BanG Dream!〜Destiny STAR〜   作:バリート

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#11 やってきちゃった!

「バンドで世界を笑顔にする‥」

 

「音楽で世界を‥」

 

はぐも薫も弦巻さんの言ったことを繰り返す。

 

「「「う〜ん、どうやって?」」」

 

考えはまとまらないけど。

 

「あのさぁ、それ一時間くらい繰り返してるけど大丈夫なの?神田さんは何かスマホ見てるし‥」

 

俺も別に遊んでるわけじゃない。明日の友希那達の練習のスケジュールを確認していた。でも確かに何回もループしててちょっと飽きてきた。

 

「でも本当にどうしよう‥」

 

「ただ歌えばいいのかしら?ただ楽器を弾けばいいのかしら?ちょっとそれは違うと思うの」

 

「わかった!はぐみがギター弾きながら変顔すれば良いんだ!」

 

「はぐ、お前が弾くのベースな」

 

変顔に関してはもうツッコまない!

 

「はぐみさん、ギターとベースはちょっと似てるかもしれないけど違うんだよ」

 

松原さんも俺の言葉に付け足しをしてくれた。

 

「そうだっけ?あと、さん付けはいらないよ」

 

「えっと‥じゃあ、はぐみ‥ちゃん?」

 

何か松原さんははぐの呼び方が落ち着いたみたいだ。

 

「とてもいい案だけど、私には不可能だ。私は何をしても美しくなってしまう運命が‥」

 

また薫が変なことを言い出した。まぁいつものことか‥。

 

「あら、薫の運命ってすごいのね!」

 

「こころ、あぁなんてことだ‥。君は私の運命を理解してくれるんだね!君と私は同じ魂を持った運命の相手だ!」

 

「でも、なんの理由もなくここにいる人なんていないわよ。こう揃った時点で何かあたし達にはあると思わない?」

 

「理由‥」

 

「そうよ!だってあなた達はこのバンドのメンバーなんだから!」

 

「とにかく出会った人に『あたし達と一緒に笑顔になろう!』って言えば良いんじゃないかしら?」

 

「いやその作戦、学校でことごとく失敗してたからね?」

 

「そうなの?『結構ですアハハ』って楽しんでくれる人がほとんどよ?」

 

「それ失敗してるんだよ⁉︎」

 

「(何かさっきから奥沢さん、ツッコんでばっかだなぁ)」

 

めっちゃ大変そう。

 

「でもせっかくバンドを組んだんだから、今までと違うことをしたいわ。そうじゃなきゃ楽しくないもの。人を楽しくさせるにはまずあたし達が楽しくなくちゃ!」

 

「分かるな〜こころちゃんの考え!あ、これからこころんって呼んでもいい?」

 

「良いわよ!それにしても楽しいこと、あまり思い浮かばないわね‥」

 

そうなんだけど‥。

 

「あの〜とりあえず演奏しない?」

 

俺は自分の思ってたことをやっと口に出した。

 

「良かった〜。神田さんがとりあえずは真面目そうで」

 

奥沢さんも同じことを言いたかったみたいだ。終わらない内容が変わって凄い安堵してるよ、この子。

 

「こころ様、楽器は既にこちらで整えております」

 

「早ッ⁉︎」

 

やっぱりこの黒服の人達超能力者なんじゃないかと思ってしまうくらい有能過ぎる。

 

「それじゃあ早速やってみましょ!やればきっと何か起こるわ!」

 

「考えるより行動あるのみだね!よーし、じゃあ何か掛け声がいるね!」

 

「この会議は何だったんだろう‥」

 

奥沢さんはぐったりしてうなだれてしまった。この子、苦労してそうだな。

 

「思いついた!『ハッピー!ラッキー!スマイル!イエーイ!』これでどうかな?」

 

はぐがパッと閃いたワードを弦巻さんに伝える。

 

「素晴らしいわ!じゃあ掛け声行くわよ!」

 

「「「ハッピー!ラッキー!スマイル!イエーイ!」」」

 

やっぱり頭の構造が似てる組は合わさるのも早い。

 

「‥こころ、私達はどんな音楽を奏でればいいんだい?」

 

「(本当に何も決まってねぇな‥)」

 

薫ですら疑問を持ってきたぞコレ。思わず口に出しそうなのを抑え込む。

 

「そうだったわ、決めてなかったわね」

 

「本当に何も決まってなかったんだね⁉︎」

 

あ、奥沢さんが奏斗二号になった。

 

「それで音楽の先生、何が良いかしら?」

 

