私レミリア♂紅魔館がヤバい!   作:たぶくむ

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二本立てです


破壊の妹 (フラン視点 後編)

私が地下に閉じ込められて、何日か経った。

 

 

お兄様は前と変わらず、地下室にいる私に会いに来てくれる。

 

 

もちろん、公に私と接触することを禁止されているため、お兄様はみんなが眠り始める頃合いを見計らったりして周囲にバレないように訪れてくる。

 

 

そして、流石に私の部屋にずっといるわけにはいかない。何時間か私の部屋に滞在し、その後こっそりとお兄様は自室に戻っていく。偶に来ないときもある。

 

 

それが少し寂しくはあるが、お兄様が来てくれる。愛情を注いでくれるという事実が私を勇気づけてくれた。

 

 

 

 

お兄様はあいつに私の待遇を改善するように申し立てていたそうだが、あいつは聞き入れなかったようだ。

 

 

 

そう落胆してお兄様が私に伝えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――やっぱり邪魔だなぁ………。

 

 

 

 

 

 

今日もいつもと変わらない日だ。適当に、一人で自分のお部屋で暇を潰している。お兄様が持ってきてくれたり、ごはんの時間にやってくる使用人に頼んだりした本を読んだり、お気に入りのぬいぐるみで遊んだりして時間を潰しているのだが、お兄様がいないというだけで、何もすぐにつまらなくなり、飽きてしまう。

 

 

 

お兄様といる時間はすぐに過ぎ去っていってしまうのに………

 

 

 

そして、そんな地獄のような暇な時間を耐え忍べば、ついに私へのご褒美がやってくる。

 

 

 

コンコン

 

 

「フラン?起きてる?」

 

 

そう、お兄様だ。

 

 

「お兄様!うん、起きてるよ!」

 

 

 

そう言ってお兄様を迎え入れる。

 

 

 

「さて、今日はどうしたい?」

 

 

「本!本を読んで!」

 

 

私は、必ず、ほぼ必ずと言っていいほどお兄様に本を読むことをせびる

 

 

だって、そのほうがお兄様と密着できるもの。

 

 

 

この日も、お兄様と私の部屋で一緒に遊んで幸せな時間が過ぎ去り、今日という一日が終わる………はずだった。

 

 

 

「………レミリア。何をしているんだ?」

 

 

 

突如響いてきた声、さほど大きくはないはずなのに、この部屋一帯に響くように、底冷えるような低い声。

 

 

そう、お父様(あいつ)だ。

 

 

「レミリア。私は、フランとの接触を禁ずると、そう、言ったはずだが?」

 

 

 

「ッ!!!いや……こ、これは違うのです!ち、父上!!」

 

 

ゆらり、ふらふらとこちらへやってくるあいつにお兄様は青ざめながら、私を背にしてあいつに立ちふさがる。

 

 

 

私はといえば、突然のあいつの登場に呆然となり、思考が追い付かない。

 

 

 

―――バレた。まずい!!どうにかして、切り抜けなきゃ!でも、どうやって?

 

 

いくら考えてもいい解決策が思い浮かばない。

 

 

お母様が死んだ後のあいつは情緒不安定だ。

 

 

特に私への悪感情が増幅した様だ。

 

 

私を地下に閉じ込めようとしたのもそうだが、私を見る目に憎悪、悔恨、憤怒、その他さまざまな悪感情を瞳に表すようになった。

 

 

今までは親としての矜持の為か、その私情を押し殺して、私と接してきていた。

 

 

 

しかし、最近になってあいつ酒に飲まれる生活が続いている。

 

 

それ故、ブレーキが掛からなくなり、元々の凶暴性が表に表れるようになった。

 

 

だから、まずいのだ。そんな凶暴なあいつに、お兄様との逢瀬がバレる?

 

 

その後の最悪の場面、それは………

 

 

 

「残念だよ、レミリア。お前は聞き分けのいい子だと思っていたんだが………」

 

 

 

「い、いえ!ち、父上!言いつけを破ってしまったことは申し訳ありません!でも、フランが気の毒でつい………。フランは危険ではありません!気弱で、健気で、優しい心を持っている私の妹です!」

 

 

 

「違うのだ。違うのだよ。レミリア。フラン、いや、その化け物は………私達の幸せを奪いさらっていった、化け物だ。お前の母を殺したのも、そいつだ。優しい?健気?違う、そんな可愛らしいモノなんかじゃない、正真正銘私たちが憎むべき敵だ」

 

 

 

「な、何を馬鹿な事を!確かに母上は、フランを生んだ後、衰弱して亡くなられました。しかし、フランは関係ないでしょう!?自分の子を化け物呼ばわりとは、正気ではありません!」

 

 

 

こっちに向かってゆっくり歩いてくるあいつと、私を庇うように立ちふさがるお兄様。

 

 

 

お兄様の可愛い妹発言には飛び上がりたいほど悦びの感情が沸くが、今はそんな場合ではない。

 

