BanG Dream!〜Destiny STAR〜   作:バリート

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#5 賭けてみちゃった!

ーリサsideー

 

今日は久々にアタシと奏斗、友希那の三人で下校している。奏斗はバイトやら何やらで忙しいし、友希那は‥今日はライブハウスに行くしアタシはアクセサリーショップに行く予定。奏斗は商店街だって。本当ならこんな風に帰ることはないがアクセサリーショップとライブハウスが近いから無理矢理一緒にいるし、奏斗はその辺で拾った。

 

「あ、モカからメッセージ来てる」

 

途中で奏斗がスマホの画面を見る。

 

「ん、なになに?」

 

「えっと、『かなくん見て〜、疲れて居眠りしてる蘭〜』」

 

蘭の寝顔も可愛いが

 

「ぷっ、奏斗ホント声真似上手いよね」

 

奏斗の声真似がありえないくらい上手いことに笑った。

 

「まぁな、俺の特技みたいなもんだし」

 

奏斗はどんな声も実演出来るから面白い。もちろんアタシのも友希那の声も出せる。

 

「それにしても友希那、また毎日のようにライブハウスに行ってるだろ?最近バイト先でもお前の話題多いぞ。少しくらい休めよ」

 

奏斗が黙っている友希那に話題をふる。

 

「でも奏斗も奏斗じゃん、バンドの手伝いに行ったり友希那のサポートもしてるんでしょ」

 

「ぐっ‥」

 

奏斗がブーメランを食らったような顔をした。

 

「でも友希那も毎日出演してる訳じゃないでしょ?」

 

「‥」

 

一方、友希那は図星をつかれたかのよう黙り込む。

 

「‥ねぇ友希那、言いにくいけど、まだバンドのメンバーって探しているの?」

 

「当然よもう今年のフェスの受付は始まっている。今年こそ見つけるわ」

 

「でも、なんかそういうのって‥」

 

「私はやる。お父さんたちのために。リサも知ってるでしょ?メジャーに行ったお父さんのバンドがどうなったか、それに‥」

 

「アタシも友希那のお父さんは辛かったと思うし‥でもさ‥」

 

「だから友希那も音楽で辛い思いをして欲しくないんだよ‥」

 

そんなアタシの思いは届かず

 

「私はFUTURE WORLD FES.で自分の音楽を認めさせる。それであの雪辱を‥」

 

「ほら、アタシも多少ベースやってたし?音楽をやる気持ちはそれなりに分かるっていうか‥あんまり追い詰めないで欲しいんだよね、自分を」

 

 

「まぁ、アタシは友希那ほどストイックじゃないし、高校でネイルやりたいって理由で止めちゃうレベルだし‥」

 

「私はただ自分のしたいことをしてるだけよ」

 

「でも‥」

 

「私は真剣なの。やるからには全てをかける。完璧なバンドをつくるには楽しさなんて要らないわ」

 

「‥友希那‥こんなこと言うのはアレだけど‥追い求めすぎて、本当に大切な物を‥失うなよ‥」

 

奏斗はそんな言葉を残し、帰ってしまう。

 

「じゃあライブハウスに着いたから。アクセサリーショップに行くんじゃないの?」

 

そう言い友希那も行ってしまう。

 

「あ、あ〜〜はは、相変わらず頑固だなぁ〜」

 

「(まぁそう簡単に覚悟が変わらないのはわかってる)」

 

「だからアタシはその覚悟を最後まで見守るって決めたんだ。奏斗とは違うやり方で」

 

「(でもそれはお父さんのためになるの?本当に友希那のやりたいことなの?それに‥)」

 

〜数日後〜

 

今日もCiRCLEでバイト‥が終了しました!お疲れ様です!

