけで激しく高鳴る鼓動。

 

祝福の讃美歌を一身に浴び、増していく幸福感。

 

 

嗚呼、これが…………夢にまで見た光景。

 

 

お兄様と私だけのチャペルを、一歩、また一歩と踏み出して、お兄様の元へと近寄る。

 

 

『フラン…………』

 

 

…………お兄様。

 

 

お兄様へと近寄ると、お兄様は唐突に私の頬にゆっくりと手を当てる。

片手で頬を撫でるように、視線で私を愛でるように。

 

 

そして、お兄様がもう片方の手で、私の頭にそのもう片方の手に持っていた何かを被せる。

 

 

ウエディングベール。

 

 

それが意味する者はただ一つだ。

 

 

『フラン、愛してる』

 

 

…………私も。お兄様を愛してる。

 

 

『フフッ…………フラン』

 

 

…………お兄様

 

 

お兄様の顔が近づいていく。

いつの間にか、お兄様の手は後ろに回り、私を抱きしめるように手をまわしていく。

 

 

私は期待と共に、ゆっくりと瞼を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、目が覚めた。いや、覚めてしまった。

 

 

正直、不満と言えば不満なのだが、夢の中とは言え、あの一瞬のひとときは極上だった。

 

 

至福の時だった……………………。

 

 

その余韻を、長く浸れるようにお兄様からプレゼントとしてもらったテディベアを抱きしめているのだ。

 

 

あの時の余熱を、あの時の光景を、長く、可能な限り長く、感じ入る為に。

 

 

「お兄様…………」

 

 

ポツリと、言葉を漏らす。

 

嗚呼、大好きなお兄様、夢の中のあの世界が、正夢になったらどんなにいいことか。

 

 

ロマンチストなあの場所で、二人だけのあの場所で。

 

 

お兄様と接吻をして、そして…………その夜に…………。

 

 

「~~~~ッ!!エヘヘッ!!」

 

 

より一層テディベアを強く抱きしめて、熱に絆されて、妄想に走る。

 

 

吸血鬼としてはまだまだ子供の域にある私だが、流石に500年。詳しく言えば495年もの月日を生きている私にとって、『そういう事』ぐらいは知識として知っている。

 

 

そういった妄想に走って悶々とするくらい、別にいいではないか。

 

 

ませているだって?そりゃ500年近く生きていれば、そういう知識くらい自然と入ってくるし、そういう妄想をすることなんて普通だ。

 

 

トントン

 

 

「妹様?起きていらっしゃいますか?」

 

 

「………………ッ!」

 

 

余韻に浸っている私を冷やしたのは、ドアの向こうにいる妖精メイド。

 

 

「………………起きてるよ」

 

 

「朝食の準備が整いました。食堂へいらしてください。もちろん、お坊ちゃまもいらしますよ」

 

 

「すぐに行く」

 

 

失礼します。と言って、気配が去っていく。

 

 

はぁ~っと、私は長く息を吐いて、ぎゅっと抱きしめていたテディベアを名残惜しく思いながらも離し、身だしなみを整えて食堂へと足を進める。

 

 

起きてすぐにお兄様のお顔を見れるなんて、今日もまたいい日になりそう♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう!お兄様!」

 

 

「ああ、おはようフラン。今日はご機嫌だな」

 

 

食堂に入った私を迎えたのは笑顔のお兄様。

 

 

お兄様は可愛い。

 

 

今日のお兄様は少しだけ上機嫌の様で、背中の羽がぱたぱたと動いている。

 

リラックスしきった顔で、ゆったりとしているお兄様は可愛いのだ。

 

 

「うん!今日はすごくいい夢を見れたの!」

 

 

「それは何より。どんな夢を見ていたんだ?」

 

 

「すっごく幸せな夢!!だけど……エヘヘ、内緒!」

 

 

お兄様と私だけのウエディングパーティと言えればいいのだけど。

流石に恥ずかしいから夢の内容を秘密にする。

 

 

そんな私を見て、フフっと表情を緩めて微笑んでくる。

私もそれにつられて笑みを深める。

 

 

お兄様とおしゃべりしながら、席に座ると、食欲を刺激する暖かいご飯がテーブルの上に置かれている。

 

 

美味しそうな匂いが空腹を誘う。

今日も美味しそうだ。

 

 

「席に着いたか?フラン」

 

 

「うん!」

 

 

「よし、じゃあ朝食にしようか」

 

