私レミリア♂紅魔館がヤバい!   作:たぶくむ

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日置きの百鬼夜行 ~2~

紅魔館のメイド長『十六夜咲夜』が頻繁に行われている宴会とそれを不思議に思わずに宴会を享受している人間達の様子を見て、異変であると断定して異変調査兼解決に乗り出した同時期。

 

これは流石に異常だと考え、咲夜と同じく異変であると考えて調査に乗り出した者達がいる。

 

 

 

不吉な予感を感じて調査に動いた巫女。

 

宴会の幹事を務めることが多くなり、面倒と高まる妖気を感じた魔法使い。

 

人間達がいつまでたっても異変解決をしないために痺れを切らした人形使い。

 

暇つぶしの為に動き出した亡霊とその庭師であり、師匠の教えを胸に異変と向き合う半人半霊の剣士。

 

 

各者の思惑が互いに交差する時、様々な時計の針が一斉に動き出した。

 

しかし、この異変の犯人が誰かも解らなければ出所も掴めぬまま。動機もまた、不可解な事が多い。

 

 

こうなると、宴会に来る人間、妖怪、全員が怪しく見えるのも仕方がないだろう。

もちろん、その疑惑の眼差しは紅魔館にも向けられることになるのも自明の理である。

 

 

 

 

次の宴会まであと3日しかない。

 

「次の宴会までには、必ず私がこの妖気の原因を突き止めてやる!」

 

 

全員にそんな意志があるかどうかは定かではないが、皆同じような目的の為、一斉に動き出した。

 

宴会までの数日間、紅魔館で起こった出来事を少しだけ覗いてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「騒々しいな。…………ん?珍しい御客人だな」

 

 

「お邪魔してるわよ~。ふふっ、これだけ動けば明日は愉しくなるわ。きっと」

 

 

「随分と能動的な亡霊だな」

 

 

「みんな、自分の意志のつもりで動いていても、今は操られている事に気が付いていない。だから今日は、自分の意志を持たせない様に自由に動いているわ。このまま行けば、明日には面白い物が見えるかもしれないわね。…………あぁ、お茶を頂けないかしら?」

 

 

「…………能動的かつ図々しいなお前は。それで、面白い物は私にも見えるものか?」

 

 

「そう言えば、新しいお茶が手に入ったのよ」

 

 

「…………へぇ、新しいお茶。新茶ねぇ。どこのお茶?」

 

 

「神社」

 

 

「言葉遊びをする程、暇じゃないんだがな」

 

 

「神の新しい茶、略してこう茶」

 

 

「はぁ、喰えん奴だよ、お前は」

 

 

「ふふっ、ありがとう。…………そういえば、貴方のところでは宴会はやらないの?個人的に楽しみにしているのだけれど」

 

 

「まぁ、どこかの幽霊のお嬢様に食糧庫を食いつぶされてしまったら堪ったものではないからな」

 

 

「あら、残念。宴会の時は誘っていただけると嬉しいわ~」

 

 

「…………まぁ、折を見て、な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パチュリー」

 

 

「………………………………」

 

 

「この衣装。レミリアさんに着せてみたいのだけれど、ほら、レミリアさんって人形そっくりの素材だからきっと可愛くなるわよ」

 

 

「…………それで、見返りは?」

 

 

「レミリアさんを模倣して作った人形を送るわ」

 

 

「詳しく」

 

 

「そうこなくちゃね」

 

 

「おぉ、パチェに客人とは珍しいと思ったらアリスか、ゆっくりしていくといい」

 

 

「………………………………」

 

 

「………………………………」

 

 

「…………な、なんだ。二人とも、じりじりと近寄って来て。…………………なぁっ!!??な、何をする!?ちょ、力つよッ!!!???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっす!レミリア!異変調査に来たぞ!」

 

 

「……………あぁ、魔理沙か。何だ。悪魔退治に乗り出したって訳か?」

 

 

「あぁ、本来はそのつもりだったんだけどさ。さっき咲夜の奴と会って、あいつもお前の命令で異変調査してるって聞いたもんだからレミリアが異変の元凶じゃないなって解ったわけだ。だから悪魔退治は無し!!邪魔したな!!」

 

 

「そうか、それなら何より」

 

 

「…………それにしても、レミリア。何だその衣装。まるでアリスんとこの人形みたいな格好してるな」

 

 

「………………放っておいてくれ」

 

 

「………………あ、あぁ。………………さ、察するぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、出てきなさい 居るのは分かってるわ」

 

 