 

しかし、私ができることは何もない、無理に私が介入して、事態を悪化させるのはよろしくない。お兄様の後ろで、私は動向をうかがうようにして黙り込んでいる。

 

 

 

「………そうだな、私は正気じゃない。そんな化け物を、我が子の様に扱い、生かしておいてしまっていたのだ。確かに正気じゃない。そんなやつを生かしておいたばかりに、妻は死に、我が子は聞き分けの良くない子に育ってしまった。………愚かだ、実に愚かだ、私は」

 

 

 

「そ、そういうことではありません!ち、父上は少しご乱心でいられます!父上は思い違いをなされているのです!どうか、どうかご賢s「邪魔だ」………ガッ!?」

 

 

 

「お兄様!?………アグッ!?」

 

 

かなり近くまで接近してきたあいつ。最後まで、お兄様はあいつを説得しようと試みたが、全て聞き入れられず、一言の下に薙ぎ払われ吹き飛ばされる。目に見えないスピードからかなり力を込めたのだろう。

 

 

吹き飛ばされるお兄様に気を取られていた私はすぐ目の前まで近づいてきたあいつに気づかず、無抵抗に首元を掴まれた。

 

 

 

「フランドール、フランドォオル!、フランドォオオオオオオオオル!!!!!!!」

 

 

 

「か、は……ッ」

 

 

 

次第に憎悪の声へと変貌すると同時に首を締めあげられる。

 

 

吸血鬼、しかも大人の力で強く締め上げられている。思わず息を漏らす。

 

 

「お前がァ、お前がァァ、お前がァァァァァァl!!!!」

 

 

 

「ぁ、ぐ……ぅぁ……」

 

 

「お前が俺の幸せを奪った。お前が俺の愛を無為に落としたァ!お前が我が妻を殺したァァ!!お前を生かしておいたがために全てが狂ったァァァ!!!」

 

 

憤怒の表情を浮かべ、心の底から溢れるように悲哀が外に出て、少女の形をした化け物に、恨み辛みの感情を全て吐き出していく。

 

 

首を絞める力を強め、手を緩めようともせずに、さらに力を込めようとする。

 

 

 

―――不味い、不味い不味い不味い不味い不味い不味い!!!

 

 

頭の中で警告が鳴らされる。

 

 

なんとかしろ、どうにかしろ、耐えろ!

 

 

そんな言葉が頭の中で復唱するが、首を絞められている今の状況で何をすればいいのか、私にはどうしようもない。

 

 

 

「殺す、殺してやるぞォォ!!フランドォル!!全ての元凶のお前をォ!俺の幸せを奪ったお前をォ!!!今、ここでぇ!」

 

 

 

私の意識が次第に遠のいてくる。手足に力が入らず、ブランとなる。

 

 

 

―――ぁ………ま、ずぃ………い、いしきが………

 

 

 

「フランから、手を放せ!!!放せよ!!!」

 

 

―――………ロセ。………ワセ。

 

 

 

「ッ!!!!!!」

 

 

視界の端に青色の髪、そして、近くで聞こえるお兄様の声、そして、頭の中で響いてきた謎の声、それらのおかげで私の意識が急激に覚醒した。

 

 

あいつの私を首を絞めている手の力が弱まり、あいつが少しだけよろめいている。

 

 

どうやら、お兄様があいつに体当たりした様だ。

 

 

助走をつけた体当たりは、あいつをよろめかせることに成功した。しかし、ただそれだけだ。

 

 

「クッ!!………邪魔だァ!!」

 

 

「ぐっ!!」

 

 

振るわれた腕がお兄様を捉える。感情に身を任せ、一切手加減をしていないその振るわれた腕は、お兄様に直撃し、お兄様を吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………あ?

 

 

 

………………………コイツハ今、何ヲシタ?

 

 

 

 

お兄様に一度ならず、二度までも?手を出した?

 

 

 

………………………ユルサナイ、ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ!!!!!!!

 

 

 

――――――コ……セ。コワ…。コロセ。コワセ。

 

 

 

…………殺す。殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!

 

 

 

お兄様に手を出した、それだけで許されざる行為なのに、それを二度までも?

 

 

即座に抱いた感情、殺意。こいつを今すぐにコロセ。

 

 

 

――――ワタシガコロサレルウンメイヲ………

 

 

 

――――オニイサマトハナレバナレニナルウンメイヲ………

 

 

 

突如、頭に浮かぶ声、それらに身を任せるように、無意識に手にナニかを掴む。

 

 

 

対象。狙い。目的。一致。

 

 

 

こいつを、私の父だったモノを、そいつの『目』を

 

 

 

………………………コワセ!

―――――――――コワセ!

 

 

 

「きゅっ………て………」

 

 

「………?なんだ、その目はァ!!」

 

 

気丈に、睨みつける。

 

 

 

――――オニイサマトワタシトノアイダノショウガイヲ………

 

 

――――ワタシタチノジャマトナルソンザイヲ………

 

 

これ以上、お兄様と私の逢瀬を邪魔しようとするならば。

 

 

 

………………………コロセ!