 

「「いただきます」」

 

 

そして、私達は談笑をしながら食事を堪能していった。

 

ご飯を食べている姿も、私に笑いかけてくる姿も、小食だけど残したくないからって必死にご飯をかきこんでいる姿。

 

 

今日もお兄様は可愛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄様はかっこいい。

 

 

「失礼いたします!お坊ちゃま!経費関連の書類を纏めて来たのですが…………」

 

 

「あぁ、後で目を通しておくから、そこのテーブルに置いておいてくれ」

 

 

「かしこまりました!失礼します!」

 

 

「………………咲夜。これは?」

 

 

「ここのフロアが人員不足に陥りましたので、新しく人員補充の要請ですわ」

 

 

「………………そうか、そうだな。近々新しく妖精メイドを何人か雇用しようか、その時は咲夜。任せた」

 

 

「かしこまりました」

 

 

執務作業をしているお兄様、いつものお兄様とは違ってキリッとした表情がまたかっこいいの。

 

 

いつもは、咲夜が執務作業のほとんどを処理するのだけど、それじゃ仕事が無くなってしまうということで偶にお兄様が執務作業をするときがある。

 

 

その時は私はお兄様のお仕事の姿を眺めているのだ。

特に何をするかというわけでもないけど、お兄様を見ているだけでも十分だ。

 

 

真剣な表情で、積みあがっている書類を一つ一つ読み上げて、処理していく姿は私に感嘆のため息を漏らさせる。

 

 

永らく紅魔館の主としての手腕を発揮させるお兄様。咲夜にほとんどの仕事を奪われてしまっても、その磨き上げた手腕は衰えることなく、的確に書類を捌いていくのだ。

 

積みあがっていた書類に何の苦もなく次々と処理しているお兄様はかっこいい。

 

 

 

お兄様はかっこいいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――紅符「スカーレットシュート」

 

 

――禁弾「カタディオプトリック」

 

 

 

お兄様のスペルカードを同じく私のスペルカードで対抗する。

 

 

お兄様が放つ高速弾を、広範囲かつ、反射して放つ私のスペルカードで対抗していく。

 

 

高速に放たれる弾幕を紙一重で躱し、スペルカードで打ち消してお兄様へと弾幕をは放つ。

 

 

しかし、それもお兄様には容易に避けられる。

 

 

 

――神槍「スピア・ザ・グングニル」

 

 

――禁忌「レーヴァテイン」

 

 

お兄様と私のスペルカードがブレイクした瞬間、同時に二枚目のスペルカードを切って、突撃する。

 

 

お兄様の手にはグングニル、私の手にはレーヴァテインが。

 

 

お兄様と私は同時に肉薄し、その手に持っている獲物を振るう。

 

 

 

ガキィィィィィィィィン!!!

 

 

金属が打ち合う音と共に、周囲に衝撃波は走り、お兄様の魔力と私の魔力がぶつかり合い、その残骸が火花となって周囲に巻き散る。

 

 

私は、炎の剣、『レーヴァテイン』を振るうが、それをお兄様は『グングニル』で容易に受け流される。

 

 

お兄様は愉しそうな好戦的な笑みで私に笑いかけてくる。

 

 

その笑みを見ているとぞわぞわとしてくるのだ。

 

 

思わず私もお兄様に笑いかける。

お兄様と同じように、好戦的な笑みを浮かべて。

 

 

やはり吸血鬼という種族は好戦的な種族であり、戦闘を好むのだ。

 

同じ吸血鬼といえども、実力的に拮抗している者同士の戦いというのは、何とも言えない快感が走る。

 

 

一応、運動がてらの弾幕ごっこであるので、さほど全力で戦ってはいないが、このように白熱する戦いは心が湧きあがる。

 

 

「やるな!フラン!」

 

 

「エヘヘ、お兄様も!」

 

 

愉しい、愉しい愉しい愉しい愉しい愉しいッ!!!!

 

 

やっぱり、お兄様は凄いッ!!