 

そんな訳で帰ってホシ達と遊ぼうとしたら

 

「あら奏斗」

 

たまたま友希那に遭遇した。

 

「友希那か、今日は歌いにきたのか?」

 

「えぇ、奏斗はバイトかしら?」

 

「うん、もうあがりだけど」

 

先日のは喧嘩でも何でもないのでお互いいつも通り接している。

 

「奏斗くん、お疲れ!これから始まるライブ観ていっていいからね」

 

まりなさんが作業部屋から身体を出し俺に伝える。

 

「本当ですか、ありがとうございます。友希那、一緒していいか?」

 

「構わないわ」

 

そんな訳で二人でフロアに来ているわけだが、俺はあるバンド、いや正確には

 

「あのギターの子、上手いな」

 

ギターの子が気になっていた。

 

「やはり奏斗にも分かるのね」

 

「あぁ、特に基礎の出来がとんでもない。相当練習を積んだんだと思う」

 

あと綺麗な人だなと思った。

 

「でもそれ以外は話にならないわ。バランスが悪すぎる」

 

「厳しく言うね」

 

友希那は本当に音楽に対して厳しい。まぁ俺も指導者として時には少し厳しくいかないといけないかな。

 

「ありがとうございました」

 

演奏が終了し観客に向かい礼をする。

 

「紗夜、最高!」

 

「紗夜‥」

 

「あ、友希那さん‥」

 

近くにいた出演者の子が友希那に気付く。

 

「ねぇ隣の男の人、ちょっとカッコよくない?」

 

そんなありがたいことも言われるが

 

「そうかな?私はタイプじゃないかな。確かに顔は良い方だけど、私はもっと筋肉があった方が‥‥でもあの人友希那さんの彼氏かな?」

 

「いやそれはないない。だってレベルの低い人とは話さないくらい音楽一筋らしいし、彼氏なんかいないでしょ」

 

段々と友希那が厳しいという話題になっていった。

 

「え、なにそれ、確かに上手いけど酷くない?」

 

「ウチらアマチュアとは違うって思ってるんでしょ」

 

その時友希那の眼差しがきつくなる。悪口を言われて怒っているわけじゃないが、多分自分の気持ちをさらに強くしたのだろう。

 

ー友希那sideー

 

さっきのバンドの演奏が終わり自分の番に向けて準備をしようとフロアの外に出ると

 

「もう無理!あなたとはやってけない!」

 

「(さっきの紗夜とバンドのメンバー?何か揉めてるようね)」

 

「私は事実を言っただけよ。今の練習では先がないの。全体の意識を変えないと‥」

 

「いくらパフォーマンス力をあげても基礎が出来ていないとどのバンドにも追いつかないわ」

 

「紗夜、あなたの理想は分かるけど、バンドの技術以外に大事なものはないの?」

 

「ないわ。そうでなければわざわざ時間と労力をかけてバンドなんてやらないわ」

 

あの子はさらっと言った。

 

「酷いよ!私はいつかプロを‥って目指して集まった仲間じゃない!」

 

「仲間?馴れ合いがしたいだけなら、高校生らしくカラオケやファミレスに行って騒げばいいでしょう」

 

「(この子、私と同じ考え方‥!)」

 

「最低!もう解散よ!」

 

「待って、意見が違うのは1人だけ‥紗夜そうだよね」

 

そう言い一人を除いたメンバー全員の視線がその一人に集まる。

 

「えぇ、私が抜けるから。あなた達はバンドを続けて。その方がお互いのためよ。今までありがとう」

 

そしてあの子はギターを持ち元バンドメンバーに背を向けた。

 

ー奏斗sideー

 

今さっきバンドを辞めた彼女は軽く溜め息をついていた。

 

「‥!ごめんなさい、他の人が居たのに気づきませんでした」

 

あちらもこっちに気づいたみたいだ。

 

「さっきあなたがステージで演奏しているのを見てたわ」

 

「そうですか、ラストにアウトロで油断をしてコードチェンジが遅れたしまいました。拙い演奏を聴かせてしまって申し訳ありません」

 

「(あれが練習で出てても一応は言うが別に直らなくても誰も気にしないと思うけど‥)」

 

先の会話といい本当にストイックな人だと思った。

 

「紗夜と言ったわね。あなたに提案があるの。私とバンドを組んでほしい」

 

少々驚いた反応を見せるがすぐに表情を戻す。

 

「私とあなたでバンド?すみませんがあなたの実力もわかりませんし、今はお答え出来ません。ここは初めてで‥あなたは常連なのですか?」

 

「そうね、私は湊友希那」

 

「えっと、神田奏斗です」

 

友希那が名乗ったので一応自分も名乗る。

 

「私は今はボーカルをしてる。そして奏斗にはサポーターとして手伝ってもらっているわ。私はFUTURE WORLD FES.に出るためのメンバーを探してるの。あなた位なら聞いたことない?」