「………また騒々しい御客人が来館したか、今度は何だ。霊夢」

 

 

「あんた。明日の宴会、何か企んでるんじゃない?」

 

 

「企んでるといえば企んでるけど……。なんで霊夢がそんなこと知ってる?」

 

 

「この辺一帯危険な妖霧が溢れてるのよ」

 

 

「妖霧? そういえば、そんな気もするが。こんなもん大したもんじゃないだろう」

 

 

「危険なもんは危険なのよ。昔からそう決まっているの」

 

 

「それに、この妖霧は私の物ではない。妖気がそもそも違うじゃないか」

 

 

「………そういえばそうね。まぁ、でも。折角来たんだから、吸血鬼退治のリベンジも兼ねてアンタをぶっ飛ばすことにしたわ」

 

 

「随分とまぁ…………………。まぁ、いいだろう。かくいう私もね。いろいろあって身体を動かしたい気分なんだ。ほんの憂さ晴らしに付き合って貰おうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

 

「うん?…………………あぁ、妖夢……………ッ!!??何だ何だ!?!?いきなり!!??」

 

 

「ッ!!大人しく斬られてください!!」

 

 

「いきなり来たと思えば辻斬りかッ!!??何だ!?天誅か!?」

 

 

「異変の犯人は貴方でしょう!!??どの道、これ程の妖気を持っているのは貴方以外にあり得ません!!」

 

 

「いやいやいや!!それは早計だぞ!!ほかにもいるだろう!?」

 

 

「もう貴方以外残っていないんです!!他はあらかた斬りつくしました!」

 

 

「もう調査済みだったか!?落ち着けって!!!!」

 

 

「落ち着いています!斬れば判るんです!白楼剣が真実を教えてくれる。師も『真実は斬れば判る』と言っていました!」

 

 

「絶対にお前はその師の教えとやらを勘違いしている!!!」

 

 

「先っちょだけ!!先っちょだけですから!!!」

 

 

「や~~~~~め~~~~~ろ~~~~~!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………結局、異変の首謀者と思わしき者は見つからず仕舞いだったか」

 

 

「はい……………力不足で申し訳ありません」

 

 

「いや何、気にすることはない。それより、外出の準備は整ったか?」

 

 

「はい、そちらの首尾は既に整っておりますわ」

 

 

「なら、行くか。こうも頻繁に宴会を繰り返させているのだ。意外にも犯人は宴会の場にいるやもしれん」

 

 

異変調査から数日後、幻想郷中で異変の調査に動き出した人間達であったが、次の宴会、つまりは今日の宴会まで異変の首謀者を見つけ出すことは出来なかった。

 

 

紅魔館でも異変に関して色々な出来事が起こった。それはもう記憶に残ってしまう程に。

一部は異変解決とはまるっきり関係なかった様子だったが。

 

 

咲夜たちの異変調査も虚しく。

 

一日(1st Day)二日(2nd Day)、そして、異変の首謀者の足取りが未だ掴めぬまま現在の祭日(Feast Day)まで経過してしまった。

 

 

異変であると判明こそしているが、宴会は宴会。

とりあえず気晴らしにでもと宴会を約束通り博麗神社で執り行われることとなる。

 

 

「お兄様~~!!遅いよ~!!」

 

 

「ああ、すまんなフラン。今行くよ」

 

 

「おっとっと、フラン様、あまり暴れないでくださいよ~。体勢崩して落ちてしまいますよ」

 

 

美鈴に肩車されたフランがレミリアを呼びに来る。

 

フランや美鈴たちは人間達とは違って、頻度の多い宴会をずっと前から異変だと理解していたが、別に不利益を被っている訳でもないため、フラン達は放置していた。

 

 

逆に、今更霊夢達が今更異変解決に動き出したことを不思議に思っているくらいには人間と妖怪達の間での意識がズレていた訳だ。

 

 

「パチェは?」

 

 

「パチュリー様はこあちゃんが今連れている所ですよ。後はお坊ちゃまと咲夜さんだけです」

 

 

「そうか、だったら待たせる訳にも行かないな。咲夜」

 

 

「かしこまりました」

 

 

「………………」

 

 

「お坊ちゃま?いかがいたしましたか?」

 

 

「…………あぁ、いや、少し用事を思い出した。パチェ達と一緒に先に博麗神社に向かってくれ」

 

 

「…………?でしたら、御供致しますが……………」

 

 

「いや、それには及ばん。何、別に大掛かりな事ではない。多少遅れるかもしれないからな。先に行っておいてくれ」

 

 

