レミリア視点というより、第三者からの視点で話を進めて、その話ごとに出てくる他者からの視点で展開する方がやりやすいと感じているため、今後もそういう方針で行きたいと思います。
主人公視点で展開するのは私には無理ですな。
悲しい事件から、翌日。
「父が死んだ」
そう、使用人たちを集めて、そうレミリアは告げた。
もちろん、フランが殺したということは伏せておいて。代わりの死因についてはいくらでも挙げられる。
急性アル中、心筋梗塞・狭心症等の突然死。などなど
父は妻である母が死んだ後、溺れるように酒を飲み、さらに情緒も不安定であったため、死因の一つや二つ、でっちあげるなど容易だった。
大事なのは、フランが殺したという事実を明るみにしないこと。末期はお世辞にも良き父、名君とは言えなかったものの、少なからず父に心酔して仕えている者もいる。
仕方がなかったとはいえ、心酔する主人が殺されたとなれば、フランに復讐する可能性も少なからずあるわけだ。そういう『運命』も見えた。
まぁ別にそのような輩がいくら反旗を覆しても、それを捻るだけの力がレミリアに備わってはいるものの、結果的に残るのは、肉親を殺したスカーレットの子息と息女という不名誉な体裁、紅魔館の人員不足である。
誰が、己の肉親を殺した非情な男に仕えたいものか、いや、いたとしても、到底人手不足を補えるほどの人員と質もないだろう。
そういった紅魔館の弱体化を恐れ、父の死を嘘で塗りつぶす必要があった。
使用人たちも、それぞれ多種多様な反応を見せるものの、レミリアやフランが父を、主人を殺したということに気付く者はいなかっただろう。
10歳と5歳の幼い息子と娘がよもや、強大な吸血鬼である自分たちの父を殺すことが出来るはずがないと考えたのだろう。
ある者は、自分の主人の死に嘆き
ある者は、突然の死に哀悼の意を
ある者は、野心の目をその瞳に隠そうとせず。
そんな彼らにレミリアは後を継ぐは自分だ。と、私が亡き父の後を継ぐのだ、と表明した。
不思議な事に、皆、何事もなくその意に従い、新しい領主となったレミリアに仕えることとなった。
確かに不平不満を顔に隠さない輩もいたのだが、彼らはその後行方を眩ませた。
レミリアは脈絡もなく行方を眩ませた彼らを不審に思って行方を探らせてみたが、音沙汰が全くなかったため、散々悩んだ挙句、諦めた。
その時期は特にフランの機嫌が良かったが、フランの地下室軟禁や、他者との接触禁止の令をレミリアが解禁した時期と被っているため、関係はないだろうとレミリアは判断した。
そんなこんなで、図らずとも予想外の形で、内紛無しで紅魔館中を掌握できたのだが、前述のことから退職者もおり、人員不足が今一番の課題である。いろいろとやるべきことがレミリアにありそうだ。
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レミリアが紅魔館の領主となってはや100を越した。
年を100ほど経ても身長はさほど変わらず、10歳ほどの見た目のまんまであった。
しかし、見た目10歳の少年とはまるで反対で、領主としての矜持、吸血鬼としての威厳、強大な力を持ち、強者としての覇気を纏った彼は、正真正銘強大な吸血鬼そのものであった。
そんな領主として成長したレミリアは一つ悩みの種があった。
人員不足である。
100年前と何ら変わらぬ理由で悩んでいた。
それは、父が亡くなった後、しばらくして人間達が討伐隊を結成し、はるばる険しい山々を登って紅魔館へ襲撃に来たためである。
紅魔館は良くも悪くも名が知れており、亡き父も名の通った吸血鬼であった。
そんな強大であった父が死んだという話が人間に伝わり、後に残るは年若い吸血鬼、紅魔館を滅ぼすは今が好機とばかりに人間達が紅魔館に襲いに来るようになった。
当初は容易に撃退でき、何ならカモがネギをしょって来たと喜んでいたが、いつの年か、銀製の武器を持って来たり、またある時には銀の弾丸を使用する鉄砲などを持って来たり。
そんな人間達の襲撃が頻繁に起こり、迎撃に出ていく使用人たちの数が次第に減ってしまったということである。