 

それを聞き彼女は目を開かせた。

 

「私もFUTURE WORLD FES.には以前から出たいと‥」

 

【FUTURE WORLD FES.】 。このジャンルでは頂点といわれるイベント。その厳しさはフェスに出るためのコンテストですらプロでも落選が当たり前。

 

「私もいくつもバンドを組んできました。けれど、どのバンドも実力が足らず諦めてきた‥ですからそれなりの実力がないと覚悟がある方でないと‥」

 

「あなたと私が組めばいける。私は次の次が出番。聴いてもらえばわかるわ」

 

「待ってください。例え実力があっても、あなたの音楽への気持ちは一度聴いたくらいではわかりません」

 

「それは私が才能があっても努力しない人に見えるというの?」

 

氷川さんは友希那の言葉に少したじろいだ。

 

「私はフェスに出るためなら何を捨ててもいいと思っているわ。あなたの音楽への覚悟と理想に自分が少しでも負ける気はしないわ」

 

「わかりました。まずは一度聴くだけです」

 

「いいわ、それで充分よ」

 

「奏斗、キーボードお願い出来るかしら?曲はそうね‥これにしようかしら」

 

「いや、俺は‥」

 

最初は断ろうとしたが

 

「お願い」

 

友希那は俺の目をじっと見ていた。その瞳には音楽に対しての本気、この人とバンドが組みたいという意志が宿っていた。

 

「‥分かった。ただ‥」

 

 

ー紗夜sideー

 

「‥友希那‥!」

 

ファンにより凄い熱気が発せられる。これほど皆押しているのに誰も騒いでいない。まるであの子の演奏を待っているかのように。

 

「ほら、ここがドリンクカウンター。ステージから一番遠いからここなら押されないから‥って、りんりん⁉︎顔が真っ青だよ⁉︎」

 

「ウチ‥に‥帰‥」

 

「りんりんしっかり〜!友希那観るまで死んじゃダメだよぉ〜!」

 

「キ、キーボードもいるんだね‥」

 

「後ろの仮面着けてる人は今回の助っ人かな?友希那が助っ人につけるくらいだからあの人も絶対上手いよ」

 

「(あの人、確か同じクラスの白金さん?彼女もファンなの?それにしても隣の子、騒がしい‥)」

 

「ちょっと、あなた達静かに‥」

 

注意喚起を行おうとした時

 

「やっぱ‥カッコいい‥!」

 

「(こんなの聴いたことがない‥言葉一つ一つが音に乗って‥会場を包んでいる‥!)」

 

彼女が歌い始めた瞬間ここの空気全てが変わった。今まで何人ものボーカルと組んできた。でも彼女と同等の人間は誰一人としていなかった。

 

「(そしてあの人、さっきの男の人よね)」

 

彼はよほど素顔を見られたくないのかウィッグで髪の長さや色を誤魔化し、顔は仮面で隠している。

 

「(上手い。でもただ上手いだけじゃない。ボーカルに一番合う奏で方、それを完璧にこなしている‥!)」

 

「本物だわ‥やっと見つけた‥」

 

ー奏斗sideー

 

演奏が終わるとあの人は俺達が出てくるのを待っていた。

 

「どうだった、私の歌」

 

「何も‥言うことはないわ。今までに聴いたどの音楽よりもあなたの歌声は素晴らしかった」

 

「あなたと組ませて欲しい。そして、FUTURE WORLD FES.に出たい。あなたとなら、私の理想‥頂点を目指せる!」

 

「改めて湊友希那よ。こちらが神田奏斗」

 

「よろしくお願いします、私は氷川紗夜です」

 

【氷川】という名字が気になったがここでは敢えて何も聞かなかった。

 

「あなたと組めることになってよかったわ。もうスタジオの予約入れていいかしら?時間を無駄にはしたくないの」

 

「同感だわ。他に決まっているメンバーは?」

 

「いいえまだ誰も」

 

「あなたは違うの?あのキーボードの腕前、それがあるならあなたがメンバーになるのが良いと思いますが」

 

氷川さんは疑問そうに俺を見る。

 

「俺は‥そういうのじゃないし、ピアノも小さい頃から弾いてただけから‥」

 

「奏斗にはこれからはバンドのコーチとして動いてもらうわ」

 