「……………かしこまりましたわ。お坊ちゃま」

 

 

咲夜は一瞬だけ怪訝な顔つきになったが、主の高尚な思惑を推測するという不遜はしてはならないとすぐに判断したのだろう。

 

レミリアから離れ、一礼してレミリアの部屋を去った。

 

 

「………………………………」

 

 

咲夜たちが宴会の博麗神社に向かってから少しした後、レミリアは独りで紅魔館から飛び出して、付近の霧の湖方面に向かって行く。

 

 

そして、霧の湖のある程度開けた場所に降り立つ。

 

 

「……………………そろそろ姿を現したらどうだ?お遊びはもう飽きただろう?」

 

 

そして、周囲を威圧するかのように妖気を纏わせながら声を震わせる。

 

 

レミリアの重く低い声と共に、レミリアの周囲を囲むように妖気を帯びた霧が集まっていき、レミリアの目の前で次々と(あつ)まっていく。

 

 

「あらら、もっと遊べるかと思ったんだけどねぇ。流石は吸血鬼さんと言ったところか」

 

 

どこからともなく、いや、目の前で萃まっている妖霧から声が響く。

そして萃まっていく妖霧が次第に実体を帯びてくるようになる。

 

霧が人の形を模るように形成されていく、小さな少女の形を帯び、人の頭部と思われる部分からは力を象徴する二本の長い角。

 

 

「もう長い事ほったらかしにしてやったんだ。いい加減、おいたをやめる時が来たってことだ」

 

 

「まぁ、いいか。これから、最後に一番楽しいお遊びが出来そうだし」

 

 

目の前の妖霧が萃まったナニカの口角がニィッ、と上がる。

そして、とうとう妖霧の実体が明らかになる。

 

 

白のノースリーブに紫のロングスカート

 

薄い茶色のロングヘアーを先で一つでまとめて、赤いリボンを頭に付ける。そして目を惹くのは頭部の左右から少女然とした身長からは不釣り合いなほどに長くねじれた二本の角。

左の方の角には青いリボンを巻き付けている。

 

そして、真紅もかくやというほど紅い瞳。

腰につるされているのは三種の形を模倣された分銅を結んだ鎖。

 

 

そして、周囲を覆いつくしていたレミリアの妖気を塗りつぶしてやると言わんばかりにその少女から迸る妖気。

 

 

見た目こそ小さな童の様にも見えるが、その圧倒的なまでの妖気を纏い、角を生やす少女こそ、正しく『鬼』そのもの。

 

 

「私が幻想郷に来てから、もう随分経つ。何回宴会すれば私の能力に気付くのかと思ってたんだけど、いい加減ちょっと退屈に感じ始めてきたからなぁ」

 

 

そう言って、手に持っていた紫の瓢箪をくいっ、と持ち上げ、瓢箪に口を付けて中に入っているであろう液体を飲む少女。

 

 

伝承通り、吞兵衛の『鬼』であるのなら、瓢箪の中は酒なのだろう。

少女の姿をした者が酒を飲むというのは常識的に考えれば如何なものかとは思うが。

その赤く染まっている頬は、酒に酔っぱらっている証拠なのだろう。

 

 

「幻想郷中を我が物顔で包み込んでいるというのは些か感心しないな。勝手はそこまでにしておけ」

 

 

「何言ってんのさ。少し前に大はしゃぎした挙句、紅い霧で悪戯した奴が良く言うよ」

 

 

「……………………」

 

 

『鬼』は、その紅い瞳をレミリアに向ける。

ぼんやりとしている様で、しっかりと見据える瞳にレミリアは少しだけ身構える。

 

 

「レミリア・スカーレット。名前は憶えてる。私はあんたの事を良く知っているよ。宴会では羽を休めているように見えて、一時も私から注意を逸らさなかった。それも、他には気取られないようにね。なかなか粋な事をするじゃないか。傲慢な吸血鬼かと思ってたもんだから見直したよ。細かく私を分散してたようだけど、それでもあんたは動かなかった」

 

 

「…………………」

 

 

「本当の所、人間達に気付かせたかったから。そうだろう?」

 

 

「何を今更、妖怪退治は人間の仕事だ。私が関与する問題ではなかったはずだ」

 

 

「でも、少し不安になってきたんだろう?」

 

 

『鬼』の瞳がレミリアを刺すように細められていく。全てを見透かしているかの様な口ぶりにレミリアは眉を顰める。

 

 

「余りにもみんなが鈍いから痺れを切らしてただけだ」

 

 

「嘘」

 

 