―――――――――コロセ!

 

 

 

「ドカ………ン」

 

 

 

手で、『目』を握り締める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

 

 

 

目の前で破裂した。

 

 

 

父だったモノ、あいつの身体が。

 

 

 

辺り一帯に血を撒き散らし、赤で壁、地面を染めあげる。

 

 

 

静粛が空間を支配する。

 

 

 

首絞めを解放された私は、その場で咳き込みながら。

 

 

現状を確認していく。

 

 

 

 

――――………『死んだ』?

 

 

 

アイツが死んだ?お兄様と私との間の邪魔な蠅虫を、殺した?

 

 

 

――――殺した、コロシタ、コロシタコロシタコロシタコロシタコロシタ!!!!!

 

 

私の心がスゥーッと晴れていくのを感じる。

 

 

 

お兄様!!見てた?ミテタヨネ!?ワタシがアノコギタナイハエムシヲコロストコロヲ!!!!!!

 

 

ふと、お兄様が飛ばされた方向を見る。

 

 

 

「ッ!!!!!????」

 

 

「………………」

 

 

 

お兄様が呆然とこちらを見てくる。

 

 

驚き一色の顔に、かすかに見える恐怖と困惑の瞳。

 

 

 

――――違う。お兄様にそういう顔をさせたかったんじゃない。お兄様に喜んでほしくて……。 恐れ?お兄様が、私を?

 

 

 

――――お兄様に嫌われる?………嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だイヤダイヤダイヤダイヤダ!!!!!!!

 

 

 

「お、おにい……さ、ま?」

 

 

 

そんな目で見てほしくはなくて、恐れの目で見てほしくなくて、お兄様に縋るような声で呼びかけてしまう。

 

 

 

――――ヤダ。嫌わないで。私を、一人にしないで。いつものあの目で私を見てよ………。

 

 

 

「ッ!!フランッ!!!」

 

 

意識が戻ったお兄様は即座に私を抱きしめる。

 

 

「お、にい、さま、わ、わたし………」

 

 

私を嫌わないで。

 

 

そんな言葉を出そうとするが、途中で詰まり、発することが出来なかった。

 

 

 

「大丈夫。大丈夫だよ。フラン………」

 

 

「フランは悪くない………。フランのせいじゃない………」

 

 

そう、お兄様は私にささやくようにして抱きしめ、背中を擦り、頭を撫でる。

 

 

「お、にいさま。お…に…さ、ま  う、うあああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

お兄様に嫌われてはなかった。そんな安堵や殺されそうになった緊張から解放されたためか、お兄様の胸の中で大声で泣き叫んでしまう。

 

 

 

お兄様は泣き叫ぶ私の背中を優しく擦り、大丈夫、大丈夫だと言い続けながら、ずっと私に寄り添った。

 

 

 

――――ああ、良かった。

 

 

 

 

 

 

 

お兄様に嫌われないで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

散々お兄様の胸の中で泣き叫んだ後、落ち着いた私は、お兄様のお部屋にいる。

 

 

地下にある私のお部屋は血で赤く染め上げられたため、お兄様のお部屋で一先ず一晩明かすことになった。

 

 

 

スカーレット家の領主が死んだのだ。跡継ぎであるお兄様がその後始末等をしなければならないため、今は部屋にはいない状況だ。

 

 

 

「すぐ戻るから、いい子で待っていて」

 

 

と渋る私の頭を撫でそう言われてしまえば、逆らえない。

 

 

 

そう、今はお兄様のお部屋に私一人、やることはひとつだ。

 

 

私はすぐにお兄様のベットにダイブして、お兄様の香りを存分に楽しむ。

 

 

枕に顔を埋めながら、足をバタバタとさせる。

 

 

 

 

――――殺した。殺してやった!

 

 

 

――――これでもう、邪魔が入らない!お兄様と私だけの空間!!

 

 

 

お母様が死に、あいつも死んだ。これでもう邪魔者はいない!私とお兄様だけの世界!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――いや、まだ終わっていない。

 

 

 

足のバタバタを止める。

 

 

 

 

――――あいつに付き従っている使用人達。

 

 

 

――――あいつだけに仕えて、命令に従うゴミども。

 

 

 

 

邪魔だなぁ、邪魔だなぁ。

 

 

 

あんなゴミども、お兄様に相応しくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――処分、しなくちゃ、ね。

 

 

 

 

私が、お兄様を守るんだ。この『能力』で。

 

 

 

邪魔する奴を全員コワシチャエバイインダ!!

 

 

 

 

 

 

 

アハッ、アハハハハハハハハハハッッッッッ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

そんな狂気に満ちた笑い声が、紅魔館に響いた。

 

 




随分と長くなりました。ここまで長くなるとは正直思ってませんでした。


この後、少し進みます。

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