「あ、それ考えるの俺なのね‥」

 

結局聞いた感じでパートを振り分け今日はそれで解散。あと最後に弦巻さんに俺の名前をちゃんと覚えさせました。

 

 

 

ー紗夜sideー

 

今日の練習もまぁまぁの出来というところね。神田さんが来てくれると練習の質も上がってとても良いのだけれど数日に一回というのが痛い。まぁ彼が他のバンドを教えているのだから仕方ないけれど。本当はここに専念してほしいが、神田さんの考えは変えられそうにない。

 

「ふぅ‥」

 

「き、今日も疲れた〜」

 

「ちょっと宇田川さんも今井さんも。ここは通路なのだから神田さんを見習ってグダグダしないで」

 

私と湊さんはキチンとしているのにこの二人は毎回こうなる。まぁあれだけの技術を叩き込まれ慣れていないからこうなるのだけれど‥。

 

「アハハ、まぁ疲れてるのは分かるけどね‥」

 

その割には神田さんは大丈夫そうだ。確か昨日も新しく別のバンドへ教えに行ったらしい。

 

「いや奏斗が化け物なんだって!」

 

「かな兄、明日はおねーちゃん達のバンド見るんでしょ?疲れないの?」

 

「いや、俺もクタクタだよ」

 

口ではこう言っているが、聞くだけで過酷なスケジュールを毎日行なっている。なのに神田さんは全然余裕があるように感じる。それを踏まえると少しこの人が怖くなってくる。

 

「でも友希那、どうすんのさ、次のイベント」

 

私達は一週間前にあるイベントに参加することになった。穴埋めという形ではあるけど、私の技術を披露するという点では悪くないかもしれない。

 

「でもかな兄、このイベントってメジャーの人が来るんでしょ?もしかしたらあこ達‥」

 

「確かにこの地区のバンドにとっては登竜門と呼ばれてるイベントね。でも私達は‥」

 

「そう、私達は更に上を目指しているわ。‥メジャーは決して音楽の頂点じゃない。このバンドに要らないわ」

 

やはり私と湊さんの意見はよく合う。

 

「で、でもメジャーデビューしたら、カッコいい人になれるかなって‥」

 

「どこがカッコいいの?メジャーなんて音楽を商売道具にする場所よ。本当の音楽を分かっていないわ‥」

 

湊さんは宇田川さんの言葉を切り捨てる。

 

「私は全てがそうとは思いませんが‥でもそうですね」

 

少しムキになっている訳は聞かずに私は宇田川さんに話をする。

 

「私達は自分達だけの頂点を目指してここにいるはず。宇田川さん、あなたが音楽をやりたいのではなく、お姉さんに憧れてるだけなら、お姉さん達とバンドをした方がいいわ」

 

「‥!あ、あこはこのバンドがいいです!あこはおねーちゃんみたいになりたくて、ドラムを‥」

 

宇田川さんはやはり『おねーちゃん』という言葉を口にした。いつもと同じだ。でも今回は‥

 

『いつもあなたは一緒のことばかりするじゃない』

 

『‥おねーちゃん、あたしは‥』

 

その宇田川さんのお姉さんに対する姿が、あの何でも私の真似してくる妹、日菜と重なった。

 

「宇田川さん、私は今、あなたの技術は認めています。でもあなたのカッコいいはただの真似事だわ」

 

確かに宇田川さんは上手い。ただその信念はまだ未熟だ。

 

「‥ち、違うもん!あ、あこは‥」

 

「違わない。じゃあ教えて。お姉さんではないあなたのカッコいいって何かしら?」

 

私は弱々しく反論しかけた宇田川さんの言葉を遮り、自分の主張を続けた。

 

「そ、それは‥」

 

宇田川さんの言葉が出なくなってきた。詰みのようね。

 

「わかったでしょ。あなたのその意識は、バンドを高めるためには変えてもらう必要がある」

 

 

ーリサsideー

 

何かイベントの話をしていたらあこと紗夜が揉め始めてしまった。

 

「ま、まぁまぁ!紗夜、その辺で!あこはこう見えてしっかりしてるし‥ちゃんと自分で考えられるから、ね?」

 

「う、うん‥」

 

「なら良いのですが、今井さんは大丈夫ですか?このジャンルなどについての知識はあって?それにブランクのせいで大分無理をしてるみたいだけど‥」

 

「‥!あ〜うん、大丈夫!‥それにこのジャンルはなんというか、その‥昔友希那や奏斗に聞いたし‥」

 