細められる眼と間を置かずに放たれた「嘘」という一言。

『鬼』の目に少しばかりの嘲笑の色が混ざる。

 

 

「余りにも相手が強大で、人間に任せては危険だと思ったから、だね?」

 

 

「………………………………」

 

 

「それも特には、自分の目にかけている従者から私を離しておきたかったようだしね。随分な溺愛ぶりじゃないか。吸血鬼はかくも丸くなるもんだね。」

 

 

「……………知ったような口を」

 

 

「言っただろう?私はあんたの事を良く知っているってね」

 

 

『鬼』は瓢箪を肩にかけ、レミリアを見つめる目線を変えずに、萃香はけらけらと愉しそうに笑う。

 

 

「今度の人間達にも、骨のある奴が多少居るみたいだし、あんたみたいな新参者がいるから退屈しなさそうだ。安心しなよ。別に人間達を取って食おうなんて考えてなんかいないよ。ちょっとばかし『人攫い』でもしようかなんてね」

 

 

「それが今回の異変とやらか?何度も何度も宴会を行わせたことがなんの意味がある」

 

 

「そんなもの余興さ。春が異様に短かったんだ。それが私にとって不満でね。異変に気が付いて私の元にたどり着く人間はさぞ力のある人間だろうし。博麗の巫女なんて大層な名前もついてる人間もいるんだから、鬼の血が騒いでしまうよ」

 

 

『鬼』のレミリアを見る目が少しばかりギラつく。

 

 

「人間の方ではスペルカードルールだなんて何とも血が騒ぐ決闘法があるみたいだけど、それは人間と妖怪との間での話。あんたと私。妖怪同士、それも同じ鬼の名を持つ者同士なら、解るだろ?」

 

 

「つまり、ここからが本当の遊びって訳か?」

 

 

「遊びになればいいけどねぇ。吸血鬼風情と私では格が違うからね」

 

 

「……………誇り高き貴族である私が、土着の民である貴様程度に劣ると?何とも面白い冗談だ」

 

 

レミリアも妖気を強めてより威圧的に返す。

しかし、『鬼』はレミリアの妖気を受けても涼しい顔だ。

 

 

「新参者のあんたには解らないようだね、『鬼』が。まぁ、見たことないんだから仕方ないけどね」

 

 

「何を言ってる。私が何と呼ばれているかわかるか?皆こう呼ぶ。吸血『鬼』とな」

 

 

「確かに、あんたは吸血鬼だけど、鬼じゃない」

 

 

「何を当たり前の事を言っている」

 

 

「いやいや、種族間の話じゃないよ。『鬼』そのものの概念自体から見ても、吸血鬼であるあんたは強さの代名詞である『鬼』足る存在じゃあない」

 

 

『鬼』はすっと、手をレミリアへと伸ばし、突きつけるようにしてレミリアに人差し指を向ける。

 

 

「鬼は嘘をつかない」

 

 

さも、それが当然であるかのように。『鬼』はレミリアに突きつけるようにして言い放つ。

 

 

「………………………クハッ」

 

 

レミリアは、笑みを堪え切れずに漏らしてしまう。

眼は紅く輝くように、それでいて好戦的な笑みを浮かべ、『鬼』を見る。

 

 

「…………なら、『吸血鬼』が『鬼』を超え得る存在だと今ここで証明してやろう。幻想郷の強者が一体どちらなのか、はっきりとさせてやろうじゃないか」

 

 

「ハハッ!!いいねぇ!その眼!久しぶりに退屈しない殴り合いが出来そうだ!………おっと、名乗りが遅れたね。私は『伊吹萃香』。鬼を超えるという身の程知らずな大言壮語。その意気や良し!!!!私の力である萃める力。それは鬼にしかなせない力…………。未知なる力を前にして夢破れるがいい!!!!レミリア・スカーレット!!」

 

 

レミリアは全身に力を込め、地面がめり込むほど力強く蹴って『鬼』。伊吹萃香に突進していく。

 

萃香は突進してくるレミリアを目で捉え、愉しそうに笑みを浮かべながらレミリアを待ち受ける。

 

 

幻想郷に昔から存在していた伝説の存在である『鬼』と、その『鬼』の名を持つ『吸血鬼』

 

スペルカードの枠を超えた、強大な力を持つ鬼同士の衝突、互いの拳と拳がぶつかり合って、衝撃波が周囲を吹き飛ばす。

 

誰の耳に聞こえているかはわからないが、霧の湖で大きな衝突音と激しい戦闘音が鳴り響くことになる。

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