殺されるのは眷属であったり、下級吸血鬼であったりと吸血鬼としての実力は下から早いような奴らだが、使用人としての働き手がこれ以上減るのはまずいとレミリアは考え、ある年から、人間の襲撃にレミリア自らが迎撃に出るようになった。
ついでにフランが勝手に付いてきたが。
若いといっても実力は上級吸血鬼でも上位に位置するレミリアである。
襲撃しに来た人間達を殲滅し、かつ、報復にとあらゆる都市へ襲撃に行った。
レミリアは、適当に紅魔館内の本を漁って、なんか勝手に契約できた魔槍グングニルを片手にあちらこちらへ疾走していった。
このグングニル、投げれば勝手に敵を貫いて、自分の手に戻ってくるため、レミリアは愛用していた。
その後フランがむくれて、何を思ったのかフランも『レーヴァテイン』と契約したのはまた別の話である。
そんなわけで、人間達を殲滅して回ったレミリアは人間の返り血で赤く染まる恐怖の吸血鬼『紅い悪魔』として人間達から恐れられる様になる。
さて、『紅い悪魔』と呼ばれるようになった理由について話しておこう。
人間達の見解としては、人間の返り血を浴びて体を赤く染めるから『紅い悪魔』と呼ぶようになったのだが、真相は違う。
そもそも、レミリアは綺麗好きであり、あまり衣服を汚すのは好きではない。
ならなぜ身を赤く染めてしまうのか?
答えは簡単
彼が小食だからだ。
レミリアは戦闘後、無性に吸血衝動に襲われる。
まぁ、小さい子供が運動後にお腹が減るのは、そういうことなんだろう。
そのため、適当に人間を捕まえて、吸血をするが、小食のため、あまりたくさん血を吸血することが出来ず、大量の血を溢してしまうためである。
血を吸われた人間は、恐怖のあまり失神してしまうこともあるが、基本的に貧血程度の症状で済む。
血を吸われた人間は吸血鬼となってしまうという噂もあり、血を吸われた人間の行方はその後、誰も知る由もないが。
そんな人間達の勘違いから、『紅い悪魔』が誕生した。
そんなレミリアの活躍で多少紅魔館への襲撃は落ち着いてはいるが、それでもなお命知らずの冒険者達や、熱狂的な信仰者達からなる討伐隊が所々襲撃しに来る。
最近になって、『ヴァンパイアハンター』なる奴らが依頼を受けて討伐に来るようになる。
下級吸血鬼を殺した程度で、ヴァンパイアハンターなどと自分たちを自称して、さも吸血鬼討伐のエキスパートですよ面をしている奴らはレミリアの怒りを買い念入りに殺されているようだが。
レミリアは何年も続く人間達の襲撃にいい加減飽きてしまい、迎撃に向かうのも面倒くさくなっていた。
かといって使用人たちに迎撃を任せていては人員不足がいつまでたっても解消しない。
レミリアは人員不足と人間達の襲撃に頭を悩ませているのであった。
そんなレミリアに吉報が訪れる。
紅魔館に訪れて、『紅い悪魔』と恐れられている吸血鬼と手合わせ願いたいという妖怪が現れた。
見た目は緑のチャイナドレスっぽい服を着た背の高い女性であり、いかにも華人であるという印象を受ける。
レミリアは暇つぶしにその挑戦を受けた。
結果はレミリアが危なげなく勝利したものの、かなり熟練、達人といっていいほどの武術、そして、高い運動能力と身体能力。
いつも弱い人間を相手にしてきたレミリアからすれば、久々の強敵であり、いつもより心が躍ってしまった。
そこでレミリアはその女性を紅魔館の門番として働かないかと勧誘し、無事その女性を登用することが出来た。
彼女なら、一人で人間達の襲撃を返りうちに出来るはずだという確信があったし、そろそろ専属メイドが欲しいと思っていたため、何となく勧誘してみたレミリアであったが、快諾してくれたのでとても喜んだ。
あまりの嬉しさに『紅』という姓を与えてしまう程には。
早速門番として彼女を雇い入れ、これでようやくレミリアは枕を高くして眠れるのであった。
これが、レミリアと紅美鈴の初対面である
つなぎなので、ある程度適当かもしれません。
次は美鈴視点になるか、その前に人間達の視点になるか。お楽しみに!