友希那のお父さんについて知ってるのはバンドアタシと奏斗だけみたい。

 

「(いつになったら話すつもりにならんだろう‥)」

 

ー奏斗sideー

 

氷川さんとあこちゃんが揉めたりして空気が重くなってしまった。リサが上手いこと話の路線を変えてくれたがまだ空気が重い。

 

「そ、それよりまずはキーボードでしょ?」

 

多少強引ながらも俺は話題を変える。これもあまりバンドに良い雰囲気を与える話ではないが、大事な話である。

 

「そうね。本当は奏斗にお願いしたかったのだけれど、流石に客前にあなたは出せないわ。でもキーボード無しでこのジャンル特有の音の厚みは出せない」

 

友希那が上手いこと話に乗ってくれた。例えバラバラの話をしてても友希那さえ話し始めれば皆自然と乗っかってくるだろう。

 

「もう一週間経つのに誰も見つからないものね‥」

 

リサも流石に焦ってきてるみたいだ。練習は時々俺がキーボードに入るが本格的に担当を見つけなければ、このバンドの本領は発揮出来ない。

 

「神田さん、本当に無理なの?あなたの実力なら十分だと思うのだけれど‥」

 

氷川さんはやっぱり俺が出られないことに疑問を抱いている。

 

「‥ごめん」

 

それに対して俺は上手く説明出来ず、ただ謝罪しただけだった。

 

「別に謝らなくていいです。半端な気持ちで出てしまったらいくらあなたでも音が乱れてしまうもの」

 

氷川さんは俺の心配より音楽の心配をしてたみたい。やっぱりストイックだなと感じた。‥あとちょっと悲しい。

 

「う〜ん、とりあえず知り合いに声掛けてみるよ」

 

人脈のあるリサが上手いこと探してくれるみたいだ。まぁ氷川さんは知らないけど友希那はないし、俺は‥うん、無理だわ。別に話せないとかじゃないけど、それっぽい人がいない。

 

「あ、あこもやります!」

 

あこちゃんも上手いこと探してくれるみたい。てか中等部に友希那が認めるぐらいの人っているのかな?

 

 

ー燐子sideー

 

「また熱中しちゃった‥」

 

最近ずっとあこちゃんから貰った動画に合わせてピアノを弾いている。ゲームの時間が少し減ってしまうくらいだ。

 

「(やっぱり何度やっても楽しい‥不思議な感覚‥)」

 

再び鍵盤に指を置こうとしたとき、

 

「電話‥あこちゃんからだ‥」

 

今まではチャットだったから緊急なのかと思い、そのまま電話に出た。

 

『りんりん、助けて〜!ライブ決まったのにキーボードが決まらないんだよ〜!』

 

今日のあこちゃんはいつもの練習の様子を伝えるというよりは何か焦ってる感じだった。

 

『りんりんの知り合いでキーボード弾ける人知らない?ピアノでもいいんだけど、上手い人じゃないと入れなくて‥』

 

「‥そう‥だよね‥」

 

ピアノなら私にも弾ける。でも私はずっと一人で弾いていただけ。友希那さん達みたいに真剣にやっているのとは違う。

 

『りんりん、そうだよねってことは誰か知ってるの⁉︎』

 

「えっ、わ、私‥私は‥」

 

私が弾けるとは自分の性格から上手く言えないのは分かっていた。そしてこのまま終わってしまうのも。

 

「(でもここで尻込みしてたら、もう‥)」

 

私はこの機会を逃したらあの時の感覚以上のものを感じられなくなると思った。だから‥

 

『ってそんな上手い話ないよね。もし誰かいたらあこに教えて』

 

「‥ける‥」

 

『?りんりん?』

 

「‥ひ、弾ける‥!私、弾けるの!」




奏斗「はい、11話が終わりました!そして今回の次回予告担当は‥」
美咲「お、奥沢美咲です」
花音「ま、松原花音です‥」
奏斗「二人は今回どうだった?」
美咲「何か余計な時間を過ごした気がしました‥」
奏斗「まぁ、あの時間で得られたものが掛け声だけだもんね‥」
花音「わ、私は、ちょっとはみんなと仲良く‥なれたかな‥?」
奏斗「呼び方も変わって仲が深まるかもしれない訳だし、それもある意味今回の成果かな?」
奏斗「あ、そうだ。次回はちょっと忙しいらしいっす。俺が」

次回 叫んじゃった!

花音「じゃあ神田くん、また今度‥」
美咲「あ、神田さんさようなら」
奏斗「うん、またね」
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