 

 

――禁忌「フォーオブアカインド」

 

 

最後のスペルカードを切る。私が4人に分身して、お兄様へと放つ弾幕を厚くさせる。

 

 

――「スカーレットディスティニー」

 

 

お兄様も最後のスペルカードを切る。

周囲にナイフの弾幕と周囲を埋め尽くす様に放つ大玉の弾幕。

 

 

それらが、分身した私達に襲い掛かる。

 

 

最初は遅い弾幕が徐々に早くなっていき、どんどんと初速が早くなっていく。

 

 

最初こそは楽々と避けていたものの、流石に分身した私は、『(本物)』よりも能力は劣る。

 

一体、また一体と弾幕に被弾して霧散していき、最後に残ったのは本物の私のみ。

 

 

ついにお兄様の弾幕を避けるのにも限界が訪れ、お兄様の放つナイフと大玉の弾幕に覆われ、被弾する。

 

 

 

 

 

…………はずだった。

 

 

「………………ッ!いない!?」

 

 

咄嗟に被弾する前にコウモリの姿になって紙一重で避ける。

 

 

一瞬、お兄様の目には姿を消したように見えただろう。

 

 

「………………いや違うッ!!」

 

 

でも、同じ吸血鬼だからお兄様にはすぐに解った。

 

 

…………でも、もう遅い。

 

 

「後ろかッ!!!…………おわっ!?」

 

 

「えへへ!お兄様!捕まえたッ!!!」

 

 

バッ、と後ろ勢いよく振り向いたお兄様に、私は覆いかぶさるように抱き着く。

 

咄嗟のことであっけにとられていたお兄様だったけど、すぐに私を受け止めてくれる。

 

 

「えへへ!今日は私の勝ち!」

 

 

「あぁ、負けた、降参だよ」

 

 

抱き着いてきた私を受け止め、私の頭をよしよしと撫でてくれるお兄様。

 

 

その心地よさに酔いしれながら、ぎゅっとお兄様を強く抱きしめ、お兄様の胸の中に顔を埋めて、お兄様を堪能する。

 

 

「すごいな、フランは。咄嗟に私の後ろに回り込むなんて。流石に反応できなかったよ」

 

 

「えへへ~」

 

 

嗚呼、やっぱりお兄様はいい匂い。

ずっと顔を埋めていたいくらいに、幸せな気持ちになる。

 

 

お兄様との弾幕ごっこはいつやっても楽しい。

勝っても負けても損はない。

 

私が勝てばこうやってお兄様を堪能できるし、少しだけ悔しそうなお兄様が堪能できる。

 

負けてしまったとしてもお兄様は褒めてくれる。

 

 

本気のお兄様には手も足も出ないだろうけど、お兄様と戦うのは本当に楽しい。

 

 

お兄様は、凄い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ッ、フランか?どうだ?一緒に飲むか?」

 

 

「うん!お兄様」

 

 

お兄様は夜、夜空を眺めながら赤ワインを飲んでいる姿がすごく様になっている。

 

 

お兄様は、基本的に紅茶を好んで飲むけど、こういう日にはこうやってワインを飲んでいる姿をよく見る。

 

 

私はお酒が飲めないから、ジュースを飲むんだけど、月明かりに赤ワインを照らしながら飲むお兄様は本当に一枚の絵画の様に綺麗だ。

 

 

お兄様はお酒に異様に強いらしいけど、私は一滴もお酒が飲めない。

それが残念であるけれど、いつかは一緒にお兄様とお酒を飲む日が来るといいなと思っている。

 

 

お兄様は綺麗だ。

 

 

「お兄様」

 

 

「うん?」

 

 

「えへへ、月が綺麗だね!」

 

 

冗談交じりに、私の本音ともいえる言葉を言い放つ。

 

 

「フフッ、どこで覚えて来たんだ?そんな言葉」

 

 

ワインを飲んで少しだけ顔が紅潮しながら上品に、妖艶に笑うお兄様。

お酒を飲んでいる時のお兄様はとても色気があって、何かイケナイ気持ちになってしまう。

 

 

「そうさなぁ、フランと一緒に見ている月だから、かな?」

 

 

お兄様の言葉、きっと冗談交じりに言い放った言葉なのだろうけど、その言葉は私をドキッとさせてくれる。

 

 

「えへへ、お兄様…………」

 

 

「………?どうした?フラン。急に寄り掛かってきて」

 

 

「なんでもなーい。…………本当に、綺麗」

 

 

ふわふわとしているお兄様はとても新鮮だ。

そんなお兄様の傍に座って、寄り掛かる。

 

 

まったく甘えん坊だな。と頭を撫でてくれるお兄様に身を委ねながら。

 

 

本当に綺麗だと。ポツリとその言葉を口に漏らすのだ。

 

 

それが、何に対しての言葉なのか。

 

 

私にしかわからない。

 

 

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