「そんな急に⁉︎」

 

「(確かに今までも何度か友希那のサポートに入ったことはあるが、本格的なのになるのは‥)」

 

「待ってください、本当にこの人が‥確かに音楽の技術があるのはわかりましたが、指導の能力は‥」

 

氷川さんもそれはと止めてくる。

 

「奏斗はグリグリに指導をしているわ」

 

「グリグリに‥なるほど指導力はあるみたいですね。それなら文句ないでしょう」

 

友希那の言葉により考えが変わった氷川さん。この辺でそれなりに名の知れたグリグリのコーチと言われ納得したのだろう。

 

「という訳で奏斗、これでいいかしら?」

 

「‥はぁぁ‥」

 

溜め息をついた俺は

 

「友希那、氷川さん。自分で言うのもアレだけど俺はまぁまぁ多忙な生活をしている。練習を見てやれるのも2人が希望する回数より少なくなるかもしれない。それでもいいのか?」

 

「別に構わないわ。いつもそうじゃない」

 

友希那が特段興味がないように答える。

 

「私も同感です。来てくださった時にしっかり指導してくれるなら問題はありません」

 

氷川さんも似たような感じで答える。

 

「でも氷川さん。あなたの理想に俺みたいに色々やってる人って邪魔じゃない?」

 

「本来なら却下ですが私は絶対にあなたから学べることがあると感じました。でも毎回来てもらうのは他のバンドにも迷惑になる。なので妥協案です」

 

「そうですか‥」

 

でも他のバンドの事も気にかけてるのは彼女なりの優しさなのだろう。

 

「それじゃあメロディはさっき聴いてもらったものを私の方で詰めてみるわ」

 

「では私はあとのパートのベースを‥ん?」

 

「ゆ、友希那だ‥友希那だよりんりん!ど、どうしよう、ここで待ってたら会えるかもって言ったら本当に来た!」

 

「あこちゃん‥⁉︎」

 

「かな兄⁉︎なんで⁉︎」

 

「奏斗、知り合い?」

 

「うん、昔からの知り合いなんだ」

 

「うん、かな兄とはずっと仲良しだよね」

 

この子は宇田川あこ。名字の通り巴の妹だ。カッコいい言葉を使いたいが言葉が思いつかないところが可愛い。

 

「で、あこちゃん何か用があったんじゃないの?」

 

「あ、そうだ。あのさっきバンド組むって話、本当ですか?」

 

「えぇ、そのつもりよ」

 

「‥!バンド!あ、あこ、ずっと友希那さんのファンでした!だ‥だからお願い、あこも入れて!」

 

「あこ‥ちゃん‥⁉︎」

 

「あこ、世界で2番目に上手いドラマーなんです!一番はお姉ちゃんですけど、もし‥一緒に組めたら‥」

 

「私達は本気でバンドをやっているの。2番であることを自慢するような人とは組まない。行くわよ、紗夜」

 

「えぇ」

 

二人はその場から離れる。

 

「じゃあ俺は‥」

 

今日は帰ろうとしたら

 

「奏斗も来なさい」

 

友希那に止められる。

 

「え、俺も今から⁉︎」

 

「当たり前でしょう?早くきて下さい」

 

氷川さんも追い討ちを決める。そして友希那に手を引っ張られライブハウス内に連れて行かれる。

 

「あ‥」

 

あこちゃんは残念そうな表情を見せた。そして氷川さん。彼女は何か別の目標があるように見えたがそれは触れることが出来なかった。




奏斗「はい、5話おしまい!そして今回の次回予告担当は‥」
紗夜「こんにちは、氷川紗夜です」
友希那「湊友希那です」
奏斗「二人は今回どうだった?」
紗夜「素晴らしいボーカルを見つけたと思うわ」
友希那「私もいいギタリストを見つけたわ」
奏斗「物語に関しては何も言わないのね‥」
紗夜「それにしてもバンドに入りたいと言ってきたあの子‥」
友希那「私達が求めるのは完璧よ。それなりの実力と覚悟がないとダメだわ」
奏斗「まぁあこちゃんの実力はあるし今度聴いてみてよ」

次回 感じとってみちゃった!

紗夜「それより、先から私達は何をしてるのですか?早く練習をしましょう」
奏斗「知らなかったの⁉︎」
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